Match Preview
- 8/31 広島戦
- メディア
今節こそ。強い思いで臨むサンフレッチェ広島戦。持てる力を出し切り、8月最後のホームゲームで勝利を飾りたい
前々節・FC町田ゼルビア戦からの立て直しに成功し、激闘の末、1-1の引き分けに終わった前節・ヴィッセル神戸戦から中7日。セレッソ大阪は、再びホームにサンフレッチェ広島を迎え、明治安田J1リーグ第28節に挑む。
神戸戦は開始早々、自陣で奪われ、相手に決定機を与える入りとなったが、GK福井光輝が好セーブで失点は防ぐと、9分、12分と立て続けに決定機を作り、盛り返す。前半の中盤は神戸のセットプレーも続いたが、ここもしのぐと、35分、先制に成功。この場面では、福井からスタートし、実に10人を経由して20本のパスをつなぎ、最後は本間至恩の折り返しを香川真司が仕留めた。「僕の監督としてのキャリアを通しても、トップレベルのゴール」とアーサー パパス監督も振り返る見事なゴールだった。神戸と真っ向勝負を展開し、前半を1点リードで折り返すと、後半は開始早々、セレッソに決定機。細かいパスで右サイドを崩し、最後はルーカス フェルナンデスのクロスに田中駿汰が頭で合わせたが、わずかにクロスバーを越えた。すると直後の48分、相手GKの1本のロングキックから失点。後半開始から投入されたエリキと大迫勇也の個の力に屈する形となった。それでも下を向かずに戦い続けたセレッソは、59分、66分と左サイドから決定機。いずれもフィニッシュは中島元彦。特に大畑歩夢のクロスに合わせて放ったヘディングは決まったかに思われたが、神戸の守護神、前川黛也のビッグセーブに阻まれた。惜しくも勝ち越しゴールとはならなかったが、後半は失点場面以外、神戸に決定機を作られることはなく守備陣は対応。「町田との試合で出せなかった部分、表現できなかった部分は今節、見せられたと思うので、そこは評価したい」とパパス監督も称える試合を演じた。今節に関しては、そこからもう一歩先、決め切る、守り切るといった、勝ち切るための攻守を披露したい。町田や神戸と同様、広島も完成度が高いチームだが、セレッソとしても臆することなく挑み、今シーズン積み上げてきたアタッキングフットボールを展開するとともに、勇敢な姿勢で立ち向かっていきたい。
最初のポイントは、前からマンツーマンで奪いにくる相手に対し、どうボールを動かすか、という点。前節の前半のように、下からつなぐ遅攻に加え、相手をズラしてスペースが空けば、一気にサイドを突破して敵陣に入っていく速攻。長短のパスの使い分けが重要であり、相手の前向きな矢印をいかに折るか。ピッチに立つ選手たちの判断力や勇気が求められる。そのあたりは前節の試合後に福井も言及。「前半、下からつないでいたから、後半は空いてきた部分もあると思います。もちろん、下から全部つないで崩せたらいいですが、そうはうまくいかないので、下のパスを2、3本見せて、ロングキックを狙う。逆にロングキックを見せれば、下のパスも空いてくる。その使い分けはしていきたい」と最後尾からゲームを作る気概を示した。神戸戦の立ち上がりのように、下からつなぐビルドアップはリスクもあるが、ジャブのように打ち続ければ、後半にもつながっていく。もちろん、前半から長いボールで一気に相手をはがす選択肢も含め、常に“ゴール”という目的を頭に入れた攻撃を心掛けたい。リーグ最少の19失点という数字が示すように、GK大迫敬介を含めた広島の中央は固い。サイドをうまく使い、相手の3枚のセンターバックを広げた中で、崩していきたい。広島の前への矢印は、守備だけではなく、攻撃でも同様。ウィングバックも高い位置を取って攻め上がってくるため、後ろ4枚のスライドは重要であり、相手に簡単に蹴らせないよう、前からの制限もうまくかけていく必要がある。また、広島のホームで戦った前回対戦時は、最後は相手のロングスローから決勝点を奪われた。セットプレーも含めた高さ、ゴール前ではね返す力も勝利するためには欠かせない。
今節へ向けた前日会見に登壇した香川は、「ここ数年、広島にはクラブとして悔しい思いをたくさんしている。個人的な感情というより、クラブとして、ファン・サポーターに勝利を届けたい。鹿島と同様、これだけ同じクラブに負け続けてはいけない。殻を破らないといけない。それをホームで絶対に成し遂げたい」と話した。そこには今節に懸ける強い覚悟が感じられた。ミヒャエル スキッベ監督が就任した2022シーズン以降、広島には公式戦2分7敗と未勝利が続く中、今節こそ勝点3を奪い取る。そうした強い決意でチームは今節に臨む。8月最後の一戦であり、8月最後のホームゲーム。スタジアムに訪れるサポーターの心に残る一戦になるよう、勝利に向かってチーム全員で戦い抜く。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:今節の広島戦は、前々節・町田戦の反省、前節・神戸戦の良かったところ、その両方を生かして勝利したい一戦になるが?
「先週の神戸戦はポジティブなところが多かったです。広島は見ての通り、優勝しようという意志が伝わってくるチームです。日本のサッカーの中でも、アカデミーも含めて強いクラブ。プレーの部分では、我々は違うスタイルも持っていますが、広島はパワフルですし、セットプレーでの強さも際立ちます。僕らのサッカーがどこまで通用するのか、どこまでやれるのか、試すいい機会です。相手の特長であるロングボールやクロスからの攻撃をうまく消すことができれば、我々の特長を出せると確信しています」
Q:セレッソと広島はスタイルが異なる部分もありながら、試合になると互いの良さが出て面白い試合になることが多い一方、勝敗という部分では、近年、勝ちがありません。広島に勝つために必要になることは?
「試合を通して、自分たちが持っているモノを出し切れるか。そこがカギになります。また、大きな話をすれば、クラブとしてどう成長していくのか、どういうスカッドを作っていくのか、どういった形で自分たちのフットボールを深めていくのか。そこも大事になっていきます。今シーズン、サポーターの皆さんも、僕らが何をやろうとしているのか、分かってくれていると思います。彼らのサポートはアメージングです。継続して自分たちを成長させていくことが、広島を倒すためにも必要です。いずれにしても、僕らが進んでいる道は間違っていないと思っています」
Q:互いにアグレッシブなチームで楽しみな一戦です。前回対戦時の前は、広島のミヒャエル スキッベ監督も「パパス監督と対戦するのが楽しみ」と話していました。改めて、スキッベ監督のサッカーにどのような印象をもっていますか?
「落とし込むのが上手い監督だと思います。強く感じることは、勝つために、優勝するためには何でもする、ということ。前からプレッシャーもかけてきますし、カウンターも速い。セットプレーも強いです。フットボールは一つの形だけではありませんが、やはり一つの形を追求していくことも大事です。僕も彼との対戦を楽しみに、試合を待っているところです」
Q:20本のパスをつないで決めた前節のゴールは見事でした。あのようなゴールは観客の皆さんの心にも残ると思うが?
「僕の監督としてのキャリアを通しても、トップレベルのゴールでした。あのような形でゴールを決めることは勇気も必要ですが、選手が勇気を持ってプレーした結果、あのようなゴールにつながったと思うので、すごく良いゴールだったと思います」
Q:監督が大事にしていることは「勇気」ということは開幕前も仰っていましたが、そうした勇気を持ってチャレンジするプレーを落とし込めている手応えもありますか?
「もちろん、選手たちは勇気を持ってやっていますし、トレーニングでしっかりやっていることを試合でも出せています。前節のゴールにしても、日々、練習している形でもあります。チームのアイデンティティーを作っていくために、ブレることはありません。それをどう練習で落とし込むか、重視して取り組んでいます」
香川 真司選手
Q:前節の試合後、「いいサッカーをした、ではなくて、勝たなくてはいけなかった」という言葉が印象に残ったが、今節に向けて勝つために良い準備はできましたか?
「そうですね。攻守において、“対広島”という部分で、しっかりとトレーニングできました。(広島は)特殊なチームというか、守備も固いですし、直近の天皇杯でもアウェイで4点を取っている隙のないチームですが、(前節の)神戸戦で出た課題を克服して、必ず勝ちたい。鹿島と同様、広島にもここ数試合、勝てていないので、何より結果で示したいですし、ホームでサポーターの力もパワーにして、勝ちたいと思います」
Q:まさに広島という相手を倒せばチームとしても一つ前に進めると思うが、ホームでどのような試合を見せたいですか?
「たくさんのサポーターが後押ししてくれると思うので、彼らに勝利をプレゼントしたい。ここ数年、広島にはクラブとして悔しい思いをたくさんしている。個人的な感情というより、クラブとして、ファン・サポーターに勝利を届けたい。先ほども言いましたが、鹿島と同様、これだけ同じクラブに負け続けてはいけない。殻を破らないといけない。それをホームで絶対に成し遂げたい。それには勝利しかない。そのために今週、戦術的な練習も含めてトレーニングをハードにやってきたので。試合の中で必ず隙はあると思うので、そこを突いていきたいです」
Q:「特殊なチーム」という言葉もありましたが、広島の強みとは?
「3バックで長くやっているチームで、戦い方は10年、15年のスパンで同じやり方を貫いている。もちろん、その中での変化は当然ありますが、長くやってきたベースを持っているチーム。そこに対する強さは感じています。セットプレーも含めた個の強さもあります。攻撃においては、コンビネーションも含めてより完成されたチーム。アウェイでも前半で3点を取る力を持っています。そういう入りになると、ノーチャンスだと思うので、僕たちがいいスタートを切りたい。セカンドボールで負けないことだったり、ディフェンスラインがどれだけアグレッシブに、前に圧力をかけていけるか。それをいかにゴールにつなげていけるか。それもキーになると思います」
Q:前節のゴールは素晴らしかったが、練習からイメージしている形でしょうか?
「そうですね。今シーズン、取り組んできた形でもあります。プレッシャーの強い上位陣や、僕たちが悔しい思いをしてきた相手に対しても、どれだけ勇気を持ってやれるか。自分たちのサッカーを信じてやれるか。今シーズン、鹿島戦におけるホームでの不名誉な記録を止めた試合と同様、広島を相手にもピッチで表現しないといけない。そういうメンタリティーも非常に重要になると思います」
Q:ボールのつなぎ方も含め、シーズン後半に入り、チームの成熟度という部分では、どのように感じていますか?
「成熟しているか、という部分に関しては、まだシーズンの途中ですし、自分が判断することではないので、何とも言えないですが、強い相手、順位が上のチームと対戦した時にどれだけ戦えるか。そういう相手に勝って初めて、チームが成熟、成長していると言えるでしょうし、もっと言えば、そういう相手に勝ち続けないといけない。チームがどこを目指しているのか。規模感を含めて問われる試合だと思っています。今まで積み上げてきたことをどれだけ信じてやれるか。それが問われる試合になりますし、必ずホームで体現したいです」