2025明治安田J1リーグ第29節

2025明治安田J1リーグ

2025.9.13

アビスパ福岡

見木 友哉 (41')

ウェリントン (90+8')

2

AWAY

FULL TIME

4

1-0

1-4

セレッソ大阪

柴山 昌也 (54')

柴山 昌也 (64')

ラファエル ハットン (77')

ラファエル ハットン (89')

ベスト電器スタジアム

9,643

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

雷による中断後、後半に攻撃陣が爆発。圧巻の4得点で逆転勝ちを収め、待望のアウェイでの勝点3を獲得

 
優勢に試合を進めながらも1-1の引き分けに終わった前節・サンフレッチェ広島戦から中12日。代表ウィークを挟み、再開された明治安田J1リーグ。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、アビスパ福岡との第29節に臨んだ。先発は広島戦と同じ11人。進藤亮佑がリーグ戦8試合ぶりにメンバー入りを果たし、前節、欠場した本間至恩、さらに試合直前でメンバーから外れた田中駿汰も今節のベンチに入った。
 
開始8分、セレッソは左サイドでのプレスを外されて縦に運ばれると、クロスから決定機を作られたが、フィニッシュは井上黎生人がゴール手前で2度クリア。背番号31の素晴らしいカバーで失点は防いだ。すると、ここからセレッソがチャンスを量産。9分、カウンターから柴山昌也が起点となり、チアゴ アンドラーデが快足を飛ばしてドリブルで進入。最後はカットインから右足で強烈なシュートを放ったが、惜しくも枠を外れた。ビルドアップ時は可変して前進してきた福岡に対し、セレッソは12分、15分とカウンターから好機。良い奪い方から素早くフィニッシュにつなげ、いずれも香川真司がシュートも仕留めることはできず。20分にはGK福井光輝、吉野恭平、柴山と3本の縦パスをつないで決定機。最後はチアゴが左サイドを突破してクロスを上げたが、中とは合わなかった。前半の途中から雨が強く降り始めると、前半の飲水タイム明けは福岡に主導権を握られる。「守備でアグレッシブに行けなくなり」(アーサー パパス監督)、福岡にボールを運ばれると、サイドで起点を作られてピンチも招く。それでも37分の小田逸稀のヘディングは再び井上がゴール前でクリア。40分の藤本一輝のシュートも福井がビッグセーブ。何とか失点は防いでいたが、41分、相手のショートコーナーから見木友哉に強烈なミドルシュートを決められた。前半のアディショナルタイムにはルーカス フェルナンデスが直接FKを狙ったが、GK小畑裕馬の好セーブに遭う。直後、夜空に雷鳴が轟くと、落雷の可能性があるとして、山下良美主審が試合を中断。約35分後に試合は再開され、残りの前半アディショナルタイムを消化してハーフタイムに入った。
 
チャンスを量産した入りから一転、流れを失って先制された前半を払拭すべく、後半に向けて「自分たちがやらなければいけないこと、修正しないといけないことをハッキリ伝えた」とパパス監督。もう一度、攻守に前からアグレッシブに行く姿勢を鮮明にすると、54分、同点に追い付く。畠中槙之輔、大畑歩夢と左サイドでつないで相手をはがし、大畑のパスを受けた中島元彦がダイレクトで左サイドのスペースへパス。そこへチアゴが走り込み、抜群のスピードでDFを振り切って前へ出ると、左足でのクロスに中央で合わせたのは柴山。利き足ではない右足で面を作り、「インサイドパスみたいな感じで当てて」しっかりコースに流し込んだ。鮮やかな連係でネットを揺らすと、10分後に逆転に成功。決めたのは再び柴山。ルーカスのクロスに合わせたチアゴのヘディングをGKがはじいたところを詰めて、今度は左足アウトで蹴り込んだ。セレッソ加入後、初の複数得点を決めた柴山。「試合前のミーティングでも、ボス(パパス監督)から『ボックス内に入れば、今日は2点を取れるぞ』と言われていた」ことを明かすと、「スプリントしてボックス内に入っていくことは意識した」と、指揮官の予言通りに2点を叩き込んだ。止まらないセレッソは77分にも追加点。1点目と同様、今度は田中駿汰が背後のスペースへ、チアゴのスピード生かす絶妙なパスを送ると、抜け出したチアゴのクロスに途中から入ったラファエル ハットンが合わせた。80分には志知孝明のクロスから名古新太郎にボレーで合わせられ、ネットを揺らされたが、志知がクロスを上げる前にボールがゴールラインを割っており、ゴールは認められず。83分にパパス監督は3枚代え。復帰戦となった進藤もピッチに立つと、89分に4点目。喜田陽が前方へ大きく蹴ると、相手DFがクリアミス。これを拾ったハットンがドリブルで持ち運び、ニアを射抜く強烈なシュートを決めた。後半アディショナルタイムにはCKからウェリントンにヘディングで1点を返されたが、4-2で逆転勝利。パパス監督がこだわっていたアウェイでの勝利をゴールラッシュで飾った。
 
「後半は自分が見たかったフットボールを展開してくれました」とパパス監督。「プレッシングもアグレッシブで、得点につながるプレーもたくさん見られたので、そこは評価したい」と納得の表情を浮かべた。セットプレーから喫した2失点こそ課題として残ったが、今シーズン取り組んでいる攻撃的なフットボールを展開しての逆転勝ち。「チームとして4点を取ったことが素晴らしかった。みんながハードワークして最後まで戦った結果の勝利」と香川も晴れやかな表情で振り返った。次節からセレッソは柏レイソル、鹿島アントラーズ、京都サンガF.C.との上位3連戦を迎える。今シーズン積み重ねてきた力を存分に発揮し、勝利を重ねていきたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「常々言っていることですが、ホームゲームでできていることをアウェイゲームでも発揮したいと。それがしっかり結果に表れて、素晴らしいゲームになりました。立ち上がり、何回かチャンスはありましたが、得点を決められませんでした。前半の15分を過ぎたあたりから、やれることができなくなってきた印象があり、相手に押し込まれるシーンも増えました。雷で試合が止まったことも、運があったと思います。僕らに流れをもってきてくれたのかなと思います。後半は自分が見たかったフットボールを展開してくれました。プレッシングもアグレッシブで、得点につながるプレーもたくさん見られたので、そこは評価したいと思います」
 
Q:前半の飲水タイム以降、攻められる回数も増えていきました。そこからの流れでCKを取られて失点につながりましたが、あの時間帯は何が問題でしたか?
「流れを継続することは難しいと言えば難しいです。あのような時間帯で自分たちがどのようなリアクションをするか(が大事)。(あの時間帯の問題点を)2つに分けて話すと、最初は守備でアグレッシブに行けていたところが行けなくなってしまった。もう一つは、ボールを持っている時も、もっと前に押し込める展開があったにも関わらず、行かなかった。やってきていることをアウェイでも出すことが課題だった中で、それをやめてしまうと、どうしても展開は悪くなってしまいます。逆に言えば、後半はやってきたことを継続して出せたことが大きかったと思います」
 
Q:雷での中断やハーフタイムで指示したことは?
「(前半終了まで)20秒ほどでしたが、まず安全が第一です。(指示したことは)先ほども申した通り、自分たちがやらないければいけないこと、修正しないといけないことをハッキリ伝えました。後半はしっかりと自分たちのパフォーマンスも出せたので、このような結果になったと思います」
 
Q:後半は取り組んでいる攻撃的なスタイルが結果に表れました。チーム全体で奪った4得点だと思いますが、中でも2点を決めた柴山昌也選手について。北野颯太選手が移籍して以降、複数の選手がトップ下でプレーしてきました。彼もその一人ですが、トップ下として、これまでもボールを引き出す動き、運ぶ動きは素晴らしかった一方、フィニッシュが課題でした。今日のような2ゴールがこれからも決まるようになれば、選手としての未来もかなり拓けてきそうですが、今日のパフォーマンスも含めたプレーについて
「彼の向上したい、上手くなりたいという意欲、姿勢がパフォーマンスにつながっていると思います。あのポジションは自分のモノだ、ということを証明し続けることが必要です。入っていけば得点できるスペースは必ずあります。そこに自分が入っていって、しっかりシュートを決めること。その形をどんどん出していけば、自信につながっていくと思います。今日はそれを証明したと思います」

選手コメント

■柴山 昌也選手

Q:中断期間の練習試合でもゴールを決めて、いい感触で臨んだ試合だったと思うが、見事に2得点。特に1点目は難しいシュートだったと思うが?
「難しかったですが、(利き足ではない)右足だったからこそ、力が抜けて、しっかり当てることができたと思います。インサイドパスみたいな感じで、ミートを心掛けました」
 
Q:サイドからのクロスに対してあの位置に入っていくことは、チームとして取り組んでいる形だと思うが?
「そうですね。今日の試合前のミーティングでも、ボス(パパス監督)から『ボックス内に入れば、今日は2点を取れるぞ』と言われて。『マジで?』と思いながら(笑)、それを意識して臨みました。作りの部分は自分の武器であり、得意なことですが、それをした後に、そこからスプリントしてボックス内に入っていくことは課題だったので、今日は試合前に言われて、めちゃくちゃ意識しました。チアゴ(アンドラーデ)が縦に抜け出すことは分かっていたので、自分もスプリントして、入っていきました」
 
Q:2点目は、チアゴ アンドラーデ選手のヘディングをGKがはじいたところを詰めた形でしたが、あそこに来ることを予測していた?
「最初はルーカス(フェルナンデス)から貰おうとして。クロスが上がった時点でゴールの方に向かって入っていきました。あそこにいることが大事だなと思います」
 
Q:柴山選手にとっても大きな勝利になったと思うが、この勝利をどう振り返りますか?
「直近の2試合、ホームで神戸、広島を相手に良い試合ができたけど、引き分けでした。今日はアウェイでも勝つことが大事だと思っていました。それを全員で共有して臨みました。前半は0-1で折り返しましたが、顔を下げている選手は誰一人いなかったですし、ハーフタイムにボスも自分たちを奮い立たせてくれたので、後半にしっかり臨めました」
 
Q:雨や雷でサポーターも大変だったと思いますが、それだけにこの勝利を喜んでいると思います。決めた後、ゴール裏に走って行く姿が印象的だったが?
「1点目はすぐボールを取って(センターサークルに)戻ったのですが、2点目を取った時はサポーターが喜んでくれている顔が見えたので、そちらの方に走っていきました(笑)」
 

■チアゴ アンドラーデ選手

Q:雨や雷で中断など、色々ありましたが、勝利した結果について
「前半の立ち上がりは自分たちのペースで試合を進めていけたのですが、途中からミスも増えて、試合のリズムを作れませんでした。前半、失点して折り返したのですが、監督からも自分たちを鼓舞する言葉がありました。後半は自分たちらしいフットボールができたので、それが結果につながったのかなと思います」
 
Q:その後半は、まさにチアゴ選手のスピードが生きて、サイドの背後を何度も突破しました。2アシストと結果も残したが?
「スペースをうまく使えて、自分の特長を出せた場面が多かったです。シバ(柴山)、(ラファエル)ハットンのゴールにつながったので、良かったです。自信をさらに深めることができました」
 
Q:1点目は中島元彦選手、3点目は田中駿汰選手と、裏に走るチアゴ選手に出すパスも絶妙でした。そうしたチームでの連係については?
「彼ら2人に限らず、チーム全体で同じ絵を描いてプレーできています。背後に抜ける形は常に練習していますし、今日はそれがうまく機能しました」
 

■香川 真司選手

Q:色々なことが起きた試合でしたが、4-2で勝ち切った結果について
「良い入りはできたのですが、そのあと相手のペースになって、自滅した感はありましたけど、監督もハーフタイムに叱咤して、それで僕たちも奮起する形で後半に臨めました。『自分たちのサッカーを勇気を持ってやり続けよう』という話をした中で、後半はそれを体現することができたので、結果、内容ともに素晴らしい試合になったと思います」
 
Q:入りは良くて、カウンターから何度もチャンスを作れていましたが、そこで決め切れず、前半の飲水タイム以降、失点の前からは少し相手に握られる時間が続きました。あの時間帯は何が問題でしたか?
「少しプレスがハマっていなかったところもありました。最初はハマっていたのですが、途中からハマらずにサイドで起点を作られた。ボールの取られ方も含め、流れが悪い時間帯はありました。その中で耐えるのが理想ですが、(畠中)槙之輔とも話していましたが、アウェイで前半1失点は想定内だと。崩れないことが大事で、2失点目を先にしなかったが重要でした。後半は必ずチャンスがあると信じてプレーしました」
 
Q:後半はチームとしてやってきたスタイルを発揮した中で、1点目、2点目を取った柴山選手のゴールは大きかったと思います。チャンスを掴むことで、プレーヤーとしてもステップアップしていけそうだが?
「そうですね。彼にとって大きな自信になるゴールだったと思います。そういうゴールを取り切るか、取り切らないか。それは天と地の差なので、良かったと思います。満足することなく継続してやり続けることが大事です。ただ、それ以上にチームとして取ったことが素晴らしかった。チアゴが何度もスプリントして、相手の脅威になっていました。それにチームが助けられました。みんながハードワークして最後まで戦った結果の勝利だと思います」
 

■ラファエル ハットン選手

Q:短い時間で2点を決めたが、振り返ると?
「ここ数試合、決めることができていなかったので、まずは決められて良かったです。出場時間に関わらず、試合に向けて日々準備することは変わりません。今日はうまくゴールという形になって出たので良かったです」
 
Q:1点目はチームとして崩した形でした。逆サイドからのクロスにファーで合わせる形は狙い通りですね?
「そうですね。監督からも強く求められています。チアゴやルーカス、他の選手もそうですが、彼らがサイドでボールを持った時は、縦に突破して中にパスが来ることを信じています。そこへ入って合わせる形は常に狙っています」
 
Q:自身で運んで決め切った2点目は、復活を印象付けました。だいぶコンディションも戻ってきましたか?
「そうですね。リズムは戻ってきました。あの場面に関しては、ウイングでプレーしていたことが生きたと思います。自分で運び、自分でシュートコースを見付けることがうまくできたと思います」
 

■進藤 亮佑選手

Q:率直に、復帰した思い、ピッチに戻ってきた思いは?
「(復帰まで時間が)かかり過ぎたな、と。ちょっと無理して試合に出て悪化した感じもあったので、ちょっともったいなかったなと。自分の体をもっと大切に…。大切にしていたのですが、こういうことがないように。連戦で痛まない体作りをしたいと思います」
 
Q:一度、無理して悪化したことも踏まえて、その後は復帰に向けて、慎重に進めてきた感じでしょうか?
「そうですね。監督もかなり慎重に扱ってくれているという感じは受けました。もっと早く戦列に復帰しようと思えばできたのですが、『しっかり治してくれ』ということだったので、その気遣いに感謝しています」
 
Q:出場した時間帯は、相手もパワープレーで来て、ホームの勢いもあり、セレッソとしてはリードしていても圧をかけられていた感じもあったと思うが、実際にピッチではどのような感覚で守っていましたか?
「試合前のメンバー発表の時点で、後半、出番はありそうだなと思っていました。ウェリントン選手が入ってきた時に、監督とは目が合って。僕はランニングシューズでアップして、試合に出そうだな、と思った時にスパイクに履き替えるのですが、ウェリントン選手が入った時点でスパイクに履き替えて、気持ちを作っていました」
 
Q:実際、バチバチにやり合って、ああいう相手と復帰初戦で当たって、スイッチが入った?
「(ウェリントン選手のような選手に対抗できるのが)自分のストロングでもあると思っています。各チーム、強さのある外国人選手はいますが、彼も燃える選手の一人です」
 
Q:雷で中断もありましたが、あの時間帯はどう過ごしていましたか?
「結果的に、僕らにとっては良い中断になりました。あれがなかったら、ズルズルいっていたかも知れません。ただ、配置とか構造的なところは課題も残ったと思います」
 
Q:次節以降、9月は柏レイソル、鹿島アントラーズ、京都サンガF.C.と上位との試合が続きます。前線に個の強い選手がいるだけに、このタイミングで戻ってきてくれたことは心強いが?
「僕自身は勝手に、『そこで復帰してくれ』というメッセージだと思ってトレーニングしていました。もちろん、復帰したばかりで無理はできないですが、試合に出た時は無理しないといけないので。『全部出ろ』と言われれば出ますし、力にならないといけない。身が引き締まる思い、というのが一番、正しい表現かなと思います」