2025JリーグYBCルヴァンカッププレーオフラウンド第2戦

2025JリーグYBCルヴァンカップ

2025.6.8

横浜FC

森 海渡 (45+2')

ユーリ ララ (84')

鈴木 武蔵 (89')

櫻川 ソロモン (104')

4

AWAY

FULL TIME

0

1-0

2-0

1-0

0-0

セレッソ大阪

ニッパツ三ツ沢球技場

3,825

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

アウェイでの第2戦は0-4で敗戦。2戦合計スコアで逆転され、今シーズンのルヴァンカップもプレーオフラウンドで敗退


横浜FCとの対戦となったJリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンド。ヨドコウ桜スタジアムで行われた第1戦から中3日。セレッソ大阪は、プライムラウンド進出を懸けてアウェイでの第2戦に臨んだ。先発は第1戦から8人変更。吉野恭平が加入後、初先発・初出場を果たした。

第1戦の試合後、第2戦に向けて、「引いて守ることはしたくありません。自分たちがやり続けてきたフットボールをしっかり表現したい」と話したアーサーパパス監督の言葉通り、セレッソは開始からディフェンスラインを押し上げて、敵陣でサッカーを進めていく。縦にパスを入れて複数の選手が絡み、テンポ良く崩していくシーンも作るなど、15分でCKを4度、直接ゴールを狙える位置でのFKも2度獲得。ほぼぶっつけ本番に近い形でプレーした吉野も、「前半は(中島)元彦、畠中、(西尾)隆矢とのコントロールが思ったよりできたという印象です」と振り返ったように、周囲と遜色なく絡み、試合に入っていく。振り返ると、この時間帯で一つ仕留めておくことができれば、2戦合計での試合の行方はさらに決定的なモノになった。15分以降は横浜FCの左サイド、新保海鈴のクロスやドリブルからゴールを脅かされる場面もあったが、中でしっかりはね返し、フィニッシュは許さない。すると28分、セレッソに決定機。分厚い攻撃を繰り出した中で、最後はチアゴ アンドラーデのカットインからのクロスをファーサイドでラファエル ハットンが折り返し、ルーカス フェルナンデスがシュート。ただし、ここはDFとGKに防がれゴールならず。その後はよりセレッソがボール支配の色を強め、横浜FCを自陣に釘付けにしていく。決定機こそ思うように作れなかったが、試合のコントロールという部分では申し分ない展開で試合を進めていく。横浜FCに1本もシュートを許さず前半を終えようとしていた矢先、アクシデントが起こった。新保がセレッソのDFラインの背後に出したフィードに対し、GK福井光輝が対応を誤り、クリアし損ねると、抜け出した森海渡をペナルティーエリア内で倒してしまい、1発退場でPKの判定を受けてしまう。急遽、準備して入ったキム ジンヒョンがPKのコースを読んで手には当てたが、惜しくも止めることはできず、セレッソは10人となり、1点を先制される形で前半を終えた。

後半開始からパパス監督はチアゴに代えて進藤亮佑を投入。5-3-1の布陣で後ろを厚くし、相手のクロスをはね返す意図を明確にする。前の人数が減った分、プレスの圧力は弱まり、横浜FCにボールを運ばれる回数は増えたが、キム ジンヒョンを含めたセレッソの守備陣も粘り強く対応。68分に一度、ポスト直撃のヘディングシュートを打たれた以外は横浜FCに決定機を作らせることなく時計の針を進めていく。71分には古山兼悟と喜田陽を入れて前線と中盤で起点を作ると、古山が体を張ってファウルを獲得するなど、時間を使っていく。苦しみながらも耐えていたセレッソだったが、84分、CKの2次攻撃から失点。福森晃斗の精度の高いクロスから、ユーリ ララにヘディングで決められた。86分、パパス監督は吉野に代えて舩木翔を投入。中盤を1人削って最終ラインを増やし、6バックで逃げ切り体制を敷いたが、89分に失点。自陣左サイドから上げられた福森のクロスに対し、ファーではね返すことができず、大外から鈴木武蔵に押し込まれた。あと数分しのげば勝ち抜けという中で喫した痛恨の失点。「一人少なくても守り切れるチームになっていかないといけない。最後に自分たちの弱さが出た」と、この試合でキャプテンマークを巻いて奮闘した畠中槙之輔も唇を噛みしめた。

2戦合計4-4で迎えた延長戦。セレッソは、開始から登里享平に代えて香川真司を投入。再び後ろを6枚から5枚に戻し、中盤にも人を増やす。延長前半の中盤、中島が力強い守備からボールを奪い、前線の古山へパス。古山がペナルティーエリア内でDFと競り合ったが、シュートは打てず。すると、延長前半の終了間際にCKから失点。後半の途中から入ってきた大型ストライカー、櫻川ソロモンにヘディングでゴールを決められた。延長後半は守勢に回った横浜FCに対し、セレッソがボール保持の時間を増やして攻め込むと、CKも3度獲得したが、ルーカスのキックから舩木が合わせたヘディングはクロスバーの上。その後も最後までルーカスを中心に1点を奪うべく攻めに出たセレッソだったが、決定機を作ることはできず、120分が終了。2戦合計4-5でプレーオフラウンド敗退が決定した。「誰もが痛みを伴う敗戦」(香川)からいかに立ち上がれるか。中2日で迎える天皇杯2回戦へ向けて、一人一人が顔を上げて挑みたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「レッドカードが試合を変えてしまったと思います。その時点まではすごく良かったので。(ボールを)流してしまった(福井の)判断は改善が必要なポイントでした。自分たちのメンバーは、毎試合、出続けている選手たちなので、最後はフィジカル的な能力で相手に上回られてしまったと思います。相手はどんどんフレッシュな選手を入れることができる状況でしたので、そこで振り切られてしまったと思います」
 
Q:退場までは相手にシュートを打たせていません。第1戦での点差による気の緩みはなかったと思いますが、強いて退場以外に自分たちに敗因を向けるとすれば?
「改善するところはありませんと言うと、変に聞こえるかも知れないですが、人が少ない中で、毎試合、同じような選手が出ないといけない状況なので、また次の水曜日、週末の試合に向けて、回復、リカバリーするしかないです。改善するところは、今は頭に浮かびません」
 
Q:後半は5バックで第1戦のリードを守る形になったが、連戦の中で、1人少ない状況であれば、コンディションも踏まえて、あの選択がベストだと思われた?
「状況にもよりますが、10人になったので(あの選択がベストだと思った)。相手は長いボールを入れてくることも分かっていたので、その対策もありました。あとは、本来、出場させない予定だった選手を出さざるを得ない展開になりました。少ない選択肢の中から選んでいるので、ベンチをどれだけ保てるか、そこに頭を使うことで精一杯で、その中での(戦術の)選択でした」

選手コメント

■畠中 慎之輔選手

Q:振り返り辛い試合になってしまったが、結果の受け止めは?
「ホームの試合でしっかりアドバンテージを作ってくれた選手たちに申し訳ない結果になってしまったと思いますし、残念の一言です」

Q:第1戦の点差があったからと言って、緩く試合に入ったとは思いませんし、前半はPKまで相手にシュートは打たせていません。改めて、ワンプレーで流れが変わるサッカーの怖さを思い知る試合になったと感じます。
「そうですね。ただ、サッカーにはミスも付き物ですし、今後も誰にでも起こり得ること。一人少ない中でどう戦うか。自分たちはまだまだ弱いなと。一人少なくても守り切れるチームになっていかないといけないと思います」

Q:後半開始から進藤選手も入って、はね返す戦い方としては明確でした。後半39分までは耐えていただけに、最後のクロス対応が悔やまれる?
「最後まで締めないといけなかったです。最後に自分たちの弱さが出ました。相手も特長のある選手を入れてきて、やってくることは分かっていたのですが、そこを止められなかったということは、まだまだ自分たちが未熟だということです」

Q:今日は吉野選手が初先発しました。東京ヴェルディユースの先輩ですが、一緒にプレーした感想は?
「中盤で潰してくれましたし、前に横に、運動量豊富にボールをさばく、ボールを刈り取るプレーをしてくれていたので、後ろとしても助かりました。これからもっとコンディションが上がってくると、チームにもフィットしてくると思います。心強いと思いました」

■登里 享平選手

Q:受け入れがたい敗戦になってしまったが、結果の受け止めは?
「難しいですね、簡単には受け入れられないというか。自分自身も色々と経験している中で、退場はあることなので。アクシデントがあろうが、もっと試合運びとしてやれたことはあったのではないかと。全て結果論になってしまいますが、自分自身、オーガナイズできなかった。もっと示したかったなと思います」

Q:退場者が出たとしても、後半の内容が悔やまれる?
「ゲーム運びやゲームコントロールのところですね。相手の勢いをどうはね返すか。時間を使うところもそうですし、もっともっと戦い方を自分でうまくできれば良かったです。相手はロングボールやクロスも多かった中で、前線からプレスにいけない中でもラインコントロールの部分やはね返すことはもっと細かくやらないといけなかった。ただ、何を言っても結果が全てなので。でも、誰が(悪い)とかではないですし、こういうことはあることなので。ピッチ内で手応えも感じつつ試合を進めていた中で、失点して、結果としてこうなりましたけど、誰が、とかではなく、一人一人がサッカーと向き合って、今日は反省して、明日からしっかりと次に向けてやらないといけない。アウェイにもかかわらず応援して下さったサポーターのためにも、天皇杯では前に進んでいく姿を示さないといけない。簡単に自分たちから崩れないように、もっともっと全員で強いチームにしていきたいと思います」

■吉野 恭平選手

Q:セレッソ大阪でのデヒュ―戦でした。難しい展開になりましたが、率直な感想は?
「正直、どうなるか、と思って入った部分もあったのですが、前半は(中島)元彦、畠中、(西尾)隆矢とのコントロールが思ったよりできたという印象です。前半の終わりにアクシデントが起きて、後半はガラッと展開が変わってしまいました。個人の話をする前に、大切につないできたルヴァンカップのバトンを途絶えさせてしまったことは、サポーターにも選手にも申し訳なかったと思います。その上で個人的なことを言わせていただければ、試合に出場できたことは大きなステップになったので、ここから巻き返すためにも、毎日、一生懸命やるしかないと思います」

Q:練習も数回しかやっていない中での先発でしたが、前半はこちらがほぼ支配していました。前半は概ね問題なく試合を進めることができていた?
「支配できていたとは思いますが、そこで1点を取れていればゲームは終わっていたと思います。それを監督も言っていた中で、そのタスクができなかったことが敗退につながってしまったとも思います」

Q:後半は後ろの枚数を増やして、割り切って、はね返すことが狙いでしたか?
「そうですね。後半から進藤も入って、チームとして守り切ることは明確なプランでした。ただ、元彦も含め、僕たち(中盤)の守備の距離が伸びてしまってプレスをかけられなかった。そこをもっとゲーム中に話し合って、うまく修正できれば良かったと思います」

Q:セレッソでのデビュー戦の相手が古巣の横浜FCとなったことについては?
「それは、たまたまで。自分のことで精一杯でした。チームを勝たせたい一心でやっていました。それができなくて悔しいです。三ツ沢で最初の試合をできたのも何かの縁だと思いますが、この日を忘れず、もっとレベルアップしていきたいです」

Q:今日はショッキングな試合になったが、ここからチームにどう影響を与えていきたい?
「(試合後の)ロッカーでも話していましたが、これで終わるようなチームでは絶対にないと思いますし、リーグも天皇杯も残っています。みんなで一丸となって、レベルアップして、もっといいチームになっていければと思います」

■香川 真司選手

Q:受け入れがたい敗戦になってしまったが、結果の受け止めは?
「誰もが痛みを伴う敗戦だと感じています。ただ、この敗戦は自分たちで招いたもの。一人一人もそうですし、チームとしてもそう。自分たちに原因があったわけで、僕たちはそれをしっかり受け入れないといけない。サッカーに偶然はないので、どこかに隙があったということ。痛みを伴う夜になりましたが、また明日から顔を上げて、次の試合に向かいたい。次の試合まで時間もないので、切り替えてやっていきたいです」

Q:点差が開いた中で迎えた第2戦ですが、点差による緩みはなかったと思います。前半は良い内容と言いますか、相手にもシュートは打たせていませんでした。試合も支配できていたと思います。それだけに、改めてサッカーの恐ろしさを痛感する試合になりました。
「そうですね。本当に、良いスタートを切ったし、最近の中では、一番良い入りができたと言ってもいいくらい、みんな集中して試合に入っていました。ただ、こればかりは起こり得ることなので。一人退場になったことも、サッカーの中では十分起こり得ること。この敗戦をどう自分たちで受け入れて、立ち上がれるか。もちろん、先ほども言ったように、悔しいですし、痛みを伴う敗戦ですが、みんなで奮起して、また明日から。監督も言っていましたが、自分たちに矢印を向けて、やっていくしかないと思います」