2025明治安田J1リーグ第32節

2025明治安田J1リーグ

2025.9.28

セレッソ大阪

ディオン クールズ (57')

1

HOME

FULL TIME

2

0-1

1-1

京都サンガF.C.

松田 天馬 (44')

長沢 駿 (87')

ヨドコウ桜スタジアム

21,935

KOIZUMI サポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

後半に追い付き、その後も猛攻を仕掛けたが、逆転ならず。セットプレー2発に沈み、優勝を目指す京都サンガF.C.の執念に屈する


1-3の逆転負けを喫した前節・鹿島アントラーズ戦から中4日。セレッソ大阪は3位の京都サンガF.C.をホームに迎え、明治安田J1リーグ第32節に挑んだ。先発は前節から畠中槙之輔を除く10人を変更。万全の態勢で関西対決に臨んだ。

開始3分、中央を割られてピンチを迎えたが、古巣戦となった井上黎生人が相手のシュートをブロック。10分にも京都のクロスから危ない場面が訪れたが、セカンドボールに反応した井上が再びクリア。背番号31の危機察知能力で難を逃れた。反撃に出たいセレッソだったが、ここから試合は思わぬ展開に。12分に京都のラファエル エリアス、19分にルーカス フェルナンデスと、両チームの主軸が相手選手との接触で痛み、ともに25分という早い時間で交代を余儀なくされた。緊急事態を受け、右ウィングには本間至恩が投入された。「ルーカスとは違う良さというか、中でボールを触って、シバ(柴山)や真司さんと距離感よくプレーすることを心掛けました」と試合後に話したように、新たな“色”をチームにもたらすべくプレー。時間の経過とともにフィットし、特に後半は再三チャンスに絡むなど、及第点以上のプレーを見せた。ただし、前半に関してはなかなかリズムを掴むことができず、守勢に回る時間が長い展開に。それでも31分には香川真司が戻ってブロック、36分にも畠中が体を張って守るなど、京都の猛攻を懸命に耐えていたが、44分、CKから失点。平戸太貴の低いマイナスのボールに対し、スルーを挟み、松田天馬に決められた。第29節・アビスパ福岡戦でも同様の形で失点しているだけに、セレッソとしては無警戒だったと言わざるを得ない。8分という長い前半アディショナルタイムにようやくセレッソも相手陣に入って攻撃を仕掛けたが、追い付くことはできず、前半は1点ビハインドで折り返した。

後半も立ち上がりは京都のセットプレーを立て続けに受けたが、ここをしのぐと54分、CKから決定機。柴山昌也のニアへのキックにディオン クールズが巧みに合わせたが、わずかに枠を外れた。それでも3分後、柴山のニアへのCKに再びクールズが合わせ、今度は枠を捉えて同点に追いついた。クールズにとっては嬉しい加入後初ゴール。テクニカルなシュートに対し、「セットプレーも強みの一つ」と胸を張った。この試合では守備でもデュエルで負けず、相手と互角以上に渡り合うなど、勝利していればMOMとも言える活躍だった。後半は京都のプレスの強度も下がり、セレッソが自由を享受するシーンも増える。一つ、二つはがして前線へ運び、チャンスを作ると、67分に決定機。最後は本間のクロスに香川が合わせたが、シュートはミートせず。73分にも、田中駿汰のパスをラファエル ハットンが落とし、本間にビッグチャンスが訪れたが、シュートは相手DFのブロックに防がれた。「前半は探りながらやっていましたが、徐々に空いてくるスペースも掴めてきて、前半の最後の方から押し込めました。後半も自分のところで起点になるプレーは増えたので、しっかり相手を見ながらプレーできたと思います」と試合後に柴山も振り返ったように、セレッソとしてはいつ2点目が入ってもおかしくない展開に持ち込んだが、ここで仕留めることができずにいると、87分、途中出場の長身ストライカー長沢駿にCKからニアでヘディングを決められ、京都に勝ち越しゴールを許してしまった。再び1点を追いかける展開になったセレッソは、途中出場の中島元彦、ヴィトール ブエノも含め、猛攻を仕掛ける。後半アディショナルタイムには4本連続でCKを獲得するなど最後まで攻め立てたが、相手の牙城を崩すことはできず、1-2でタイムアップ。優勝へ望みをつなげるべく戦った京都の執念に屈する形で敗戦を喫した。

試合後、古巣相手に奮闘した井上は、「正直、流れの中から失点する感じはしなかったですが、2失点ともセットプレーで一瞬の隙を突かれてしまった。セットプレーからの失点も多い中で、守り方も含めて、もっと工夫しないといけないこともあると思います」と課題を述べた。攻撃でチャンスを作った柴山と本間は、口を揃えて「勝負強さ」を足りない点として挙げた。「チームを強くするために近道はない。一つ一つ積み上げていく気持ちもあります。ただ、4年も5年も待って、優勝を狙うという気持ちはありません。できるだけ早く詰めて、優勝争いに絡んでいけるチームを作っていきたいと思っています」と試合後に述べたアーサー パパス監督。8月、9月と続いた上位との6試合は3分3敗と未勝利に終わったセレッソ。肌で感じた優勝を争うクラブとの差をどのように埋めていくか。クラブ全体で受け止め、今後に生かしていきたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「まず京都の方々に『おめでとう』と言いたいです。試合中、入り乱れたシーンもありましたが、『おめでとうございます』と伝えたいです。試合については、フォーカスしないといけないのは、勝負どころで守れるか、守れないか。ディテールの差が出てしまったと思います。そのズレがこの失点を生んでしまったと思います」
 
Q:前半は互いに負傷者が出るなど、試合が止まる時間も長かった中で、展開的にも自分たちのリズムを作り切れなかったが、前半の流れはどう見ていましたか?
「止まっては動いて、止まっては動いて、ということもあり、前半はリズムを作ることが難しかったと思います。その中でも、攻撃はもっと改善できるところもありました。ボールの動かし方、プレッシャーがかかった時にどう回避するか。そこは足りなかった印象です。後半は立ち上がりから良かったですし、得点の前後もいつ得点が入ってもおかしくなかったと思います。ただし、良い状況で崩せた時に、ボックス内でのシャープさに欠けた印象です。セットプレーから2失点しましたが、最近はセットプレーからの失点が続いています。それを繰り返していると、勝ちにつなげることは難しいと思います」
 
Q:セットプレーからの2失点も敗因ですが、同点に追い付いた後の時間帯はかなり押し込んで、2点目が取れそうなチャンスもありました。ただし、8月、9月の上位陣との対戦では、常に2点目が課題になりました。もちろん、相手DFも体を張っていますし、相手GKの好セーブもありましたが、上位相手に複数得点が取れなかったことに関してはどのような課題を感じていますか?
「チームとして得点を取るためにどこにいるべきか、という部分については、相手は監督が5年目に入っています。これまで二桁順位のシーズンも続いていましたが、それに加える形で選手も補強して、今シーズンがあります。僕らのチームを客観的に見ると、そこまで押し上げられていません。短い期間でそういう(優勝争いをできる)チームを作ることが理想ですが、やはりショートカットはできません。強くするためには、回り道をしないといけないところもあります。近道はないので、一つ一つ積み上げていく気持ちもあります。ただ、4年も5年も待って、優勝を狙うという気持ちはありません。できるだけ早く詰めて、優勝争いに絡んでいけるチームを作っていきたいと思っています。ただ、現状として、そこには至っていません。そこに関しては選手だけの問題ではありません。選手は全てを捧げて戦ってくれています。スタッフ、クラブ、クラブに関わる全ての人たちで、どうチームを作っていくか、そこが求められていると思います」

選手コメント

■ディオン クールズ選手

Q:得点シーンの前にもニアに入ってシュートを打っていたが、狙っていた?
「そうですね。ある程度、チームとして誰がどこのゾーンに入っていくか、決めているところはあります。ここ数試合、惜しい場面もあったので、今日はしっかり決めることができて良かったです」

Q:とてもテクニカルなシュートだったが?
「シュートにも自信はあります。セットプレーも自分の強みの一つです」

Q:J初ゴールとなったが、そのことについては?
「しっかりとJリーグにも適応できていると思います。これからも多くの試合を重ねていきたいです」

Q:8月、9月と、優勝争いしている相手との試合では、なかなか勝つことはできなかったが、どこに課題を感じた?
「質の部分で大きな違いはないと思います。自分たちもある程度、良いパフォーマンスを出せています。ただし、攻撃でも守備でも、ボックス内では(上位との)違いはあったと思います」

■柴山 昌也選手

Q:試合を通して激しい試合になったが、戦い終えた感想は?
「前半から試合が止まることも多かったですが、その中でも集中力を切らさずやれていました。セットプレーからの2失点は改善するしかないですし、それで試合も決まったので、もったいない、という思いです」

Q:相手も元気な前半は攻めにくそうな感じもありましたが、前半の最後の方は柴山選手を起点にチャンスも作り、後半はスペースも空いてきて、カウンターで仕留められそうな場面もありました。そうした前後半の流れはどう感じていましたか?
「前半の最初は、相手がどう来るか探りながら、誰が自分に付いてきて、どこにスペースが空いているか、しっかり見ながらやっていました。徐々に空いてくるスペースも自分の中では掴めてきて、前半の最後の方から押し込めました。後半も自分のところで起点になるプレーは増えたので、しっかり相手を見ながらプレーできたという思いはあります」

Q:そうした試合の機微を感じたり、相手を見るという部分では、先発として出続けることで、より磨かれている?
「元々、考えながらプレーはしていますし、今日に関しては、(香川)真司さんや(本間)至恩くん、技術の高い選手と距離感よくつなげれば、相手も付いてこれないだろう、という思いもありました。京都もすごい強度で来ていましたが、自分たちとしては逆に利用できるところもあったので、そこ(強度)に対しての怖さはなかったです」

Q:8月、9月の上位との6試合は善戦しながらも勝てませんでした。実際に戦って感じた差は?
「上位陣とやって感じたのは、勝負強さ。今日も最後のところで決められました。セットプレー1本の重み。向こうは優勝が懸かっている中で、その1本にかけてきていることは感じました。1失点目のトリックプレーにしても、自分たちを分析してやってきたと思います。自分たちはその上をいかないと、優勝争いはできない。自分自身もそうですし、チームとしても、もう一回、課題と向き合って、全員で共有していきたいです」

Q:自身もCKからアシストを決めたが? 直前にもニアに良いキックがありました
「あのサイドはルーカスが蹴る予定だったのですが、ルーカスが交代して、自分が両方を任されることになりました。あのサイドからはニアを狙っていたので、狙い通りでした。ただ、ディオン(クールズ)がうまく合わせてくれたからアシストが付いたので、ディオンに感謝したいです」

■井上 黎生人選手

Q:激闘でしたが、試合を終えて、結果を含めて振り返ると?
「正直、流れの中から失点する感じはしなかったですが、2失点ともセットプレーで一瞬の隙を突かれてしまった。セットプレーからの失点も多い中で、守り方も含めて、もっと工夫しないといけないこともあると思います。自分もやるべきことはもっとあったと思います。無失点の試合を作れていないので、責任を感じています」

Q:特に2失点目が悔やまれますか?
「そうですね。そこは選手もみんな思っていることは一緒で、何であのタイミングで長沢選手がフリーになったのか。緩さが出てしまったと思います。あのような場面を作られないことが大事でした」

Q:前半、試合が止まった時間で、選手間で話をしていたが、「相手が前から来ている中で、どうビルドアップをしていくか」ということでしょうか?
「その通りです。相手はマンツーマンで守備に来ていましたが、外回しでいけば空いているなと思ったし、テンポよく回せば、クールズや(大畑)歩夢のところで時間が作れるなと。そこから中に出して裏、ということも狙っていました。ただ、どこかでパススピードが緩くなったり、詰まったら嵌められてしまうので、その確認でした」

Q:上位との試合では、良い勝負はできているけど、勝利には一歩足りない。どういう課題を感じていますか?
「耐えないといけない時間帯で失点してしまっている。そこで耐えられるチームが強い。どのチームとやっても、そういう時間帯は必ずある。そこをゼロで抑えることが僕の仕事だし、それができていない。そこが課題。逆に言えば、取れる時間帯で、取るチャンスで決めること。後ろから見ていても、良い崩しでチャンスも作れていると思うので、そこも突き詰めていきたいです」

■本間 至恩選手

Q:ルーカス フェルナンデス選手の負傷を受けて、急遽、右のウイングで出場しました。どのようなプレーで貢献しようと試合に入りましたか?
「右でプレーすることは今までのキャリアでも少ないので、やっぱり景色は違いましたが、ベンチの中にウイングは自分しかいなかったので、やるしかない、と。左のように上手くはいかないかも知れないけど、チャンスは作りたいと思って入りました。いくつかシュートやアシストできそうな場面もありましたが、もう少しボールを受ける回数を増やしたかったです。ルーカスはサイドで張って違いを作ってくれるけど、自分は右サイドでは、なかなかそういうプレーはできない。違う良さというか、中でボールを触って、シバ(柴山)や真司さんと距離感よくプレーすること。監督からも、『シバと真司と真ん中で崩してくれ』という指示のもと、入ったので、自分がもう少し真ん中で違いを作りたかった。シバや真司さん、前を向ける3人でもっと良い形で崩したかった。その中でも何個かチャンスは作れましたが、そこで決め切れるかどうか。京都さんはセットプレーで2本、決めました。勝負強いというか、そこに負けたな、という感想です」

Q:前節の鹿島戦後も、「試合運びと勝負強さ」を課題に挙げていました。現状、セレッソも決して悲観する内容ではないですが、やはりそこに上位との差も感じますか?
「はい、そうですね」

Q:前半は攻めにくい時間帯も多かったと思いますが、後半は同点に追い付いた後、チームとして2点目を取れそうな時間帯はありました
「同点になった後は自分のところにも(チャンスの)ボールが来ました。チャンスは来ている、良いボールも来ている。そこでの冷静さ(が必要)、というところ。でも足を振らないと始まらないので。相手もナイスブロックというか、足を伸ばしてきました。そこで交わすのか、打つのか、という判断が今の自分の課題です」