-幼少期～高校-

サッカーを始めたのは2006年です。ドイツW杯のフランスの試合を見て、父に「サッカーしたい」と言いました。ジダン選手に憧れました。テクニックが美しく、パスも上手い。「彼のようになりたい」と思い、サッカーを始めました。まず小学校のサッカー部に入りました。タイで人気のあるセパタクローやフットサル、卓球など色んなスポーツもしましたが、サッカーが一番上手くできました。蹴り方は父にも教えてもらい、家でも練習していました。中学校では地元のカンチャナブリ県の強い学校にスカウトされました。家を出て、中学1年生から寮に入りました。毎日、泣いていました（笑）。ただ、家と寮は車で1時間半の距離だったので、月に1度は家に帰っていました。朝7時に起きてご飯を食べて、8時から授業が始まって、14時に学校が終わって、そこから練習という日々を繰り返していました。中学校の中では一番上手かったと思いますが、しっかり教えてくれるコーチはいなかったですし、上手いと言っても、そこまで高いレベルではなかったと思います。中学校の頃からずっと右ウィングをやっています。足が速いのも、この頃からでした。高校はカンチャナブリ県にある学校にスポーツ推薦で入りました。高校2年生の時にプロのチームにスカウトされました。高校の校長先生も、「あなた、プロになるチャンスがあるんだったら、高校は卒業していいよ」と。「こんなチャンス、二度とないかも知れないから」と言っていただきました。そのチームが、エアフォース・セントラルFCでした。実はテストを受ける選手は高校3年生だけだったのですが、校長先生が「この子も上手いよ」と僕をチームに推薦してくれました。結局、テストに合格したのは僕だけでした（笑）。プロへの道を作ってくれた校長先生には感謝の気持ちしかありません。

-プロ以降-

高校2年生の途中で学校を辞めて、チームに合流しました。ちょうどリーグ戦の後期から加わって、プロサッカー選手としてすぐ試合に出ることができました。このチームには、セレッソでもプレーしていた船山祐二選手がいました。エアフォース・セントラルFCでは最後のシーズン、タイリーグの1部に上げることができました。その後、18年にパタヤ・ユナイテッドFCに移籍します。このクラブでは、最初はあまり試合に出られませんでした。19年からチーム名がサムットプラーカーン・シティFCに変わりました。そして、コロナ禍による中断を挟み、20-21シーズンから、どんどん試合に出ることができました。監督が現在のタイ代表の監督である石井（正忠）監督に代わり、試合に使ってもらい、活躍できました。このシーズン、自分はアシスト王になって、ベストイレブンにも入りました。石井監督との出会いが自分にとって大きな転機でした。「あなた、Jリーグでプレーしたい？」と聞かれたことがあり、「行きたいです」と話したら、「あなたは実力があるから、このままハードワークを続ければ、いつか必ず行けますよ」と言っていただきました。この言葉を信じて、練習に励みました。20年にはU-23のタイ代表にも選ばれました。1月にタイで行われた、東京オリンピックの出場権を懸けたAFC U-23選手権2020にも出場しました。ベスト8で負けて五輪の出場権は獲得できなかったのですが、得点王になることができました。次のシーズン、21--22シーズンは監督が吉田（靖）監督に代わりました。自分はケガもあり、このシーズンはあまり試合に出ることができませんでした。ただ、21年6月に初めてタイのフル代表にも選ばれてデビューできました。この時の監督は西野（朗）監督でした。この後、BGパトゥム・ユナイテッドFCでは手倉森（誠）監督とも一緒にやるのですが、自分は日本人監督と縁があります（笑）。彼らのおかげで自分は今、セレッソにいます。ちなみに、タイ代表に選ばれた時は両親とも泣いて喜んでくれました。セレッソに行くことが決まった時も両親は喜んでくれました。

22-23シーズンからBGパトゥム・ユナイテッドFCに移籍します。手倉森監督のもとでプレーしました。ACLにも2試合、出場しました。ただ、この年はケガの影響も残っていて、コンディションもあまり良くなく、リーグ戦にはあまり出場できませんでした。22年の12月にムアントン・ユナイテッドFCに移籍します。23年の6月には、浦和レッズの練習にも参加しました。皆さん、めちゃくちゃ上手かったですが、中でも興梠慎三選手が一番上手かったです。結局、浦和とは契約できず、タイに戻ることになったのですが、ムアントンに戻った23-24シーズンはさらに活躍して点もいっぱい取ることができたので、浦和には感謝を申し上げたいです。昨年6月、再びBGパトゥム・ユナイテッドFCに戻りました。ちょうど手倉森監督も同じタイミングでパトゥムに戻ってきました（笑）。2度目のパトゥムでは活躍できました。今年からセレッソ大阪に入ることができました。とても嬉しいですし、Jリーグでプレーする夢が叶いました。セレッソ大阪、そして、パパス監督に感謝を申し上げたいです。パパス監督とは、違うチームでしたが、タイリーグで対戦した経験があります。そのときの私のプレーを見て、評価して下さいました。その結果、日本にも呼んでいただけたと思っています。セレッソの選手、スタッフにも歓迎していただき、感謝しています。皆さん、とてもフレンドリーに接して下さるので、すぐ打ち解けることができました。チャナティップ選手が、Jリーグで一緒にプレーした経験のある登里享平選手、進藤亮佑選手、田中駿汰選手に、「僕の弟のような選手が行くからよろしく頼む」と言って下さったおかげです。サッカー選手として、今の目標は3つあります。1つは、セレッソで試合に出ることです。Jリーグのレベルは高いですが、しっかり練習からアピールして、できるかぎりチームに貢献したいと思っています。2つ目は、チャナティップ選手のように、タイでプレーしている選手のロールモデルになることです。私もチャナティップ選手を見て、日本でプレーすることを夢見ました。なので、後輩たちにも、いいモデルになりたいです。3つ目はサッカー人生としての大きな目標なのですが、タイ代表を2030年のW杯に導くことです。叶えることができるか分かりませんが、そのためにも日々の練習でハードワークして頑張ります。普段の僕はフレンドリーな性格なので、気軽に愛称である「テイ」と呼び掛けて下さい！