Match Preview
- 7/16 徳島戦
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徳島ヴォルティスとの天皇杯3回戦。クラブとしてのアイデンティティを示してゴールを奪い、ラウンド16進出を目指す
直近の明治安田J1リーグ第23節・ガンバ大阪戦から中10日。セレッソ大阪は、徳島ヴォルティスのホーム、鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアムに乗り込み、天皇杯3回戦に臨む。1発勝負のカップ戦、「まずは勝つことを第一目標に」(本間至恩)必勝態勢で挑む。
オフ明け初日の9日、練習開始前に選手たちをグラウンドに集めたアーサー パパス監督は、「ガンバ戦も全てが悪いわけではなかった。ここから徳島戦、湘南戦とまた大事な試合が続くので、しっかり頭の中を切り替えよう」と呼びかけた。その後は自ら声を張り上げ陣頭指揮を執り、熱のこもったトレーニングを行った。5月以降、リーグ戦では6勝2分2敗と結果を残しているセレッソだが、ガンバ戦も含め、勝てなかった試合は決定力に課題を残した。どの試合でもチャンスは作れているだけに、天皇杯3回戦に向けても、「最後(フィニッシュ)のところを詰めるトレーニングが必要だと思ったので、そこを重点的にやってきました」と指揮官は語る。選手個々としても、仕留める部分は、よりこだわっていきたい。明治安田J1リーグ第21節・東京ヴェルディ戦で復帰を果たした本間至恩もさらなる活躍が期待される一人。現状については「コンディションは良くなっていますし、ボールを受けて、自分の特長も出せるようになってきました」と語り、天皇杯3回戦に向けても「ゴールやアシストといった結果でチームに貢献できれば一番いい」と意気込む。天皇杯3回戦の後、中2日でアウェイでの明治安田J1リーグ第24節・湘南ベルマーレ戦を控えている。夏場の連戦を踏まえると、同じメンバーで戦うことは難しい。前回の天皇杯2回戦・アルテリーヴォ和歌山戦で奮闘した選手たちの貢献も求められ、本間を筆頭にチームの総力を示す戦いにもなる。また、試合間隔が空いたガンバ戦では、試合の入りに課題を残した。先制点がカギになる今回の一戦も入りは重要だ。先手を取って、試合を優位に進めていきたい。
対する徳島は、ここまでJ2リーグ23試合を終えて勝点38の6位。2位との勝点差はわずかに3と、J1自動昇格を狙える位置に付けている。直近2試合は藤枝MYFCに0-2で敗れ、レノファ山口FCに0-0と下位を相手に足踏みが続いているが、内容ではいずれも上回っており、特にホームで行われた第22節の藤枝戦は、何度も決定機を作るなど相手を圧倒。あとは決めるだけ、というシーンも再三、作っていた。システムは3-4-2-1。直近のリーグ戦から中3日ということで、スタメンを入れ替えてくる可能性もあるが、リーグ戦仕様のメンバーで向かってくると仮定すれば、得点源は2トップのルーカス バルセロスと渡大生。互いに背後への抜け出しが上手く、2人だけのコンビプレーでもゴールに迫ってくる。彼らの動き出しを見逃さずに配球してくる10番の杉本太郎とボランチの児玉駿斗にも警戒が必要だ。いずれもライン間での受け方が上手く、正確なパスを通してくるだけに早めに潰したい。両ウィングバックのエウシーニョと高木友也も特長的な選手たち。前者はかつて川崎フロンターレでも活躍した名プレーヤー。溜めを作った中でタイミングよく上がってくる攻撃参加は熟練の域に達している。後者は左足でのキックが武器。そうした個性的な選手を随所に配置しつつ、守備でもここまで13失点はJ2リーグで最も少ない。デュエルの勝率もトップ3に入るなど球際の強さも備えており、セレッソとしても一筋縄ではいかない相手となる。個の力がある攻撃陣をしっかり抑えた上で、堅守を打ち破ることがこの試合のミッション。今シーズンのJ2の中でも洗練されたチームの一つである徳島だが、J1のプライドに懸けても負けは許されない。
パパス監督が率いて1年目の今シーズン。3つのタイトルの内、JリーグYBCルヴァンカップはすでに敗退しているだけに、天皇杯は一戦一戦をしっかり戦い抜き、頂点を目指して勝ち進んでいきたい。暑さ厳しい夏の戦いだが、相手に負けずに走り切り、「チャンスをたくさん作って、ゴールを決める」(本間)“パパス・セレッソ”のアイデンティティを示す。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:天皇杯3回戦に向けて、練習で取り組んできたことは?
「ガンバ戦の後にもお話しさせていただいた通り、最後(フィニッシュ)のところを詰めるトレーニングが必要だと思ったので、そこを重点的にやってきました。クラブとしてのアイデンティティも含めて、突き詰めていくトレーニングを行ってきました」
Q:対戦相手の徳島ヴォルティスは、J2リーグで最も失点が少なく、前線には強烈な個を持った選手もいます。チームの印象は?
「いいシーズンを送っているチームです。J1昇格に向けて、いい位置にも付けています。失点も少ないですし、攻撃も魅力あるチームで前に出てくるので、そこもしっかり抑えないといけません。難しい試合になるとは思っています」
Q:そういう意味では、J2クラブとの対戦というよりも、いつも通りの一戦というイメージでしょうか?
「おっしゃる通り、J2のチームであろうと、こういう戦いでは関係ありません。軽い気持ちで入るとやられてしまう。しっかりと引き締めて試合に臨みたいと思います」
本間 至恩選手
Q:復帰して3試合プレーされたが、負傷箇所も含め、現在のコンディションは?
「コンディションは徐々に良くなっていますし、手の部分も心配せずにプレーできています。完璧ではないですが、プレーに支障はないです」
Q:復帰後の自身のパフォーマンスを振り返ると?
「復帰戦となったFC東京戦は、長い出場時間をもらえましたが、あまり左サイドでボールを受けることができず、難しい時間が続き、インパクトを残せなかった。コンディションも含めて、まだ上がっていないと感じました。ただ、その後の2試合に関しては、ボールを受けて、自分の特長も出せるようになってきました。あとはゴールやアシスト。長い時間、出ることによって、その可能性やチャンスは広がると思うので、そこをモノにしていければと思います」
Q:まさに、ここからの戦いで本間選手のさらなる活躍、ゴールやアシストも期待されるが、明日の天皇杯3回戦は、チームとして、個人として、どのような試合を見せたい?
「チームとしては、内容どうこうより、まず勝つことが最初の目標です。勝たなければ次もありません。自分たちのアピールの場所も少なくなってしまいます。そういった意味では、まずは勝つことを第一目標にやっていきます。内容のところでは、できるだけボールを保持して、自分たちのペースで試合を運べれば、勝てると思います。ただ、どういう展開になろうと、まず勝つことを意識してやっていきたいです。自分としては、ゴールやアシストといった結果でチームに貢献できれば一番いいですが、それができなくても、チームのために走るという根本的な部分をしっかりやっていければと思います」
Q:夏場になって、本間選手のスピードも生かせる場面も多くなりそうだが?
「そうですね。今は暑いので、走行距離もチームとして(減っています)。今までは、走ってプレッシャーもかけて、高い位置で奪ってゴールまで直結する形は多かったですし、しっかり自陣まで戻って、守備もチームのためにやって、走行距離もいい結果が出ていました。夏場でもそれを継続していけるように、練習からみんな一生懸命やっているので、それを試合でしっかり出せるようにやっていければと思います」
Q:以前、パパス監督は「試合に出る機会が少ない選手への声掛けも意識している」と話されていたが、監督からのアプローチで印象に残っている声掛けはありますか?
「監督は常に話しかけてくれます。ケガしている時も、復帰してからも、『調子はどう?』とコミュニケーションを取ってくれます。1回で多くを喋ったりはしないですが、1日1日、毎回、声を掛けてくれるので、選手としては有難いです。チームをまとめる力がすごくある監督だと思います。どの選手に対しても、100%で練習をやらないとその選手に言いますし、選手たちもサボらずやれます。いい環境だなと感じますし、いい雰囲気で練習できているので、あとは試合で結果を出すことが大事です」
Q:徳島は攻守にバランスの取れたチームだと思うが、相手の印象と、試合のポイントは?
「J2リーグの中でも失点が少ないですし、守備が安定していて、堅いイメージはあります。3バックでビルドアップも上手いですし、取りどころをしっかり定めないと外されてしまう。プレッシャーのかけ方も意識して、チームとして連動した守備ができればと思います。ただ、相手の失点数は少ないと思いますが。自分たちも得点数は多いので、チャンスをたくさん作って、ゴールをたくさん決めたいと思います」