プレーオフラウンド第1戦
2025JリーグYBCルヴァンカップ
2025.6.4水
セレッソ大阪
香川 真司 (55')
ヴィトール ブエノ (68')
ラファエル ハットン (90+1')
中島 元彦 (90+8')
4
HOME
FULL TIME
1
ヨドコウ桜スタジアム
0-0
4-1
横浜FC
小倉 陽太 (90+6')
ヨドコウ桜スタジアム
7,110人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「プレーオフラウンドは2試合ある中で、第1戦でしっかり点を取って勝てたことはアドバンテージです。ただ、今日の前半に関しては、納得のいく形ではなかったです。後半に入って、しっかり強度を上げて、プレッシャーもかけて、自分たちの形を作れたと思っています」
Q:総括とも重なりますが、後半に向けてギアを入れ直した印象だが?
「ハーフタイムで言ったことは、『今までやってきた形を作りたかったら、走るしかないぞ』と。そういうメッセージを伝えました。戦術の話は一切していません。強度のところ、自分が努力すること。それだけを伝えました。皆さんも見て分かったと思いますが、後半に入って選手の意識が変わったところは見えました。自分が許せないのは、ハードワークしないこと、走らないこと。それができれば、こうして点も取れるし、自分たちの展開に持ち込めると分かったと思います」
Q:2点目のFKを決めたヴィトール ブエノ選手について伺います。際立った技術を発揮する一方、ハードワークや守備にやや難を抱えており、昨シーズンの終盤は出場機会を減らしていました。今シーズンはうまくチームに組み込んでいる印象ですが、彼に与えているタスクや評価については?
「本当に個性のある選手です。(日本のサッカーに)うまく対応できる選手もいる一方、そうではない選手もいます。クオリティーがある選手ですが、それをしっかり表現できるように、頑張ることも必要です。(外国籍選手が)日本でしっかり活躍する上では、必要なことが2つあります。プレッシングに行くこと、ハードワークすること。この2つが欠けていれば、プレーはできないんじゃないかなと思います。そこを自身で理解して、ここからさらにやっていって欲しいなと思います」
Q:1点目を取った後の選手交代について。ラファエル ハットン選手、ルーカス フェルナンデス選手を投入し、勢いを増す形になったが、交代に込めたメッセージについて。
「流れが自分たちに来たと思ったので、さらにアグレッシブに行くことを考えました。交代した選手もそれまで頑張っていました。その上で、投入する彼らがしっかり結果を出してくれると自信がありました。うまくつなげてくれたと思います」
Q:3点のアドバンテージをもって乗り込む敵地での第2戦へ向けて。
「大切なことは、一言で言えば、アグレッシブさを忘れない、ということです。第2戦に向けてアドバンテージがあるからと言って、引いて守ることはしたくありません。自分たちがやり続けてきたフットボールをしっかり表現して、これが正しい形だ、という気持ちをもって、第2戦に乗り込みたいと思います。まだハーフタイムだと思っています。しっかり気持ちを入れ直して、第2戦に向けてどれだけ力を発揮できるかがカギになります。横浜FCと対戦したリーグ戦の第6節は、内容も満足できない結果だったので、それを払拭するためにもしっかり戦おう、という言葉を選手たちにはかけています」
選手コメント
■香川 真司選手
Q:後半にスイッチを入れ直したように見えました。先ほど監督も「ハーフタイムには強度や走ることを伝えた」と話していました。
「そうですね。ハーフタイムに監督もエモーショナルに『このままじゃダメだ』という話をして。その中で、僕たちはリアクションを示さないといけなかった。しっかりそれを示せたことは良かったです。前半に関しては課題もありました。なかなか試合に絡めていない選手も含めて、感覚や距離感も含めて課題はあったのですが、0-0で終えることも大事だったので、トータルで90分を見た時に、しっかりと修正して勝てたことは大きかったと思います」
Q:そうした監督のゲキに、ゲームキャプテンとしてはどう締め直した?
「前半のインテンシティーは足りなかったと感じていた中で、後半に切り替えて、『もう一回、奮起し直そう』という話をみんなでしたので、そこは全員で示せたと思います」
Q:得点場面について。「ゴール前に入っていく機会を作り出す」ことを自身に課していた中で、そうしたプレーを示せたゴールになりましたか?
「(中村)拓海がいいプレスをかけて、ショートカウンターができました。あそこでボールを奪えたら、ボランチも高い位置を取れます。素晴らしいプレッシングからみんながつながって、良い距離感で、自分も飛び出していけました。そのプレッシングが良かったかなと。そこで勝負あったかなと思います」
Q:右足アウトで決めたシュートのイメージについては?
「左で巻こうと思ったのですが、直前で右の(アウトの)方がいいなと思って。うまくイメージ通りのコースに流れてくれたので、良かったです。(コースは)ニア一択でしたね」
Q:3月のリーグ戦では無得点に抑えられた相手に対して、5バックの相手に対して4点を取れたことについては?
「ホームなので、必ず勝たないとはいけないとは思っていました。4点を取れたことは大きかったですが、5バックのチームの守備は固いので、次もアウェイで厳しい試合が待っていると思います。そういうチームに対して攻略できるように、今日の前半の課題を修正して、つなげていきたいと思います」
Q:守備でも櫻川ソロモン選手との競り合いで奪い取るなど、パッションの部分でもチームを引っ張っていたように見えたが?
「(北野)颯太の(壮行)試合の後ということで、スタジアムの雰囲気も含めて。もちろん、平日の夜にも関わらず、これだけ多くのサポーターに来ていただいたことに有難みを感じていましたが、あれだけエモーショナルな試合から中2日で、そこからまた出力を出す難しさはどうしても感じていました。なので、前半がああいう戦いになることも、ある意味、想定内というか。とりあえず、0-0で終えることが大事でした。もちろん、1-0、2-0にできたら良かったですが、そんなに相手も簡単にはやらせてくれないので。なので、90分を通してしっかり戦えて勝てたことが良かったと思います」
■中島 元彦選手
Q:得点シーンについて。
「また頭です(苦笑)」
Q:直近のリーグ戦の試合後は「利き足は頭」と自身でも言っていたが?
「来年、そう書かなアカンところまで来ましたね(笑)」
Q:どんどん、中に入っていくタイミングも磨かれている?
「昔はずっとFWをやっていて、ヘディングもたくさん決めていたので。それと、昨年、FWやトップ下でヘディングを結構、決めました。それまではクロスを上げる側だったのですが、昨年は受ける側でヘディングも決めて。お父さん、お母さんからも、『ヘディングはもうエエ』と言われるぐらい、決めていたので(苦笑)」
Q:昨シーズンの時点で言われていたんですね(笑)。
「今年もそろそろ言われる気がします。『ヘディングはエエから、ミドルを決めてくれ』と(笑)」
Q:今後もトップ下でプレーする機会は増えそうですし、ヘディングのゴールもありそうだが?
「点を決めたシーンも、その前にルーカスから(パスを)もらった場面で足がもつれてシュートを打てなかったので、ヘディングじゃなくて、足下でも決められたらもっと良かったです」
Q:動き直して、体勢を作れたことは大きかったのでは?
「多分、その動きは全員がやると思います。それに、ルーカス(フェルナンデス)があの辺で持てば、中の選手としては、『この辺にパスが来たらいいな』と思うところにポジションを取っておけば、大体、来ます。なので、ルーカスあってのゴールだと思います」
Q:展開を考えると、大きな1点になりましたね。
「そうですね。3-1と4-1ではだいぶ違うので。ただ、次も点差は関係なく、勝ちにいきたいと思います」
■中村 拓海選手
Q:古巣戦となりました。試合を振り返ると?
「楽しかったです」
Q:相手として、横浜FCと戦った感想は?
「知っている選手ばかりだったので、負けられなかったですね。勝てて良かったです」
Q:前半から高い位置まで進入するシーンもありました。持ち味を出そうという意識でしたか?
「戦術的に自分が前に上がることは求められていました。タイミングが合わなかったシーンもありましたが、良かったかなと思います」
Q:先制点は、中村選手が高い位置で奪ったところから始まったが?
「そこは常に監督からも『前で潰せ』と言われているので、それができて良かったです」
Q:第2戦はニッパツ三ツ沢球技場だが?
「もし出場できたら、0-0のつもりで、しっかり点を取って勝ちたいと思います」
■ヴィトール ブエノ選手
Q:後半にスイッチを入れ直したように見えました。ハーフタイムにもう一度、意思統一して後半に入った?
「確かに前半は満足できる内容ではなかったです。ハーフタイムに監督から話があって、後半にしっかりスイッチが入って、戻ったかなと。後半のサッカーが、普段自分たちがやっているサッカーだったかなと思います」
Q:ただ、前半もチャンスは作れていました。今日は右サイドでのプレーでしたが、振り返ると?
「慣れ親しんだポジションではないですが、成長のために大事な時間でした。まず試合に出ること、ピッチに立つことが自分にとっては大事なことなので。その中で自分に何ができるかを挑戦していました。後半、ポジションを(トップ下に)変えて、持ち味を出せたと思います」
Q:直接FKでのゴールは見事でした。自身で振り返ると?
「今までもあのようなFKを決めたことはありました。自分の持ち味の一つだと思います。これに満足することなく、もっともっと点を取りたいです。まずは試合に出るチャンスをもっと増やすことが、今の自分にとっては大事なので、今日のゴールがきっかけになればと思います」
Q:先日、ご家族(お父様)にご不幸があられたとお伺いしました。お父様への想いをお聞かせいただけますか
「自分にとって厳しい時間でした。ですが、妻とチームメイト、セレッソファミリーの皆さんが自分のことを気遣って、エネルギーを与えて、サポートしてくれていることを感じ、凄くありがたいと思っています。何不自由なく暮らす環境を作ってくれて、自分がこうしてサッカーをできているのも、父のおかげです。心から感謝しています。彼から学んだことは、これからの人生、常に心に刻んで歩んでいきたいと思います。セレッソに来た当初から、一つの夢としてタイトル獲得がありましたが、(父のためにも)今はさらに大きなモチベーションとなっています」
プレーオフラウンド第1戦は香川真司の先制点を機に、後半に一挙4得点で快勝。プライムラウンド進出へ大きく前進
明治安田J1リーグ第19節・清水エスパルス戦から中2日。セレッソ大阪は、横浜FCとのJリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンド第1戦に臨んだ。先発は清水戦からチアゴ アンドラーデを除く10人を変更。今季、横浜FCから完全移籍で加入した中村拓海も名を連ねた。ベンチには、阪南大学に在学中でセレッソ加入が内定している金本毅騎も入った。
C大阪が4-2-3-1、横浜FCは3-4-2-1。システム的にミスマッチが生じるかみ合わせとなった試合は4分、横浜FCに左サイドを起点に攻め込まれると、セレッソも6分、この試合は2列目の右サイドに入ったヴィトール ブエノが鋭いクロスを入れる。両チームともサイドを起点に打開を試みると、16分にはセレッソに決定機。中村拓海のクロスを柴山昌也と古山兼悟がスルー、最後は左サイドのチアゴ アンドラーデがフィニッシュに持ち込んだが、GKフェリペ メギオラーロに阻まれた。19分にもセレッソに決定機。右サイドの深い位置まで進入した中村のクロスにブエノが合わせたが、シュートはGK正面に飛んだ。28分にもビッグチャンス。香川真司が相手3人に囲まれながらもパスを通すと、受けたブエノのクロスに古山がヘディングで合わせたが、シュートは枠を捉え切れず、先制とはならなかった。こうして好機を作る一方、横浜FCにも再三ゴールを脅かされたが、GKキム ジンヒョンの好セーブもあり失点は防ぐと、40分、この試合、最大のチャンスが訪れる。中村のパスから背後を取った古山がドリブルで持ち込み、GKと1対1を作ったが、やや角度がなく、放ったシュートはわずかに枠の外。ホーム初ゴールとはならず、背番号29は悔しさを露わにした。直後のピンチでは、今度は横浜FCのシュートがわずかに枠の外。前半は両チームが決定機を作るも、仕留めることができず、0-0で終了した。
ハーフタイムでは、「戦術の話は一切していません。強度のところ、自分が努力すること。それだけを伝えました」と前半の内容に納得していないアーサー パパス監督から「エモーショナルな」(香川)ゲキが飛ぶと、後半、セレッソの選手たちはギアが一段アップ。より前から奪いにいく姿勢を強め、ゴールへの意欲を打ち出していくと、55分、先制に成功する。相手GKのロングキックを中村がカット。ここからショートカウンターの形でゴールに迫ると、ブエノ、柴山とつなぎ、最後は後方から走り込んできた香川が右足アウトで決めた。背番号8のテクニカルな一撃に沸くヨドコウ桜スタジアム。すると、「流れが自分たちに来と思ったので、さらにアグレッシブに行くことを考えました」とパパスは61分に2枚代え。チアゴと古山に代えてルーカス フェルナンデスとラファエル ハットンを投入。点差を広げるべく積極的な交代に踏み切ると、この采配が的中。68分、ルーカスとハットンがワンツーでゴール前に進入し、ルーカスがファウルを受けて得たFKをブエノが直接決めた。「自分の持ち味の一つ」と自ら振り返ったブエノの鮮やかなキックで点差を広げたセレッソは、後半アディショナルタイムにもハットンが追加点。90+6分には、横浜FCにCKの流れから1点を返されたが、終了間際にルーカスのクロスを中島元彦がヘディングで合わせて再び点差を3点に広げて試合終了。プライムラウンド進出が懸かる敵地での第2戦へ向け、大きなアドバンテージを得て臨めることになった。
もっとも、試合後の指揮官に笑顔はなく、「大切なことは、一言で言えば、アグレッシブさを忘れない、ということ。まだハーフタイムだと思っています。しっかり気持ちを入れ直して、第2戦に向けてどれだけ力を発揮できるかがカギになります」と勝って兜の緒を締めた。先頭に立ってチームを引っ張り、先制点も決めた香川も同様に、「次もアウェイで厳しい試合が待っていると思います。今日の前半の課題を修正して、つなげていきたいと思います」と引き締まった表情で第2戦へ向けた抱負を話した。プレーオフラウンドを突破する上で大きく前進したことは確かだが、まだ何も決まっていない。敵地での第2戦へ向け、チームとして油断することなく挑みたい。