第27節
2025明治安田J1リーグ
2025.8.23土
セレッソ大阪
香川 真司 (35')
1
HOME
FULL TIME
1
ヨドコウ桜スタジアム
1-0
0-1
ヴィッセル神戸
エリキ (48')
ヨドコウ桜スタジアム
21,578人
ヨドコウサポーティングマッチ
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「サポーターにとっては良い試合だったと思います。両チームが勝ちを目指して最後まで戦いました。互いに違うスタイルのフットボールをぶつけ合った試合になりました。試合を通して、『自分たちがやりたいことを出そう』といった部分はすごく良かったと思います。(神戸の)セットプレーで耐えることもできました。神戸さんのスタイルとして、ロングボールを入れて、そこからのセカンドボール、セットプレーが強みです。99%しっかり守ったのですが、1%で失点につながってしまった。ただし、前節の試合で出せなかった部分、表現できなかった部分は、今節、見られたと思うので、そこは評価したいと思います」
Q:先発はフィジカルや高さを重視した選考にも見えました。先ほど話された神戸の強みに対抗する狙いもあったのかなと思いますが、今日の先発を選択した理由について
「その答えの一言目としては、前節の後半に出た選手たちをちゃんと評価してあげないといけない、という思いもありました。また、1週間を通してトレーニングでも見せてくれました。後ろに構えるのではなく、自分たちからボールを動かして、表現したいサッカーがありました。今日はそれを表現できつつありましたが、最後に決め切るところはまだまだ課題になったと思います」
Q:開始早々にプレスを受けて被決定機がありましたが、得点シーンでは、後ろからつないで相手をはがし、フィニッシュまでつなげました。後半もパスをつないでカウンターから決定機を作りました。前節、できなかったセレッソのスタイルを王者・神戸相手にも出せた、という評価でしょうか?
「そうですね。ただし、自分たちは再三チャンスを作った中で、(2点目を)決め切れなかった。逆に神戸さんは後半1回のチャンスをエリキ選手が決めた。その差は大きくありました。僕らができることは、さらにチャンスの数を増やすこと。そういう展開を増やすことを、これからもやっていきたいと思います」
Q:今季の神戸戦は1勝1分です。トータルでの評価は?
「神戸は一貫性を持って強化して、順位も上げています。僕らも今の順位で満足することはできません。ここから順位を少しでも上げていくことを目標にやっていきます。チームとしてもそうですが、クラブと一緒に考えながら、どうやって上げていくのか。共有しながら一体となって、しっかりと戦い、最後まで順位を上げていきたいと思います」
Q:得点を決めた香川選手について。得点以外にも、デュエルの部分やチャンスメイクも含め、存在感を発揮していたが?
「個人だけを評価するのは良くありません。彼が得点するまでに、パスを20本近くつないで崩しています。ただし、彼が正しいポジションにいたことで、ゴールを決めたという意味では、彼はよく分かっている選手だと思います。チームとしても前節より良い部分がたくさん出ましたが、こういう試合を勝つことが大事です」
Q:キックオフでは、田中選手が前方へ大きく蹴り出しました。最近のサッカー界では良く見られるシーンですが、狙いについて
「前節は開始から後ろ向きになってしまったので、今節は前向きに蹴って、そこからしっかりプレスをかけて、メンタリティーとしても押し込んでいくことが狙いでした」
選手コメント
■香川 真司選手
Q:得点は多くの選手が関わって崩したゴールでした。振り返ると?
「良い崩しでしたね。良いスタートを切れたので、勝ちたかったです」
Q:ルーカス選手が簡単にクロスを上げるのではなく、左サイドの背後へ展開し、中央に折り返して決める形は今までにはなかったバリエーションだったと思うが、連係が深まっている?
「いや、もっと深めたいですし、それができるクオリティーがある選手はいます。満足してはダメですし、今日も2点、3点と取らないといけなかった。もっとできた、という感覚しかありません」
Q:香川選手自身、ボックス内での決定力やクオリティーが試合を重ねるごとに上がっている印象だが、自身としての手応えは?
「試合に出続けることが大事。一回、休むと、上げるのが難しい。今日も武藤選手や大迫選手とそういう話もしたんですけど、この年齢になると、試合に出続けないと、コンディションは上がらない。いくら練習をハードに積んでも、本番のこの雰囲気の中でやり切らないと、上がっていかない。逆に言えば、出続けたらもっとコンディションは上がっていくでしょうし、その感覚を大事にやっていきたい気持ちが強いです」
Q:前節は悔しい負け方をした中で、今節は最後まで互角以上に神戸と渡り合いました。そうしたチームのリバウンドメンタリティーについては?
「王者・ヴィッセル相手に(やれた部分もあったが)、彼らも過密日程で万全ではなかったと思います。必ず勝てるチャンスはありました。僕たちのホームですし、良いサッカーをしただけではなくて、勝たなくてはいけなかった。それに尽きるかなと思います。引き分けは個人的には悔しいです。でも何かしらの理由はあるわけで、それをクラブとして突き止めていかないといけない。こういう試合を勝てるようにならないといけない。悔しいです」
Q:異なるスタイルがぶつかり合った試合でした。相手のロングボールに対応しながら、守備で我慢をしながら、自分たちのスタイルを出すことは難しさもあったと思うが、セカンドボールの争いも含めて、戦えたという一定の評価もできる?
「評価と取るのか、勝ち切れなかったと取るのか。やっぱり勝ち切れなかったと取らないと、チームは強くならない。どうやったらこういうチームに勝てるのか。ましてや彼らは中2日で来ているので、僕らは勝たないといけなかった。それに尽きると思います」
Q:毎試合、勝利を目指している中で、次節のサンフレッチェ広島戦こそまさに勝ち切ることが大事?
「そうですね。町田、神戸、広島と、この3連戦は、試合前から(真価が問われると)言ってきましたが、彼らが上位でやっているには理由があります。その相手に自分たちがどこまでやれるのか、勝てるのか、そこが問われています。結果を求めたいし、勝ち切ることが何より大事。次もまたホームでできるので、1週間、準備してやっていきたいと思います」
■本間 至恩選手
Q:アシストもありましたが、自身の評価に関しては?
「アシストという数字が付いたことは良かったです。やっぱりゴールやアシストをすることで評価も高まるので。ただ、みんながつないでくれて、良い形で自分にボールが入った時の、自分の最後のクオリティーはもっと上げたい。カットインからのシュートやクロスは、もっと質を上げていかないといけない。そうすれば、もっと数字も付くし、チームも勝たせることができる。まぁでも、それが簡単にできれば、スーパープレーヤーなので(苦笑)、簡単ではないですが、日々、努力していきたいです」
Q:香川選手に出したパスは、狙い通りでしたか?
「そうですね。相手も駆け引きしてきて、自分にシュートを打たせるか、(香川)真司さんへのパスコースを切るか、駆け引きしてきたのですが、左足で打てる位置に落としてあげたら真司さんも打ちやすいと思ったので、落としました。あとは真司さんがしっかり決めてくれました」
Q:後半も左サイドから崩してチャンスを作るシーンもあったが?
「自分のところでプレースピードが上がり過ぎた感じもありました。みんなが疲れている時間帯は、流れも考えないといけない。自分はスタメンを取るために結果を残したい、という思いもあって、どんどんプレースピードが早くなってしまう。そこは試合を重ねながら、流れを読んでいければと思います」
■田中 駿汰選手
Q:互いのスタイルをぶつけ合った好ゲームの末、引き分けで終わりましたが、振り返ると?
「チームとしての手応えはあった試合になったと思いますが、内容的には勝たないといけない試合だったので、勿体なかったなと思います」
Q:2点目を取れるチャンスもあった、ということですね?
「そうですね。僕にもチャンスはありました。ただ、2点目を取れないにしても、あの失点は防がないといけなかった。相手がああいうシーンを作って得点につなげることは分かっていたので。相手の狙いにまんまとやられた、という部分で、防がないといけなかったです」
Q:前節から改善できたところは?
「シンプルに球際の部分ですね。そこで負けなかった。前節の町田戦では、そこで負けて相手に主導権を握られた。今日はそこで勝てていたので、前半のようなゲームになったと思います。後半も決して負けていたわけではなかったですし、自分たちの形も作れていました。その中で、追加点を取ること、失点しないこと、それが今日の反省になりました」
Q:中盤から後ろは新加入選手も多かったですが、彼らがフィットしている手応えもありますか?
「そうですね。夏に入ってきた選手も戦術を理解していますし、チームにプラスになるプレーしてくれています。今日も良いチャレンジをしてくれました。ここからより良くなっていくと思います。選手個人の良さも出していきながら、チームとしても勝っていきたいです」
■吉野 恭平選手
Q:激しい試合でしたが、堂々と渡り合っていたと思います。振り返ると?
「想定はしていましたが、前半は相手も思ったよりマンツーマンで来ましたし、強度も高かった。どうなるか、と思ってやっていましたが、意外とできた部分もありました。ただ、チームとしても、個人としても、アピールするには勝ちが必要だったので、そこはすごく悔しいですが、また1週間やり続けるしかないと、強く思わせてくれる試合でした」
Q:相手のやってくることはシンプルですが、分かっていても脅威な部分はありましたか?
「そうですね。ターゲットに目掛けて蹴ってくることは分かっていましたが、失点場面はやられてはいけないパターンでした。チーム全体でどう防ぐか、話し合っていかないといけないと思います」
Q:互いにスタイルをぶつけ合う中で、得点場面も含め、セレッソが上回れた部分も随所にあったのでは?
「前半の得点もそうですし、後半開始の(田中)駿汰の決定機も崩しました。そこはポジティブですが、無駄な失点をしてしまうと勝てない。勝てないと意味はないですが、個人的には自信になった試合でした」
Q:Jリーグに復帰され、J1リーグを連覇中の相手に対してやれることを示せたことは、個人的にも次につながるのでは?
「もちろん、課題もいっぱい出た試合でしたが、Kリーグから復帰して、強度のところが一番、心配だったのですが、そこはある程度、出せました。ゲームスピードに慣れる部分も心配だったのですが、意外とゲームに入れたなという印象でした。もっと出場機会を得られるように練習からしっかりやっていけば、もっと成長できるかなと思います」
Q:球際のところでは負けていなかったが?
「そこで負けたらピッチに立っている意味はないと思っていました。そこでダメだったらすぐに代えられると思って、危機感を持ってやっていました。そこは最低限、出そうと思っていました」
Q:次節は古巣でもある広島が相手です。広島も強度が高いですが、セレッソのサッカーをぶつけていく?
「そうですね。誰が出てもセレッソのスタイルを出せるように、また練習から強く要求されると思うので、みんなで頑張りたいと思います」
■福井 光輝選手
Q:神戸は徹底して長いボールを入れてきました。守備陣としては、かなりストレスもかかる試合になったと思うが?
「でもあれが神戸さんのスタイルですし、分かっていたことでした。前節の町田戦は完敗したので、今節は自分たちのスタイルを貫こうという思いで臨みました。前からプレスをかけて、ボール保持では下からつなぐこと。自分たちを信じてやろうと、この1週間、準備してきたので、それを出せた部分もありました。ただ、後半の開始早々、1本のロングキックからやられてしまったので…。まぁでも、(総じて)ポジティブな試合だったのかなとは思います」
Q:スタイルがぶつかり合った中で、福井選手から始まった得点シーンでは、自分たちのスタイルを出せた?
「チームとして、ゴールキックからポジションを取ってくれるので、僕も自信をもって付けられます。このサッカーは一人だけではダメですし、みんながつながっていないとうまくいきません。練習の成果、スタイルを信じた結果が、得点にもつながったと思います。あとは勝ちだけでした」
Q:立ち上がり、プレスを受けてピンチを招いた場面については?
「僕がボールを溜め過ぎて、(井上)黎生人に嵌る形になってしまった。そこはチームとしても、僕個人としても改善点です。最近は立ち上がりに失点するシーンも多いので、後半のようなロングキックの選択肢を最初から入れておかないといけないと思いました」
Q:ロングキックと言えば、今まで以上に、意図的に届けるロングフィードも見られたが?
「そうですね。それもやっぱり、前半、下からつないでいたから、後半、空いてきた部分もあると思います。もちろん、下から全部つないで崩せたらいいですが、そう上手くはいかないので、下のパスを2、3本見せて、ロングキックを狙う。逆にロングキックを見せれば、下のパスも空いてくる。その使い分けはしていきたいです」
Q:完敗に終わった前節・町田戦の次の試合でリカバリーできたことは大きい?
「後ろ向きのメンタルになりがちな状況でしたが、自分たちを信じて練習してきました。ボールを支配すること、みんなでプレスにいくこと、攻から守のリアクションもすぐに切り替えること、その3つを今週は練習からやってきました。そこは出せた部分もあるので、良いメンタリティーで試合に臨めたと思います。あとは勝つだけでした。GKとしても、シュートを止めてナンボなので、失点場面にフォーカスして、次は失点ゼロで勝ちたいです」
スタイルを取り戻し、攻守に前向きなメンタルを発揮。勝利にはあと一歩届かずも、王者・ヴィッセル神戸を相手に堂々と渡り合い、勝点1を獲得
0-3で完敗を喫した前節・FC町田ゼルビア戦から中6日。セレッソ大阪は、ホームに戻り、ヴィッセル神戸との明治安田J1リーグ第27節に臨んだ。先発は町田戦から4人変更。大畑歩夢、吉野恭平が加入後リーグ初先発を果たし、本間至恩が第25節・新潟戦以来2試合ぶり、香川真司が第24節・湘南戦以来3試合ぶりのスタメンとなった。
開始早々、セレッソは最終ラインでボールを失い、ショートカウンターを浴びると、GKと1対1のシーンを作られたが、ジェアン パトリッキのシュートはGK福井光輝がストップ。守護神のビッグセーブで失点は免れた。2分にも、神戸のロングボールからサイドで起点を作られピンチも招いたが、ここもしのぐと、9分にビッグチャンス。吉野が中盤でボールを奪い、香川、本間を経由して左サイドを崩し、最後は大畑のクロスにファーサイドからルーカス フェルナンデスが飛び込む。シュートこそ打てなかったが、鮮やかな崩しだった。12分にも高い位置で奪って、ショートカウンターから決定機。香川のラストパスに抜け出したルーカスがシュートを放ったが、DFのブロックに防がれた。試合の中盤は神戸にロングボールやセットプレーからゴールを脅かされたが、失点はせずに飲水タイムを迎えた。ボール保持では上回るセレッソは、32分、この試合でもキレのある動きを見せていた本間が左サイドからカットインしてシュート。惜しくもクロスバーを越えたが、積極的にゴールを狙う。攻勢に出た35分、セレッソが先制に成功。GK福井を起点に後ろからパスをつないで前進、神戸のプレスをはがして右サイドへ展開すると、ルーカスがドリブルから中へ持ち運び、ファーサイドへパス。ペナルティーエリア内で受けた本間が冷静に中へ折り返し、香川が左足で決めた。この場面では、実に10人の選手がボールに関わり、20本のパスをつないで得点に至った。GKの福井は、「このサッカーは一人だけではダメですし、みんながつながっていないとうまくいきません。練習の成果、スタイルを信じた結果が、得点にもつながったと思います」と誇らしげに振り返った。
神戸はハーフタイムに2枚代え。エース・大迫勇也とエリキを投入し、攻撃に変化と厚みを加えてきた。ただし、後半最初の決定機はセレッソ。47分、右サイドを崩し、最後は香川のパスを受けたルーカスのクロスに田中駿汰がヘディングで合わせたが、無情にもクロスバーを越えた。すると、直後のゴールキックから失点。前川黛也のキックをエリキが競り、収めた大迫のスルーパスに抜け出したエリキにGKとの1対1を決められた。神戸のロングボールに対し、競ったあとのこぼれ球を拾われる攻撃は、セレッソとしても最も警戒していた形だったが、この場面では相手の個の力に上回られた格好となった。後半、神戸に許した決定機はこの一つだけ。キャプテンの田中も、「防がないといけなかった」と試合後は悔しさを滲ませた。もっとも、同点に追い付かれた後も気落ちすることなくプレーを続けたセレッソは、カウンターから左サイドを起点に何度も好機を創出。59分、本間から香川、吉野とつなぎ、最後は中島元彦がシュート。この試合では出場停止のラファエル ハットンに代わって1トップに入った背番号13は、7分後にも決定機。大畑のクロスに完璧なタイミングで合わせたが、渾身のヘディングシュートはGK前川のビッグセーブに防がれた。82分にも左サイドを崩すと、最後は途中出場の喜田陽が右足を振り抜いたが、DFにブロックされた。神戸の攻撃もしのぎつつ、試合終盤にかけても攻勢をかけたセレッソだったが、勝ち越しゴールは奪えず、試合はこのまま1-1で終了。白熱の関西対決は勝点1を分け合う結果に終わった。
「両チームが勝ちを目指して最後まで戦いました。互いに違うスタイルのフットボールをぶつけ合った試合になりました。試合を通して、『自分たちがやりたいことを出そう』といった部分はすごく良かったと思います」とアーサー パパス監督も試合を振り返るなど、セレッソとしては神戸のストロングである球際でも負けず、吉野や大畑といった新戦力も躍動。前節の完敗からしっかりとリバウンドメンタリティーを発揮したことは収穫だった。一方で、神戸が直近の試合から中2日のアウェイ連戦だったことも踏まえると、試合内容も含めてホームで勝ち切りたい試合であったことも確か。再びホームにサンフレッチェ広島を迎える次節こそ、「結果を求めたいし、勝ち切ることが何より大事」と香川。1週間、再びチーム全員で良い準備を重ね、近年の天敵でもある広島から勝点3を掴み取る。