2025明治安田J1リーグ第24節

2025明治安田J1リーグ

2025.7.19

湘南ベルマーレ

鈴木 章斗 (14')

平岡 大陽 (42')

ルイス フェリッピ (89')

3

AWAY

FULL TIME

3

2-1

1-2

セレッソ大阪

ルーカス フェルナンデス (6')

ラファエル ハットン (47')

チアゴ アンドラーデ (73')

レモンガススタジアム平塚

11,213

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

ブラジル人トリオ揃い踏みの活躍も、前後半の終了間際に失点を繰り返してドロー。収穫と反省が相半ばする結果に


徳島ヴォルティスとの天皇杯3回戦から中2日。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込み、湘南ベルマーレとの明治安田J1リーグ第24節に臨んだ。先発は徳島戦から5人変更。ディフェンスラインはそのままに、中盤は田中駿汰と喜田陽がボランチを組み、香川真司がトップ下に入り、チアゴ アンドラーデ、ルーカス フェルナンデス、ラファエル ハットンが前線に並ぶ4-2-3-1でスタートした。

開始直後、湘南にサイドを破られかけたセレッソだが、ディオン クールズのカバーなどで失点は防ぐと、リーグ戦2試合ぶり先発となった喜田が縦パスにミドルシュートと積極的なプレーを見せる。その流れのまま6分、セレッソが先制に成功。香川からルーカスに出たパスを相手DFがクリアし切れず、こぼれ球を拾ったハットンからルーカスへ渡り、ルーカスが狙いすまして公式戦2試合連発となるゴールを決めた。12分にも喜田の浮き球のパスに走り込んだ田中にチャンスもシュートはクロスバーを越えた。攻撃では質の高いプレーを続けていたセレッソだが、この試合では湘南のサイド攻撃に苦しみ、14分に失点。自陣左サイドからのクロスに対し、中で小野瀬康介、鈴木章斗とつながれ、ホームでの対戦時でも決められた湘南の背番号10に再びネットを揺らされた。21分にはカウンターからチアゴが運び、ルーカスがスペースでパスを受けたがクロスは相手DFにカットされる。その後、飲水タイムを挟み、前半の終盤は湘南にボールを握られる展開に。取り所が定まらないセレッソは攻守に精彩を欠いた中、42分、畠中槙之輔のクリアを鈴木章斗にカットされ、そのままクロスを上げられると、ニアで平岡大陽に合わせられて失点。逆転を許す形で前半を折り返した。

「先制点は取れましたが、その後は個々に頼り過ぎた展開になりました。ミスも重なり、逆転されて、ハーフタイムに入りました。ただ、後半は集団として、全く違う姿を見せることができました」と試合後にアーサー パパス監督も振り返ったように、後半は開始から複数人が連動する攻撃を披露。47分、中盤でルーズボールを拾った香川がチアゴに付けると、チアゴがダイレクトで前線のハットンへパス。抜け出したハットンのシュートはDFにブロックされたが、こぼれ球に反応したハットンが相手を浮き球でかわし、ボールの落ち際を左足でボレー。見事なゴールがファーサイドへ突き刺さり、セレッソが同点に追い付いた。「得意とする形」(ハットン)と自ら振り返る、技術とイマジネーションが詰まったゴラッソだった。「チームが生き返る」(香川)一撃により、さらに攻勢に出るセレッソ。57分、奥田勇斗のロングパスに抜け出して放ったハットンのループシュートはわずかに枠を外れたが、73分に勝ち越しゴールが生まれる。70分にクールズに代わって右サイドバックに入った中村拓海が相手をかわして香川へパスを付けると、香川が前方のスペースへ絶妙なスルーパス。自慢のスピードを生かして抜け出したチアゴがGKをかわしてゴールに流し込んだ。「何よりチアゴのスプリントが良かった」と香川も称える素晴らしい走り込みを見せたチアゴ。それを見逃さなかった香川のパスと、阿吽の連係から生まれた得点でもあった。ここからは前線の選手交代も行い4点目を狙いつつ、相手にチャンスは与えず時計の針を進めていく。ただし、勝利も近づいてきた87分、途中から入った湘南の石橋瀬凪の突破に対し、ペナルティーエリア内で中村が足をかけてファウルの判定。土壇場でPKを与えてしまうと、これをルイス フェリッピに決められ同点に追い付かれた。

それでも示された10分の後半アディショナルタイムでセレッソが猛攻を仕掛ける。ただし、ルーカスのシュートがDFに当たってゴールに吸い込まれかけたシーンでは相手GKの好守に防がれ、ルーカスのクロスをGKがはじいたこぼれ球に詰めた田中の決定機はクロスバーを越えた。このまま試合は3-3で終了。セレッソとしては2度のリードを生かし切れず、無念の勝点1に終わる結果となった。反省点も残った一戦になったが、「劣勢の中からしっかりはね返したアグレッシブさを評価したい」と指揮官。中2日のアウェイゲームを戦った選手たちを労い、「成長している姿を見せ続けたい」と前を向いた。試合後は、セレッソで2019年から6シーズンに渡り活躍し、今年3月に湘南へ完全移籍した奥埜博亮に対する横断幕も出され、それに奥埜が応えてサポーターと触れ合う一幕もあった。この試合でも最も長い走行距離を記録した”鉄人“。改めて長年に渡るセレッソでの献身に敬意を払うとともに、今後のさらなる活躍を祈りたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「決して良い入りではなかったです。立ち上がり、失点はしなかったですが、サイドから崩されたシーンが結構ありました。その後、先制点は取れましたが、その後の展開も意図とは違ったプレーも見られました。アタッカーにボールが入った後、しっかりサポートできていませんでした。集団よりも、個々に頼り過ぎた展開になりました。ミスも重なり、逆転されて、ハーフタイムに入りました。ただ、それがポジティブに働きました。後半は集団として、全く違う姿を見せることができました。しっかりと前に進む姿を見せて、2得点とも良いゴールだったと思います。最後にPKを与えて引き分けで終わってしまったことは残念ですが、(湘南ベルマーレと)第2節で戦った時からの成長は見せられたと思います」

Q: 「前半は個々に頼り過ぎた」という話もありましたが、今節も3トップは強烈でした。そこに今日はトップ下に入った香川選手がうまく前と後ろをつないでいたように思います。3点目のアシストを含めて全得点に絡み、輝きましたが、彼をトップ下で起用した意図は?
「香川真司という選手について、質のところは言うまでもありません。他の選手よりも早く判断ができます。試合に入る前に、しっかりとライン間でボールを受けて、前を向いて、どういうプレーをして欲しいか、ということは彼にも伝えていました。得点の起点にもなりましたし、(香川がアシストした)3点目に関しては、自分たちの狙い通りのプレーでした。意図がつながって得点になりました」

Q:素晴らしい3得点だった一方、気になるのは守備です。簡単に背後を取られるシーン、サイドを変えられて数的同数を作られるシーンが試合開始から目立っていました。シーズン序盤によく見られた形だったように思います。もちろん、天皇杯3回戦から中2日で(ディフェンスラインは)同じメンバーが出場したことも影響したとは思いますが、今日の守備は何が問題でしたか?
「メンバー表を見ても、5人しかディフェンダーがいません。その中で、水曜日にも試合を戦っています。ディオン(クールズ)に関しては、日本に来たばかりで慣れる必要もあります。替えが利かない中でプレーしており、3失点したからと言って、ディフェンスのせいだけにはできません。疲れが残っている中でプレーしている選手もいます。ミスのところを批判するつもりはないですし、劣勢の中からしっかりはね返したアグレッシブさを評価したいと思います」

Q:その意味では、ネガティブな勝点1ではなく、ポジティブな勝点1と捉えることもできますか?
「もちろん、監督としては、勝点を落とすことは残念です。避けることもできた89分の失点というところもあります。ただ、チームとしてあるべき姿を見せることができたとは思います。ホームもアウェイも含め、僕らのサッカーを見た人たちが、また見たくなるサッカーを表現できていると思います。しっかりと成長している姿を見せ続けることが課題になりますが、自分たちの選手に対して満足しているところは多々あります」

選手コメント

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:前半の先制点を含め、後半も何度もチャンスを作りました。自身のプレーを振り返ると?
「相手にダメージを与える働きはできたと思います。チャンスメイクもできたと思います。感覚としては、勝てた試合、勝ちに等しい試合だったと思うので、悔しいですが、全体的にはチームも好調だと思いますし、自分も良いパフォーマンスができていると思います」

Q:ハットン選手、チアゴ選手もゴールを決めました。彼ら2人を含めた3人の連係については?
「3人とも結果もそうですが、試合を通してのパフォーマンスも良くなっていると思います。練習の成果が出ていると思います。ただ、どうしても、勝てないと後味が悪い試合になってしまうので、次は自分たちが結果を残した上で、必ず勝ちたいと思います」

■ラファエル ハットン選手

Q:素晴らしいゴールでした。得点の場面を振り返ると?
「ありがとう(笑)。最初はシュートを打ったのですが、ブロックされて、それが再び自分のところに転がってきました。スペースも空いていたので、迷わず振ってみようと思い、うまく決まって良かったです」

Q:ブロックされた後、シャペウと呼ばれる技で相手をかわし、シュートを打つという選択は、瞬時に浮かんだ?
「そうですね。瞬時に決めました。自分の得意とする形です。こぼれ球に反応して、諦めたように見せかけて、ギアを上げる形は得意です。今日はそれがゴールにつながったので、良かったです」

Q:オフサイドで取り消されましたが、第19節の清水エスパルス戦でも浮き球で相手をかわして決めました。練習でできる選手はいると思いますが、試合でできるのがすごいと思います。
「清水戦でもありましたね(笑)。シュートフェイントや、パスを出すと見せかけてシュートを打つことは、練習からやっています。これからの試合でもトライしたいです」

Q:結果は残念でしたが、3トップの勢いは止まりません。8月以降の戦いへ向けて、一言、お願いします。
「3人ともゴールやアシストが生まれていることは嬉しく思います。連係も良くなっています。ただ、今日もそうですが、もう少しで勝てた、という感覚で終わってしまう試合が多い。そういう試合を取りこぼさずに勝ち切ることで、高い順位を目指せると思います。8月は勝ち切れるように、集中してやっていきたいです」

■チアゴ アンドラーデ選手

Q:背後に抜けて、GKとの1対1を仕留めたゴールは素晴らしかったが?
「綺麗なゴールでしたね(笑)。しっかり抜け出して、落ち着いてGKもかわして、チームに貢献できて良かったです」

Q:スピードを生かして裏に抜ける得意な形が出ましたね。
「そうですね。練習からスペースに抜け出すことは意識しています。今日もそれが得点につながったと思います」

Q:2点目は、最後はハットン選手の個人技でしたが、その手前の流れで良いパスを送っていたが?
「あの場面に関しては、(香川)真司からボールをもらって、トラップしようと思ったのですが、ハットンの声が聞こえたので、ワンタッチで出そうと思ってパスを出しました。うまくつながって良かったです」

■香川 真司選手

Q:2回リードした展開で勝ちたかったと思うが、試合を振り返ると?
「やっぱり勝ちたかったですね。負けなかったこともプラスに捉えながら、勝ち切れなかったことに対してどれだけチームとして向き合えるかが重要です」

Q:この試合ではトップ下で先発し、3得点全てに絡む活躍を見せたが?
「正直、前半は難しかったです。良いスタートは切れましたが、相手の流れになったり、自分たちのミスから失点につながったり。もちろん、サッカーなので、そういったアクシデントも起きますが、前半20分以降は苦しい流れでした。相手のビルドアップも統率が取れていました。そういう時に、どれだけ耐えられるか。チームとして、守り切れるか。そこはもっと求めていきたい。個人的なフィーリングとしても、前半はトップ下として良い位置で受けられなかったので、難しかったです。戦い方に関してどうするかは今後の課題かなと思います」

Q:監督も「前半は個々に頼り過ぎた展開になった。後半は集団として全く違う姿を見せることができた」と話していましたが、後半、チームとして盛り返せたという意味では、プラス面も大きい試合でしたか?
「そうですね。前線のブラジル人選手たちはしっかりと数字を残しています。それはチームのストロング。ただ、全体としてどうまとまって戦うか。その意思統一はもっと高めていかないといけません。勝ち切れる内容だったと思うし、どう勝ち切るか。一人一人のメンタリティーも含めて、まだまだだと感じました」

Q:3点目につながったスルーパスについては?
「チアゴ(アンドラーデ)が何度もいいスプリントをしていました。後半も推進力のあるカウンターを仕掛けてくれました。彼のスプリント能力が生きたゴールだったと思います。パスに関しては、良いパスだったかも知れないですが、何よりチアゴのスプリントが良かったと思います」

Q:決定力も高かったですね。
「そうですね。後半最初のハットンも、ああいうゴールを決めてくれるとチームも生き返る。その上で、今後は攻守においてチーム一丸となってやっていきたいです」

Q:今日見えた守備面での課題については?
「(前線からの)プレスがハマらないシチュエーションは絶対にあります。苦しい流れも絶対にあります。後半、(西尾)隆矢が体を張って止めたシーンもあったように、ディフェンスラインの選手たちには、自分が止める、という気概をさらに持って欲しい。シン(畠中)とも少し話しましたが、最後は個のところが重要だと思います。(試合中にプレスが)ハマらないシチュエーションは当然ある。特にこういう夏場は。そこは個々がもっと意識を高めてやっていく必要があると思います」

■田中 駿汰選手

Q:2回リードした展開で勝ちたかったと思うが、試合を振り返ると?
「全体的に試合の内容としては良くなかったですね」

Q:前半は守備がハマらなかった感覚ですか?
「そうですね。簡単にサイドから前進されてしまったので。修正できれば良かったですが、前半はなかなか守備がハマらないまま時間が過ぎたという感じです」

Q:ただ、後半の2得点も含め、得点シーンはいずれも手数をかけずに背後を狙い、素晴らしいゴールだったが?
「背後を狙って、良い形で得点に結びついたシーンは多かったので、ポジティブに捉えるところはポジティブに捉えたいです。前半から相手の嫌がることができればもっと良かったかなと思います」

Q:香川選手がトップ下に入る今日の中盤の並びは初めてだったと思いますが、プレーした感触はいかがでしたか?
「自分としては、やりやすかったです。ヒナ(喜田)もバランスを見ながら気を利かせてくれる選手。3人の関係性も、もっともっと良くなると思います。初めてやったにしては良かったところが出たとは思いますが、まだまだ連係を深めていかないといけないとは思います」