天皇杯 JFA 第105回 全日本サッカー選手権大会ラウンド16(4回戦)

2025.8.6

FC東京

仲川 輝人 (55')

長倉 幹樹 (80')

2

AWAY

FULL TIME

1

0-0

2-1

セレッソ大阪

香川 真司 (60')

ヨドコウ桜スタジアム

ギャラリー

MATCH REVIEW

今シーズン3度目のFC東京戦。香川真司のゴラッソで追いつくも、1-2で惜敗。天皇杯ベスト8進出を逃す


明治安田J1リーグ第24節・湘南ベルマーレ戦から中17日。セレッソ大阪は、ヨドコウ桜スタジアムにFC東京を迎え、天皇杯ラウンド16に挑んだ。先発は湘南戦から2人変更。GKにキム ジンヒョンが入り、右サイドバックには阪田澪哉がスタメンに名を連ねた。

立ち上がりからセレッソがボール保持の時間を増やす。後ろから軽快なテンポでつないで相手陣に迫ると、選手個々で目立ったプレーを見せたのは阪田。3分、香川真司のパスを受けて縦に突破しCKを獲得すると、12分にも喜田陽のパスを受けてハーフスペースへ進入。16分にはチーム全体で前からのプレスで奪い、最後は阪田が右サイドを深く切れ込んだ。23分にも高い位置で奪ってショートカウンターを発動。香川のパスに抜け出したラファエル ハットンに対し、ペナルティーエリア内でFC東京のセンターバック、アレクサンダー ショルツの手がかかったかに見えたが笛は鳴らず、0-0のまま前半の飲水タイムを迎えた。飲水タイム明けもセレッソがゴールに迫る。32分には、ルーカス フェルナンデスが直接FKからゴールを狙ったが、GKキム スンギュの好セーブに防がれた。守備では、背後を狙ってくるFC東京の2トップに対して畠中槙之輔と西尾隆矢がケア。奥田勇斗と阪田の両サイドバックも穴を空けずに守る。前半の終盤はFC東京にボールを握られ攻め込まれる場面もあったが、GKキム ジンヒョンが判断よいプレーも見せるなど、ゴールを割らせない。前半アディショナルタイムにはゴール前のこぼれ球に反応した香川にチャンスも訪れたが、シュートはクロスバーを越えた。

試合開始の時点でも34℃という高温多湿の蒸し暑さがピッチを覆う中、後半に入り、両チームのギアは一段上がる。後半最初に決定機に近いチャンスを作ったのはセレッソ。50分、高い位置で喜田が奪うと、香川が持ち込み、ハットンへラストパス。ただし、ここは戻ってきた相手に防がれ、シュートを打ち切れず。すると55分、FC東京に先制を許す。自陣右サイドでつながれると、最後は長倉幹樹のパスから斜めに抜け出してきた仲川輝人がGKとの1対1に。キム ジンヒョンも何とか手には当てたが、ボールはゴールに吸い込まれた。ただしセレッソも60分、すぐさま同点に追いつく。ボールを保持して右サイドで押し込むと、喜田のパスを受けたルーカスがダイレクトで中へパス。受けた香川が右足で打つと見せかけて左足に切り替える巧みなフェイントを見せ、ショルツのマークを外し、最後はGKの逆を突く見事なコースにシュートを決めた。

両チーム、負傷や足をつる選手も続出するなど、気候との戦いともなった後半の中盤から終盤にかけては、交代で入った選手たちが試合を活性化。FC東京は俵積田晃太が何度も仕掛けてくると、セレッソも本間至恩が得意のドリブルでゴールに迫る。79分、セレッソにビッグチャンス。ルーカス、香川とつなぎ、最後は本間が至近距離からシュートを放ったが、GKに防がれる。ここで仕留め切れずにいると、直後の80分、FC東京に勝ち越しを許す。カウンターから俵積田に長い距離を運ばれて逆サイドへ展開されると、佐藤恵允のクロスを中ではね返せず、最後は長倉に決められた。再び1点を追いかける展開になったセレッソは、ここから猛反撃。83分、セットプレーの流れから畠中に決定機も、ヘディングシュートはDFのクリアに遭う。87分には、2失点目の直後に投入された中島元彦が本間とのコンビでゴールに迫り、決定機も得たが、シュートはGKに防がれ同点とはならず。最後はFC東京にうまく時間を使われて逃げ切りを許し、1-2で惜敗。「ディフェンスでしっかりと締めないといけなかった部分、(攻撃で)試合を決定づける部分、試合の際(きわ)のところで差が出てしまった印象」とアーサー パパス監督も肩を落とし、タイトルを目指した天皇杯は無念のラウンド16敗退で終わった。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「最初に、FC東京さんに『おめでとう』と伝えたいです。ただ、自分たちが勝てる試合だったと思います。ディフェンスでしっかりと締めないといけなかった部分、(攻撃で)試合を決定づける部分、試合の際(きわ)のところで差が出てしまった印象です」

Q:前半、特に入りは良かったと思います。ボールも回り、守備への切り替えも良かった。この試合に向けてトレーニングしてきたことを出せた印象もありましたが、監督自身、手応えに関しては?
「仰られた通り、前半の30~35分ぐらいまでは良い試合だったと思います。ただ、ハーフタイムに入る前、7、8分ぐらいは落ちてしまったな、という印象です。後半も入りは良かったですが、守備のところで規律正しく守れていれば防げた2失点だったと思います。攻撃も同様で、しっかりとしたポジションが取れていれば、こぼれ球を押し込めたシーンもありました。こうした強い相手とやる時は、細部で差が出ると実感しています」

Q:後半は一進一退の展開の中、決定機はお互いに作りました。交代選手を含めて後半の評価については?
「途中から入った選手も良かったと思います。ただし、先ほども話したように、正しいポジションに入っていけていたか、規律を出せたか。リードされた難しい展開の中でも、2回、3回とビッグチャンスはあったので、そこで押し込めるかどうかが大事だったと思います」

選手コメント

■田中 駿汰選手

Q:入りを含め、前半はボールを持ちながら相手も動かして、守備での切り替えも早く、やりたいことはできていたと思います。ただし、シュートが少なかった印象です。
「入りは良くて、自分たちのペースでできていたと思います。前半の最後は相手の攻撃を受ける展開にはなりましたが、0-0で終えたことは悪くなかったと思います。ただ、良い時間帯で先制点が取れていれば、もっと自分たちのペースになっていたと思うので、もったいなかったなと思います。後半に関しても、ボール保持ができていた時間もありましたが、失点してからは自分たちの流れに引き戻すことが簡単ではなかったです」

Q:固められた相手の守備を打開する工夫も見られたと思うが、準備してきたことに対する手応えは?
「自分たちの形は作れたと思います。相手の2トップをはがしながら前進していくことは練習からやっていましたし、自分かヒナ(喜田陽)が落ちたりしながらうまく前進はできていたと思います。作ったところから、さらに前に入っていくこと、人数をかけていくことができれば、もっと分厚い攻撃ができたのではないかと思うので、良かったところもありますが、改善しないといけないところもあったと思います」

Q:残すはリーグ戦のみになりました。今後のリーグ戦に向けて。
「(タイトルへ向けて)絶対に勝たないといけない試合だったので、すごく悔しいですが、切り替えてやるしかないです。すぐに新潟戦も来ます。まだまだ上も狙える位置なので、絶対に勝点3を取るために全員でフォーカスしてやっていきます」

■奥田 勇斗選手

Q:入りを含め、前半はボールを持ちながら相手も動かして、守備での切り替えも早く、やりたいことはできていた印象です。
「そうですね。前節のリーグ戦から期間が空いたので、準備する時間はありました。それを前半から出せたと思います」

Q:守備ではめ込むシーンもありましたが、シュートにいくシーンが少なかったのかなと。そのあたりは、プレーしながらどう感じていましたか?
「自分たちでも、前半プレーしていて、良い形で崩せたり、守備で奪えたり、という場面もありましたが、なかなかシュートという形で終われなかったので、ハーフタイムでは『シュートで終わろう』という話はしました。後半はチャンスも増えた中で決め切れなかったことが課題になりました」

Q:FC東京も前半の終盤から後半は動きも活発になり、両サイドから攻撃を仕掛けてきた中で、セレッソも体を張って対応できていた部分もあったり、失点する場面もあったりと、どう振り返りますか?
「自分と対面した選手は佐藤恵允選手で、五輪代表でも一緒にプレーしていたので、特長は掴んでいました。失点に関しては、自分たちの取られ方が悪かったり、カウンターで仕留められたり。まず自分たちの攻撃でやり切ることを大事にしたいですし、取られた後も自分たちがリスク管理をしていれば防げたと思います」

Q:全体的なサッカーはイメージ通りの試合運びができていたと思いますが、攻撃、守備、両方で際(きわ)の部分を制すことができなかった、といった試合でしょうか?
「攻撃の終わり方としては、シュートで終わることが大事ですし、自分たちはチャンスもあって、相手のGKがビッグセーブをした部分もありました。そこは尊重しないといけないですが、自分たちもそこを決め切らないといけない。リーグ戦でもこのようなもったいない試合は多いので、悔しい気持ちは強いです」

■阪田 澪哉選手

Q:右サイドバックで先発の機会が巡ってきました。自身のプレーを含めて、試合を振り返ると?
「久々の先発だったので、気持ちを見せることを意識して臨みました。個人的には自分の特長も出せて、次につながる試合になったと思うだけに、負けてしまったことが悔しいです」

Q:阪田選手の右サイドからも打開の工夫が随所に見られました。特に前半の飲水タイムあたりまでは、自分たちのやりたいサッカーができていたと思うが?
「そうですね。前半の最初から中盤ぐらいまでは自分たちの方がボールを持てていましたが、そこで決め切れず、そうなると相手の時間帯になることは仕方がない。それでも失点せずに折り返せたことは良かったです」

Q:対面の相手は野澤零温選手でした。後手を踏まずに先手を取るシーンも多かったですが、サイドでの攻防を振り返ると?
「試合前、(西尾)隆矢くんからも『目の前の相手には絶対に負けるな』と何度も言われていました。目の前の相手に負けないことは意識していました。ただ、1失点目は自分のサイドから作られてやられているので、改善するところもあると思います」

■本間 至恩選手

Q:1-1の勝負どころで投入されて、気持ちが入ったプレーが見られたが?
「めっちゃ悔しいです。ルヴァンカップ、天皇杯は獲れると思っていましたし、どっちもなくなったことを考えると、試合後は本当に悔しかったです」

Q:プレーのキレは、加入後一番とも言える内容が出ていたと思うが?
「ボールを集めてくれましたし、自分のところにボールが回ってくる回数も多かったです。ただ、シュートも打ちましたが、そこで決めるか決めないかが大きい。長倉(幹樹)くんはそこで決めたので、悔しいです。(浦和レッズで)一緒にプレーして、仲もいい選手なので」

Q:終盤は、中島選手との連係でゴールに迫る場面もありました。
「モト(中島)とはやりやすいというか、プレースタイル的にも合うと感じています。前に走ったらボールもくれるし、判断も良い選手なので、一緒にやっていて、プレーしやすいです」

Q:悔しさを晴らす舞台はリーグ戦しかありません。自身としては、今日の内容を生かしていきたいのでは?
「そうですね。ボールを持った時のクオリティーは上がってきていると思うので、そこは突き詰めていきたいです。(今日の敗戦を受け止めることは)まだ難しいですが、何かが足りなかった。全体的に、もっと圧倒しないと優勝は見えてこない。個人、個人が自分と向き合ってやるしかないと思いました。試合後、ロッカールームでの(香川)真司さんの言葉も響きました。『日々の積み重ねが、こういう試合に出る』と。その通りだと思いました。勝つために何が必要だったか、これからそれを見つけてやっていくしかないと思います」