2025明治安田J1リーグ第28節

2025明治安田J1リーグ

2025.8.31

セレッソ大阪

ルーカス フェルナンデス (35')

1

HOME

FULL TIME

1

1-0

0-1

サンフレッチェ広島

木下 康介 (72')

ヨドコウ桜スタジアム

19,899

パリッ!!としたおいしさ シャウエッセンサポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

準備してきた攻守を発揮し、好ゲームを演じるも、勝利まであと一歩。ルーカス フェルナンデスのPKで先制も、2点目を奪えずドローに終わる


激闘の末、1-1の引き分けに終わった前節・ヴィッセル神戸戦から中7日。セレッソ大阪は、再びホームにサンフレッチェ広島を迎え、明治安田J1リーグ第28節に臨んだ。先発は神戸戦から2人変更。体調不良の本間至恩が外れ、チアゴ アンドラーデが2試合ぶりに先発。また、当初は先発として発表されていた田中駿汰が「膝の違和感」(アーサー パパス監督)で直前に外れ、柴山昌也がスタメンに入った。

開始1分、広島にロングボールからセカンドボールを拾われ、ジャーメイン良に最初のシュートを許すと、4分、8分には自陣でのパスをカットされてピンチも招いたが、ディフェンス陣も慌てることなく対応。決定機は与えることなくしのぐと、8分、カウンターから柴山が持ち運び、ルーカス フェルナンデスとの連係でゴールに迫る。やや押し込まれた立ち上がりを経て、時間の経過とともにセレッソがボールを支配、試合の主導権を握り始めた32分、試合を動かす。中盤で香川真司が相手のパスをカット、吉野恭平、チアゴとつなぎ、ショートカウンターを発動。吉野のスルーパスを受けたチアゴが冷静に中の状況を見てパスを送ると、ファーから中に入ってきたルーカスが相手DFに倒されてPKを獲得。これをルーカスが自ら決めて、35分、セレッソが先制に成功した。勢いに乗るセレッソは38分にも決定機。柴山の浮き球のパスに対し、相手DFとの競り合いを制したチアゴがスピードで抜け出し、ドリブルで持ち運び、GKとの1対1を迎えたが、ニアのコースを狙ったシュートは広島の守護神、大迫敬介のビッグセーブに阻まれた。前半の終盤は広島の攻勢を受けたセレッソだが、体を張って守り、前半は1点リードで折り返した。

ハーフタイムに2枚代えで前線と3バックに変化を加えてきた広島だが、後半も最初のチャンスはセレッソ。49分、吉野のスルーパスに抜け出したチアゴが左サイドを突破、中に折り返したが、シュートにはつながらず。59分にもカウンターから好機。最後は前節に続き今節も1トップで先発した中島元彦が反転してシュートを放ったが、大迫に止められた。このあたりから広島にボールを握られ始め、自陣に迫られる時間が増えていったセレッソ。全体を押し下げられ、明確に耐えるべき時間帯が訪れた中で、64分、広島の左サイドからのクロスをGK福井光輝がはじいたセカンドボールを拾われ、川辺駿にミドルシュートを決められた。ただし、ここはクロスに反応した木下康介がオフサイドの判定でノーゴール。流れを変えたいセレッソは66分に2枚代え。ラファエル ハットンと阪田澪哉を投入し、前線にテコ入れを図った。ただし、72分、広島にFKから同点に追い付かれる。新井直人のキックをファーで折り返され、最後は木下に押し込まれた。直後のCKでは佐々木翔にヘディングシュートを浴びるなど、広島の勢いに飲まれかけたセレッソだったが、77分に決定機を作り、押し返す。ルーカスが高い位置でボールを奪い、そのままドリブルで持ち運び、ラストパス。完全に崩した形だったが、ハットンのシュートは再び大迫のビッグセーブに遭い、勝ち越しゴールとはならず。オープンな展開になった終盤は両チームに2点目のチャンスが訪れた中、後半アディショナルタイム、目安の8分に近づいた時間帯で阪田澪哉に決定機。この場面では、ルーカス、ハットン、中島、喜田陽とつなぎ、最後は喜田のパスをペナルティーエリア内で受けた阪田が得意の角度から巻いたシュートを枠内に放ったが、広島の日本代表CB荒木隼人にクリアされ、決勝点は奪えず。試合はこのまま1-1でタイムアップ。3つの決定機を阻まれたセレッソとしては、悔しいドローとなった。

「ここ数年、広島にはクラブとして悔しい思いをたくさんしている。個人的な感情というより、クラブとして、ファン・サポーターに勝利を届けたい」(香川)と強い思いで今節に臨んだセレッソは、開始直前のアクシデントにも動じず広島をあと一歩まで追い詰めたが、勝利とならなず。「両チームとも勝ちにこだわった試合をした。僕らのパフォーマンスも良かったが、この試合を決めたのは相手GKの質だったと思います」と総括したパパス監督の言葉が全てを物語った。決定機を止められたチアゴは、「相手GKを称えるしかない部分もありますが、自分の精度も上げていきたい」と振り返り、ハットンも「次の試合は勝つ」ことを誓った。8月の上位3連戦は2分1敗と勝利を掴むことはできなかったが、できたこと、課題として残ったこと、それらを全てを受け止め、9月以降の戦いにつなげていきたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「両チームとも勝ちにこだわった試合をしたと思います。僕らのパフォーマンスも良かったと思いますが、この試合を決めたのは相手GKの質だったと思います」

Q:先発として発表されていた田中駿汰選手が試合直前にメンバーから外れましたが、理由について
「まず(田中)駿汰の話をする前に、本間至恩が1週間、練習してきたのですが、体調を崩してしまい、今日はメンバーから外れました。駿汰に関しては、試合の直前に膝の違和感がありました。リスクは取りたくないということで、試合直前に交代を指示しました」

Q:その意味では、準備していた形と急遽、2人が代わる形となった中でも、好ゲームを演じたと思います。先ほどミヒャエル スキッベ監督も「Jリーグの中でも素晴らしい試合だった」と話していましたが、今日の勝点1をどう評価されますか?
「広島さんのことはリスペクトしています。勝ちにこだわっているクラブだと思います。監督さんも素晴らしい仕事をされています。今日の試合に関しても、相手の色がすごく出ていました。それに対して、僕らの色も出せたので、見ている人からすれば、すごく良い試合だったと思います。明確なチャンスの数で言えば、僕らの方が多かったと思いますが、相手のGKがワールドクラスのセーブを3回、見せた。そこで決め切れなかったことが、今日の結果につながったと思います」

選手コメント

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:客観的に見れば、最後まで互いがゴールを目指した面白い試合でしたが、プレーヤーとしては、引き分けで終わり、悔しさが残る試合になったと思います。この勝点1をどう振り返りますか?
「我々のホームでもあったので、やはりサポーターの前で勝点1というのは物足りない。勝利を捧げたかったのが正直な気持ちです。ただ、最後までみんなが全力を尽くして戦い続けました。僕自身も、良いゲームができたかなとは思います。細かいところで勝利を逃したという気持ちがあります。これからもハードワークを続けていきながら、こういう試合で勝ち切れるように、トレーニングを重ねたいと思います」

Q:後半、追い付かれた後、ラファエル ハットン選手の決定機につなげた場面など、勝利への執念が見えたが?
「同点ゴールを決められた瞬間は、ものすごく悔しかったです。そこから自分がどう貢献できるかを考えた時、チャンスを作ることだと思いました。ただし、先ほども言いましたが、細かいところでゴールにつながらなかった。精度が足りなかった。ほんの少しのところだったと思います。悔しさが残ります。改めて言いますが、ホームのサポーターの前で勝利を捧げたかったです。次のチャンスが来た時に決め切れる精度を求めてみんなで練習していくしかないと思います」

Q:PKの場面については、日本代表GK相手にも落ち着いて決めたが?
「まず、相手のGKは最高のGKだと思います。PKについては、今シーズンの最初からずっと練習しています。チャンスがあれば、決め切る準備はしていました。PKを獲得して、決めたことで、勝点1の獲得に貢献できたことは嬉しく思います」

■チアゴ アンドラーデ選手

Q:最後まで互いが攻め合った激闘になりました。この勝点1をどう振り返りますか?
「リードしていただけに、苦い味がする勝点1かなと思います。我々にチャンスはたくさんあったので。フィニッシュのところで、相手のGKも良かったですが、自分ももっと精度を上げないといけないと思いました。ただし、継続して、信じてやり続けることが大事です」

Q:先制後、自身が抜け出してGKと1対1を迎えた場面でのシュートは、良いコースに飛んだと思うが、振り返ると?
「一瞬のスピードで相手を置き去りにできました。最初、狙っていたコースをGKが切っていたので、逆を狙いましたが、あれを触られるのは、GKを褒めるしかない部分もあるのかなと思います。ただ、やはり自分の精度も上げたいと思います」

Q:最初はファーを狙っていたが、ニアに切り替えた、ということでしょうか?
「そうですね。最初はファー、右側を狙おうとしたのですが、そこを切られたので、ニアに蹴りました。GKから見ると、正面のシュートではなく、距離もあったと思いますが、あれを止めるのは、GKを称えるしかない部分もありますが、自分の精度も上げていきたいです」

Q:PKに至った場面では、落ち着いてルーカス フェルナンデス選手の動きを見ていた?
「そうですね。試合前からルーカスとはたくさん話をしていました。僕がボールを持った時は、可能なかぎり寄って来て欲しいと伝えていました。あの場面でも、彼を探して、うまくパスを出せたと思います」

■吉野 恭平選手

Q:激闘になったが、この引き分けをどう振り返りますか?
「前節と同様、もったいない失点で、勝点2を落としてしまったな、というイメージの方が強いです」

Q:それだけ、勝ち切れたという手応えもあった試合でしたか?
「相手はマンツーマンで来ていたので、うまくポゼッションはできなかったですが、先制点も取れたし、そんなにやられる感じもなかったので、何とか勝点3を取りたかったです」

Q:後半に入り、失点の直前は押し込まれる時間も増えていましたが、あの時間帯はどう感じてプレーしていましたか?
「相手も交代選手が入ってきて、押し込まれている感じはありました。盛り返さないといけない時間帯だったことは間違いなかった中で、受け身に回ってしまった。もっとアグレッシブに戦っていくのがセレッソのスタイルだと思いますし、中盤でそういう姿勢を見せられなかったことで、失点を招いてしまったと思います」

Q:試合前に田中選手が急遽、外れる形になりましたが、役割に変化はありましたか?
「いえ、特に。誰が出てもボス(パパス監督)のやりたいサッカーをやる。そこは駿汰が抜けたからと言って、タスクが変わることはなかったですし、不安なく入れました」

■香川 真司選手

Q:互いに攻め合い、多くのチャンスを作ったと思いますが、この勝点1をどう振り返りますか?
「守備はうまくできていたと思います。ただ、やられるならセットプレー、パワープレーに近いものかなと思っていました。流れからやられる気はしなかった。ただ、耐えないといけなかった時間帯で失点してしまったことは、広島の強さであると同時に、僕たちのあと一歩のところの力不足。もっとできたと思います。そこはチームとして追い求めていかないといけないです」

Q:先制点につながった場面で起点になったのは、香川選手のパスカットからでした。あそこは狙い通りの守備から攻撃につながった?
「そうですね。みんなで連動して、コンパクトに良い守備ができました。取った後も、チアゴであったり、前の3トップが良いポジションを取れていた。カウンターから相手の3バックの裏を突いてチャンスは作れていたので、そこは狙い通りでした。ただ、ヴィッセル戦と同様、2点目が必要でした。そこは課題になりました」

Q:上位との3連戦で、今の自分たちができたこと、できなかったことが見えて、これを今後のリーグ戦でも生かしていくことが大事?
「そうですね。ここから少し中断に入るので。この2試合、守備は粘り強く守れているので、攻撃のところで精度を上げていかないといけない。単体で無理なら、チーム全体で襲い掛からないといけない。チーム全体で再現性を持って組み立てることであったり、崩し切ることであったり、ゴール前で確実に取れるシチュエーションを作ることであったり。そういうシーンを増やしていくしかない」

Q:試合前に急遽、田中選手がメンバーから外れ、香川選手のポジションも変わりましたが、その影響に関しては?
「もちろん、試合直前だったので。駿汰はキープレイヤーの一人でもありますし、キャプテンでもあるので。ただ、それもチームの力に変えてできた部分もあったと思います」

Q:キックオフの前に柴山選手に声をかけている様子もあったが?
「アクシデントの中で彼も難しいスタートだったと思いますが、こういうところで結果を残すか残さないか、自分を表現できるかできないか。日頃の準備が問われる状況だったので、それを後押しできるように声をかけました」

■ラファエル ハットン選手

Q:決定機がありました。あの場面を振り返ると?
「自分としては、コースをしっかり狙った、良いシュートが打てたと思いますが、GKを褒めるしかないと思います。GKの逆を取ったつもりでしたが、防がれてしまった。今日、彼はあのプレーだけではなく、素晴らしいセーブをいくつもしたと思います」

Q:お互いが攻め合った中で、相手の好プレーもあり、今日の勝点1は受け入れざるを得ないでしょうか?
「両チームとも勝つことにこだわって最後まで戦いました。すごく良い試合でした。我々にもたくさんのチャンスがあり、1点は取りました。ただ、先ほども言いましたが、相手のGKが素晴らしかった。それは試合ではあることなので、また次の試合に向けて良い準備をして、次の試合は勝ちたいと思います」