2025明治安田J1リーグ第17節

2025明治安田J1リーグ

2025.5.18

川崎フロンターレ

エリソン (85')

エリソン (88')

2

AWAY

FULL TIME

0

0-0

2-0

セレッソ大阪

Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

22,070

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

好機で仕留め切れず、無念の敗戦。4連勝で上位浮上はならず、次節にホームで仕切り直し


3連勝を飾った前節の横浜F・マリノス戦から中6日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、川崎フロンターレとの明治安田J1リーグ第17節に臨んだ。先発は前節と同じ11人。ベンチには、前節は欠場した中島元彦も戻ってきた。

立ち上がりは川崎にボールを握られ、守勢に回る入り。出足の良い川崎に即時奪回も許して自陣に押し込められる。それでも、昨シーズンのアウェイでは苦しめられたマルシーニョに対しては、奥田勇斗と進藤亮佑でフタをして仕事をさせない。次第にセレッソもボールを握り返し、攻めに転じ始めると、10分にチャンス。喜田陽のパスから髙橋仁胡が左サイドの背後を取り、鋭いクロスを入れたが、中の上門知樹とラファエル ハットンには合わなかった。12分にもハットンが斜めの動きで起点を作り、サポートした髙橋のクロスに上門がシュート。ここはDFに防がれたが、左サイドから打開を図る。立ち上がり以降は守備も安定して試合を運ぶと、25分に決定機。相手のプレスに対し、奥田、喜田、ハットンとつないで前進に成功すると、ハットンがドリブルで持ち運び、右サイドを突破。崩した形で中にクロスを入れると、ルーカス フェルナンデスがフリーで合わせたが、シュートはDFにブロックされた。30分以降は再び川崎にボールを握られ、押し込まれる展開に。39分には、自陣でボールを失い、この試合初めて川崎に決定機を作られたが、山田新のシュートは枠を外れて事なきを得た。43分には、CKから再び山田に決定的なヘディングを許したが、今度はGK福井光輝がビッグセーブ。失点は防いだ。前半はこのまま0-0で終了。互いに自分たちの時間を作りながら、決定機は少ない展開で折り返した。

後半に入り、試合は動き始める。最初にチャンスを作ったのはセレッソ。48分、奥田と上門で右サイドを崩すと、上門のクロスにハットンがシュートもDFにブロックされた。52分、54分には立て続けに川崎に決定機を作られたが、前者は福井がビッグセーブ、後者も福井のセーブと畠中慎之輔のカバーで得点は許さない。57分、アーサー パパス監督は2枚替え。上門と喜田に代えて、北野颯太と中島元彦を投入し、より前への推進力を高めていく。守護神と守備陣の奮闘に応えたい攻撃陣は、この2分後、香川真司が起点となり、中島の縦パスを受けた北野が胸トラップから思い切り良くシュート。枠は外れたが、ゴールへの姿勢を前面に出していく。60分にもセレッソにビッグチャンス。再び香川を起点に右サイドを崩すと、奥田のクロスにハットンが競り、こぼれ球を拾ったルーカスから髙橋に渡り、髙橋がシュートを放つもクロスバーを越えた。67分、70分にも波状攻撃を仕掛けたセレッソ。2枚替えで流れを掴んだこの時間帯で、何とかゴールをこじ開けたかったが、川崎の堅い守備を破れずにいると、ここからは交代で入ってきた川崎の選手たちの勢いにも押され始める。スコアこそ0-0のまま終盤まで進んだが、どちらにも得点の匂いが漂うと、84分にはセレッソにビッグチャンス。GK福井のロングキックに抜け出したハットンが収めて中島とのワンツーで川崎のゴール前に進入。最後は中で待つ北野にクロスを入れたが、狭いコースを通すことができず、フィニッシュで完結できず。この後、再び2枚替えを行ったパパス監督。ハットンと奥田に代えて、チアゴ アンドラーデと阪田澪哉を投入。チアゴはそのままハットンのいたワントップに入った。ただし、直後に失点。自陣左サイドで髙橋がチアゴに通そうとしたパスをカットされると、ショートカウンターを食らい、最後は背後に抜け出されたエリソンに決められた。すると3分後に追加点を許す。相手DFラインからエリソンに出たロングボールに対し、畠中と進藤が跳ね返せずに間を割られると、エリソンに体ごと頭で押し込まれ、ネットを揺らされた。この場面で前に出てきたGK福井の顔面とエリソンの腕が衝突。福井は額を切るアクシデントに見舞われた。2点差になっても諦めずに反撃したセレッソは、ルーカスやチアゴがゴールに迫るもシュートやクロスに正確性を欠き、ゴールは奪えず。このまま0-2で敗れた。

前半終了間際と後半立ち上がりのピンチをしのぎ、後半の中盤は流れを掴んだだけに、何とかそこで1点をもぎ取り、勝点3につなげたい展開ではあったが、川崎の守備を崩すことができず、最後はこちらが与えた隙を決められ敗戦。「試合の中盤まではうまく耐えながら戦えていた部分もありましたし、どっちに転んでもおかしくない試合」(香川)だったことは間違いなく、「下を向く必要はない」(奥田)敗戦ではあった。その上で、自陣に押し込まれた際の逃げ方、「崩し切った後のクロスや最後のパス」(奥田)の精度は高めていく必要がある。4連勝はならず、悔しさは募るが、引きずる必要はない。次なる公式戦は、中2日でJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦の京都サンガF.C.戦。リカバリーに務め、チームの総力を結集させて挑みたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「まず川崎フロンターレさんにおめでとうと伝えたいです。良いチャンスを作られました。後半に入って、こちらの好機も多かったですが、最後の最後で技術を発揮すること、押し込むことが足りなかったと思います。我々に足りないことを見せ付けられました」

Q:お互いにチャンスを作り合って、「仕留めた方が勝つ」という試合だったと思います。拮抗した、良いゲームだった中で、「交代選手のパワーも含めて川崎が上だった」と総括できるゲームだったのかなとも思います。その上で、こちら側の問題としては、押し込まれた時間帯でつなぐ位置が低くなり、プレスに遭うシーンが増えていることです。前節の後半や、今節の前半の終盤、後半の1失点目もそうですが、低い位置で奪われてピンチを招きました。負傷者や過密日程もあり、3バックで戦っている現在、押し込まれるとつなぐ位置が低くなる課題をどう考えていますか?
「もちろん、良いところもあれば悪いところもあります。今日に関しては、攻撃のところで改善しないといけないことも見えてきました。ただ、交代のところで、本来なら、この選手とこの選手を代えたい、という思いがポジションごとにあるのですが、メンバーが足りずに難しさもあります。過密日程の中で出続けている選手もいますし、そういった選手がミスをした時に注文を付けるのは違うかなと、自分では思っています。(中島)元彦と(北野)颯太が入った時にゲームをコントロールできるようになったと思ったのですが、川崎さんの交代にも大きなインパクトを感じました。2つのチームを比べると、そこ(交代)で違いを見せることに関して、今日は違いがあったと思います」

Q:17試合を終えて勝点22で11位。得点数が多い一方、失点数もワーストに近い。今日の2失点ももったいなかったと思うが、数字の現状について、どう捉えていますか?
「端的に言うと、得点も取れますが、失点も多いチームになっていますね。今日は攻撃の形の中で、ボールを簡単に失ってしまうシーンも多かったです。組み立ての中で、長いボールを蹴って、相手にボールを奪われて失点につながってしまうところも今日は見えました。そういったところの重みを感じながら試合をしていかないといけないと感じています。振り返ると、結果が示す通りの順位にいるなと思います」

選手コメント

■福井 光輝選手

Q:失点までは福井選手も素晴らしいセーブの数々で、チームとしてもピンチをしのぎながら、こちらが先に取って勝ち切れそうな展開にも持ち込めたのかな、とも思ったが?
「そうですね。でも、もう結果が全てなので。0-2で負けた。それ以外、何もないです。僕たちの力不足ですし、完敗です」

Q:チャンスはお互いに作りましたが、後半、相手も交代選手を入れてきて、ギアが上がった感覚もありましたか?
「フロンターレさんの方が強く出てきたかな、という印象はありました。前半は、中盤で、近くでつないでいたところを、後半に入って縦に入れるようになってきた。それに対して僕たちの対応が遅くなったことが敗因だと思います。試合の中で修正しないと、あのような展開になってしまう。そこは改善したいです。今日は試合の入りから守勢に回って、守備でアグレッシブさ、強度が出なかったことも改善すべき点になったかなと思います」

Q:言葉は悪いですが、相手も“後半勝負”というか、前半は“のらりくらり”とゲームを作ってきて、こちらもそれに合わせてしまったのかな、という印象も受けたが?
「確かにそれはありましたね。後ろから見ても、いつもとは違ったというか、みんなちょっと体が重そうだなと。僕自身も含めて、もっと示していかないといけなかった。やれることはたくさんあったと思います。試合後に反省しているようではだめなので、試合中、もっと率先して僕が後ろから鼓舞していけば、内容もちょっとは変わったのかなと思います」

Q:3バックで戦っているここ数試合、相手のプレスをうまくはがしながら運んでいるシーンも多いですが、前節の後半や、今節の前半の終盤や失点シーンなど、後ろで回す時間が増えたり、低い位置からスタートすることが増えて引っかかる場面もあります。最後尾から、どう感じていますか?
「そうですね。それは監督も練習から言っています。もう少し“止めて・蹴る”を早くして、ウイングバックやシャドーにボールを預けることを心掛けていきたいです。僕も含めてですが。相手にセットさせない、オーガナイズさせないように、縦にもう一つ早く、FWを生かすことも必要です。それはボス(パパス監督)も言っていますが、選手たちがしっかり意識してやっていきたいです」

Q:川崎フロンターレの山口瑠伊選手とは町田時代のチームメイトですが、対戦した思いは?
「今年、開幕からずっと試合に出ているな、と思っていましたし、僕も負けないように頑張ろうと思っていました。僕も今はこうして試合に出ているので、今日は勝ちたかったですが、次、ヨドコウ桜スタジアムでやる時は必ず勝ちたいと思います」

■喜田 陽選手

Q:お互いチャンスを作り合って、拮抗したゲームだったとは思うが、振り返ると?
「お互いボールを握る時間帯があって、チャンスも作り合った中で、もう少しで点も取れる感じだったので、自分としては、良い流れの時に交代したので、もう少し試合に出たかったです」

Q:ボールを握ってチャンスも作った一方、握る位置が低くなり、相手のプレスに遭うシーンもありました。後ろで回している状態が続く時間帯もあることは気になるが?
「チームの完成度はもっと上げていきたいです。選手一人一人に特長はある中で、誰が出てもチームとしての狙いを共有していきたいです。ここからルヴァンカップも含めて連戦になる中で、もっと一つになりたい。次のルヴァンカップ京都戦が大事になります」

■香川 真司選手

「試合の中盤まではうまく耐えながら戦えていた部分もありましたし、どっちに転んでもおかしくない試合だったと思います。ただ、失点の時間帯はフロンターレに勢いはあったので、嫌な時間帯に失点してしまったなと思います」

Q:3連勝で今節を迎えて、ここで勝ち切ればさらに上にいけるという試合だったが?
「悔しいですね。こういうところで、チームがさらに勢いを持ってアウェイで勝てるか。チームのメンタリティーが試される中で、少なくとも勝点は拾わないといけなかったですし、この負け方は非常に悔しいです」

Q:自身は2試合続けてフル出場。重要な役割も担っていると思うが、今の役割をどう認識している?
「勝たないと意味がないので。自分の存在意義はそこにしかないと思っています。どうやってチームを勝たせるか。今はボランチというポジションをやっている中で、前線に絡む回数は減っている中で、求められる役割も変わる中で、どうやって勝たせるかは大事にしています。だからこそ勝ちたかったですし、自分が出ている意味を示したかったので、そこは悔しいです」

Q:後半、こちらの流れで戦う時間帯も多かったと思うが?
「流れが良い時間帯はありました。後半は序盤から中盤にかけて、こちらの方がうまく試合をコントロールしていたと思います。ただ、最後のクオリティーのところで決定的なシーンは作り出せなかった。最後のところでどう、3人目だったり、パスのクオリティーだったり、そこはフロンターレの方がうまかったです」

Q:選手交代で、勢いのある相手の選手を受けてしまった?
「僕らも交代の中で、(北野)颯太も(中島)元彦も変化を加えていたので、どちらに転んでもおかしくなかったと思います。ただ、結果としては彼らが取ったわけで。僕らの力がなかったと、受け入れるしかないですね」

■奥田 勇斗選手

Q:昨シーズンのアウェイでは、マルシーニョ選手にやられた分、今節は意識する部分もあったのでは?
「そうですね。マルシーニョ選手に付いていく、自由にやらせないことは意識して入りました。ただ、昨年と違って今日は5バックだったので、マークの部分でも、一人で行かずにうまく連係を取りながらやりました。自由にはやらせなかったのかなと思います」

Q:お互いボールを握る時間もあって、チャンスも作り合って、どっちが決めるか、という展開も続きました。悪くはないゲームだったのかなとも思ったが?
「フロンターレはポゼッションがうまいチームなので、粘り強く守備をしながら、自分たちもボールを大事にして、自分たちのペースで攻撃できていた部分もありました。お互いチャンスはあったので、そこでしっかり決め切れたら、また違った展開になったかなと思います」

Q:ここ2試合、押し込まれた時、ボールを回す位置が低いと、どうしても相手に食われてしまう、ボールを前に運べないシーンも散見されるが?
「今回もウイングバックで出たので、個人的にはしっかり幅を取りつつ、できるだけ下がらないようにすることは意識しました。高さを保っていれば、相手も間延びします。僕らに相手のサイドバックが食い付けば、ジョーくん(上門)や颯太が自由に動けます。相手が捕まえ切れない状況は作れたとは思うので、後半も前に出てチャンスはありました。どうしても試合の中では押し込まれる時間もありますが、今回はそういう部分に関しては、回避できたのかなとは思います。あとは、自分に高い位置でボールが入った時、ドリブルで仕掛けるタイプではないですが、仕掛けるところは仕掛けていきたいです。チャンスでクロスをミスしたシーンもありましたが、そういう細部はもっとこだわりたいです。個人で突破し辛いなら、連係で崩す時には自分の質を発揮して、チームの結果につなげたいです。そういう個人のところは練習で突き詰めていきたいですが、ビルドアップの部分に関しては、連係を取りながら(相手のプレスを)うまく回避できているところもあったと思います。あとは最後の質がカギになります。今まではルーカス(フェルナンデス)が右にいて、彼の質でチャンスを作れていましたが、今はルーカスが左にいて、僕がルーカスの役割を右サイドで担っているので、最後の質は突き詰めていきたいです」

Q:決して、やり方が行き詰まった敗戦ではない、ということですね。
「そうですね。下を向く必要はないですし、細部のところをどう崩していくか。崩し切った後のクロスや最後のパスは、こだわっていく必要があると思います」

■中島 元彦選手

Q:57分という早い時間帯で入ったが、試合を振り返ると?
「チャンスは作れたのですが、ゴール前まで入って行った後で得点につながらなかったので、そこは交代で入った自分や颯太がもう少し上手くできたら良かったです。チーム全体としても、決定機を決めることを意識していきたいです」

Q:前節は欠場したが、ケガに関してはもう大丈夫ですか?
「筋肉系だったのですが、もう治っているので、大丈夫です」

■北野 颯太選手

Q:57分という早い時間帯で入ったが、どういう心境で入りましたか?
「前半は、見ていて少し苦しんでいる印象もありました。それでも0-0で前半を終えられたのはチームメイトの頑張りだと思うし、後半、その頑張りをどうつなげていくのか。自分が入って試合を楽にさせたい、ゴール前に入っていきたい、と意識して入りました」

Q:その意味では、狙い通り、そういうシーンも出せたと思うが?
「そうですね。流れがこっちに傾いたかなとは思いましたが、そこでしっかり仕留め切れなかった。そこは見つめ直していく必要があります」