2025明治安田J1リーグ第21節

2025明治安田J1リーグ

2025.6.21

セレッソ大阪

ラファエル ハットン (20')

チアゴ アンドラーデ (62')

2

HOME

FULL TIME

1

1-1

1-0

東京ヴェルディ

川﨑 修平 (45+2')

ヨドコウ桜スタジアム

18,024

カプコンサポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

ルーカス フェルナンデス、圧巻の2アシストでリーグ後半戦ホーム初戦を白星で飾る。後半から出場した中島元彦、田中駿汰らの貢献も光る


前節のFC東京戦から中6日。セレッソ大阪は、ホームに東京ヴェルディを迎え、明治安田J1リーグ第21節に臨んだ。公式戦9連戦を終え、新たなスタートとなる今節はリーグ後半戦のホーム初戦。上位に食らい付くためにも重要な一戦となった。先発は前節と同じ11人。新加入のディオン クールズが初めてメンバー入りを果たした。

立ち上がりから攻勢に出たのはセレッソ。最終ラインも高い位置を取って押し込むと、11分、香川真司のパスを受けた西尾隆矢がミドルシュート。GKに止められたが、鋭い弾道のフィニッシュを放った。ボールを握って攻め込み、失った後も高い位置で回収、良い入りを見せたセレッソだったが、10分過ぎからは東京Vにボールを握り返されると、この試合では1トップに入り、前回の東京V戦で決勝点を決められた新井悠太にペナルティーエリア内に進入されたが、西尾が素晴らしいカバーでピンチを防いだ。東京Vに主導権を渡しかけた矢先、セレッソが先制に成功する。FKの流れからセカンドボールを拾い、喜田陽、奥田勇斗とつなぐと、最後はルーカス フェルナンデスの低くて速いクロスにラファエル ハットンが頭で合わせた。このシーンについて、「相手の守備はマンツーマンで、止まっていてはボールに触れないことは分かっていたので、方向転換やポジショニングの修正は常に心掛けていました」と振り返ったハットンだが、まさに背番号9がマークを外した瞬間にピンポイントでクロスを届けたルーカスのキックの質も見事だった。前半の中盤以降は東京Vにボールを支配された中で、[4-4-2]のミドルブロックを組み、相手にシュートは許さなかったセレッソだが、前半アディショナルタイム、自陣ゴール前での西尾のクリアが味方選手に当たり、相手選手の前にこぼれると、川﨑修平に決められ失点。ややアンラッキーな形ではあったが、追いつかれる展開で前半は1-1で終了した。

ハーフタイムにアーサー パパス監督は2枚代え。ヴィトール ブエノと喜田を下げて中島元彦と田中駿汰を投入すると、中島がプレスのスイッチを入れて守備の強度を高める。前半よりも高い位置でボールを奪うことに成功すると、田中も積極的に縦パスを入れて押し込む。「後半、どっちが先に流れを掴むかは大事だったので、自分と(中島)元彦が入った意味を出したかった。最初に流れを掴めたことは良かった」と試合後に田中も振り返ったように、先手を打ったパパス監督の采配が奏功。後半の入りに成功すると、48分、ルーカスのクロスに中島がヘディングで合わせた決定機こそ東京Vの守護神・マテウスに防がれたが、続く決定機を得点につなげる。62分、相手のロングボールをはね返したところから、畠中槙之輔、中島、フェルナンデスとつないで敵陣に進入すると、中島の絶妙なスルーパスに抜け出したハットンがGKと1対1を迎える。ここでハットンがGKに接触されたかに見えたが、笛は鳴らず、プレーが続くと、足を止めずにこぼれ球を拾ったフェルナンデスのクロスに逆サイドでチアゴ アンドラーデが頭で合わせ、セレッソが勝ち越しに成功した。この試合では守備でも奔走したチアゴ。「試合を重ねるにつれて、ゲームの流れも読めてくるようになりますし、試合を積み重ねることで、チームの中に溶け込めて、機能するようになってきたと思います」と自身も手応えを得る充実の内容を披露した。終盤は選手交代も含めて攻勢に出てきた東京Vに対し、守勢に回ったセレッソだったが、立て続けに与えたセットプレーに対してもGK福井光輝がしっかり対応。東京Vに決定機を与えることなく試合を進めていく。途中出場の選手としては、中島と田中以外にも、攻撃では本間至恩が仕掛けて柴山昌也が時間を作り、守備ではボランチに入った吉野恭平が試合を締める役割を完遂。チームとしての層の厚みも示しつつ、2-1で勝ち切ったセレッソがリーグ戦におけるホーム4連勝を飾った。

リーグ後半戦に向けて、「引き分けではなく、勝ちにつながる試合を増やしていきたい」と話していたパパス監督も、「今晩、勝ち取った勝利は大きかったと思います。今日の勝利は2ヶ月前に東京ヴェルディと戦った試合からの成長を見せることができた試合になったと思います」と述べた。ホーム4連勝で迎えるセレッソの次戦は大阪ダービー。要塞・ヨドコウ桜スタジアムにガンバ大阪を迎える必勝戦に向け、良い準備を重ねていく。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「今晩、勝ち取った勝利は凄く大きかったと思います。東京ヴェルディというチームは戦えますし、ファイトしますし、難しい相手です。難しくなるとは思っていましたが、やはり難しい試合になりました。プレスのかけ方もそうですし、自分たちがボールを保持することに関しても、全然、満足できない前半でした。ハーフタイムで2人を代えたのですが、プレッシングの仕方も変えました。後半は自分たちがボールを奪い返すシーンが増えましたし、ボールを奪いにいく姿勢も見せられたと思います。最後の最後まで頑張り切るところも見せられたと思います。今日の勝利は、2ヶ月前に東京ヴェルディと戦った試合からの成長を見せることができた試合になったと思います」

Q:話されたように、前半は先制したとはいえ、内容はそこまで良いものではなかったと思います。「後半からプレスのかけ方を変えた」という言葉もありましたが、前半は相手にボールを持たれ過ぎた、運ばれ過ぎたところが問題でしたか?
「失点もハーフタイムの直前だったので、そこも満足できませんでした。ただ、前半は、我々も悪かったですが、相手もそこまで良かったわけではないと思います。基本的に、高い位置からプレッシャーをかけるのが自分たちのやり方ですが、(相手の)ボールが横へ横へと動くことが多かったので、プレッシングの仕方を変えないといけないと思いました。自分たちがボールを保持したければ、どうボールを奪うか、ということも確実に必要になる部分です」

Q:後半が始まる前、早い段階で中島選手と田中選手がピッチに現れたが、後半から行くことは早めに伝えていた?
「どうプレスをかけるかは事前に伝えていました。後半に入る前から伝えていた部分もありました。プレスを実行することに関して、2人はよく理解できていたと思います」

Q:具体的には、言える範囲で、どうプレスのかけ方を改善されましたか?
「誰が(相手の)CBにプレスをかけるのか、誰が(相手の)ボランチにプレスをかけるのか。そこを修正しました。もちろん、前提としてハードワークできる、ということはありますが、プレスのかけ方を理解した上で実行できたことで、改善につながったと思います」

Q:前節のFC東京戦は逆転した後に追い付かれたが、今日の試合での締め方について
「正直に言うと、3点目を取りたかったです。リードを守ることは僕の形ではないので。ファン・サポーターの方々が楽しんで帰ってもらえるような形にしたいです。もちろん、守備のところは全員で協力してやりますが、奪った後の攻撃も全員で協力していくチームを作りたいと思っています。今日は3点目を奪えませんでしたが、(試合の)終わらせ方については満足しています。ヴェルディさんは失点が少ないチームなので、得点することが難しいことは分かっていましたが、そういう相手から2点を取れたことは、自分たちのメンタリティーが相手を上回った、という気持ちにもさせてくれます」

Q:2アシストのルーカス フェルナンデス選手について。今季の活躍は際立っていますが、今日の2本のアシストは、あの状況で、ここしかない、という見事な場所に蹴りましたが、あのプレーを瞬時に選択できる彼の能力をどうご覧になっていますか?
「カギになるタイミングで質が出せる選手だなと思います。ただし、試合を通してみれば、改善するところもたくさんあるので、改善しないといけないことは強く言っています。何かを要求する時に天井はないので。ただ、1人の選手の貢献ではなく、今日のチアゴ(アンドラーデ)を見ていただいても分かるように、守備のところの改善も凄く見られました。そういった選手のおかげもあって、点も取れたのだと思います」

選手コメント

■チアゴ アンドラーデ選手

Q:追いつかれる嫌な展開だった中、決勝点となる勝ち越しゴールを決めた思いは?
「重要なゴールになったと思います。ゴールを決めてチームに貢献できたことが嬉しいです。ハードワークを続けて、もっともっと結果を積み重ねていけるように頑張りたいです」

Q:得点場面は、その前にハットン選手がGKに倒されてPKか、というシーンでもありましたが、ルーカス選手もチアゴ選手も動きを止めていませんでした。やり続けたお互いの意思が合った?
「監督から常に求められているのは、サイドの選手はゴール前に入っていくこと。動きを止めないこと。ルーカス(フェルナンデス)がクロスを上げてくれた時、自分も良いところに入っていけたと思いますし、彼のボールも良かったです」

Q:今日は守備での貢献も光っていたが?
「監督からも常に要求されているので。僕とルーカスがしっかり戻って、守備を助けることは重要です。守備でもチームに貢献できていると思います」

Q:シーズン序盤と比べて効果的なプレスバックも増えているが、何か理由はありますか?
「試合を重ねるにつれて、ゲームの流れもより読めてくるようになりますし、試合を積み重ねることで、チームの中に溶け込めて、機能するようになってきたと思います」

Q:攻守の切り替えが速いJリーグに、アジャストでき始めている?
「そうですね。試合を重ねるごとに自分のコンディションも上がっていますし、これを続けていくことで、もっとチームに貢献できると思っています」

■ラファエル ハットン選手

Q:素晴らしいゴールでしたが、振り返ると?
「ゴール自体も嬉しいですし、それ以上に勝利という結果につながったことが嬉しいです。順位も少し上がりました。後半戦、さらに良い順位を目指せるように頑張りたいと思います」

Q:マークの外し方も上手かったが?
「相手の守備はマンツーマンで、止まっていてはボールに触れないことは分かっていたので、方向転換やポジショニングの修正は常に心掛けていました。ルーカスのボールもかなり良かったので、決めるだけでした」

Q:あの場所にクロスがくることは分かっていた?
「(ルーカスと)アイコンタクトのようなものはなかったのですが、試合前から、『あの場所で顔が上がったら、クロスを上げるから』という話は聞いていました。自分の動きとボールの良さがかみ合って生まれたゴールだったと思います」

Q:二桁得点に到達しましたが、この成績については?
「嬉しく思います。日々のトレーニングの成果だと思いますし、まずは日本に慣れることが一番の目的でしたが、そこに結果も付いてきています。個人としても、チームとしても、結果が出てきているので、嬉しく思います」

Q:次の試合は大阪ダービーです。意気込みについて
「ダービーは特別な試合です。誰もがプレーしたい舞台です。その大切さ、重みは自分も分かっているつもりです。内容よりも結果が求められる試合になります。そこへ向けて時間もあるので、良い準備をして臨みたいです」

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:今日も素晴らしいクロスから2アシストでした。特に1本目のクロスの質は高かったと思いますが、振り返ると?
「実はあの瞬間、自分が狙っていたクロスのコースは相手のサイドバックに切られていたのですが、その少し後ろにハットンが見えたので、クロスというか、パスを出したら、しっかり決めてくれました」

Q:予期せぬタイミングでのクロスというか、2人以外、分かっていなかったような軌道に見えたが?
「基本的には、ハットンの前に蹴って、走り込んでヘディングできるようなクロスを心掛けています。あの場面も、彼がうまく相手の前に入ったことで、決めてくれたと思います」

Q:2点目はハットン選手が倒されたようにも見えましたが、動きを止めずにプレーをし続けたことが得点につながったが?
「自分もPKかな?と思いましたが、足を止めずに走ったら、チアゴ(アンドラーデ)がファーに走っている姿も見えたので、クロスを上げました。蹴る瞬間に考えたことは、高さを調節しました。チアゴがジャンプしなくてもヘディングで決められるようなボールになったことは、最終的にはうまくいったと思います」

Q:昨年もアシスト王でしたが、今年もすでに昨シーズンを越えて14アシストです。メンバーが変わっている中で、自身について進化していると感じることは?
「新加入の選手に合わせていく部分に関しては、自分なりにやっていることもあります。試合を重ねることで、お互いの動きがしっかり分かるようになってきました。どういうところをポイントにペナルティーエリアに入ってくるか、その感覚がお互いに理解できています。自分がチャンスを作れていること、彼らがゴールにつなげてくれていること、どっちも嬉しいです。しっかりとフィニッシュを決めてくれるチームメイトがいるからこそ、僕にアシストも付くことを忘れてはいけないと思います」

■中島 元彦選手

Q:監督は「後半からプレスの仕方を変えた」と話していたが?
「後半から守備の仕方や立ち位置は変えましたが、守備は個々が考えてできるかどうかなので。流れを変えることができて、勝てて良かったです」

Q:入って早々のヘディングは惜しかったですね
「(相手が)ナイスキーパーでした。ルーカス、良いクロスを蹴りますね(笑)。受け手としては最高のボールをくれるなと、いつも思います」

Q:トップ下の競争も激しくなっているが?
「練習から頑張ってアピールして、掴み取ります!」

■田中 駿汰選手

Q:監督は「後半からプレスの仕方を変えた」と話していたが、後半から入るにあたって、意識していたことは?
「前半を見ていて、ヴェルディのつなぎが上手かったので、少しでもフィルターをかけて、自分のところで取りたいと思って入ったのですが、中に入ってみて、外で見ていたよりも上手かったので、簡単には嵌めることはできなかったです。うまく我慢しながらやれたとは思いますが、もうちょっと中盤を支配できたら良かったです。反省点はいっぱいありました」

Q:それでも、後半から守備のスイッチを入れて、勢いよく試合に入り、右サイドから立て続けにチャンスも作りました。2枚代えの効果も出ていたと思うが?
「そうですね。後半、どっちが先に流れを掴むかは大事だったので、自分と(中島)元彦が入った意味を出したかった。最初に流れを掴めたことは良かったですし、それがその後のチアゴの得点にもつながったと思うので、良かったです」

Q:監督は「3点目を取りたかった」という話もしていたが、勝ち越した後の試合運びについては?
「3点目を取りにはいきましたが、負けているチームはどんどん前に来るので、どうしてもああいう展開になってしまいます。そこを耐えて、カウンターを出せれば良かったですが、うまく出せずに、最後は少し難しい展開になったと思います」

Q:次の試合は大阪ダービーです。ホームで連勝が続いている中、良い状態で迎えることができるのでは?
「そうですね。今の自分たちのサッカーにみんな自信を持っているので、自分たちがやるべきことをやれば、勝てると思います。(試合まで)少し空きますが、全員で良い準備をして臨みたいです」

■吉野 恭平選手

Q:あの時間帯に投入された意味というのは、勝ち切る意図で投入された?
「監督からは『試合を締めて来い』と言われて入りました。勝点3をどう取るかを考えてプレーしました」

Q:そういった意味では、相手にチャンスを与えず、しっかり締めることができた?
「何度かCKまでもっていかれた部分もありましたし、何とも言えないですが、個人的にはリーグでデビューできて、勝利をピッチで味わえたことは、大きな一歩になったと思います」