第16節
2025明治安田J1リーグ
2025.5.11日
セレッソ大阪
ラファエル ハットン (24')
1
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
1-0
0-0
横浜F・マリノス
ヨドコウ桜スタジアム
18,797人
MIZUNOサポーティングマッチ
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「まずは選手たちを称えたいと思います。最後の最後までしっかりと力を出し切った選手たちを褒めたいと思います。あと、忘れてはいけないのは、サポーターの存在です。本当に素晴らしい雰囲気を作ってくれました。試合に関しては、前半の入りは凄く良かったです。ビッグチャンスも作りました。ライン間のスペースをうまく使えました。上手く攻撃を組み立てた中で先制できて、2点目も取れそうでした。ただ、マリノスさんは良い選手が揃っていますし、人生をかけて戦っている姿も伝わってきました。後半も、もう少しコントロールできれば良かったと思います。相手にスペースを与え過ぎたと反省しています。ただ、16・17人の選手たちでこの連戦を戦ってきた中で、無失点で抑えられたことは良い事です。選手たち一人一人が頑張った証拠だと思います」
Q:苦しい状況で過密日程を戦い抜き、3連勝で終えて、順位も7位に浮上したことについて。
「勝ったとはいえ難しい状況は続いています。3連勝を飾りましたが、クラブとしては、3つ勝ったから良かったわけではなく、もっともっと選手たちを助けて欲しいです。(選手たちを)ベンチで休ませる状況の中、練習も全部を出し切れない状況が続いています。シーズン全体の内の40%の試合が、この5月と6月で消化されます。選手たちのことは褒め称えるしかないと思っていますし、クラブにも、しっかりと協力してもらえたらなと思います」
Q:試合内容としては、前半、特に先制するまでは、相手の守備を外してチャンスを作り続け、目指しているアタッキングフットボールを展開できていたと思います。ただし、前半30分以降、特に後半は守勢に回る展開になり、ボールを後ろで回している時間が長く、前に運べない時間が続きました。8連戦の8戦目という過密日程、横浜FMが休養十分だったこと、横浜FMのクオリティーなど、要因は様々あると思いますが、後半の内容に陥った要因はどう思われますか?
「どのぐらいが疲労による影響かは分かりません。戦術的な課題もあったと思います。そこもしっかりと振り返らないといけません。ですが、やはりマリノスさんはACLを終えた後、長い時間をかけて練習する時間がありました。我々は11日間で3試合目ということで、後半うまく組み立てられなかったのは、疲労の影響も多かったのかなと、少し気にしています。ただし、その中で見えたことは、攻撃ができない中でも守備の強さを発揮できました。失点しなかったこと、守り切れたことは一つの成長かなと思います」
Q:決勝点のラファエル ハットン選手について。今日は最前線でプレーしましたが、セカンドトップやウイングでプレーすることもあります。どのポジションでも役割を果たしていますが、彼の頑張りについては?
「Jリーグ全体を見ても、守備もしっかりやって、攻撃にも関われる素晴らしいFWだと思います。それが結果にも表れていると思います。見てもらっても分かるように、『もっともっと頑張ろう』という姿勢を常に発揮している選手です。フィニッシュも今日は素晴らしかったです。長い間、家族に会えていなかった中で、先日、無事に家族も来日しました。今日、家族が見守る前で得点して勝てたことは、彼にとってスペシャルな日になったと思います。
最後に一つだけ付け加えたいことがあります。このチームを率いている中で、日に日に家族のような力が植え付けられていると感じています。試合前の話になるのですが、本当は、今日は香川選手がキャプテンマークを巻いて臨むはずだったのですが、香川選手が自ら申し出て、『今日は畠中選手にキャプテンマークを渡したい』と。そういう裏側がありました。その行動一つを見ても、一人一人が家族であり、人のことを考えて行動できる集団になってきていると感じました」
選手コメント
■ラファエル ハットン選手
Q:素晴らしいゴールでしたね!
「アリガトウ(笑)」
Q:初めて家族が見守る前での試合でしたが、やはり気持ちは違いましたか?
「間違いなく、自分にとって大きなモチベーション、プラスのエネルギーになりました。試合後のインタビューでも言いましたが、妻の来日が遅れた理由は、がんでした。今は完治しています。完治して、やっと来日できたことも嬉しかった上に、家族が初めてスタジアムに見に来てくれた試合で得点できて、試合にも勝てたことは、特別な1日になりました。一生、忘れない日になると思います。チームも3連勝できたので、本当に嬉しく思います」
Q:今日は「母の日」でもありました。いいプレゼントになりましたね。
「そうですね(笑)。私の母にも、妻にも、いいプレゼントになったと思います。とても感情的な1日になりました」
Q:家族が難しい状況の中、新たな国でプレーをすることは簡単ではなかったと思うが?
「家族にとっては大変な時期でした。来日した頃はまだ治療中だったので、彼女のことも不安にさせてしまったと思うし、自分自身も不安な気持ちはありました。一人で日本でプレーすることも大変でした。ただ、彼女もがんの治療で戦っていましたし、それを思うと、自分も弱音を見せてはいけないと、励みになりました。振り返ると、大変な時期を2人で乗り越えた、という感覚です」
Q:来日したばかりですが、奥様は日本やセレッソのことについて、何か話していましたか?
「日本に来る前から、日本のことは情報収集していたようです(笑)。食べ物や観光地などを調べて、『楽しみにしている』と言っていました。サポーターにも温かく迎えてもらって、『より日本やセレッソの印象も良くなった』と。今日、勝つことができたので、思い出深い1日になったと思います。クラブに関わる皆さんに感謝しています」
■畠中 槙之輔選手
Q:6年半プレーした古巣戦でしたが、ピッチに立つ前の思いは?
「長い間、一緒に戦った相手との試合だったので、とてもワクワクしました。監督と(香川)真司さんの粋な計らいで、キャプテンもさせてもらったので、気合いも入りましたし、楽しめました」
Q:相手に横浜FMの選手がいることは、少し変な気持ちもしませんでしたか?
「そこに関しては、試合が始まれば、もう僕はセレッソの選手なので、特に意識はしていませんでした。ピッチに入れば“勝負”だったので、勝てたことは良かったです」
Q:試合の入りは良かったと思います。しっかりボールを引き取って、後ろからつないで崩していたと思うが?
「そうですね。入りは良かったですね。相手の嫌なところにボールを運ぶことができていたと思います。点を取ってからも追加点のチャンスはありましたし、そこで2点、3点と取れていたら、もっと楽な展開にできました。最後までみんなで体を張り続けることができた上での勝利だったと思います。少し前なら失点して引き分けていたと思いますが、今の良い雰囲気が結果にも表れたと思います」
Q:逆転勝ちを2試合続けた中で、今日は1-0で勝ちました。ディフェンスの選手としては、また違う喜びもありますか?
「そうですね。まあぁでも、色んな勝ち方ができることはチームとしてプラスです。失点しても逆転できる。先に取れば逃げ切れる。今日の勝利も自信になりました」
Q:キャプテンとしての仕事で意識したことはありますか?
「キャプテンだから特にどうと変えることはないです。いつも僕がリーダーシップを持ってディフェンスラインを支えようと思ってプレーしています。今日は失点ゼロで終えることができたので、うまくできたと思います」
Q:今日のキャプテンマークは、香川選手が監督に「畠中選手に渡したい」と申し出たということだが?
「今朝、真司さんが監督に直接、『今日はシンに巻かせてあげて欲しい』と伝えてくれたようです。真司さんも、キャプテンマークを巻いていなくてもチームの先頭に立って引っ張ってくれたので、自分も支えてもらったなと思います」
Q:試合中は、ボールを持てば、横浜FMのサポーターから愛あるブーイングも飛んでいたと思うが、試合後は挨拶にも行かれた?
「行きました。試合中のことは意識していなかったですが(笑)、試合後に挨拶に行った時は拍手で迎えてくれましたし、僕の過去のユニフォームを持ってきてくれるサポーターもいらっしゃったので、嬉しかったです」
■香川 真司選手
Q:後半、押される展開になった中でも勝ち切れたことが大きかったですね。
「そうですね。もう本当にその通りで、失点ゼロで抑えられたことが大きな勝利になりました」
Q:監督が会見で仰っていたのですが、今日はキャプテンマークを畠中選手に渡したと。その思いを聞かせていただけますか。
「シン(畠中)も間違いなくチームのリーダーの一人ですし、ディフェンスリーダーですし。キャプテンの(田中)駿汰が不在の中、副キャプテンという立ち位置なので。しかも古巣のマリノス戦でもありましたし、クリーンシートも含め、こういう大事な試合でその責任感を(期待した)。もちろん、責任感がある選手ですが、より高まるのではないかという思いもあったので。頼もしい選手ですね」
Q:警告を受けたシーンもありましたが、ハートは熱くも冷静にプレーしたことがクリーンシートにつながったと思います。それは収穫だと思いますが、香川選手の熱さが周りの選手にも伝播したのでは?
「いやいや。でもそれぐらい、勝つためにはそういう気持ちを持って、感情をむき出しに戦わないと。簡単には勝てないですし、そういう気持ちはセレッソに欠けているモノだと思っているので、そこをもっともっとみんなにも要求しながら、お互い高め合ってやっていきたいです」
■喜田 陽選手
Q:この3連勝を全て先発フル出場で支えたが、振り返ると?
「今日は2-0、3-0にしないといけない試合だったと思います。3連勝に関しては、勝たないといけないと思ってプレーしていたので、勝てたことは良かったです」
Q:先制点にも貢献したが?
「ルーカスとハットンがうまくやってくれました。僕はあまり何もしていないです(笑)」
■西尾 隆矢選手
Q:過密日程を3連勝で終えましたが、今のチームの流れをどう感じていますか?
「なかなか(試合に)出られていなかった選手たちが出始めて、そういった選手たちが今日もそうですが、めちゃくちゃ活躍して結果につながっているので、チーム全体の士気も上がりましたし、競争も激しくなって、一人一人がモタモタできないという状況です。だからこそ、全員が良いパフォーマンスを出し続けているのだと思います。なかなか連勝できていなかった中で、3連勝できたことは良かったです」
Q:後半は魂の守備と言いますか、苦しかったと思いますが、しっかり跳ね返しましたね。
「そうですね。課題としては、前半にたくさんあったチャンスで決め切ること。それはチームとしてずっとそうですが、今は3バックで守備も堅くしているので。監督も今週はずっと、『最後は体を投げ出せ。最後はメンタルだ』とずっと言っていたので。失点しなければ負けることはないですし、畠中さんを含め、僕ら3枚でしっかりコーチングして守れたので良かったです」
Q:先制点の場面は、西尾選手が高い位置でアンデルソン ロペス選手からボールを奪って、得点につなげました。あの場面を振り返ると?
「後ろが3枚いることで、ああやってドロップしたFWに強く出て行けます。後ろを心配せずに行けるので。監督も前で潰し切ることは求めていました。僕自身、球際で負けてはいけないと思ったので、強く行けましたし、それが得点につながったことはポジティブでした」
■奥田 勇斗選手
Q:今日イメージしていたプレーは?
「前節、ウイングバックを初めてやって、後ろに重たくなったと思ったので、今日は攻撃に重点を置きつつ、守備の意識も忘れない、というテーマでプレーしました」
Q:大外から飛び込んでシュートまで行ったり、幅を取ってロングボールを受けたり、かなり攻撃で整理されていたように見えたが?
「そうですね。うまくウイングバックが幅を取って、間でルーカスやジョーくん(上門)が顔を出してボールを受けられたシーンもありました。後ろ3枚で安定してボール運びもできていたので、相手も掴み辛かったと思います」
Q:前半の良い流れに比べて、後半は前に出ることが難しくなったように見えたが、プレーしていていかがでしたか?
「そうですね。全体として、後半はつなぐ意識が強くなったかなと思います。前半は背後にシンプルに入れたり、前に当てて、そのリズムで前に前にとテンポ良く行けていましたが、後半は後ろ重心になって、押し込まれたシーンが多くなったのかなと思います」
Q:後半は自分たちで意図的にそうしたのか、相手にそうさせられたのか、感覚としてはいかがですか?
「個人的には相手を見てプレーしたつもりですが、前に当てた時の追い越す動きが足りなかったのかな、と。それで結局、後ろに下げるシーンが増えてしまったと思います」
Q:そこは修正可能というか、8連戦の8戦目というコンディションも影響したのかも知れませんね。
「そうですね。全体の疲労もあったと思いますし、ゲームをコントロールする意味で、しっかりつなぐ意識はあったと思います。あそこでうまくはがして、前にスピードアップできれば良かった。できるだけ相手陣地で回せたら楽になったのかなと感じました」
Q:冒頭でもありましたが、ウイングバック2試合目の今節は攻撃に関わるシーンも多く、改めて適応能力が高いなと。サッカーIQの高さを感じさせたが?
「前節の試合を見返してみても、重たいなと感じたので。前節は守備でも相手のサイドバックに行けなかったので、今回は行こうと。サイドバックの意識ではなく、より攻撃的なウイングバックの意識で入ったので、それが結果的にシュートまで持ち込めたのだと思います」
Q:この短期間で、4バックの右サイドバック、3バックの右センターバック、3バックの右ウイングバックと、様々なポジションを一気に習得していますね。
「そうですね(笑)。色んなポジションをやることで見えてくることもありますし、やっていて楽しいです」
ラファエル ハットンの先制点が決勝点に。古巣戦に臨んだ畠中槙之輔を中心に守備陣も今季2度目のクリーンシートで3連勝を達成
2試合連続で逆転勝ちを収めた前節のヴィッセル神戸戦から中4日。セレッソ大阪は、3試合ぶりにホームに戻り、横浜F・マリノスとの明治安田J1リーグ第16節に臨んだ。先発は前節から2人変更。ルーカス フェルナンデスと西尾隆矢が2試合ぶりに復帰し、システムは3バックを継続した。
前半、試合を優位に進めたのはセレッソ。ボールを握りながら相手を見て、空いたスペースに人が入り、テンポ良く前進していく。3分、この試合では2シャドーの左に入ったルーカスが起点となり、オーバーラップしてきた髙橋仁胡がクロス。早速チャンスを作ると、ここで得たCKの流れから、髙橋のクロスに畠中慎之輔がヘディングで合わせてネットを揺らしたが、ここはオフサイドでゴールならず。12分にも喜田陽の縦パスをラファエル ハットンが収めて右へ展開。上門知樹を経由して奥田勇斗のクロスにハットンが頭で合わせたが、ここはクロスバーを越えた。15分、前半に一度だけ迎えた危ない場面では、植中朝日のシュートをGK福井光輝が好セーブ。流れを渡さない。すると、ここからセレッソが怒涛の攻めを展開する。20分、カウンターからルーカスが持ち込んで巻いたシュートを放つと、23分にはルーカスのクロスに逆サイドで奥田が合わせたが、いずれも枠を捉え切れず。しかし、直後の24分、セレッソが先制に成功。相手CBからアンデルソン ロペスに出たパスを西尾が猛然と寄せてカット。ショートカウンターにつなげると、喜田、ルーカス、ハットンと素早くつなぎ、ルーカスのパスを受けたハットンが左足でGKの股を抜くシュートを決めた。試合の前々日に愛妻と愛娘が来日。初めてスタジアムで観戦した家族の前で、背番号9が2試合連続となるゴールを決めてみせた。勢いに乗ったセレッソは27分にも決定機。喜田が左サイドへ大きく展開。髙橋のクロスをDFがクリアしたボールに上門が走り込んで左足で合わせると、GKが手に当てたボールはそのままクロスバーを直撃。相手守護神のファインセーブで惜しくも2点目とはならなかった。以降は横浜FMにボールを持たれる時間も長かったが、危なげなく対応。1点リードで前半を終えた。
後半も最初のチャンスはセレッソ。51分、高い位置で髙橋がボールを奪い、ルーカスのフワリとした浮き球のパスに後ろから走り込んだのは香川真司。うまく右足で合わせたが、わずかに枠を外れた。56分にも、奥田のクロスにハットンがヘディングでゴールを脅かす。ただし、ここからセレッソは徐々に前に出るパワーがなくなり、守勢に回る時間が増えていく。59分には、左右に振られた中で、決定的なシーンも作られたが、植中のシュートを進藤亮佑がブロック。その後も自陣でのパスミスが続いてピンチを迎えたが、その都度、選手たちが体を張って対応。ゴールは割らせない。67分、永戸勝也のクロスから途中出場の宮市亮にヘディングで決められたが、得点に至るプレーで横浜FMにファウルがあったとして、オンフィールドレビューの結果、得点は取り消された。84分には、CKの流れから、永戸のクロスに合わせた松原のシュートがポストに当たり、跳ね返ったボールが福井の下に収まるヒヤリとする場面も。公式戦が約2週間ぶりでフレッシュな横浜FMの交代選手に対し、試合終盤、セレッソは疲労の色も見られたが、サイドからのクロスに対し、選手全員が体を張って跳ね返す。最後は前節と同様、6-3-1の布陣で逃げ切った。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、この試合ではキャプテンマークを巻いて奮闘した畠中を中心に歓喜の輪ができたセレッソ。今季2度目のクリーンシートで3連勝を達成。「最後の最後まで力を出し切ってくれた選手たちを称えたい」と指揮官も労いの言葉を送った。良い流れの中で追加点を奪えず、試合終盤にかけて守勢に回る展開。「少し前なら失点して引き分けていたと思いますが、今のいい雰囲気が結果にも表れたと思います。最後までみんなで体を張り続けることができました」とは畠中。今季ここまで幾度となく繰り返してきた嫌な形を断ち切ったことは大きい。それでも、この3連勝にいずれも先発フル出場で貢献した喜田は、「今日の展開であれば、2-0、3-0にしないといけなかった」と現状に満足せず、さらなる高みを見据えた。試合ごとにヒーローが生まれ、多くの選手が貢献して掴み取った今季初の3連勝。順位も7位に浮上した。久しぶりに約1週間空いて迎える次節。アウェイでの川崎フロンターレ戦で、4連勝を目指す。