Match Preview
- 5/3 京都戦
- メディア
苦境に立たされている今、総力で現状を打破する勝利をもぎ取り、チームに新たな活力を吹き込みたい
1-2で敗れた前節のFC町田ゼルビア戦から中3日。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込み、京都サンガF.C.との明治安田J1リーグ第14節に挑む。現在は今季2度目の連敗中で、3試合勝利なし。負傷者も増えている苦しい状況だが、4試合ぶりの勝利を手にし、チームに新たな活力を吹き込みたい。
前節の町田戦は、セレッソにとって厳しい試合になった。パスはつなぐも町田の守備を崩せず、放ったシュートはわずかに3本。守備でも2失点以上にピンチの数は多く、攻守両面で完敗と言える内容となった。第7節・浦和レッズ戦以降はどのような結果で終わっても、今季のチームが目指す攻撃的な色は発揮できていたが、前節に関しては、停滞感が残る試合になったことは否めない。そうした中で、4月30日にはキャプテン田中駿汰とヴィトール ブエノの負傷も発表された。特に前節を迎えるまで、リーグ戦全試合で先発を果たしていた田中の離脱がチームに与える影響は大きい。正直、その不在は痛いと言わざるを得ないが、「いる選手の特長を生かして、自分たちが目指すサッカーをしっかり発揮していきたい」とアーサー パパス監督も話すように、いち早く中盤で新たな形を構築し、最適なバランスを見つけることで、解決していきたい。代えが利き辛い選手ではあるが、チーム全体の底上げ、新たなセレッソを積み上げていく機会と捉え、しばしのキャプテン不在を乗り越えていきたい。
対戦相手の京都はここまで7勝3分4敗の勝点24で3位。5年目を迎える曺貴裁監督のスタイルも浸透し、飛躍のシーズンを過ごしている。その最大の特長は、攻守における前への強い矢印だ。前節開始前における「パス前方比率」はリーグ1位。奪ったボールは素早く前に当て、後ろから湧き出ていく攻撃は迫力がある。その仕上げ役となるラファエル エリアスは現在8得点4アシスト。京都が誇るストライカーをどう抑えるかは、今節における大きなポイントになる。また、同じく前節開始前における「クロス成功率」は2位、「相手陣空中戦数」は3位という数字が示すように、190cmを超える長身ストライカー、原大智を目掛けたクロスやロングボールも効果的に使ってくる。セレッソとしては、足元の技術も備える彼を自由にプレーさせないことも、エリアスを抑えることと同じぐらい重要だ。前節・町田戦の後、アーサー パパス監督は「フィジカル的にも難しい展開になった」と敗因を述べたが、今節も球際やデュエルの勝負で負けないことは、勝利を掴むための前提となる。その上で、「相手のやり方に合わせるのではなく、自分たちが求めているスタイルを発揮していきたい」と指揮官も述べるように、ここまで積み上げてきたサッカーをぶつけることが肝になる。京都の前からのプレスに対し、足元へのパスだけではなく、前線の選手たちを背後に走らせるボールも含め、長短のパスを織り交ぜることで回避し、素早くゴールに迫っていきたい。
前節、ガンバ大阪に敗れて首位から陥落した京都としては、再びネジを巻き直して襲いかかってくることは間違いない。セレッソとしては、相手の圧力、スタジアム全体の空気に飲まれないこともポイントになる。離脱者も増え、コンディションが万全ではない選手も多数いる中での過密日程。シーズン全体で見ても正念場であることは間違いないが、「選手一人一人がいい準備をしていますし、これまでチャンスがなかった選手がメンバーに入って試合に出る可能性もあります。そういった選手たちが鼻息荒くやってくれると思うので、前向きに京都戦に向かっていきたい」と話したのはGK福井光輝。自身も控えの立場から現在のポジションを掴んだだけに、その言葉には説得力がある。ピンチはチャンス─。出場機会に飢えた選手たちの現状を打破する思いや情熱がピッチに落とし込まれることで、チームとしてのパワーはより増していく。ここで得る勝点3はただの1勝ではない。チーム全体にとって、大きな価値がある勝利になる。ゴールデンウィークの中での関西対決。両チームのサポーターも多く集うであろう一戦で、桜の底力を示したい。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:先日、田中駿汰選手の負傷が発表されました。攻守両面で彼が果たしてきた役割は大きいと思いますが、不在をどう補っていく考えでしょうか?
「今シーズン、キャプテンとしての役割も果たしてくれていて、攻守にわたってチームを支えてくれていた選手なので、離脱は大きいですし、残念です。試合(第12節・東京ヴェルディ戦)の最後の最後にタックルを食らって負傷してしまったこともショックでした。他にもケガや体調不良の選手も何人かいる中で、前節はベンチも1人足りない状況でした。ただし、この難しい状況をチーム一丸で、サポーターの力も借りながら、抜け出したいと思います。12節まではいいフットボールもできていた中で、今は少し非常事態のような形になっていますが、この状況をどうくぐり抜けていくか、試されていると思います」
Q:前節のFC町田ゼルビア戦では、ボール保持の際は中島選手や香川選手がアンカーの役割も果たしていましたが、喜田選手も含め、田中選手と同じ役割を求めるというよりは、彼らの良さを出していくことが大事になる?
「駿汰のことを言いますと、日本代表に入ってもおかしくない能力を持った選手だと思っています。そのような選手が抜けた中で、この難しい状況をどう補っていくか。言われたように、いる選手の特長を生かして、自分たちが目指すサッカーをしっかり発揮していくことが大事です。一人の選手に頼るのではなく、全員が特長を出して、この難しい状況を抜け出していきたいと考えています」
Q:ここ数試合、北野選手に疲れも溜まっているように見えるが、彼の状態をどう見ていますか?
「チームのためにハードワークしてくれる選手ですし、どの試合でも持てる力を最大限に発揮できる選手です。試合の中でタックルされたり、ファウルされることも多く、打撲ですが、少し痛みも抱えています。そうした状況で頑張っている分、そのように映るのかも知れません」
Q:京都サンガF.C.は、前へ向かうダイレクト志向の強いチームです。お互いのスタイルのぶつかり合いにより、面白い試合になりそうだが、今節のポイントは?
「(京都は)前に前に、という勢いのあるチームですし、フィジカル的な能力が高い選手もいます。全体的なスカッドを見ても、いい選手が揃っていると思います。ただ、そういう相手のやり方に合わせるのではなく、自分たちが求めているスタイルを発揮していきたい思いしかありません」
福井 光輝選手
Q:現在は負傷者や体調不良者も多く、シーズンの中でも苦しい時期だと思いますが、今節に向かうチームの雰囲気について
「言われたように、もちろん苦しい状況で、メンタル的にも後ろを向きがちですが、それでも試合は来ますし、過密日程の中でも、選手一人一人がいい準備をしています。前節もそうでしたが、これまでチャンスがなかった選手がメンバーに入って試合に出る可能性もありますし、新たなセレッソの可能性を見せられると思います。僕も最初は出ていなかった立場でした。そういった選手たちが鼻息荒くやってくれると思うので、あとは結果につなげるだけです。前向きに、京都戦へ向かっています」
Q:先日、田中選手の負傷も発表されました。当然、離脱の影響は大きいと思いますが、他にもボールを持てる選手はいます。GKのポジションから、彼の不在はどう試合に作用しそうでしょうか?
「駿汰は今季、キャプテンマークも巻いていますし、プレーでも見せてくれていました。僕からすると、下からつなぐ中で、ボランチを見てプレーしています。彼は持てる選手なので、その彼が中盤にいないことは、チームとして影響はあるとは思いますが、セレッソにはいい選手がたくさんいます。今シーズンは全員でビルドアップしていくことを練習からやっていますし、それが自信になって、積み上がってきています。もちろん、駿汰の穴は大きいかも知れないですが、練習から一人一人が自分の役割を果たすべくやっているので、あとはそれを試合で発揮して、勝利につなげることができればと思います」
Q:ポジションを掴んで数試合が経ちますが、出始めた時期と現在で、気持ちに変化はありますか?
「もちろん、責任感は増しています。チームを代表して出させてもらっている立場で、振る舞い一つにしても、そうです。ただ試合に出ているわけではなく、ベンチに入らないGKもいますし、そういう選手の思いも常に汲んでプレーしようと思っています。チームに対する責任という意味では、ベンチにいた時とそこまでは大きく変わらないですが、試合に出るからには、より責任があります。日常にこだわって、後悔しない準備を日頃からしています」
Q:現在は立場が入れ替わった形になっているが、日常からキム ジンヒョン選手にアドバイスをもらうことや、福井選手からアドバイスを求めることはありますか?
「ありますね。やっぱり、足元の技術はジンさんの方が上なので、『相手がこう来た時は、どこを見ていますか?』など、技術、戦術のところでよく聞いています。それに対してジンさんもしっかり答えてくれます。そうしたビルドアップも含め、日々、勉強させてもらっています。練習に対する姿勢もそうです。16年間、セレッソの守護神として戦い抜いてきた方ですし、まだまだ僕は劣っていると思っているので、日々、様々な面で学ばせてもらっています。やっぱり練習に向かう姿勢や日頃の準備です。GKとして、一番後ろに立つ存在として、行動、言動には気を付けていますし、ジンさんから学ばせてもらっています。それが試合に出る責任にもつながっています」
Q:京都は攻撃、守備、両方で前向きな矢印を向けてくるチームですが、そうした相手にセレッソとしては、どういう戦いを見せたいですか?
「京都さんはチーム状況もいいと思いますし、やりがいのある相手です。ただ、セレッソも京都さんを上回る強度を出せると思いますし、とても楽しみな試合です。(京都には)外国人選手など個の能力が高い選手もいますが、そういった選手たちをしっかり封じて、自分たちがいい形でボールを前進させていけば、必ず勝機はあります。相手どうこうより、自分たちに何ができるかが、今のセレッソには一番大事だと思います」
試合情報
2025明治安田J1リーグ 第14節 vs.京都サンガF.C. 15:00キックオフ @サンガスタジアム by KYOCERA