2025明治安田J1リーグ第36節

2025明治安田J1リーグ

2025.11.9

清水エスパルス

乾 貴士 (84')

1

AWAY

FULL TIME

4

0-3

1-1

セレッソ大阪

ラファエル ハットン (3')

ヴィトール ブエノ (11')

ラファエル ハットン (42')

古山 兼悟 (90+3')

IAIスタジアム日本平

15,910

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

前節に続く電光石火の2得点を含む大量4得点で快勝。古山兼悟にも今シーズン2点目が飛び出し、今季2度目の3連勝を達成

 
前節の川崎フロンターレ戦から2週間。セレッソ大阪は清水エスパルスのホームに乗り込み、3連勝を目指して明治安田J1リーグ第36節に臨んだ。先発は前節から2人変更。田中駿汰がベンチスタート、大畑歩夢がメンバー外となり、ヴィトール ブエノと髙橋仁胡がともにリーグ戦5試合ぶりの先発を果たした。
 
前節の川崎戦は開始7分で2点を奪う今シーズン最高の入りを見せたが、今節もその勢いを継続。3分、奥田勇斗、喜田陽、柴山昌也で右サイドを崩すと、奥田のクロスをブエノが落とし、中島元彦がミドルシュート。GKがはじいたボールをラファエル ハットンが詰めて、セレッソが先制に成功した。11分にも追加点。喜田が高い位置でボールを奪い、柴山が1人かわして右足でシュート。クロスバーに当たってはね返ったところを今度はブエノが詰めて、清水を突き放した。「入りの15分、清水さんの失点が多いという情報は入っていた。僕たちもこの2試合、立ち上がりに点を取っていたので、今日も開始から点を取りにいこうという意識で臨んだ」と試合後に話したのは喜田だが、まさに相手の状態が整う前に畳み掛けた圧巻の2得点だった。ここからはしばらく清水の反撃を受ける展開となったが、18分、24分と連続してGK福井光輝が好セーブ。掴んだ流れを手放すことなく試合を進めると、42分に3点目。福井のキックをハットンが収めたところから、ブエノ、チアゴとつないで左サイドを崩し、最後はチアゴのクロスを中央で受けたハットンがワントラップからゴールに流し込んだ。「練習でもやっている形。3人の連係がうまくいった」とハットン。ブラジル人トリオによる鮮やかなコンビネーションで奪ったゴールだった。さらに前半アディショナルタイムにも決定機。喜田のパスを受けて背後を取ったチアゴのクロスから、再びハットンがゴールを狙ったが、ここはトラップが流れて4点目とはならず。それでも前半だけで3得点。アーサー パパス監督が積み上げてきたアタッキングフットボールが敵地で炸裂した。
 
清水は後半開始から乾貴士を投入し、攻撃にアクセントを付けてきた相手の反撃を受ける展開に。46分、52分と、昨シーズンまでセレッソでプレーしたカピシャーバにゴールを脅かされたが、前者は髙橋がブロックし、後者は進藤亮佑がクリア。守備陣が体を張って守る。67分にもCKの流れから清水に決定機を作られたが、ここは福井が好セーブ。後半は守勢に回ったセレッソだが、69分、75分とカウンターから決定機。いずれも相手を崩したが、柴山のフィニッシュが決まらず。77分、セレッソはハットンとチアゴに代えて、古山兼悟とディオン クールズを投入すると、84分、古山にチャンスが訪れたが、放ったシュートは相手DFに防がれると、そこからカウンターを受けて失点。乾に鮮やかなゴールを決められた。「(気持ちが)落ちそうになった」という古山だが、ようやく掴んだ出場のチャンスでこのまま終わるわけにはいかない。自身を奮い立たせてピッチを走ると後半アディショナルタイムに好機は訪れた。香川真司のパスを受けてサイドを突破したクールズのクロスに見事、左足のインサイドで合わせてゴール。まさに「仕留める」といった単語がピタリと当てはまる、「これぞストライカー」と言うべき一撃を叩き込んだ。ムードメーカーでもある大卒ルーキーの今シーズン2点目に、真っ先に駆け寄った進藤を始め、選手、スタッフも大盛り上がり。試合後、古山は、「練習から、ああいうクロスに合わせることは誰よりもこだわってやってきた自信はあります。いつも中村拓海くんやコーチのブルーノ(クアドロス)さんとクロス(から決める)練習をしていたので、試合で決めることができて良かった」と安堵の表情を浮かべ、「苦しい時期を支えてくれた人たちのためにも、決めることができて良かったです」と周囲への感謝も口にした。このゴールで試合を決定付けたセレッソが、ホームでの対戦時に続き清水から4得点。シーズンダブルを果たした。
 
「3試合続けて良い入りができた。相手としては難しかったと思う」と満足気に試合を振り返ったパパス監督。前々節・ファジアーノ岡山戦、前節の川崎戦に続き、今節も良い入りから先制に成功。試合の主導権を掴み、今季2度目の3連勝を達成した。今シーズン残り2試合もここまで積み上げてきた力をしっかりと発揮し、最後まで駆け抜けていきたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「3試合続けて良い入りができました。相手としては難しかったと思います。開始11分で2点を取ったことで、こちらが主導権を握り、相手はリスクを冒さないといけない状況になりました。もちろん、私たちもしっかり守備をする必要はありましたが、アウェイでこれだけの強度を出せたことも選手たちを褒めたいと思います」

Q:直近2試合、中盤の構成力が高かったので、今節、田中駿汰選手が先発から外れたのは何らかのアクシデントかなと思うが、彼が先発を外れた理由と、代わりに入ったヴィトール ブエノ選手を含めた今節の中盤のバランスについて
「今節に関しては、(田中)駿汰に限らず、(メンバーから)抜けてしまった選手は多かったです。ただし、誰が抜けたとしても、チームとしてのやり方が変わることがないようにトレーニングすることが大事だと思っています。今節は駿汰が先発から外れて、(大畑)歩夢もメンバーから抜けましたが、前節と変わることなく今日の試合ができたと思います。正直、シーズンが始まった頃は、このように誰が出ても大丈夫な形ではなかったですが、10ヶ月、一緒にトレーニングして、一人一人のやるべきこと、アイディアが全員の頭の中に刻み込まれていると思います。出た選手がそれを理解して、ピッチで表現してくれたことは良かったと思います」

Q:後半に関しては、ビハインドを負ったホームチームが攻めてくることは当然ですが、こちらとしては、なかなかボールを握り返すことができませんでした。後半の展開はどのように見ていましたか?また、試合を決定付けた4点目を決めた古山選手についても、一言、お願いします
「開始11分で2点を取るという、良すぎる入りをした分、起こった展開かなと思います。相手の流れになった時にどう守備をするか、それが大事でした。(押し込まれた)後半も守備をしてカウンターを仕掛けてビッグチャンスも作りました。(古山)兼悟に関しては、得点を取ってくれたことは、もちろんとても嬉しく思います。若手選手特有と言いますか、点を取りたい気持ちが強く、自分が(シュートを)狙ったところから奪われて失点というシーンもありました。そこは正しい判断をする必要もあります。ただし、それで気持ちを落とすことなく立ち上がり、チームの4点目を決めたことは、彼の頑張りが評価されていいと思います」

選手コメント

■ラファエル ハットン選手

Q:今日はチアゴ選手のスピードに追い付きましたね(笑)。
「ええ(笑)。大変ですが、今日は間に合いました(笑)。1回、今日も追い付けなかった場面はありましたが(苦笑)」

Q:チアゴ選手のクロスから決めた自身の2点目は、福井選手のキックをハットン選手が収めたところから、ブラジル人トリオで崩したゴールだったが?
「練習でもやっている形でした。コミュニケーションも自然と取れますし、3人の連係がうまくいったと思います」

Q:ゴール後は3人でポーズも取っていましたが、ブエノ選手と関わって取れたことも嬉しいのでは?
「そうですね。なかなか出場時間が少ない中で、彼にとっても大事な試合でしたし、彼もゴールを取れたことは良かったと思います」

Q:前節に続いて開始4分の先制点もあり、これで3試合連続ゴールだが?
「シーズン途中、少し取れない時期もあったのですが、また盛り返して最近はゴールを取れているので、調子は良いです。あと2試合も決めたいと思います」

Q:得点ランクトップのレオ セアラ選手との差も2点になりました。逆転での得点王を目指すラスト2試合へ向けて
「みんなの支えやチームメイトの助けもあって、ここまで来ることができたので、ここまで来たからには最後まで得点王を目指したいです。レオ(セアラ)とも、最後まで良いライバル関係でいれるのかなと思います。ただ、もし得点王になれなくても、良いシーズンを送れているので、そこは自分を評価したいと思います」

■喜田 陽選手

Q:前節と同様、今節も開始早々に2得点。今日もいい入りができたが?
「はい。ミーティングでも、入りの15分、清水さんの失点が多いという情報は入っていたので。僕たちもこの2試合、立ち上がりに点を取っていたので、今日も開始から点を取りにいこう、という意識で臨みました。すぐ2点を取れたので、ゲームを楽に進めることができた思いはあります」

Q:2点を取った後、少しラインが下がる時間もあり、押し込まれる展開も続いたが?
「我慢の時間は絶対にあると思っていましたが、(主導権を握り返すために)もう少し工夫できたことはあると思います。ラスト2試合ですが、そこも改善したいです。2試合ともしっかり勝つために、その(良くない時間帯を)修正をする必要もあると思います」

Q:今日は田中選手がベンチからで、ブエノ選手がスタートでしたが、中盤のバランスについて意識したことは?
「前節までは、僕が一つ前(インサイドハーフ)に入っていましたが、今日は中島選手とブエノ選手が前に入り、良い距離感でやっていました。右サイドに関しては、今日も柴山選手と奥田選手の距離感が良かったので、そこでボールを握る時間も作れました。その2つ(中盤とサイド)との距離感は常に意識していました」

■香川 真司選手

Q:前半は3点を取って、良い入りをしましたが、押し込まれた後半はどう見ていましたか?
「もう1点、取れるチャンスはあったので、そこは仕留めないといけない。ただ、1失点や2失点を食らうことは想定というか、相手も来るのでね。想定はしていましたが、逆に1点で抑えたことは良かったです」

Q:試合の流れを考えると、1点を返された後、突き放した4点目も大きかったです。起点になったパスは素晴らしかったが?
「いやいや(笑)。僕より、兼悟がああいう形で点を取ったことはチームとしても喜ばしいことなので、彼を称えてあげて下さい(笑)」

Q:乾選手に決められたゴールについては?
「後半、彼が入ってきて流れは変わったし、彼を中心に作られたチームでもあると思っているので。やっぱりクオリティーはモノが違うというか、前半からあのバイタルを使われたら嫌だなとずっと思っていましたが、そこにクオリティーがある選手が入ると、ああいうことが起こる。逆に点差が付いた状態で入ってきたので良かったです」

■古山 兼悟選手

Q:取りましたね!
「何とか取れて良かったです(笑)」

Q:1点を返されて、あのまま終わるのではなく、突き放した4点目は大きかったと思います
「そうですね。ただ、その前の失点は、自分がシュートを打って、そこからだったので…。(FWなら)シュートは打つので、仕方ないとは言え、僕からの失点だったので、そこで(気持ちが)落ちそうになったのですが、『ここしかない』という気持ちを持ち続けました。ディオン(クールズ)が良いパスをくれたので、決めるだけでした」

Q:これぞストライカー、という素晴らしいゴールだったが?
「練習から、ああいうクロスに合わせることは誰よりもこだわってやってきた自信はあります。いつも中村拓海くんやコーチのブルーノ(クアドロス)さんとクロス(から決める)練習をしていたので、試合で決めることができて良かったです」

Q:ピッチも濡れていたので、滑るパフォーマンスも決まりましたね(笑)。
「スペースがあったので、滑るだけでした(笑)」

Q:プロ初ゴールも嬉しかったと思いますが、そこから期間が空いて、苦しい時期も経て獲った今回のゴールも特別な意味を持つのでは?
「自分も戦えるんだぞ、結果を出せるんだぞ、ということを見せることができて良かった、という気持ちが強いです。悔しい思いをしていたので、得点という形で自分の力を示すことができて良かったです。苦しい時期を支えてくれた人たちのためにも、決めることができて良かったです」

Q:支えてくれていたのは、先ほどもありましたが、チームメイトやスタッフですか?
「そうですね。チームメイトもスタッフも、自分に携わってくれている人、全てです。今日も試合中、畠中槙之輔くんから『絶対、今日(チャンスが)1本あるぞ』とずっと声をかけてもらっていました。拓海くんも『絶対、あるぞ』と言ってくれていました。ノボリさん(登里享平)も気にかけてくれていました。悔しい時期は気持ちが落ちる時期もありましたが、こうやって点を取ることができて良かったです。嬉しいですが、一喜一憂せず。一喜一憂していたら、また落ちてしまうので。あと2試合ですが、メンバーに食い込んでいけるように頑張ります!」