2025明治安田J1リーグ第31節

2025明治安田J1リーグ

2025.9.23

鹿島アントラーズ

知念 慶 (31')

レオ セアラ (53')

松村 優太 (68')

3

AWAY

FULL TIME

1

1-1

2-0

セレッソ大阪

ヴィトール ブエノ (28')

メルカリスタジアム

25,752

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

前節から先発全員を入れ替えて臨んだ首位・鹿島アントラーズとのアウェイ戦は、幸先良く先制するも、3失点を喫して逆転負け

 
激闘の末、1-1の引き分けで終わった前節・柏レイソル戦から中2日。セレッソ大阪は、首位・鹿島アントラーズのホームに乗り込み、明治安田J1リーグ第31節に臨んだ。先発は柏戦から全員変更。過密日程によるコンディションの側面が大きいが、その意図についてアーサー パパス監督は試合後、「このクラブの将来を考えた時、今後どう優勝争いをしていくか、シーズン終盤でもありますし、選手たちがどこまでできるのか、しっかり試さないといけない時間だと思いました」とも述べた。
 
GKキム ジンヒョン、ディフェンスラインは左から復帰戦の髙橋仁胡、畠中槙之輔、西尾隆矢、奥田勇斗が並び、ボランチは吉野恭平と喜田陽、左ウィングに本間至恩、トップ下にヴィトール ブエノ、右ウィングに阪田澪哉、1トップに中島元彦でスタートすると、開始からビルドアップでバタつく場面が続き、鹿島にチャンスも与えるが、ピッチコンディションにもアジャストしていきながら、少しずつボールを運べるようになると、逆に鹿島のビルドアップを良い形で奪うシーンも増えていく。すると15分、両チーム合わせて最初の決定機はセレッソが作る。本間が高い位置で奪ったところから左サイドを突破、中央にパスを送ると、ブエノのスルーを挟み、中島がワントラップからシュート。強烈なフィニッシュを放ったが、ややコースが甘く、鹿島のGK早川友基に右手一本で止められた。19分にも本間がカットインからシュートを放つと、23分にもショートカウンターから決定機。阪田がプレスで相手のミスを誘うと、ボールを拾った中島がドリブルからスルーパス。抜け出したブエノが浮かせたシュートを狙うも、ここもGKに止められた。それでも次のチャンスを得点につなげる。26分、柴崎岳にボールが入ったところを本間と喜田で挟んで奪い、本間、中島、阪田とつないでペナルティーエリア内に進入。最後は阪田の折り返しに飛び込んだ本間が知念慶に倒されてPKを獲得。これをブエノが落ち着いて右スミに決め、セレッソが先制に成功した。フルターンオーバーながらも意思統一された守備から攻撃で良い形を作り続けたセレッソが主導権を握るかに思われたが、得点から3分後、同点に追い付かれてしまう。センターバックの植田直通が右サイドを駆け上がり、上げたクロスにファーで知念に頭で合わせられ、失点。直後の柴崎のミドルシュートはジンヒョンが好セーブではじくと、43分、セレッソがカウンターから数的優位を作る。ただし、ドリブルで持ち運んだ中島のシュートはクロスバーを越えた。このまま前半は1-1で終了。立ち上がりこそ不安定さも見られたセレッソだったが、時間の経過とともに流れを掴んで先制しただけに、リードで終えたかった。
 
後半は両チームとも頭から選手交代。セレッソは髙橋に代えて大畑歩夢、鹿島はエース・鈴木優磨とボランチの舩橋佑が入った。後半開始早々、その鈴木にシュートを2本打たれたが、入り自体はセレッソがボールを握っていい形で進めていこうとしていた矢先、鹿島の1本のロングボールから失点。植田からレオ セアラに出た背後へのパスに対し、飛び込んだ西尾がカットできず、ボールを後ろに逸らすと、そのままセアラに独走を許し、GKとの1対1を仕留められた。昨年まで2シーズン、桜のエースとして得点を量産したセアラの決定力もさすがだったが、セレッソとしては不用意な形で喫した失点でもあった。勝ち越された瞬間、スタジアムの雰囲気も試合の流れも一変。ここからは鹿島が攻守に前向きな矢印を全開に襲い掛かってくると、一度、相手に傾いた流れをセレッソは押し返せない。62分にはルーカス フェルナンデス、香川真司、田中駿汰と3選手を同時に投入したパパス監督だったが、68分に3失点目。自陣右サイドでボールを失い、カウンターを受けると、サイドを崩され、入ったばかりの松村優太に決められた。ここで事実上、勝負あり、84分、ルーカスがドリブルで運んでチャンスを広げ、最後は中島がシュートを放つシーンこそあったが、鹿島に4点目を取られそうなピンチも何度も招いた中、畠中を中心に何とか最後は体を張った。善戦した前半から一転、後半は鹿島に圧倒される形で1-3の敗戦を喫した。
 
「鹿島は優勝に向けて全てを捧げているクラブですが、相手というより、自分たちができることに集中して臨みたい。勝ち切れるゲームをしたい」(パパス監督)と臨んだ首位とのアウェイゲームだったが、「きっちり決めてくるところが、今、(鹿島が)首位にいる理由なのかなと思います」(喜田)、「優勝争いしているチームの試合の運び方やメンタリティーは見習う部分も多い」(本間)と、首位に立つ強さをまざまざと見せ付けられる格好となった。次節はホームに戻っての京都サンガF.C.戦。前節終了時点で首位・鹿島と勝点5差の3位に付けている相手から、今節の敗戦を払拭する勝利を目指す。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「まず鹿島さんには『勝利おめでとうございます』と。自分たちとしては残念です。前半は良かったです。1点だけではなく、もっと確実に取れた機会もありました。後半も立ち上がりは悪くなかったですが、大きなエラーが起きてしまった。簡単にはプレーさせてくれない相手でした。中盤の選手が1枚ずつイエローカードをもらっていたので、早い段階で交代をせざるを得なくなりました。2失点目の後は自分たちがやりたい形を出せなかった。優勝争いするチームと中位にいるチームの違いが出てしまったと思います」

Q:前節から先発を総入れ替えしました。中2日という日程面以外に理由はありますか?
「このクラブの将来を考えた時、今後どう優勝争いをしていくか、シーズン終盤でもありますし、選手たちがどこまでできるのか、しっかりと試さないといけない時間だと思いました。ただ、先ほども申した通り、前半は良い内容だったので、選手を入れ替えたからどう、という試合ではなかったと思います。ただ、今日先発で出た選手の内、何人かはインパクトを残せませんでした。そこは選手として足りないところも見えたと思います」

Q:話された通り、11人を入れ替えた中でも、良い守備から良い攻撃に移って決定機も作り、前半は1-1で折り返しました。ただ、後半、特に2失点目を喫してからの時間は、ほぼ鹿島のゲームでした。先月、今月と、優勝争いしているクラブとの対戦が続いた中で、ホームで対戦した神戸、広島、柏とは熱のこもった、最後まで戦う良いゲームができている一方、町田、そして今節と、アウェイでは内容としても課題が残る試合が続いています。今シーズン、監督も常々話されていることですが、アウェイでは何が足りないのでしょうか?
「正直、その質問に対する答えは、時間がかかりますね。1試合だけだと偶然だと言うこともできますが、(繰り返しているので)。クラブがどういうビジョンを持って、そのために何をするか、ということにも関わってきます。誰が見ても、鹿島は優勝争いをしたい、という意欲が伝わってきます。町田さんもそうです。優勝争いをするためには何が必要で、何を獲得しないといけないのか、それがクリアになっています。もちろん我々も、今シーズン、チームとしても選手たちも成長していますが、大きなステップを踏むためには、コーチとしての働きかけだけでは足りなくなってしまう。クラブ全員で、クラブがどういう一歩を進んでいくかが大事になっていくと思います」

選手コメント

■ヴィトール ブエノ選手

Q:リーグ戦としては久しぶりの先発でしたが、どういった意気込みで臨みましたか?
「自分自身を振り返ると、前半から良い入りができたと思います。良い強度も出せたと思います。後半に入ると、強度は落ちましたが、ある程度のパフォーマンスは出せたのかなと。チームとしても、前半はチャンスも作ってリズム良くプレーできていた時間帯もありました。ただ、失点してからは流れが崩れて、自分たちの流れを取り戻せないまま終わってしまいました」
 
Q:しばらく試合に出られない時間が続いていましたが、その間はどういった思いで練習に取り組んでいましたか?
「難しい時期が続きました。試合には帯同するものの、中々出場はできず、仲間が活躍している姿をベンチから見るだけ、という大変な時期でしたが、できるだけトレーニングから強度を保って、良いトレーニングをしようと心掛けていました。今日のようなチャンスを掴むためにやっていました。ある程度のパフォーマンスは出せたと思うので、このパフォーマンスを評価していただけたらと思いますし、もっともっと出場時間を重ねていきたいです」
 
Q:PKは得意ですが、今日も最後までGKの動きを見て蹴った?
「そうですね。最後までGKを見て、打つコースを決めようと思っていました。ボールサイドに飛ばれてしまいましたが、コースが良かったので、しっかり決めることができました」
 

■本間 至恩選手

Q:気持ちが見えたプレーも多かったが、自身のプレーを振り返ると?
「前節、悔しい思いをしたので、結果で取り返す意識でプレーしましたが、やっぱり優勝争いしているチームの試合の運び方やメンタリティーは見習う部分も多いな、と。前半45分は、サッカーの面ではセレッソが圧倒していたとは感じましたけど、90分で最後に勝たないといけない。その運び方が足りなかった。仕留めるところで仕留めれば、試合を終わらせることもできた。すぐ追いつかれたところはもったいなかったと思います」
 
Q:1点目に関しては、ショートカウンターから最後は自身がPKを獲得したが、キッカーはチームとして決まっていた?
「そうですね。決まっていました。(蹴りたいからと言って)自分が蹴ることはできないので。チームの規律として」
 
Q:2失点目を喫した後、一気にチームの勢いも落ちたように感じたが?
「点の取られ方が(心理面に)刺さるというか、グッとあそこで落ちてしまったのは事実です。(自分はCBじゃないので)分からないですが、簡単な失点というか、そこでチームが落ちてしまったことは感じました。ただ、その前にチームとして2点目を取れていれば良かった話なので、そこで取れなかったチーム全体の責任だと思います」
 

■喜田 陽選手

Q:前節から先発を全員入れ替えた中で臨んだ中、前半は1-1で折り返したが?
「フレッシュな選手が出た中で、前半の失点と後半の最初の失点がもったいなかったなと。そこをきっちり決めてくるところが、今、(鹿島が)首位にいる理由なのかなと思います」
 
Q:こちらの1点目につながったPKは、喜田選手が奪ったところからのショートカウンターでした。選手が入れ替わった中でも意思統一して試合に入れた?
「良い形でボールを取れる場面はありましたが、シュートチャンスも結構あった中で、1点だけではなく、2点、3点と取って、試合を終わらせるぐらいの感じでやらないといけなかったと思います」
 
Q:ビルドアップに関しては、立ち上がりはチーム全体としてミスも目立ちましたが、時間とともに慣れていった感じでしょうか?
「そうですね。(普段とは違う)ピッチと強度の中で、立ち上がりはミスも目立ったと思いますが、すぐに切り替えて試合に入れたというか、自分たちのペースで運べた時間帯もありました。それだけに、もったいない失点だったと思います」
 

■髙橋 仁胡選手

Q:試合への復帰が想定されたよりも早かったと感じたが?
「自分としても、思ったより早かったです。練習にフルで合流したのは最近だったので、11対11の感覚はまだ戻りきっていなかったですが、ピッチに立って、振り返ると、もっと出来たかなと思います。復帰してすぐの試合にしては悪くなかったとも思うので、ここから良い競争をしていきたいです」