第15節
2025明治安田J1リーグ
2025.5.6火
ヴィッセル神戸
宮代 大聖 (45')
1
AWAY
FULL TIME
3
ノエビアスタジアム神戸
1-1
0-2
セレッソ大阪
上門 知樹 (45+2')
柴山 昌也 (83')
ラファエル ハットン (90+6')
ノエビアスタジアム神戸
24,891人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「本当にタフな試合でした。神戸も凄くいいチームです。立ち上がりの15分、20分は常々、大事だという話はしていますが、今日に関しては、時間とともにまとまってきた感じはありました。その中で、前半の最後、CKから失点してしまったのですが、そこから立ち上がって、残り30秒で同点ゴールを生んだ選手たちの戦う姿勢を称えたいです。後半に入って、またオーガナイズした形が取れるようになって、そこから切り替えのところで攻撃のチャンスも増えました。交代で入った選手がしっかり流れを作れたことも大きかったです。皆さんも分かっていらっしゃると思いますが、ベンチの人数が一人少ない状況の中で、選手一人一人に対して、『チャンスが回ってきたら、いつでも出られる準備はしておけ』という声はかけていました。その中でしっかりと戦って、攻撃しながら勝てたことは、選手たちを褒めてあげたいです」
Q:今日の戦い方について伺います。前節のナイトゲームから中2日、ケガ人も多い、という事情もあったと思いますが、後ろは3バックないし5バックで、守備時は5-4-1でスペースを埋めて守り、攻撃は手数をかけずにフィニッシュまで持っていく戦い方がハッキリしていました。その戦い方を辛抱強くやり続けた中で、フィニッシュの精度も発揮しました。言葉にすれば、堅守速攻という形だったと思います。これまで監督が見せてきたアタッキングフットボールとは少し異なるやり方でしたが、この連戦の中で、どう仕込まれたのでしょうか?
「今いる選手をどう活かすかを考えた時、いつもとは違うシステムを採用しました。田中駿汰という大黒柱を失ったことも影響しています。あとは、細かい話になるのですが、畠中や(西尾)隆矢など、試合に出続けている選手たちをどう守ってあげるか、ということも考えて、あの配置(3バック)にしました。ビルドアップやトランジションを少しでも和らげようと思いました。ただ、メンタリティーとしては、アウェイゲームで2試合続けて3点を取れたということは、攻撃的な姿勢も発揮できています。もしかしたら、この2試合、相手はウチがこういう形で来ることは予測できていなかったかも知れません。僕の考え方としては、もちろんシステムの話はありますが、選手たちのメンタリティーが備わっていれば、どんな形でも戦えると思っています」
Q:前節の古山選手に続き、今節は上門選手と柴山選手が今季初ゴールを決めました。台所事情が苦しい中で、普段、先発で出る機会が少ない選手たちが結果を出してくれたことは、監督としても嬉しいことだと思うが、彼らに対する評価は?
「まず、監督として、一番頭を抱えていることは、全ての選手を出すわけにはいかない、ということです(笑)。その中で、僕らが力を入れていることは、試合に出られない選手、メンバーに入れない選手にどう接するか、ということ。それは普段からやっています。人数が少ない中でどうやり繰りするか。監督としては、誰が試合に出てもいいように準備をすることが大事です。逆に今はこっちが選手に頼らないといけない状況なので、いい準備をしてくれている選手たちに感謝しています」
Q:前節、今節と、上位にいるチームを相手にいずれも逆転勝ちを収めたことは、今後のリーグを戦う上でも大きいと思うが?
「僕もそうですが、選手たちが今の状況を理解して戦ってくれていることが大きいです。少し遡ると、いい内容を見せながらも結果が出ていない時期もありましたが、そうした時期でも、しっかり向き合って、何をやらないといけないのか、それを理解する姿勢は素晴らしかったです。今は人数が少ない難しい状況ですが、正直、この2試合の勝利にビックリはしていません。できる選手たちではあると思っているので。出続ける選手は、疲労も溜まって難しい状況になります。出たい気持ちはあっても、難しい状況になります。クラブとは1月から話をしていますが、チームとして編成面をしっかりと考えて欲しいと思います。長いシーズンなので、そこは(勝利とは別に)しっかり考えて欲しいです」
選手コメント
■上門知樹選手
Q:2試合続けてシビれる試合で、今節も大きな逆転勝ちになりました。
「そうですね。先制されて厳しい展開になるかと思ったのですが、前節の勝利もあったので、みんなすぐ頭を切り替えました。1失点であれば、必ず逆転できる力がチームにはあります。全員が失点後も集中を切らさず僕のゴールにつなげてくれたので、全員に感謝したいです」
Q:振り返ると、前半で追いついたことがこの試合の分岐点になったと思います。時間はほぼなかったですが、チームの意思としては、チャンスがあれば得点を狙うことで統一されていた?
「そうですね。前半を0-1で終わるのと、追いついて終わるのは全く違ったので。そこで点を取れたことで、チームも後半に向けて勢いづいたと思います。0-1で終わっていたら、相手もホームですし、後半はさらに勢い良く来たと思います。得点場面に関しては、(ラファエル)ハットンの球際もそうですし、(喜田)陽のパスも素晴らしかったので、あとは丁寧に流し込むだけでした」
Q:シュート自体も難しかったと思うが?
「トラップしようか迷ったのですが、GKも見えたので、トラップしたら詰められると思って、一瞬の判断で振り抜きました。日頃から練習でやっていた形なので、それをうまく出せました。でも、得点は取れましたけど、自分のパフォーマンスには満足していません。取られてカウンターを受けたシーンも多かったので、自分を見つめ直しながら、よりチームが上手く回るようにプレーしていきたいです。今日は結果が出たので、ここからもっと取れるようにやっていきたいです」
Q:前半は崩すシーンが少なかったが、どう感じながらプレーしていましたか?
「1回、いい形があって、僕がミスした形はあったのですが、ああいう形をもっと増やせたら良かったです。(前節の)京都戦では背後をうまく使えたのですが、今日はなかなか使えなかった。そこはチームも僕自身も反省点なので、またミーティングをして、試合を見ながらチームで話していけたらと思います」
Q:先発で出る機会が少ない中で難しいと思うが、日頃のメンタルのコントロールについては?
「もちろん悔しい気持ちは出ていない選手はみんな同じだと思いますが、そこで腐っても仕方ないので。自分を信じて、今日のシバもそうですが、やり続けた結果だと思うので。僕のゴールも嬉しいですが、シバのゴールも嬉しかったです。彼が努力して、彼の力で取ったゴールだったので、全員が喜んでいました。ああいう選手が取ると、よりチームも勢いづくと思うので、シバに負けないように、自分もこれからもゴールを取りたいです」
Q:柴山選手の話もありましたが、彼のここまでを仲間としてどう見ていましたか?
「いいところまでは行っても最後に仕留め切れないことは本人が一番分かっていたと思いますが、全体練習が終わってからも自主練で今日のようなシュート練習を何回もやっていました。それを見ていたので、今日はシバが打った瞬間、『入る』と思いました。今まで外れていたのが、今日はゴールに吸い込まれたのはシバの努力の賜物ですし、(技術的にも)シバらしいゴールだったと思います。本当に『おめでとう』と伝えたいですね」
Q:前節の試合後は「サッカー人生を懸けて臨んだ」という言葉もありました。今節も含めて上門選手のプレーには胸を打たれるモノがあったが、勝利につながったことが大きい?
「そうですね。いまチームは苦しい状況の中で、勝つことの難しさも感じていますが、こうしてアウェイで逆転勝ちの連勝できたことはチームの自信になりました。すぐ次の試合も来ます。次はホームなので、絶対に勝ちたいですし、次の試合に向けていい準備をして、また頑張りたいです」
■柴山昌也選手
Q:ゴールの瞬間はシビれました!
「僕もシビれました(笑)」
Q:得点シーンは中島選手からのパスをハットン選手がワンタッチで落として、という流れでしたが、シュートの瞬間を振り返ると?
「最初、ボールがきた時は(DFの)股を狙おうかなと思ったのですが、消されたので、急遽、判断を変えて、外から巻くイメージでシュートを打ちました。咄嗟に変えました」
Q:これまでは、いいところまでは行く一方、フィニッシュに課題があったと思います。今日、決め切った瞬間の思いは?
「今日はむちゃくちゃリラックスして、力まず流し込めました。感覚として、今日、成功体験ができたことは大きいと感じています」
Q:ゴール後は、どこか噛みしめる時間も長かったような気がしたが?
「そうですね(笑)。自分の中でも色々悩んだり、もがいたりした中で生まれた1点だったので。これまで取ってきたゴールの中でも、一番、嬉しかったです」
Q:人数的には苦しい状況ですが、出ている選手にとってはチャンスでもあるのでは?
「そうですね。人数的に少ないことや、連戦で苦しいこともあって、今はシステムを変えて戦っていますが、シャドーは自分の中では一番得意なポジションなので。今日そこで出てゴールが生まれたことは、自信になりました。試合の中でボールを触ってリズムを作ったり、起点を作ったりすることも自分の特長ですが、ゴール前で仕事をすることが今一番求められていたので、結果を出すことができて良かったです」
Q:「悩んだり、もがいたり」という言葉もありましたが、今季初ゴールにたどり着くまでどう乗り越えようとしていた?
「惜しいところまでは行くけど、入らない。それはメンタルなのか、技術なのか。その両方が揃っていないとゴールは生まれません。技術的には、練習でもたくさん決めているので自信はあったのですが、どうしても試合でそういうシーンになると、焦ったり、色んなことを考えてしまっていたので、主にメンタルのところでしっかりブレれずにコントロールした結果が、今日のゴールにつながりました」
■中島元彦選手
Q:2試合続けての逆転勝ちです。今日も見ている人たちは興奮したと思います。やってのけた思いは?
「2試合連続、逆転で勝てたことは、チームとして自信を持っていいことだと思います。今日はジョーやシバ、先発で出る機会の少ない選手たちが結果を残したこともチームにとっては大きいです。ずっと出ている選手も危機感を持って練習から取り組まないといけないと、みんなが思ったと思います。チームとしていい底上げができていると思いますし、チーム全体で勝てたことが良かったです」
Q:前節、今節とシステムも変えて臨みました。短期間で準備した割には戦い方としての精度が高かったと思うが?
「3バックやウイングバックがいるチームは増えていますし、何度も対戦しているので、やられて嫌な動きはみんな理解しています。連戦ということもあって、みんな体がきつい中で、どう動くか。監督としては、やりたいサッカーもあると思いますが、ケガ人も多い中で、どう選手を当てはめていくか。それもあってこの形にしたと思いますが、いい方向に行って良かったです。この2試合、気持ちが入った試合ができたと思います。ボス(パパス監督)の選択肢が増えたことは、チームにとっても大きいと思います」
Q:今日は途中からシャドーで入って、2点目につながったシーンでは、相手DFと駆け引きしながら髙橋選手からのパスを引き出したが、あの場面を振り絞ると?
「一つ目で(パスを)もらえなかったので、動き直して。抜け出しのところは(柿谷)曜一朗くんを意識してプレーしました。前で出た時は、うまく引き出してあげたいといつも考えているので。うまく抜け出せました」
Q:色んなポジションができることも中島選手の持ち味だと思いますが、シャドーは特に合うポジションでもあるのでは?
「楽しかったですが、ミスも多かったので、そこは反省点です。ただ、ゴールのところで少し関われたので良かったです」
Q:中2日はやっぱりきつかったですか?
「めっちゃきつかったですね。寝て起きても体が重かった(苦笑)。疲れが抜け切れなかったです。21歳ごろはすぐに抜けたのですが…。中堅になってきたなと思いました(笑)」
■ラファエル ハットン選手
Q:今日はいつもと違うポジションで、1トップの古山選手の少し下、シャドーの位置でプレーされました。収まりも良く、とても機能していたと思いますが、自身で今日のプレーを振り返ると?
「自分の特長の一つとして、色んなポジションでプレーできることもあります。FWだったり、ウイングだったり、今日のような10番のようなプレーもできます。監督にとっても起用しやすさにつながると思います。今日はそういった適応能力を発揮できたと思っています。自分で今日のプレーを評価すると、ボールを収めたところもありましたし、チームのためにしっかり戦って、ゴールも決め切ることができたので、とても嬉しく思います。何より連勝できたこと、しかもアウェイで連勝できたことが嬉しいです」
Q:今日は前半から守備で走る時間も長かったですが、連戦の中、最後の時間帯で走り切って、素晴らしいゴールを決めました。力の源はどこにありますか?
「一つは自分の身体的な強さだと思いますが、それだけでは十分ではないので、パーソナルトレーナーに見てもらったり、チームのトレーナーに治療してもらったり、食事の管理や睡眠時間を確保することも含め、色んなことが合わさって、最後まで力を振り絞ることができていると思います。試合に向けた準備が力の源です」
Q:最後はルーカス選手がキープしていれば試合は終わったと思うが、あくまで3点目を狙ったことは、チームの今年のメンタリティーを象徴していると思ったが?
「そうですね。監督が志向するサッカーの一部だと思います。常にアグレッシブで、攻撃的に戦うこと。もちろん、守備をする時間もありますが、スコアに関係なく常に相手のゴールに向かい続けることは、自分たちが表現したいことです」
■髙橋仁胡選手
Q:2試合続けて左ウイングバックでのプレーでした。対面にはエリキ選手や酒井高徳選手ら強力な選手がいましたが、抑えた要因は?
「レベルが高い選手との対戦を楽しみにしていましたし、まずは気持ちで100%を出して、『絶対に自分が勝つ』という思いでプレーしました。守備でもあまりやられず、攻撃にも関われたので、いいプレーができたと思います」
Q:ドリブルで持ち上がり、中島選手に出したパスが勝ち越しゴールの起点になりました。あのプレーを振り返ると?
「高徳選手が出ていたのが見えて、もっくん(中島選手)もスペースを狙っていたので。ボールを入れたら(中島が)フリーな状態になると思ったので、出しました。そこから柴山選手のゴールにつながって良かったです」
Q:前半は押し込まれる時間も長かったですが、守備で耐えて逆転勝ちできたことは、チームとしてどこが良かったですか?
「チーム全体で戦えたこと、最後まで(足を止めずに)戦えたことが良かったと思います。前半は苦しい時間もありましたが、チームとして我慢しながら耐えることはできました。もう少しボールを回せたら良かったですが、神戸も前からプレスに来ていたので。その中でも、1-1で後半を迎えることができたことは良かったです」
■西尾隆矢選手
Q:確認ですが、最後は6バックで守っていた?
「そうですね。守備を固めること。ロングボールも増えていたので、監督の狙いとしては、弾き返すこと。中に4人CBを置いて、サイドに2人(ルーカスと髙橋)を置いて」
Q:6-3-1のような感じでしたね。監督から「絶対、跳ね返せ」という指示を受けて入った?
「はい。(6バックは)初めてでしたけど、展開的にも(相手は)ロングボールしかなかったと思うので、やることはハッキリしていました。ピッチに入った瞬間も全体的な雰囲気が良くて、やられる気はしなかったです」
Q:今日は控えからのスタートでしたが、この連戦はフル回転でした。大変でしたね。
「そうですね(苦笑)。正直、めちゃくちゃきつかったですが、ずっと言っているように、試合に使っていただけるのは有難いこと。疲れは言い訳でしかないと思っているので、前節、今節と勝ちを積み上げることができて良かったです。個人的にも、もっともっと頑張っていきたいと思いました。チームとしても、ここからもっといい流れに乗って行けると思います」
先制されるも上門知樹、柴山昌也の今季リーグ戦初ゴールで逆転!ラファエル ハットンがトドメの一撃を決め、見事な逆転勝利で今季初の連勝を達成!
2点を先取されながらも3得点を奪って逆転勝利を収めた前節の京都サンガF.C.戦から中2日。セレッソ大阪は、再びアウェイに乗り込み、ヴィッセル神戸との明治安田J1リーグ第15節に挑んだ。前節はナイトゲームであり、今節は14時キックオフ。タイトな日程で迎えた中、先発は前節から4人変更。ラファエル ハットン、香川真司、進藤亮佑が2試合ぶりに復帰し、舩木翔が第6節・横浜FC戦以来、9試合ぶりのスタメンとなった。
前節は、守備時は3バック、攻撃時は4バックの可変式を採用したパパス監督だが、今節は開始から明確に3バックで臨むと、守備時は5-4-1で後ろのスペースを埋め、ボールを奪ってからは、これまで通り後ろから繋ぎつつ、相手を見て背後も狙った。前半は、リーグ戦4連勝中と昨季までの強さが完全に戻ってきた神戸が攻守にアグレッシブな姿勢で襲い掛かってきた。6分、進藤のクリアが不完全になったところを拾われ、エリキに決定機を許すも、ここはGK福井光輝が好セーブ。18分には、福井のキックが相手に渡り、再びエリキに強烈なミドルシュートを打たれたが、わずかに枠を外れて事なきを得た。神戸のプレスに対し、セレッソはビルドアップで引っかかるシーンも目立ち、ボールを前に運べない。30分ごろまでは我慢の時間が続いたが、30分以降はボールをつないで相手陣地に入っていく回数を増やしていくと、33分には上門知樹が強烈なミドルシュート。セレッソも徐々にゴールに迫り始める。ただし、0-0で終了かと思われた45分、CKから神戸に先制を許す。前半は手堅く守り、後半勝負─。そうしたプランが一瞬、崩れたかに思われたが、直後の前半アディショナルタイム、同点に追いつく。進藤が前に入れたボールに対し、相手CBのクリアが不完全になったところを拾ったハットンが酒井高徳に競り勝ち、喜田陽へボールを落とすと、喜田がペナルティーエリア内へ絶妙な浮き球のパスを送る。ここに斜めから走り込んできた上門が左足でうまく合わせて同点ゴール。「トラップしようか迷ったのですが、GKも見えたので、トラップしたら詰められると思って、一瞬の判断で振り抜きました。日頃から練習でやっていた形なので、それをうまく出せました」と自身も振り返る見事な一撃が決まり、セレッソが前半の内に試合を振り出しに戻した。
後半も立ち上がりは神戸の攻勢を受ける展開。54分には、自陣右サイドを崩されて、最後は後ろから走り込んできた井手口陽介にフリーでシュートを許したが、カバーに入った喜田が足を伸ばしてスーパーブロック。続く酒井のシュートも喜田が止めるなど、失点してもおかしくなかった場面で背番号5が高い集中力を見せた。58分、アーサー パパス監督は最初の選手交代。前節、逆転勝利の立役者となったルーカス フェルナンデスと中島元彦を投入すると、ここから試合の流れは一変。ルーカスが得意のドリブルで運んで時間を作り、相手のファウルも誘いながら主導権を引き寄せると、62分、74分と得点につながりそうな惜しいチャンスを作る。そうして迎えた83分、セレッソに逆転ゴールが生まれた。GK福井が素早くゴールキックをスタートさせると、髙橋仁胡がドリブルで運び、前方で駆け引きしていた中島をスペースに走らせる絶妙なパスを送る。「うまく抜け出せた」中島がさらにドリブルで運んで中央へパス。ハットンがワンタッチで落としたボールにダイレクトで合わせたのは柴山。「最初は(DFの)股を狙おうかなと思ったのですが、消されたので、急遽、判断を変えて、外から巻くイメージでシュートを打ちました。むちゃくちゃリラックスして、力まず流し込めました」と自身も納得の巧みなシュートがポストを叩きつつゴールに吸い込まれた。「自分の中でも色々悩んだり、もがいたりした中で生まれた1点だったので、これまで取ってきたゴールの中でも、一番、嬉しかったです」と満面の笑みを浮かべた背番号48をチームメートも大いに祝福した。
昨シーズンから先制すれば無敗を誇っていた神戸を相手に2点を奪っての逆転。ここでパパス監督はすぐさま西尾隆矢を呼び寄せると、88分、香川に代えて投入。後ろを「中に4人CBを置いて、サイドに2人(ルーカスと髙橋)を置く」(西尾)6バックで対応した。“何が何でも跳ね返す”という指揮官の執念の采配だったが、攻撃的なメンタリティーが植え込まれた選手たちは、ただ守り切るだけではなく、90+6分に試合を決定付ける3点目を奪う。相手のクロスを喜田がヘディングでクリアしたボールを拾ったハットンから柴山、ルーカスとつなぎ、最後は猛然とスプリントして前に走ったハットンがニアへ強烈なシュートをぶち込んだ。この試合は1トップを務めた古山兼悟の下で、シャドーの位置でプレーした背番号9だが、体の強さを生かして随所に起点を作るなど、全3得点に絡む素晴らしい活躍ぶりだった。負傷者続出で過密日程の中、これまでリーグ戦では出番の少なかった選手たちが躍動して掴んだ今季初の連勝。「チーム全体で勝てたことが良かった」と中島も振り返る、まさにチーム全員で勝ち取った関西対決におけるアウェイでの2試合連続逆転勝利となった。次節はホームに戻り、横浜F・マリノスをヨドコウ桜スタジアムに迎えての一戦。勢いそのままに3連勝を果たし、上位進出を目指す。