2025明治安田J1リーグ第11節

2025明治安田J1リーグ

2025.4.20

セレッソ大阪

ラファエル ハットン (6')

1

HOME

FULL TIME

1

1-1

0-0

FC東京

佐藤 恵允 (19')

ヨドコウ桜スタジアム

16,113

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

今シーズン初のリーグ戦連勝を目指した今節。ハットンのゴールで先制し、その後も再三、決定機を作るも仕留め切れず、悔しい引き分け


JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦・FC今治戦から中3日。舞台を再びリーグ戦に移し、セレッソ大阪はホームにFC東京を迎え、明治安田J1リーグ第11節に臨んだ。先発は前節・鹿島アントラーズ戦と同じ11人。劇的な勝利を掴んだ前節に続き、今シーズン初のリーグ戦連勝を目指して挑んだ。

開始6分、前節の勢いそのままに、セレッソが先制に成功する。相手の自陣でのパスミスを見逃さず、田中駿汰、中島元彦が連続してプレスをかけ、高い位置でボールを奪うと、ラファエル ハットンのパスをファーサイドでルーカス フェルナンデスが頭で折り返し、再び走り込んだハットンがヘディングで決めた。直後の7分にもハットンが高い位置でボールを奪って決定機も、チアゴ アンドラーデはシュートを打ち切れず。12分にも決定機。FC東京のGK野澤大志ブランドンのキックをカットしたルーカスがそのままドリブルで持ち運び、シュートを狙ったが、わずかに枠を外れた。前からの連動したプレスで相手のビルドアップを苦しめ、最高の入りを見せたセレッソだったが、17分、自陣でのつなぎを相手にカットされ、ショートカウンターを受けると、ペナルティーエリア内で西尾隆矢が相手選手を倒してPKを献上。これを決められ、FC東京にワンチャンスを生かされて同点に追い付かれた。直後の23分にも自陣でのパス交換がズレたところを拾われ、決定的に近い形でシュートまで持ち込まれたが、ここは西尾がしっかりシュートコースに入り、事なきを得た。30分、セレッソはルーカスのCKに進藤がヘディングで合わせたが、惜しくもゴールとはならず。前からのプレスを起点に両チームが得点を奪い合った前半は、ボール保持、パス数、パス成功率がほぼイーブン。どちらも延長戦までもつれ込んだルヴァンカップ2回戦から中3日というスケジュールにもかかわらず、強度の高いプレーで前半を折り返した。

互角の前半を経て、後半はセレッソが敵陣に入り、ゴールに迫る回数を増やしていく。開始早々の47分、ハットンとルーカスが高い位置でプレスをかけて相手のパスミスを誘い、田中がボール奪取。すぐさま前線のルーカスへパスを送ったが、ここは相手の戻りも速く、ルーカスはシュートを打ち切れず。52分、今度は北野颯太が単独でプレスをかけてボールを奪い、決定機。ルーカスのパスを受けたハットンがシュートを放つも、GKに防がれた。続く62分には、後半最大の決定機。相手DFのバックパスを処理したGKがキックミス。こぼれたボールを拾ったチアゴが中に折り返し、ハットンがシュートを放ったが、GKが自身のミスを取り返すビッグセーブを見せ、セレッソはゴールを割れず。後半は再三、相手ゴール前で良い形でボールを奪いながら、2点目が遠い。71分、アーサー パパス監督は最初の選手交代として、中島を下げて香川真司を投入。さらにボールを保持して相手を押し込むと、78分にも決定機。奥田勇斗が高い位置でボールを奪い、田中、ルーカスと縦につなぎ、最後はルーカスのワンタッチパスを受けたハットンがシュートも、枠を捉え切れず、天を仰いだ。終盤も波状攻撃を見せたセレッソだったが、スコアを動かすことはできず。再三の決定機をモノにできなかったチームに対し、指揮官は、「ゴール前に入っていった後の判断は、もっともっと良いものにしていかないといけない。技術の質、ラストパスの質、最後に走り込むタイミング。得点を確信できるような、より良い判断ができるようにならないといけません」と課題を述べた。もっとも、こうした展開であれば、相手の1発のカウンターに沈み、勝点すら取りこぼしてしまうケースも見られるが、守備陣は最後まで集中を切らさず対応。途中からはスピードとパワーを兼ね備えたマルセロ ヒアンが入り、縦への脅威も増した中、82分、進藤が1対1でしっかりと対処した場面など、決定的な形を作らせることはなかった。後半アディショナルタイムには、途中出場のヴィトール ブエノがゴール前でのワンツーからシュートを放ったが、惜しくもクロスバーを越えた。

試合はこのまま1-1で終了。セレッソとしては悔しい引き分けとなった。先制点を決めたハットンも、「ゴールを決めることができて嬉しいですが、もっと決めるチャンスがあった分、決め切れなかった悔しさの方が大きいです」と笑顔はなく、アシストしたルーカスも、「あれだけのチャンスを作ったことを思えば、勝利につながって然るべき試合でした。本当に悔しい」と無念さを滲ませた。リーグ戦の鹿島戦、カップ戦の今治戦と、100分を超える激闘が続き、やや疲労の色が見られる選手もいた中、それでも最後まで攻め続けてチャンスを作るなど、チームは逞しく戦い抜いた。中4日で迎える次節、アウェイでの東京ヴェルディ戦こそ結果につなげ、勝点3を上積みしたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「試合が進むにつれて、チームのパフォーマンスは上がっていった印象です。正直、福井光輝がセーブした機会を覚えていないぐらいの試合でした。もちろん、PKでの失点はありましたが。前半の出来こそ満足はしていませんが、後半に入って、良い展開を繰り出すことができました。ただし、多くのチャンスを作っておきながら、得点できていない現実があります。ビッグチャンスと言ってもいいシーンはたくさんありました。ゴール前に入っていった後の判断は、もっともっと良いものにしていかないといけません。引き分けという結果でしたが、勝てる試合だったと感じています。パフォーマンスについてはポジティブで、満足しています」

Q:監督がおっしゃった通りだなと思います。あとは決めるだけでした。中3日で、チームとしてやるべきことはやったと思いますが、その中で、強いて得点するために必要だったと思うことは?
「最後の最後のところだと思います。チャンスはあるわけなので。もっと点が取れてもおかしくない展開の中、さらに突き詰めたいことは、技術の質、ラストパスの質、最後に走り込むタイミング。得点を確信できるような、より良い判断ができるようにならないといけません。それができれば、得点につながっていくと思います」

Q:このようにチャンスを逃し続ける展開だと、最後に相手のカウンターから失点して負けるパターンもサッカーではよくあると思うが、後半、失点しなかった守備の粘りは見せたと思いますが、そのあたりは?
「そうですね。確かに、攻めに攻め続けて、最後にカウンター1本で失点する展開はあり得ます。ただ、後半は(ボールを失っても)すぐにボールを奪い返すシーンが増えました。先ほども申し上げたように、福井がセーブしたシーンをほとんど思い出せないぐらいですね」

選手コメント

■ラファエル ハットン選手

Q:前節はオフサイドで5得点が取り消される珍しい展開になりましたが、どう切り替えて、今日に臨みましたか?
「自分だけでも2得点が無効になり、PKも外してしまったので、3点を決められた試合だったと思います。結果的にチームは勝ちましたが、自分の評価としては、もっと決め切って、チームに貢献しないといけなかったと思います」

Q:今日は開始6分、幸先良くゴールを決めたが?
「ゴールを決めることができてもちろん嬉しいですが、前回と同様、もっと決めるチャンスがあった分、そこを決め切れなかった悔しさの方が大きいです」

Q:後半は2度、3度、自身にも決定機があった分、厳しく自分を見つめ直す必要がある?
「試合を見返して、良かったところ、良くなかったところを見直して、練習に取り組んでいきたいです。ただ、これまでも練習をしっかりやっているので、その分、悔しさが残ります。今日に関しては、引き分けで終わったので、苦い思い出が残ります。そういう感情で終わってしまった試合でした」

Q:逆に言えば、前節、今節とそれだけチャンスに関わっていることは、良いパフォーマンスを発揮しているとも言えます。ただ、やはり決めないと、評価されないポジションでもありますか?
「もちろん、そういう考え方もできると思います。自分がゴール前にいた、チャンスシーンが多くあった。ただ、自分たちが目標としているものを達成するためには、基準はもっと高いところに置かないといけません。チャンスを決め切ることで、自分の評価にもつながりますし、チームの勝利にも貢献できます。常に高いレベルに基準を置いて、厳しく自分に求めていきたいと思います」

Q:いつかハットトリックできますね。
「はい。絶対、決めます!」

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:一言で表すと、悔しいゲームになりましたね。
「間違いなくそうですね。対戦相手より良いプレーができていたと思うので、勝利に価する内容だったと思います。チャンスは多く作りました。ただ、それが残念ながらゴールにつながらなかった。これだけチャンスを作って勝利につながらなかったので、おっしゃる通り、悔しいの一言ですね」

Q:ゴールを決めるために、強いて言えば、何が足りなかった?技術的な部分なのか、判断なのか。
「状況にもよりますが、シュートの精度、ということになるかも知れません。もう一度、言いますが、あれだけのチャンスを作ったことを思えば、勝利につながって然るべき試合でした。本当に悔しいです」

Q:先制点はアシストされました。今シーズン4アシスト目になります。
「そうですね。今日も一つ、増やすことができました。チームに貢献できていることは嬉しいですが、これを続けて、勝利につながるプレーをもっとしていきたいです」

■進藤 亮佑選手

Q:後半の流れは、ディフェンスとしては怖い部分もあったと思います。あれだけ攻めて得点できず、相手には足の速い選手も入ってきました。裏1本でやられる恐怖もあったと思うが、最後の時間帯はどうマネジメントしていた?
「(マルセロ)ヒアン選手がいずれ入ってくることは分かっていたので、しっかり声を掛け合って対応しようと確認していました。(西尾)隆矢が珍しく抜かれたりもしましたが、普段から信頼している分、もし抜かれても自分がカバーすれば、彼のミスにはならない。時にはそういうこともあるだろうし、大きなピンチにならずに対応できたシーンもあったので、そこはお互い助け合いながら、良い信頼関係を築きながらやれていると思います」

Q:まさに82分、マルセロ ヒアン選手の突破を防いだシーンは1点モノのカバーリングだったと思います。自身で振り返ると?
「ああいったシーンを作らないことがベストですが、そうなった時に、どういうディフェンスができるかは大事にしているので。ただ、自分の中では凄く良い対応ができたのかなと思ったのですが、周りも疲れ過ぎていたのか、あまり誰も寄ってきてくれなくて(笑)。それだけキツい時間帯でした。ディフェンスは中々称えられるポジションではないですが、ああいう地味な作業を継続してやっていくことが大事かなと思います」

■香川 真司選手

Q:トータルの内容を考えると、当然、勝ちたかったゲームだと思いますが、勝点1の受け止め方は?
「当然ながら、勝たないといけないゲームでした。それを強く感じています。悔しいですし、そういう気持ちがなきゃおかしい。連戦で激しい試合をした後というのは、テンション的にも体力的にも、キツさは見ていてもあったし、実際、僕もピッチの中に入っても感じた部分はありました。その中でどう勝つか。そこは僕たちがもっと学んでいかないといけない。全部が全部、素晴らしい内容で勝てるわけではないので。連戦で苦しい中、どう勝つのか。もっと学ばないといけない。その意味でも、勝ちたかったゲームでしたね」

Q:特に後半は、香川選手が入って以降の時間帯も含め、セカンドボールも拾えて押し込む状況を作れていただけに、あと一歩でした。勝ち切るために、もう一つ何が必要でしたか?
「何でしょうかね。ディフェンス陣はよく頑張っていました。最低の1点で抑えたので。攻撃陣が(点を)取らないといけなかったですね。試合後も話をしました。みんなが責任を持たないといけない。各自の役割に対して。それはこの試合に限らず、追加点、試合を決める、試合を終わらせにいくことに僕たちはこだわらないといけない。言葉で表すのは難しいけど、試合の流れを読まないといけないし、『絶対に決める』という責任を一人一人が持たないといけない。今日の引き分けに対して、みんなが責任を感じないといけない。勝ち切れなかったのはなぜなのか。『ドンマイ』で終わらせるのではなく、一人一人が考えて成長していかないといけない。チームがもう一つ上に行くためには、そこの成長を求めていかないといけないです」