2025明治安田J1リーグ第22節

2025明治安田J1リーグ

2025.5.28

浦和レッズ

0

AWAY

FULL TIME

0

0-0

0-0

セレッソ大阪

埼玉スタジアム2002

24,697

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

前倒し開催のアウェイ・浦和戦は、後半の猛攻も実らずスコアレスドロー。それでも、GK福井光輝の好セーブで得た勝点1を次につなげたい

 
アビスパ福岡との明治安田J1リーグ第18節から中3日。セレッソはアウェイに乗り込み、浦和レッズとの明治安田J1リーグ第22節に臨んだ。本来、第22節は6月末に予定されているが、浦和が6月から7月にかけて行われるFIFAクラブワールドカップ2025に出場するため、前倒しでの開催となった。スタメンは福岡戦から3人変更。登里享平が6試合ぶり、チアゴ アンドラーデが5試合ぶり、さらに前節、先制点を決めた柴山昌也がリーグ戦では第3節・柏レイソル戦以来となる先発を果たした。システムはリーグ戦では6試合ぶりとなる4バックで臨んだ。
 
立ち上がり、セレッソはルーカス フェルナンデスが3度クロスを入れるなど、素早く右サイドにボールを運んでチャンスを作ると、12分に決定機。西尾隆矢のパスを受けたルーカスのクロスにラファエル ハットンがヘディングで合わせたが、わずかにポストの外。浦和の両センターバックのちょうど真ん中にボールを落とすルーカスの絶妙なクロスにハットンも上からしっかり叩いたが、惜しくも先制とはならなかった。直後の15分、浦和の右サイド、金子拓郎を起点にチャンスを作られると、渡邊凌磨のクロスのセカンドボールから安居海渡に強烈なシュートを打たれたが、GK福井光輝が弾き、西尾がクリア。最初のピンチを逃れると、以降は再びセレッソが試合を掌握。右サイドを起点に何度もCKを獲得すれば、27分には喜田のパスをハットンが落とし、相手の裏に走り込んだ柴山がシュート。ただし、ここはGK西川周作に止められた。ボールを握りながらも得点は奪えずにいると、35分ごろから試合のペースは浦和に傾く。セレッソは奪ったボールもすぐに奪い返され、自陣に閉じ込められると、45分、浦和に決定機。サミュエル グスタフソンのパスをマテウス サヴィオが振り向きざまにボレーで合わせるワールドクラスのプレーが飛び出したが、ここも福井がビッグセーブで失点は阻止。互いの時間帯でチャンスを作り合った前半は、球際の攻防も激しい好内容で、0-0で折り返した。
 
前半とは反対に、後半の入りは浦和が主導権を握る。浦和のボール保持に対してセレッソは守勢に回ると、奪った後も全体の距離感が遠く、パスがつながらない。間延びした状態で押し込まれると、52分、浦和に決定機。前半に続いて金子に起点を作られ、サヴィオのクロスに石原広教がヘディング。セレッソとしては失点も覚悟した瞬間だったが、福井が右手を伸ばしてビッグセーブ。ゴールラインを割る寸前で止めた。「ブロックの組み方として、距離感が良くない」と見たアーサー パパス監督は、58分、2枚代えを敢行。柴山とチアゴに代えて、北野颯太と阪田澪哉を投入。ポジションはそのまま北野がトップ下、阪田が左ウイングに入った。すると、ここから流れが変化。北野が相手のライン間でうまくボールを受け、自分たちの時間を作ると、相手を押し下げることに成功。再びセレッソが前向きの状態でボールを握る。前半と同様、ルーカスと奥田勇斗の右サイドに加え、後半は左サイドも活性化。阪田が縦に仕掛けるところと登里との連係で崩すところを使い分け、左右からバリエーション豊かに攻め立てると、76分、左サイドを崩した形から決定機。登里のパスを受けた喜田がミドルシュート、GK西川が弾いたところにハットンが詰めて無人のゴールへ押し込んだが、シュートはポストを直撃した。2分後、今度は北野のパスを受けた登里が得意の左足を振り抜くと、素晴らしい弾道のシュートが飛んだが、ここもポストを直撃。良い形で攻めながらも先制のチャンスを生かせない。こうなると、得てして浦和にワンチャンスを仕留められる展開になりがちであり、実際に84分、自陣右サイドを関根貴大に突破され、中で大久保智明に合わせられたシュートがクロスバーを直撃。冷や汗をかいた。難を逃れると、ここからは試合終了までセレッソがボールを保持し、攻め続ける。84分、87分と阪田、北野、登里で左サイドを崩してゴールに迫ると、後半アディショナルタイムには、CKのセカンドボールを拾った喜田が良いコースへ枠内シュートを放ったが、西川に止められた。結局、最後まで浦和のゴールは割れず、試合は0-0で終了。セレッソにとって今季初のスコアレスドローとなった。
 
「内容的に見たら僕らが勝ちに相応しかったと思います。勝ちたかった、というのが率直な気持ちです」(香川真司)、「勝点3を取りたかった内容でした。僕自身も決めたかったですし、チームとしても、押し込んだ時間帯で決め切らないといけない試合だったと思います」(喜田)。この試合でもたくさんボールを触り、攻撃のリズムを作り続けた両ボランチが振り返ったように、セレッソとしては試合終盤、あれだけ押し込んだだけに、浦和のゴールをこじ開けて勝点3が欲しい試合展開ではあった。それでも、前半終盤と後半立ち上がり、浦和に先制されてもおかしくないピンチもあっただけに、「ポジティブな0-0だった」(福井)ことも確か。「0-0という結果でしたが、エキサイティングな試合だったと思います」と指揮官が会見の冒頭で述べたように、時間の経過が早い、クリーンな好ゲームでもあった。「今日はチームも個人的にも良い戦いができましたが、このあとが僕たちの課題。次、勝てるか、また試されています。貪欲に勝ちにいきたいと思います」と香川。ホームに清水エスパルスを迎える次節、ここでしっかり勝つことができれば、今節で得た勝点1の価値も高まる。9連戦の5試合目、再び中3日での連戦となるだけに、まずはしっかりとリカバリーに務め、チーム一丸で臨みたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「0-0という結果でしたが、エキサイティングな試合だったと思います。両チーム、勝ちに向けて攻める姿勢を見せた中で、自分たちも攻撃の形は出せましたが、決め切れませんでした。前回の対戦から試合をこなし、相手も成長し、僕らも成長している姿を見せることはできたと思います。ただ、得点チャンスを作った中で得点できなかったことは、しっかり改善しないといけません。まだまだ試合が続くので、今やっていることを続けていきたいです」

Q:後半の2枚替え以降、ほぼ相手コートでサッカーをし続けて、決定機も作り、2度ほどポストにも当たりました。それだけに勝ち切りたかった試合だったと思います。ただ、前半のラスト15分や後半の入りなど、浦和に押し込まれた中で福井選手の好セーブもありました。今日の勝点1をどう受け止めますか?
「前半に関しては、押し込まれた時間帯での守備の仕方、ブロックの組み方として、距離感が少し良くなかったなと思います。また、ハーフタイムにも選手に話したのですが、『簡単に相手にボールを預けてしまうと、こういった形で押し込まれてしまう』と。『ランダムなパスではなく、自分たちのボールにしよう』と。後半も入りの10分ほどは流れを掴み切れていない状況だったので、選手を2人替えました。強度のところと、自分たちでもっとボールを保持する時間を作りたかったので、2人(北野、阪田)を送り出しました。そこからチャンスも作りながら、決め切れずに引き分けという展開になりましたが、相手も良いチームですし、相手にもチャンスがありました。学ぶことも多い試合だったので、そこはまた生かして修正したいです」

Q:ボランチの喜田選手と香川選手がフル稼働しています。今日もしっかりとゲームを作って良いパフォーマンスを見せていたと思うが、彼ら2人の働きはどう見ていますか?
「今日のベンチを見てもらえれば分かると思いますが、ボランチ(を本職としている選手)の交代選手はいませんでした。その中で、2人はよくやってくれている、という気持ちです。中島元彦に関しては、今日は体調不良で帯同していません。現状、(ボランチは)替えが利かないポジションになっています」

Q:前半は「守備の距離感が少し良くなかった」ということですが、押し込まれた中でも失点ゼロで終わったことに関しては?
「ポジティブなことです。試合を重ねるごとに、ディフェンスもしっかりできる状況が作れています。以前は、相手の少ないチャンスを決められて失点することもありましたが、GKとDFを含めて守り切れたことは、成長を感じます」

(最後に自ら切り出して)「日本を代表して、浦和レッズさんにはクラブワールドカップでぜひとも頑張って欲しいという気持ちです。改めて、そういった言葉を添えさせていただければと思います」

選手コメント

■福井 光輝選手

Q:前半の終盤、後半の立ち上がりに好セーブを見せたが?
「どっちに転んでもおかしくない試合だったと思いますが、その中で失点しないことは意識していました。クリーンシートは毎試合、意識してゴールマウスに立っているので、失点ゼロで終われたことは良かったです。GKは最後の砦ですし、失点ゼロで終われたら負けはしないので」
 
Q:特に後半の立ち上がり、石原選手のヘディングを止めたセーブは凄かったが?
「率直に、ボールに反応できました。前半も何度かセーブできたので、自分の中でリズムに乗れたのかなと思います。点は取れなかったですが、取らせなかったので、自分としてはポジティブな0-0だったのかなと思います」
 
Q:相手には西川周作選手がいました。お互い好セーブを見せた締まった試合になりましたが、彼のプレーも刺激になりましたか?
「もちろんです。同じ左利きで、小さい頃からずっと見てきた選手なので。ずっと追いかけている存在ですし、リスペクトしています。サイズも同じぐらいで、目標の選手でもありますが、越えていかないといけない存在だとも思っています。対戦できて、今日は夢のような時間でもありました」
 
Q:試合後は、何か言葉を交わしましたか?
「はい。自分のセレッソでのデビュー戦も浦和が相手だったのですが、いつも優しく話しかけてくれるので。今日は『ナイスキーパー』と言ってもらいました。『周さんこそ、めちゃくちゃ良いセーブで』と、お互いを称賛し合っていました(笑)」
 

■喜田 陽選手

Q:今日の勝点1をどう振り返りますか?
「勝点3を取りたかった内容でした。福井選手が止めてくれたところもあったので、僕自身も決めたかったですし、チームとしても、押し込んだ時間帯で決め切らないといけない試合だったと思います」
 
Q:後半、北野選手と阪田選手が入った時間帯からはずっと攻めていました。ただボールを持つだけではなく、相手を押し込む握り方もできていただけに、1点が欲しかったですね。
「後半は、より握る時間、前で押し込む時間帯が増えたので、そこで決め切りたかったです。
自分にもチャンスがあったので、点を取らないといけなかったです」
 
Q:まさに試合前日に話していた、「攻撃と守備はつながっているので、前でプレーすることで、(自陣の)ゴールから遠ざけることができる」という言葉を体現していましたね。
「そうですね、はい」
 
Q:前半に関しては、お互いのペースが行き来したというか、前半の終盤は相手に押し込まれる時間もありました。プレーしていてどう感じていましたか?
「押し込んだ時に、シンプルなミスだったり、無理に背後へ蹴ったりして、相手に簡単に渡していたイメージがあったので、後半はそこを変えようと思い、慌てずプレーできたことが、押し込めた要因だと思います」
 

■北野 颯太選手

Q:後半、押し込んだ状況の中、あと一つ足りなかったと思うことは?
「シンプルに技術的な部分も必要だったと思いますし、あとは気持ちの部分で、『自分が決める』という気持ちがもう少し必要だったなとも思います」
 

■香川 真司選手

Q:今日の勝点1をどう振り返りますか?
「勝ちたかったですね。内容的に見たら僕らが勝ちに相応しかったと思います。勝ちたかった、というのが率直な気持ちです」
 
Q:特に後半、2枚代え以降はセレッソが敵陣でサッカーを進め、丁寧に崩して決定機も作っていただけに、そこで決め切りたかった?
「そうですね。押し込んでいたので、1点欲しかったですね。ポストも2度ほどありました。崩し方や選手間の距離感、3人目の関わり方など、攻撃の内容は良かったので、勝てたらパーフェクトでしたが、負けないことも大事。次、勝てるように準備したいです」
 
Q:相手は中央が強いですが、うまく回避して、サイドにボールを運んで崩せていたように思います。
「ビルドアップはうまくやれていたと思います。それはずっとやり続けていることですし、どんな相手でもやろう、ということは内容にも出てきていると思います。そこはやり続けていきながら、こういう試合を勝たないといけない。それをみんなで強く思いながら、次の試合に向けて準備したいです」
 
Q:現状、ボランチは替えが利かないですが、試合に出続けている状況をどう感じていますか?
「サッカー選手として幸せです。試合には常に出続けたいので。反省と成功を繰り返しながら成長していきたいですし、そういう意味では、次は必ず勝ちたいです。今日のフィーリングとしては、チームも個人的にも良い戦いができましたが、このあとが僕たちの課題です。次、勝てるか、また試されています。監督もそこは強調していました。そういう(勝ちに向かう)メンタリティーを監督は植え付けてくれているので、若い選手を含めて、貪欲に次の試合を勝ちにいきたいと思います」
 
Q:連戦が続く中で、プレータイムも伸びて、個人としてのコンディションはいかがですか?
「もちろん、きつい部分もありますけど、中2日、3日で欧州の選手たちもやっていますし、こういうテンポが逆に気持ち良かったりします。逆に体が動いたり、オンとオフがハッキリしやすいので、好きですね」
 

■登里 享平選手

Q:今日の勝点1をどう振り返りますか?
「前半も後半も苦しい時間帯はありましたが、失点ゼロで耐えながら、こっちにもチャンスはあったので、アウェイでしたが、勝ち切りたかったです。優勝や上位を狙うためには、こういう試合をしっかり勝とう、という話はしていたので、勝点3を取りたかったのが正直な思いです」
 
Q:前半ラスト15分と、後半の立ち上がり15分は相手のペースだったと思います。難しくなった理由はどう感じていましたか?
「そうですね。その時間帯は難しかったですね。メンタル的にもきつかったです。相手もサイドバックが高い位置を取ることで、こちらのウイングが吸収された部分もあります。前に出そうとしましたが、全体的な押し上げが足りず、押し返す作業ができませんでした。受け入れてしまう部分があったのかなと」
 
Q:逆に、後半、北野選手と阪田選手が入って以降は、ほぼこちらがボールを握って攻め込んでいました。
「2人が時間を作ってくれましたし、ゲームチェンジャーの役割を果たしてくれました。チアゴもチアゴの良さがあるので、そこを生かし切れなかったのはサイドバックの自分の責任だったと思います。そこから(阪田)澪哉に代わって、動き出しの部分も含めて相手の脅威になっていましたし、起点を作ってくれたので、自分も上がるタイミングを取りやすかったです」
 
Q:終盤の左サイドは、良い崩しが何度もありましたね。
「そうですね。(北野)颯太もうまく中間でポジションを取りながら、(相手の)ライン間を割っていく作業もできました。最後はハーフコートで押し込みながら、(畠中)槙之輔も前に上がってきてチアゴ サンタナ選手を迎撃してくれていたので、僕は澪哉と颯太と数的優位を作りながら攻めることができました」
 
Q:登里選手自身、1本、惜しいシュートがありました。
「そうですね、思い切って打ちました。ポストの内側に当たって入れば良かったですが、ポストの正面に当たったので、あれは技術ミスです。尊敬するシュートの名手が言っていました。『ポストに当たって外れるのは技術ミス』だと」
 
Q:ちなみに、どなたでしょうか?
「(川崎フロンターレ時代のチームメートだった)阿部ちゃん(阿部浩之)です(笑)。でもあそこまで入って、シュートを打てる位置まで入れたことは良かったです。ああいう位置にサイドバックが入っていければ、ウイングが外を使えます。そこ(バリエーション)に関しては、今日は澪哉と颯太のおかげで、色んな選択肢を持てました」
 
Q:最近、左サイドバックは髙橋仁胡選手が出ていますが、登里選手の周りとの絡み方、生かし、生かされながら攻める熟練の技も光った試合になったと思います。
「いやいや(笑)、仁胡の推進力は(武器)。でも自分自身、リーグは久しぶりの出場だったので、腹を括ってプレーするしかないと思ったし、チームを勝たせたい思いで臨みました。
結果的に失点はゼロで抑えましたが、勝てなかった。でも、こうやってチャンスに応えていかないと。仁胡から刺激を受けながら、自分のやれることを整理して、もっともっと改善して成長していきたいです。個人も見つめていきながら、チームが勝てるようにやっていきたいです」