第26節
2025明治安田J1リーグ
2025.8.16土
FC町田ゼルビア
ナ サンホ (22')
林 幸多郎 (42')
オ セフン (79')
3
AWAY
FULL TIME
0
町田GIONスタジアム
2-0
1-0
セレッソ大阪
町田GIONスタジアム
11,971人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「町田さんに『おめでとう』と言いたいです。勝利に価する内容だったと思います。入りが僕らの予想していたものではなかったです。受け身過ぎたところ、ボールを持っている時の判断も悪かったです。相手の強みとして、デュエルで負けるシーンが多かったですし、そうなると、相手に流れを持っていかれる。そういう試合でした。ただ、後半は良い反応が見られました。3つ大きなチャンスもありました。試合展開として、1-2にもっていけたら違う試合にできたと思います。1点を取れば何かが変わる試合でしたが、相手に3点目を決められて、再び流れをもっていかれました。相手はボックス内でのシュートも強かったです」
Q:一言で言えば、「町田が強かった」という試合ではありましたが、残念だったのが前半の戦い方です。ボール非保持の際は、田中選手が後ろに落ちて、3バックないし5バックで対応しました。サイドのミスマッチを防ぐ狙いもあったと思いますし、過去に3バックで勝利した試合もあるので、一概にシステムの問題ではないと思いますが、結果として、下がり過ぎてしまい、自分たちの良さが全く出せない前半になりました。この戦い方を選択した理由と、なぜこのような内容になってしまったのか?
「相手の陣地では、いつも通りプレッシャーを掛けようとはしていました。ただ、掛かっていようがいまいが、相手はロングボールを蹴ってくるのがスタイルです。(後ろを)5枚で揃えて、(サイドに)振られた時に、すぐ相手のウィングバックに対応できるようにすることが狙いでした。(相手は)大外に余る選手がいるので、振られた時に対応することが狙いでした。いつもであれば、自陣でもっとアグレッシブな守備をできるところが、今日は受け身に回ってしまった。(1失点目は)相馬(勇紀)選手のクロスをチアゴ(アンドラーデ)がクリアミスしたところもありましたが、それにしても、相手のFWに(自分たちのDFが)4枚いる状況だったので、受け身に回り過ぎてしまった。そこが前半は大きかったです。前半はボールを持った時も良くなかった。ボールが入った時に収められなかった。相手のプレスを受けて、そこでボールを奪われてしまった。正直、後ろが3枚でも4枚でも5枚でも変わらなかったのかなと。システムを使ってどう戦うかが問題で、最終的にデュエルで勝つか負けるか、そこが大きく響いた試合にもなりました」
Q:試合前、「前節から、さらに基準を上げないといけない。自分たちのフットボールをしながらも、しっかりセカンドボールを拾うこと、デュエルでの強さを出すことが大事」という言葉もありましたが、やはりその部分で劣ってしまったことが、結果にも大きく反映された?
「パーツごとには上げられるかもしれないですが、その部分(デュエル)に関しては、彼ら(町田)はそういった選手をリクルートしている、ということもあると思います。優勝を狙うチームを作りたければ、それに合わせた選手を集めて、しっかりと落とし込む作業が必要になるのだと思います」
選手コメント
■畠中 槙之輔選手
Q:立ち上がりから、チームとしても個としても重さが見えたが?
「そうですね。受け身になってしまったので、全体として入りは良くなかったです」
Q:後ろを5枚で守る部分に関しては、監督も「(サイドに)振られた時に、相手のウィングバックに対応できるようにすることが狙い」と話していたが、引き過ぎた感も?
「引き過ぎたというか、シンプルに相手の高さ勝負のところで勝てなかった。フリーで蹴らせていることもそうですし、高さのところでギャップを突かれて、起点を作られた。一つ一つの勝負のところだと思いますし、もう少し全体として整理できたのかなと後悔しています」
Q:ボールを持った時も自分たちの良さを出し切れなかった印象だが?
「相手のプレスはそんなに苦しくなかったですし、嫌ではなかったですが、守る時に5枚になっている分、取った瞬間、トランジションでどうしても後ろが重くなってしまう。いつもみたいに、前へ前へという、取った瞬間の推進力が出せませんでした。せっかく取っても真ん中で取り返されるシーンも多かったので、今日はそこが課題になりました」
■福井 光輝選手
Q:試合に臨む前と、戦い終えての心境は?
「気持ちとしては、いつも通り入ろうと心掛けました。(町田には)ヨドコウで負けているので、今日は勝ってサポーターに勝利を届けたい気持ちで臨みましたが、完敗でした」
Q:入りを含めて、前半は町田の勢いを受け過ぎたというか、少し重かった印象だが?
「そうですね。もっと僕の方から裏返すキックを蹴ることができれば良かったですが、あまり効果的に出せず、僕自身もミスが続いてしまい…。相手には高い選手もいますし、競り合いで負けて、いいところに落とされて、後ろ向きにプレーすることが多くなった。相手の良さが出たことで、セットプレーやロングスローも続いて、自分たちにとってはリズムが出にくい試合になりました」
Q:前半の中で流れを変えることは、今日に関しては難しかったですか?
「失点ゼロで進めていければ、後半のような展開になるとは思っていたのですが、立て続けに2点を決められてしまった。チームとしてもずっと失点しているので、僕も含めてそこは課題です。GKである以上、止めてナンボなので、練習から意識してやっていきたいです」
Q:アウェイとして町田と戦った感想は?
「雰囲気は異様でしたね。最初の5分、10分は圧力を感じました。ただ、もっとセレッソもできたのではないかと思います」
■香川 真司選手
Q:前節の試合後、「(次からの3試合は)真価を問われる」という言葉もあった中で、優勝争いしているクラブとの、力の差を見せられる内容になった感もあるが?
「色々な考え方ができるかもしれないですが、個人的には、チームとして完敗だったと思います」
Q:香川選手はプレーしていませんが、特に前半は重たいというか、相手を受け過ぎた感があり、自分たちの良さを出せなかった印象だが?
「そうですね。町田のフィジカルやセットプレー、ゴール前でのクロスの強さも含めて、その中でどう戦うか、練習してきましたが、(前半の)中盤以降はメンタル、重心が後ろ向きになってしまった。もちろん、前半は苦しい時間帯があることも想定はしていました。前節は同じように神戸が前半で(町田に)0-2でしたけど、2年連続優勝している神戸でも、今の町田には苦戦していたので、当然ながら厳しい戦いになるとは思っていましたが、(実際に押し込まれたのは)自分たちの実力です。後半の10分、15分ぐらいまでに1点を返せるチャンスもありましたが、それを返せないのも自分たちの実力です。これをどうチームとして受け入れて、やっていくかが大事だと思います」
Q:後半に入る前、パパス監督とはどのようなコミュニケーションを?
「0-2だったので、どう戦っていくか、という部分の話をしました。個人的には頭をリセットして、もう一回、0-0の気持ちで、引きずらず、1点を返せば何があるか分からないという気持ちで後半に入りました。3点目を入れられたら難しくなる、とは思っていました」
Q:反撃の糸口を探る中で、どうイメージしながらプレーしていた?
「なかなか難しかったですね。相手も非常にタイトに来ていましたし、こういうフィジカルが強い、インテンシティーの強い相手にセレッソは相性が良くない、苦戦しているイメージがあります。次はヴィッセルで、その次はサンフレッチェ。同じようなチームが続くので、改めて、チームとしてどうこの負けを生かすか。同じことを繰り返さないことが大事ですし、今日の敗戦を受け入れてやっていくしかないです」
■大畑 歩夢選手
Q:セレッソ大阪でのデビュー戦になりました。難しい状況での出場でしたが、どういったことを心掛けてピッチに入りましたか?
「0-2の状況で入ったので、まずは1点を取ることを目指して入りました」
Q:本間至恩選手と同時に入りましたが、左サイドでの連係については?
「浦和でもそこまで組むことはなかったですが、半年一緒にやった分、お互いの良さは分かっています。何度か左から作れたのかなとは思います。狭いスペースでも2人で連係を取りながら打開していくことは得意だと思うので、それはこれからも出していきたいです」
Q:フラットな状態で、スタートからプレーすれば、戦い方にフィットしそうなポジティブな印象も受けたが?
「スタートからだとまた違うと思いますが、推進力やコンビネーションは出していけると思います」
Q:次節以降も神戸、広島と上位陣との対戦が続くが?
「もちろん、勝って、上を目指すだけです。神戸、広島に勝てば上に行ける。本当は今日も勝ちたかったですし、今日の試合で勝てば、また違った景色も見られたと思うので。ただ、負けてしまったので、切り替えて次に臨みたいです」
上位浮上を果たすため、リベンジを期して臨んだFC町田ゼルビア戦は、前半に2失点、後半に巻き返すも追撃のゴールは生まれず、0-3で完敗
リーグ戦3試合ぶりの勝利を手にした前節・アルビレックス新潟戦から中4日。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込み、FC町田ゼルビアとの明治安田J1リーグ第26節に挑んだ。スタメンは新潟戦から2人変更。柴山昌也と本間至恩が外れ、ラファエル ハットンとチアゴ アンドラーデが先発した。
ワイドに張り出す町田の右ウィングバック、望月ヘンリー海輝へのロングボール対策として、今節のセレッソは、ボール非保持の際は田中駿汰がDFラインに下がって3バックを形成する[5-4-1]を採用。「(相手は)大外に余る選手がいるので、(後ろを)5枚で揃えて、(サイドに)振られた時に、すぐ相手のウィングバックに対応できるようにすることが狙いでした」と試合後にアーサー パパス監督は意図を語った。これまでも3バックの相手に対し、何度もウィングバックに痛い目に遭ってきた。特に望月は192cmと長身で、奥田勇斗がスライドして対応するには、分の悪さも否めない。それだけに対策としては十分に理解できた。ただし、試合開始からディフェンスラインが下がり過ぎ、必要以上に撤退守備で構える形になった。必然的に、前線からのプレスはかからず、町田に容易にボールを運ばれ、セレッソは守勢に回ることを余儀なくされた。8分にネットを揺らされたシーンはオフサイドの判定に救われたが、22分に失点。警戒していた相馬勇紀の突破からクロスを上げられると、戻って対応したチアゴのクリアが不完全になったところを拾われ、ナ サンホに強烈なミドルシュートを決められた。この場面でも全体が下がり過ぎ、寄せが遅くなった。35分の中山雄太のミドルシュートは古巣対戦となったGK福井光輝が好セーブでしのいだが、42分、昌子源の1本の縦パスから林幸多郎に決められ2失点目。堅守を誇る町田に対し、前半で2点のビハインドという苦しい展開になった。前半は攻撃でも、「取った瞬間、トランジションで後ろが重くなってしまい、前へ前へという推進力が出せなかった」と畠中槙之輔。ボール保持の際は通常の[4-2-3-1]で、この試合はトップ下で先発した中島元彦が2本のシュートを放って気を吐いたが、“パパス・セレッソ”らしいアタッキングの色を出せないまま、前半45分が終了した。
2点を追いかける後半、パパス監督は中島と喜田陽に代えて香川真司と吉野恭平を投入。戦い方も普段のやり方に戻した。セレッソが攻めるマインドになり、2点をリードした町田が引いたこともあり、後半の立ち上がりはセレッソが猛攻を仕掛ける。53分、吉野が高い位置で奪い、田中が素早く前に付けると、ハットンがチアゴとのワンツーで抜け出し、決定機を迎えたが、シュートはGK谷晃生に防がれた。続くCKからも決定機。ショートコーナーで変化を付けると、チアゴ、香川、田中とつなぎ、再びハットンにチャンスも、今度はDFにブロックされた。60分にもルーカス フェルナンデスのスルーパスを受けたハットンにチャンスも、再びGK谷のセーブに遭う。「後半は良い反応が見られました。3つ大きなチャンスもありました。試合展開として、1-2にもっていけたら違う試合にできたと思います」とパパス監督も振り返ったように、1つ決めれば試合の行方は分からなかったが、ここを町田にしのがれると、64分には、長身のオ セフンと仙頭啓矢が交代でピッチに入る。すると79分、相馬のクロスをオ セフンに決められ3失点目。勝負を決定付けられた。それでも、セレッソも状況を打開すべく最後まで懸命にプレー。特に、3失点目を喫する前に入った本間と大畑歩夢、左サイドに入った2人の縦関係で崩しを試みる。この試合がセレッソでのデビュー戦となった大畑は、「狭いスペースでも2人で連係を取りながら打開していくことは得意。それはこれからも出していきたい」と今後に期待が持てるプレーを見せた。87分には、フェルナンデスに代わって阪田澪哉もピッチに入る。後半は再三、町田のゴール前まで迫ったが、1点が遠かった。
前回対戦から約4ヶ月。その間、リーグ戦では12試合で勝点24を獲得するなど、当時からの成長をぶつけたい一戦だったが、試合前に指揮官がポイントにも挙げたデュエルでも「負けるシーンが多かった」(パパス監督)と、公式戦10連勝と無類の強さを見せる町田の勢いを痛感する形で完敗に終わった。もっとも、下を向いている時間はない。「次はヴィッセル(神戸)で、その次はサンフレッチェ(広島)。(町田と)同じようなチームが続くので、チームとしてどうこの負けを生かすか。同じことを繰り返さないことが大事ですし、今日の敗戦を受け入れてやっていくしかない」と香川。強度の高い相手が続く8月。今節の学びを次節以降に生かしたい。