Match Preview
- 6/1 清水戦
- メディア
リーグ前半戦、最後の一戦。良い形で締めくくるべく、さらには今節が“ラストマッチ”となる北野颯太を笑顔で送り出すために、勝利だけを目指す
前倒しでの開催となった浦和レッズとの明治安田J1リーグ第22節から中3日。セレッソ大阪はホームに戻り、清水エスパルスとの明治安田J1リーグ第19節に挑む。一試合先に消化したが、今節がリーグ前半戦としては最後の試合。ここまで7勝5分7敗と五分の成績だけに、勝ち越して後半戦を迎えたい。
5月の公式戦は5勝1分1敗と好成績を残したセレッソ。直近の浦和戦は0-0の引き分けに終わったが、試合終盤はセレッソが浦和を圧倒。限りなく勝利に近づいた試合を演じた。5月の公式戦7試合で奪った得点は『13』、失点は『6』。開幕から見せている攻撃力はそのままに、シーズン序盤は課題にしていた守備でも安定感は出てきた。ここまでの戦いを振り返り、「チームとして前向きに進んでいることは間違いない」と振り返ったアーサー パパス監督だが、リーグ戦、YBCルヴァンカップ、天皇杯と3つの大会を並行して戦う6月も、歩みを止めずに成長し、結果を残していきたい。その初戦となる今節、対戦相手の清水は3年ぶりにJ1を戦う今季、昨シーズンJ2優勝を果たした力をそのまま発揮。得点数はリーグ5番目に多い数字を残しており、攻守にアグレッシブに、縦に速いサッカーは相手に脅威を与えている。中でも警戒したい選手は、ここまで8得点を挙げているエースの北川航也と、トップ下に君臨する乾貴士。後者に関しては説明不要だが、直近のヴィッセル神戸戦では華麗な股抜きから北川のゴールをアシストするなど、遊び心が詰まった発想力と、それを可能にする技術は健在。自由にプレーさせないよう、タイトなマークを心掛けたい。また、同じくかつてセレッソでプレーし、活躍したカピシャーバに中原輝といったドリブラーにも要注意。特にカピシャーバの突破力は、昨シーズンまで一緒にプレーしていたセレッソの選手は身をもって体感している。縦に行かせない守備を徹底したい。
試合の2日前、北野颯太に関してクラブは、「海外クラブへの移籍を前提とした準備のため、6月2日よりチームを離脱すること」を発表した。ひとまず今節が、彼にとってセレッソでのラストマッチとなる。セレッソのアカデミーで育ち、高校2年生の3月にプロ契約を締結して以降、2022年のJリーグYBCルヴァンカップではニューヒーロー賞を受賞するなど早くから頭角を現すと、プロ4年目の今シーズンは、開幕戦の大阪ダービーで2得点。一気にブレイクを果たした。近い将来の日本代表選出も含め、今後のさらなる活躍も期待される中で掴んだ海外のクラブでプレーする道。かねてから「夢」であり「目標」と公言していただけに、「これからの彼の挑戦に期待しつつ、しっかり送り出したい」(パパス監督)思いはチームの総意だ。節目となる今節へ向け、「自分の持っている全ての力を出して、勝利を届けたい」(北野)と本人は意気込む。ハーフタイムには、1年前に同じくプレーの場を海外に移し、1シーズンを戦い抜いた毎熊晟矢の挨拶も予定されており、クラブOBの柿谷曜一朗さんも来場予定。様々な人たちに見守られ、期待の視線が注がれる中、これまで通り、しっかりとハードワークした中で得点にも絡むプレーを見せて、セレッソを旅立ちたい。
押し込みながらも勝ち切れず、引き分けで終えた浦和戦の試合後、「今日はチームも個人的にもいい戦いができましたが、このあとが僕たちの課題です。次、勝てるか、また試されています。監督もそこは強調していました。そういう(勝ちに向かう)メンタリティーを監督は植え付けてくれているので、貪欲に次の試合を勝ちにいきたいと思います」と話したのは香川真司。9連戦の5試合目という過密日程ではあるが、「どんな状況であれ、言い訳はできません。ホームですし、サポーターの皆さんにいいプレーを届けたいと思っています」と試合前日、指揮官もキッパリ語った。リーグ前半戦を良い形で締めくくり、希望に燃える桜育ちの若者を笑顔で送り出すために、チーム一丸、ヨドコウ桜スタジアムに集うサポーターとともに勝利だけを目指す。
試合前日コメント
アーサー パパス監督
Q:リーグ戦としては今節が前半戦、最後の試合になります。ここまでのシーズン、どのような手応えをお持ちですか?
「チームとして前向きに進んでいることは間違いないと思います。難しい時期もありましたが、良い時期もあり、チームとしての絆をしっかりと持ちながら、前進できていると分析しています」
Q:連戦で時間は短い中、今節に向けて取り組んだことは?
「しっかりとリカバリーをして、今日は全員でトレーニングできました。どんな状況であれ、言い訳はできません。ホームですし、サポーターの皆さんにいいプレーを届けたいと思っています」
Q:清水はJ1昇格1年目ですが、北川選手、乾選手を始め、前線に強力な選手を揃えており、得点力も高いチームですが、どのような試合を見せたいですか?
「J1に上がってからも、いい活躍をされているチームだと思います。いい攻撃陣も揃っています。セットプレーからの得点も多いので、競り負けないことが大事です。また、リーグ戦の18試合でPKも6回、獲得しているチームですし、ボックス内で魅力あふれる選手がいるので、集中して守る必要があります。試合に向けては、福岡戦、浦和戦の良いところを抽出した映像も見せました。明日に関しても、いいイメージで臨みたいと思います」
Q:直近の浦和戦は、縦にも横にもコンパクトな陣形を保ち、ゴール前での守備も良かったと思うが?
「攻撃も守備も全員で協力してプレーできたと思います。自分たちのボックス内での守備も良かったですし、後半に入って残り30分のところでは、相手のボックス内での展開も多く作れました。点が取れなかったことだけが残念でした」
Q:浦和戦こそポストに当たって得点は奪えなかったですが、前年度のチームトップスコアラーが抜けた中でも得点力は落ちずに戦えています。シーズン前半戦、掲げている攻撃的なスタイルの浸透度はいかがですか?
「一人の選手に頼るのではなく、全員でゴールに向かっていく姿勢は示せていると思います。シーズンが始まってから、多くの選手が色んな形でゴールを奪えています。それがチームの強みになっていると思いますし、サポーターの皆さんも、そうした姿を期待していると思います。もっともっといい形を作って、しっかりと決め切ることを意識して、得点を増やしていきたいです」
Q:前半戦を振り返ると、開始早々のゴールも多かったが、スカウティングとチームが噛み合った成果でもある?
「トレーニングでやったことがしっかり出せています。練習から強度高く、インテンシティーの高いトレーニングができています。ゆっくり練習するのではなく、集中してできています。強い入りができて、強い終わり方ができていることに関して、フィジカル的にも良くなってきていると思います」
Q:明日の試合を最後に、北野選手が「海外クラブへの移籍を前提とした準備のため、チームを離脱すること」が発表されました。監督から贈る言葉は?
「シーズンの1試合目からチームに貢献してくれた選手ですし、アカデミー出身選手として、クラブにとっても大きな存在だったと思います。これからの彼の挑戦に期待しつつ、しっかり送り出したいと思います」
Q:今シーズン、彼が成長した点はどのように評価していますか?
「彼の成長は嬉しいです。凄く頑張っている選手です。ポテンシャルが高い選手であることは分かっていましたが、ハードワークしないといけないこと、走ること、ゴールへ向かうことは意識させる必要があったので、それは言いましたが、それをしっかり実行したのは彼自身です。クラブにとっても、こうした選手が欧州に進出することは大きな財産だと思います」
Q:明日の試合で北野選手に期待することは?
「出るか出ないかはまだ決めていませんが、家族と過ごす時間も含め、限られた時間の中でできることをやってもらって、いい状態で送り出せたらと思います」
北野 颯太選手
Q:昨日、「海外クラブへの移籍を前提とした準備のため、6月2日よりチームを離脱すること」が発表されました。明日の試合がひとまずセレッソでのラストマッチになりますが、今の心境は?
「最後の試合ということで、もちろん、込み上げるモノもありますし、サポーターの皆さんの前で、いいプレーをしたいと思います」
Q:直近の浦和戦では、ボールタッチの感覚も良さそうでしたが、明日はホームでどのようなプレーを見せたいですか?
「自分の持っている全ての力を出したいと思いますし、皆さんを喜ばせる結果を残したいと思います」
Q:パパス監督の指導を受けて、成長したと思う部分は?
「ハードワークすることがまず一つと、もう一つは、ターンをする回数も増えたと思います。ターンして前を向くことは結構、求められるので、この半年、より勉強したなと思います」
Q:清水について、対戦が楽しみな選手はいますか?
「いいサッカーをするチームだなと思います。うまい選手もたくさんいるので対戦が楽しみですが、(中でも)(乾)貴士くんと、宇野禅斗選手です」
Q:セレッソでの思い出としては、アカデミー時代を含め、どのようなことが浮かびますか?
「色々ありますけど、ちょうど今、ユースの試合を見ていたので、自分の頃のことも思い出していました。アカデミーでは、ずっと走っていたなと思います(苦笑)」
Q:テクニックもある北野選手ですが、やはり走ることが原点でしょうか?
「そうですね。セレッソユースと言えば、走れるイメージなので。最近はまた違うスタイルに挑戦しているのかも知れないですが、僕らの時代はひたすら走っていました。それが今にも生きていると感じているので、走って良かったなと思います」
Q:トップチームに上がって以降は、どの得点が一番印象に残っていますか?
「神戸戦でのJ1初ゴールですね」
Q:これまでも数々の先輩がセレッソから世界に飛び立っていきましたが、今後の目標は?
「次のチームでしっかりプレーして、そこからステップアップして、もっともっと大きなクラブでプレーする目標もあります。大きなクラブで活躍すること、その先に日本代表でプレーする目標もあります。そういう選手を目指してやっていきたいと思います」
Q:最後に改めて、今まで応援してくれたファン、サポーターはどのような存在でしたか?
「セレッソサポーターは温かくて優しいですし、どんな時でも常に後押ししてくれる存在でした。明日はそういう人たちのために戦いたいですし、今まで携わって下さった全ての皆さんの思いも背負ってプレーして、勝利を届けたいです」