Match Preview
- 8/6 FC東京戦
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頂点まであと4試合となった天皇杯。今シーズン、3度目の対戦となるFC東京に勝利し、ベスト8進出を目指す
直近の明治安田J1リーグ第24節・湘南ベルマーレ戦から中17日。セレッソ大阪は、ヨドコウ桜スタジアムにFC東京を迎え、天皇杯ラウンド16に挑む。
先週の公開練習では、前線からのプレスのかけ方、連動して追い込む守備のトレーニングが行われ、「ボールを持っていない状況でのプレーの仕方、オーガナイズをもう一度、見直した」(アーサー パパス監督)。湘南戦では、早い時間帯に先制するも、前半は相手に主導権を握られて守勢に回る時間も長かった。暑さが厳しい夏場という季節も影響しているが、天皇杯3回戦の徳島戦も含め、前線からの守備に緩さも見られるだけに、今一度、ネジを締め直した格好だ。西尾隆矢は話す。「失点に関しては、最後は個人個人で止めないといけないですし、一人一人が自分にベクトルを向けることも大事ですが、なぜその失点につながったのか、チームとして細かい部分に目を向けることも大事です」。湘南戦での3失点を受け、改めて選手個々として、チーム全体として、守備にも向き合った中断期間になった。もっとも、それも全てはパパス監督が志向するアタッキングフットボールを実践するため。「自分たちは、いい形で奪ってからの得点も多い。守備を見直すことは攻撃にもつながる重要なこと」と指揮官も話すように、失った後のカウンタープレスは得点にも直結し、試合を支配する上でも非常に大切な要素になる。
今シーズン、FC東京とは明治安田J1リーグでの対戦はすでに終えており、2戦して2分と全くの五分。最初の対戦となったホームで行われた第11節は、開始6分、ラファエル ハットンのゴールで先制するも、19分にPKを決められて1-1で終了。90分を通してみると、セレッソが再三得た決定機を仕留め切れず、悔しいドローになった。FC東京のホームで行われた2度目の対戦は、リーグ後半戦の初戦となった第20節。開始3分、高い位置で奪われて先制されたが、42分、香川真司が目の覚めるロングスルーパスを供給し、受けたハットンが背後に抜け出して同点に追い付いた。71分には、この試合が復帰戦となった田中駿汰が自らの復帰を祝うゴールで逆転に成功したが、81分に追い付かれて2-2の引き分けに終わった。最初の対戦では、3バックで後ろからつなぐ姿勢を前面に出してきたFC東京だが、前回対戦では4バックでカウンター主体の戦い方に変化。縦に速い、従来の強みが戻ってきた印象だ。オフェンス陣には、俵積田晃太、遠藤渓太、野澤零温、仲川輝人、マルセロ ヒアン、長倉幹樹と、誰が出てきたとしても、サイド、トップを問わず速さと突破力を兼ね備えた選手も多い。彼らにいい形でボールを受けさせないこと、対人で競り負けないことが重要になる。もっとも、攻撃では2試合ともチャンスは作れている。「自分たちのやり方は変えず、信念を持って戦うことが大事」とパパス監督も話すように、今回の一戦に向けても受け身に回ることなく、積み上げてきたサッカーを存分に披露していきたい。FC東京戦ではホーム、アウェイと両方の試合でゴールを決めたハットンも「いい準備はできている」と話し、3戦連発を目指す。
天皇杯は、ここまで2回戦ではアルテリーヴォ和歌山に5-0、3回戦では徳島ヴォルティスを2-0で下して勝ち進んできた。今大会、初のJ1勢との対戦となるラウンド16は、頂点を目指す上で最初の山場となる大きな一戦だ。7月31日に加わったばかりの井上黎生人も含め、チーム一丸で立ち向かい、ベスト8進出を果たしたい。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:FC東京とは今シーズン、リーグ戦ではすでに2度対戦しています。ある程度、手の内を知り尽くした戦いになるが?
「リーグ戦では2試合とも引き分けに終わっていますが、カップ戦は勝ったチームしか上に行けません。勝つためにトレーニングを積んできましたし、(カップ戦に)合わせた戦い方も準備してきました」
Q:FC東京は、特に直近の試合(第20節)が現在のやり方に近いと思うが、今回の対戦に向けて参考になる部分はありますか?
「横浜FM時代、一緒に仕事をしていた松橋力蔵監督のやり方は、僕自身、理解しているとは思っています。移籍期間で新しい選手を加えて強化している部分はあると思いますが、自分たちのやり方は変えず、信念を持って戦うことが大事です。選手たちも、日々しっかりとトレーニングに取り組んでくれていますので、その力を存分に発揮してくれることを期待しています」
Q:横浜FM時代、共に戦った仲川選手、遠藤選手、彼らの印象は?
「優勝を目指して一緒に戦った仲間です。特長は分かっています。そこから彼らも経験を積んで、さらにいい選手になっていると思います。対戦相手という形にはなりますが、またこうして戦えることを嬉しく思います」
Q:先日、登里享平選手の負傷も発表されました。経験豊富で重要な選手である彼の不在をどうカバーしていく?
「左サイドバックに関しては、ノボリが手術をして、髙橋仁胡も骨折をして、舩木翔は移籍しました。もっとも、そうしたケガや移籍はいつ起きてもおかしくありませんし、我々も井上黎生人を獲得しました。自分たちが今、揃えているメンバーでしっかり戦うことを意識したいです」
Q:名前が挙がった井上選手に期待することは?
「J3から出始めて、ここまでキャリアを積み上げてきた選手です。経験値も高く、とても優れた選手です。オフザピッチでも個性的です。迷うことなく、自分の持てる力を発揮してもらいたいと思います」
井上黎生人選手
Q:セレッソ大阪に加入して数日が経ちますが、チームの印象はいかがですか?
「若い選手が多いですが真面目ですし、向こうからコミュニケーションを取ってくれるので、溶け込みやすかったです」
Q:クラブやパパス監督から求められていること、また、チームに貢献したいことは?
「求められていることは守備だと思っています。(クラブやパパス監督からも)そういう話をしていただきました。今シーズン、浦和の選手としてセレッソとは2回対戦して、ベンチから見ていても、ボールを持たれるシーンが長く、ボールを保持することが上手い魅力的なチームだと思っていました。ただ、得点も取れますが、失点も多いので、失点を減らしていくことにこだわっていきたいですし、そこで結果を残していきたいです」
Q:守備という意味では、この短期間でも、畠中選手や西尾選手、CB陣とコミュニケーションを取った部分はありますか?
「ラインの上げ下げのスピード感が全く違うので、その確認を畠中さんや(西尾)隆矢としました。『こういう時はこうして欲しい』というコミュニケーションを取ってくれるので、僕自身も気になることがあれば聞いています。いい感じで関係性は作れていると思います」
Q:チームが変われば守備のやり方も変わると思いますが、やはり浦和レッズとの違いも感じますか?
「そうですね。ラインを下げたら上げることは当たり前のことですが、そのスピードが(セレッソは)速いのと、(横に)スライドする4枚の距離感も違います。浦和はどちらかと言えば、CBは真ん中からあまり動かず、どっしり構えることが多かったです。セレッソでもそれは求められますが、僕自身、カバーリングは武器なので、サイドバックの負担を減らしてあげることもやっていきたいです。セレッソのサイドバックは攻撃的な選手が多いので、そこをうまくカバーしていきたいです」
Q:セレッソに加入しての初戦、ヨドコウ桜スタジアムで行われる天皇杯ラウンド16に向けての意気込みをお願いします。
「天皇杯は京都にいた時以来なので、久しぶりですが、楽しみです。ヨドコウ桜スタジアムでプレーできることも楽しみです。そうした気持ちはありますが、あまり力まずプレーして、自分の良さを出して、皆さんに1日でも早く認めていただけるよう、仕事をしたいです」
Q:ヨドコウ桜スタジアムの印象は?
「サポーターとの距離が近いですね。アップしていても、横にいるイメージです(笑)。その意味では、海外のスタジアムとも近いのかなと思います。チャンスになれば、湧き上がる歓声が起こるし、ピンチになれば、ヒリヒリとした感じになります。サポーターの感情が出やすいスタジアムなのかなと思いますし、そうした雰囲気は好きです」
Q:FC東京戦に向けて、どのようなイメージをされていますか?
「FC東京もボールを保持するのが上手いチームですし、CBに持ち運べる選手もいます。そうした選手に自由にやらせないことも大事ですし、ウィングの選手にフリーな状況でボールが渡るとチーム全体のラインが下がってしまうので、いい形で持たせないようにしたいです。(自分たちの)サイドバックの選手がチャレンジしやすいように、抜かれてもカバーできる距離にいることも大事だと思います」
Q:パパス監督のサッカーを体現する上で、CBにはビルドアップの要素も求められます。まだ合流して数日ですが、そのやり方には慣れてきましたか?
「そうですね。監督も何度も話して下さいますし、自分からも『こういう場合はどうしたらいいですか?』ということも聞いています。CBが難しいことをしなくても、ボランチや前には上手い選手も多いので、簡単に預けてあげることも必要かなと思っています」