第18節
2025明治安田J1リーグ
2025.5.24土
セレッソ大阪
柴山 昌也 (84')
ラファエル ハットン (90+8')
2
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
0-0
2-0
アビスパ福岡
ヨドコウ桜スタジアム
14,693人
ダイヘンサポーティングマッチ
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「すごく難しい試合でした。前半に関しては、どちらも支配したとは言えない試合でした。僕らのチームも支配できていなかったという感想です。ハーフタイムで戦術的な交代をしました。フォーメーションも変えて、支配し切れていない部分を変えたい思いがありました。後半の入り方はポジティブでした。こういう試合は先に1点を取った方が勝つだろうと思っていました。交代で入った選手もゲームに大きなインパクトを与えてくれました。こういう難しい試合をどう勝つかは非常に重要だったので、勝点3を取れたことは良かったです」
Q:基本的には、セレッソがボールを握って相手の守備をどう崩すか狙いつつ、福岡がハイプレスとブロック守備を使い分けてカウンターからゴールに迫るゲームだったと思います。その中で、試合の終盤まで得点を決め切れず、後半はピンチもありました。シーズン序盤であれば、こういう試合は落としていたかも知れません。我慢する時間帯で耐えて、2得点につなげたことは、監督がいつも話されている「勝者のメンタル」が徐々に備わりつつあるということでしょうか?
「おっしゃったとおり、メンタリティーはグループとして成長していると思います。前節の川崎戦を振り返ると、同じような展開で試合が進んだ中、0-2で敗れました。ただし、そのあと、すぐに来た京都戦は、全てを出し切ってくれて勝てました。今日に関して大事だったことは、最後の最後にしっかりと1点を取ること、さらに2点目も取れたこと。先発の11人だけではなく、途中から入る選手も含め、勝者のメンタリティーが備わってきているのではないかと思います」
Q:まさに拮抗した試合展開の中で、途中出場の3選手、柴山昌也選手、中島元彦選手、阪田澪哉選手が試合を決める活躍を見せました。グループ全体としての質の高さ、層の厚さを示せたのでは?
「素晴らしい活躍をしてくれた選手が多かったですね。まず先発の11人を決めますが、(試合の)最後の11人は変わります。そうしたことを考えると、途中から出る選手の質の高さも必要です。今、名前を挙げられた3選手以外にも、(北野)颯太もジョー(上門知樹)も素晴らしかったです。今日は途中から出た選手が良い形で試合に入ってくれました。それがチームに成長をもたらしてくれると思います」
Q:後半開始から4バックに変えた理由、チームとしての狙いは?
「今節は相手とスタートのフォーメーションが同じで、至るところで1対1が生まれる状況でした。そうしたところをうまく打開できなかったので、形を変えて、ビルドアップも含めてどう前進するか。そこを明確にしました。前半、生かし切れなかったサイドを生かすことも考えました。後半から入った(阪田)澪哉、ルーカス(フェルナンデス)へどうボールを持っていくか。後半はしっかり改善できたと思います」
Q:終盤に先制し、舩木選手を投入しようとしていたところで一度はネットを揺らされました。オフサイドで取り消しになりましたが、あの時間帯は、どう戦況を見ていましたか?
「まずゴールでなかったことに安堵しました(笑)。あの時間帯は、どう守るかを考えていました。(後ろを)5枚にしようと思った理由は、相手がロングボールを蹴ってきて、ボックス内にどんどんクロスが入ってくる状況だったので、5枚にして、相手のスペースを消してディフェンスしようという思いでした。その中で2点目が取れたことは良かったです」
選手コメント
■柴山 昌也選手
Q:先制点の場面は冷静に落ち着いて決めた印象だが?
「そうですね。パスをもらったときから落ち着いてトラップして、落ち着いて流し込めたと感じます」
Q:中島選手のパスを受ける前の動きについては?
「チラッと前を向いた時に誰もいなかったので、パスをしっかり呼び込んで、良い所に置けたので、相手GKは見ていなかったですが、ファーに流し込むことを考えて打ちました」
Q:ここ数試合、結果が出ています。今までと何が変わったと思いますか?受ける前の余裕が出てきた?
「自分自身でも何が変わったか分からないですが、入っていなかった時期も、ゴールが入り出した今も、やっていることは変わりません。自分を信じてやり続けてきたので、全てが今につながっているのかなと思います」
Q:ヴィッセル神戸戦のゴールも含め、しっかりとGKのタイミングを外してシュートを打てているように見えるが?
「自分の中で、そこに蹴ると決めて打っています。変にGKを見て駆け引きするのではなく、そこに蹴ると集中して蹴りました。今日もボールをもらった瞬間、ファーに蹴ると決めて打ちました」
Q:限られた出場時間の中で結果を残し続けていますが、どういった思いでピッチに立っていますか?
「チームも連戦で、人数も少ない中で、ルヴァンカップもあって。自分はリーグではなかなか出場機会を得られていませんが、ルヴァンカップでアシストして、それが今日の出場にもつながったと思います。ボス(パパス監督)の信頼を勝ち取るために、1試合1試合、限られた時間の中でも結果を残すことが大事だと思ってプレーしています」
Q:ホームでのゴールは初ですよね?
「そうですね」
Q:ゴール裏のサポーターの前で決めた思いは?
「でも神戸戦も、ホームのゴール裏のような感じだったので」
Q:では、ヨドコウ桜スタジアムで決めた思いは?
「めちゃくちゃ嬉しかったですね(笑)。みんなの喜んでいる顔が見えたときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。何物にも代えられないですね(笑)」
■中島 元彦選手
Q:先制点のアシストについて
「自分がトラップしたら相手が閉まると思ったので、ダイレクトに出せたことが良かったと思います。(柴山選手が)ワンタッチでシュートを打てるようなパスにしようと思い、出しました」
Q:コースも速度も絶妙なパスでしたね。
「フリー過ぎて緊張しましたが…(笑)、優しく出せましたね」
Q:中3日で次の試合を迎えるが?
「いっぱい食べて、いっぱい寝て、リカバリーします(笑)」
■阪田 澪哉選手
Q:チームの2点目、アシストした場面を振り返ると?
「パスを受けたとき、思ったよりゴールから外だったので、まずは前に運んでゴールに向かったら、中にハットンがいたので、出しました。ハットンなら決めてくれると思いました。一つ前のシーンでは、ジョーくん(上門)のパスから外しているシーンもありましたが、それもあり、今度は決めてくれると思いました」
Q:後半から出場して結果を残したが?
「自分にできることは、前への推進力を出していくこと。他のプレーではミスが多いので、そこは課題として直していかないといけないですが、自分の特長をどんどん出していくことが結果や評価につながると思うので、今日一つアシストできて良かったです」
Q:同じ途中出場の柴山選手のゴールで、燃える気持ちもありましたか?
「そうですね。シバくんも出場機会が少ない時期も多い中で、いつも『今日は俺らが決めて勝とうな』と言って下さっているので、シバくんが決めて自分も燃える思いがありました」
Q:2点目の場面は、あのままサイドでキープしても試合は終わっていたと思うが、カウンターで点も狙えると思った?
「そうですね。あの場面はキープしていれば(試合終了の)笛は鳴っていたと思いますが、それだけではダメだと思い。自分自身、結果が出ていないので、点につながって良かったです」
Q:後半から入って、積極的に仕掛けて、対面の相手にも勝てている手応えがあったのでは?
「前の位置でボールをもらったときはドリブルで抜ける感覚もありましたが、ビルドアップでは自分のところで引っかかる場面も多かったので。そこでもリズムを作れる選手になることも必要だと思います」
Q:後半からのシステム変更の狙いについて、「サイドからの攻撃を生かす」と監督も話していましたが、後半立ち上がりも含め、狙いは体現できたのでは?
「そうですね。ハーフタイム中に、『サイドに付けて、サイドで起点を作ろう』と監督も言っていたので、そこは意識しました。ただ、もっともっと出していかないといけないと思います」
■北野 颯太選手
Q:リーグ戦5試合ぶりの先発だったが?
「久しぶりだったので、いつもより集中して入りました。久しぶりのスタメンで、昂る気持ちはありました」
Q:前半39分のシーンは惜しかったが?
「余裕を持ち過ぎてしまい、もっとシンプルに仕掛けても良かったなと思います」
Q:後半からシステムも変わった中で、より自由に動いてゴールに迫っていました。コンディションも良さそうに見えたが?
「コンディションは良いので、もっともっとやらないといけないと、ここ最近は感じています。そこはまた自分と向き合って、しっかりやりたいです」
■進藤 亮佑選手
Q:最後はヒヤヒヤの勝利でしたね。
「やられたと思っています。勝ちましたが、やられたと思って、しっかり反省したいです」
Q:意図的に取ったオフサイドではない?
「はい」
Q:試合後は奥田選手と話している様子も見られたが?
「新鮮な内に反省しようかなと。試合後は、あの場面で頭がいっぱいでした。勝ったけど、スッキリしないというか。ああいう議論をするのは好きなので。自分もそうですが、チームとして共有することが大事。一つ一つ、話して解決していくことが、失点を減らすには大事だと思っています」
Q:前半は藤本選手のスピードを抑えるシーンもありました。基本的にはこちらがボールを握りながら、相手のカウンターを受けることもあり、攻めたいけど、後ろ髪を引かれる思いもある、みたいな。微妙なバランスの展開が続いていたと思います。
「福岡とやる時はいつもこんな感じなので。チャンスも作れそうだけど、0-0で進んで、0-1で負けたり。昨年も一昨年も、ホームではそうでした。昨年は最後に1点取って勝てましたが、一昨年のようにならなくて良かったです」
Q:後半からシステムを変えて、監督は「サイドの攻撃を生かしたい」と話していましたが、うまくチームとして共通意識をもてた?
「攻め方は、もちろん自分たちがどう攻めるかはあるのですが、どこから攻めたらいいかは、相手が教えてくれます。そういう意味では、状況を見て、配置を変えることは大事になってきます」
Q:ここ数試合、3バックと4バックを併用していますが、試合中に変えて勝利につなげることができたのは大きいですね。
「それができれば強みだと、監督も話していました」
Q:昨シーズンから期待していた柴山選手が、J1で覚醒を迎えようとしていますが?
「今までわざと外していたのではないかというぐらい…。でも一つ決まると、よくケチャップが出るということも言われますが、これからも伸び伸びやってくれたらいいなと思います。(言い続けて)良かったです。だいぶ待ちましたが(笑)」
■福井 光輝選手
Q:無失点での勝利を掴んだが?
「変なプレーもしてしまいましたが…(苦笑)。反省しています。でも失点ゼロで終われたことは良かったです。チームとしても、クリーンシートは少ないので、自信になります」
Q:額の傷が痛々しいが?
「いや、まぁ(苦笑)。あれで失点しているので。チームのスタイル的に、裏のカバーはGKがしないといけない。もっとアラートに準備すれば、失点もなかったし、この傷もなかったので、反省しています」
Q:視界は大丈夫ですか?
「大丈夫です。目の前に試合がある限りは120%で準備します。最後に選ぶのは監督なので、選ばれたら自分のプレーをしっかりするだけです。勝ちにつながって良かったです」
Q:時間とともにシュートを打たれる展開だったが?
「結構オープンになりましたが、1試合に1本は絶対に(ピンチは)来るので。そこを止めれば、チームも勝機が見えてくる。そこはどのチームも一緒だと思いますが、前が取れなくても後ろはゼロで進めることが大事。今日はそれができて、しっかり防いで、最後は2-0で勝てたので良かったです」
Q:特に後半、カウンターから紺野選手のシュートを止めたシーンは大きかったと思うが?
「彼自身、少しダフったのかなと。ちょっと(シュート)スピードが緩かったので。先に動かないで対応できたことは良かったです」
Q:ギリギリまで見た感じですか?
「はい。左利きの選手がオープンにボールを持ったら、ニアでもファーでも、どこでも蹴れるので。僕も左利きだから少し分かります。我慢できたからこそ、紺野選手も甘いコースになったのかも知れません。どっしり構えて対応できたことが良かったです」
好調・柴山昌也のホーム初ゴールで先制し、ラファエル ハットンの追加点で福岡を撃破。GK福井光輝の好セーブも光る
京都サンガF.C.とのJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦から中2日。セレッソ大阪は、ホームにアビスパ福岡を迎え、明治安田J1リーグ第18節に臨んだ。前節・川崎フロンターレ戦からスタメンの変更は1人。上門知樹に替わって北野颯太が入り、リーグ戦5試合ぶりの先発となった。京都戦から引き続きの先発は喜田陽と西尾隆矢。9人を入れ替えて、システムは3-4-2-1でスタートした。
立ち上がりこそ福岡に押し込まれたセレッソだったが、すぐにボール保持で上回り、敵陣に入っていく。最初のチャンスは16分。奥田勇斗が相手をはがして縦に突破、クロスを上げると、ファーでラファエル ハットンが合わせたが、ヘディングシュートは惜しくも枠を外れた。25分にもセレッソに好機。相手DFのクリアを喜田が高い位置で奪うと、北野を経由し、最後はペナルティーエリア内に入り込んだ奥田が左足でシュートも福岡GK村上昌謙に止められた。その後、26分、30分とパスミスからカウンターを受け、ピンチも招いたセレッソだが、前者は畠中慎之輔がカバーし、後者はGK福井光輝が好セーブで失点は防ぐ。すると、ここから前半終了にかけて猛攻を仕掛ける。36分、ルーカス フェルナンデスのパスから背後に抜け出したハットンがGKとの1対1を迎えたが、飛び出してきたGKを交わし切れず、シュートは打てない。37分にはルーカスの突破からのパスを受けた香川真司に絶好のチャンスも、シュートはわずかにクロスバーを越え、香川自身も大きな声で悔しさを露わにした。続く39分、前半最大の決定機が訪れる。奥田のパスから右サイドのポケットを取った喜田がダイレクトで落とすと、走り込んだ北野にチャンス。ここはDFに防がれシュートは打てなかったが、こぼれ球に反応したルーカスが決定的なシュートを放ったが、GK村上に右手一本でセーブされ、先制とはならず。前半は押し込みながらも得点は奪えず、スコアレスで折り返した。
後半開始からアーサー パパス監督は西尾に代えて阪田澪哉を投入。システムも4バックに変え、4-2-3-1で臨んだ。試合後、この理由について指揮官は、「相手とフォーメーションが同じで、至るところで1対1が生まれる状況でした。そうしたところをうまく打開できなかったので、形を変えて、ビルドアップも含めてどう前進するか。そこを明確にしました。前半、生かし切れなかったサイドを生かすことも考えました」と話したが、その狙いを体現したのが阪田。後半開始早々、積極的に仕掛けてCKを獲得すると、51分には右サイドで粘り、ルーカスのチャンスにつなげた。53分にも良い形でボールを受けたルーカスが左サイドからカットインし、シュートを放つなど、両翼が生き生きとプレー。福岡を押し込んでいく。ただし、この時間帯で先制できずにいると、試合はここから一進一退の様相を呈していく。70分の手前には、両指揮官が揃って2枚替え。勝負に出ると、先にチャンスを掴んだのは福岡。72分、セレッソはカウンターから決定的なピンチを招いたが、紺野和也の左足でのシュートは福井がビッグセーブ。「先に動かないで対応できたことが良かった」と自身も振り返ったように、どっしり構え、ギリギリまで相手のモーションを見定めたことで、しっかりシュートコースに反応。流れを相手に渡すことなく守った。79分にも相手の直接FKがクロスバーを直撃。ヒヤリとする場面が続いたが、ここをしのいだセレッソが、84分、先制に成功する。相手の自陣でのビルドアップのズレを見逃さず、中島元彦がカットし、ダイレクトで前線の柴山昌也へ優しいパス。受けた柴山も絶妙なトラップでシュートを打てる位置にボールを置くと、左足でファーサイドへ流し込み、ネットを揺らした。加入3シーズン目、ついに飛び出した柴山のホーム初ゴールに沸くヨドコウ桜スタジアム。この瞬間の思いについて、「みんなの喜んでいる顔が見えたときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。何物にも代えられないですね(笑)」と振り返った背番号48。チームメイト、サポーターの誰もが待ち望んだ一撃だった。
時間帯を考えても、一気に勝利に近づいたセレッソだったが、90分、福岡のサイドからのクロスに途中出場のウェリントンにヘディングシュートを叩き込まれてしまう。ただし、ここはVAR判定の結果、オフサイド。得点は認められず、セレッソは胸をなでおろした。すると90+8分には、カウンターからサイドを抜け出した阪田の折り返しにハットンが合わせて、試合を決める追加点。直後に試合終了の笛が鳴った。「難しい試合」(パパス監督)となった一戦だが、先発で出た選手だけではなく、途中で入った選手たちが試合を決める働きを見せ、まさにチーム一丸で勝点3を掴み取った。前節、連勝は3でストップしたが、その後、カップ戦、リーグ戦といずれも複数得点で連勝。チームの士気も大いに高まった。次なる試合は中3日でアウェイの浦和レッズ戦。再び連戦となるが、今節のように全員で力を合わせ、さらなる上位へ向かう勝利をもぎ取りたい。