第38節
2024明治安田J1リーグ
2024.12.8日
FC東京
仲川 輝人 (12')
高 宇洋 (42')
エンリケ トレヴィザン (88')
3
AWAY
FULL TIME
0
味の素スタジアム
2-0
1-0
セレッソ大阪
味の素スタジアム
32,787人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「今日はシーズンのラストゲームということで、セレッソサポーターの皆さん、関係者の皆さんに勝利という形で感謝の気持ちを表現したかったのですが、残念ながらこのような形で敗戦となり、申し訳なく思っています。内容を振り返ると、ゲームコントロールのところ、強度のところ、決定力のところ、今、私たちが抱えている課題が出たゲームでした。その中で、今年の反省を選手、クラブが一体となって課題に取り組んで、新監督のもと、今年達成できなかったリーグ優勝、3つ目の星を刻むことを、今後は私もひとりのサポーターとして応援したいと思っています」
Q:課題をいくつか挙げられましたが、今日の試合で足りなかったところについて。また、試合後のロッカールームで選手たちにはどのような声を掛けられた?
「サッカーには、当然、色々な流れがあります。私たちも良い流れの時間帯がありました。惜しいチャンスも作りました。ただし、失点を簡単に与えてしまった。そして、数多くあったチャンスで決め切れなかった。ゲームを引き寄せていくチームとしての力(が足りなかった)。個人、個人にしても、球際の強度、1対1のバトル、チャンスになった時のスプリント、得点の匂いを嗅ぐ力。そこはFC東京の素晴らしいところをたくさん見せられてしまったゲームでした。そういった課題はベンチから見ていて、強く感じました。ただ、積み上げて、安定して成長してきたところもあります。課題は明確になっていると思います。そこは選手一人一人の自覚や努力も必要ですし、クラブも一緒になって、今年の課題をクリアにしていって欲しいと思います。試合後は、『安定した土台を全員でつなげていって欲しい、優勝という目標に向かって、明るい未来へ向かって、つなげていって欲しい』という話をしました」
Q:就任してからの3年半の間で成長が見られたことは?
「全員が、普段の日常から意識の高いプロフェッショナルな集団になったこと。そこは練習前の準備から練習後のケアまで。そして、練習中の強度、集中力。そのあたりも含めて、4年前と比べて成長したところだと思います。日常が変わったことで、安定した順位、結果は全員で積み上げることができたと思います。ここからもう一つ、優勝やタイトルを獲得するためには、もう一つ、二つ上げていかないと、ここからまたその領域に入っていくことは困難なこと。新監督のもと、より高い意識でやっていって欲しいと思いますし、私はそれを応援したいなと思います」
選手コメント
■西尾 隆矢選手
Q:内容的には課題が残るゲームとなったが、振り返ると?
「内容もそうですし、最後の試合でこういう試合をしてしまった自分に対しても不甲斐なく思います。アウェイの地に多くのファン・サポーターの皆さんに来ていただいたにもかかわらず、勝ちを届けることができなくて自分もショックですし、今の自分たちの力を痛感させられました。もっともっと成長して、チームを勝たせる力を付けないといけないと感じました」
Q:守備陣としては、何度もカウンターを受けて、両サイドをかなり突破されてしまった。カバーに奔走されていたが、難しさもありましたか?
「試合前から『相手はカウンターが武器。自分たちの取られ方も気を付けよう』という話はしていましたが、自分たちが想像していたよりも速かったです。両サイドから湧き出てくる相手に対応できなくて、自分たちの守備も嵌めることができず、自分たちがやりたいことを全くできなかった。それが敗因だと思います。それでも試合の中で改善できれば良かったですが、そこも中々できなくて、コントロールできずにズルズル最後までいってしまったと思います」
Q:シーズン序盤は首位に立つ時期もあったが、夏場など未勝利が続く時期もあった。波の大きな1年になったが、今シーズン全体を振り返ると?
「先ほど監督も仰っていましたが、本当に良い時と悪い時の波が大きかったシーズンでした。僕もプロになって数年ですが、それを特に感じた1年でした。チャンピオンになるためには、いかにシーズンを通して安定して戦えるか。負け試合を引き分けにしたり、引き分けた試合を勝利にもっていったり。そういう細かいところで勝点を拾っていかないといけない。1シーズンを通して勝ち続けることの難しさを痛感させられました。1位になるために、もっともっと自分にベクトルを向けて、チームを優勝に導ける選手になっていかないといけない。今年は不甲斐ない結果で悔しいシーズンでしたが、試合にも出させてもらったからこそ、結果にこだわらないといけなかった。来年は、ファン・サポーターの皆さんのためにも勝利し続けること。大きな目標もそうですが、1試合1試合を大切に、コツコツ勝ちを積み上げることが大事だと思います」
■田中 駿汰選手
Q:課題が多く残ったゲームになってしまった?
「そうですね。課題しかないゲームだったと思います」
Q:FC東京はカウンターにおける縦の速さがありました。再三、サイドを突破されてしまったが?
「相手のFWに起点を作られて、そこを潰さないと、そこからカウンターでやられてしまう。取られた直後の切り替えも遅かった。自分たちの出足も相手より遅かったと思います」
Q:出足については、試合開始から上回られていた印象だが?
「自分たちとしても、攻めていてクロスを上げるのですが、跳ね返されたボールがことごとく相手ボールになって、そこから何回もカウンターを受ける形になっていました。もう少し人の配置とかも変えて、こぼれ球を拾える立ち位置に変えていかないといけなかったと思います」
Q:後半は開始15分までは、こちらも猛攻を仕掛け、得点になりそうなシーンはありました。相手GKの好セーブもありましたが、この時間帯で1点欲しかったですね。
「そうですね。決める時にしっかり決めないと、こうやってズルズル行って、3失点目という結果になってしまう。悔しいですね」
Q:良い時期も勝てない時期もあったシーズンですが、移籍1年目を振り返ると?
「多くの試合に出させてもらいましたが、監督からは期待してもらってオファーを出してもらってこのチームに来たわけなので。その期待値から考えると、全然チームの力になれなかったと思います。小菊さんに評価してもらっての加入だったので、もっと期待に応えたかったですが、自分の力不足でした。チームとしても個人としても、めちゃくちゃ悔しいシーズンになりました」
■レオ セアラ選手
Q:今シーズンの集大成というとも言うべき最終節でしたが、今日の試合での課題は?
「難しいシーズンでした。目標に掲げていたタイトルからも遠ざかってしまいました。今日に関しては、最後の試合がアウェイで、ディエゴ(オリヴェイラ選手)の最後の試合ということもあって、最初からFC東京が勢い良く入って来ました。その中で、自分達もチャンスを決めきれなかったことで、さらに難しい試合になりました」
Q:今シーズン21ゴール挙げたことについて。得点ランキングとしては2位となりました。
「去年よりも得点できた事はとても嬉しいです。得点王になれなかったことはもちろん悔しいですが、得点王というタイトルは、なるべき時にやって来るものなのだろう、とも思います。来年に向けて体を休めて、また来年も、今年を上回る良いシーズンにしたいです」
■柴山 昌也選手
Q:後半から出場し、後半開始から15分ほど猛攻を仕掛ける時間帯もありました。試合に入った時の心境について
「最近はずっと右サイドハーフをやっていた中で、今日は、最初は4-2-3-1のトップ下で入りました。自分の得意なポジションはトップ下なので、いつ言われても行けるように準備はしていましたが、全ての角度から敵が来るポジションなので、景色の違いは正直、感じました。そこは実力不足だし、あのタイミング(後半開始)で自分をチョイスしてもらったのに申し訳なかったと感じます。得点するか、アシストするか、崩して得点につながるプレーをするか。何かしら貢献しないといけなかったチャンスはあったのですが、結果、得点ゼロで終わったことは責任を感じます」
Q:ルーカス フェルナンデス選手の交代後は右サイドハーフに入りましたが、課題としては、やはり1年を通してラスト3分の1をやり切るところですか?やり切れずにカウンターを受けるシーンもありました。
「1年を通して苦しかったですし、上手くいっていないからこそ、焦りも感じていました。メンタル的にも辛い時期が多かった。やっぱりメンタルが安定しないと、良いプレーはできない。そういうところは、もっと図太くならないといけないとも思います。安定しない原因は色々ありますが、自分自身、メンタルも強くなっていかないと、上には行けない。良い意味で、気にしないことも大事だと感じました」
Q:そのあたりは、今シーズン1年、試合に出続けたことで見えた課題でもありましたか?
「そうですね。試合でしか感じられないことは多かったし、そういう意味では、小菊さんと梶野さんに導いてもらってセレッソ大阪に入ったので。今年、色んなシステムをやって、可変(システム)にもトライした中で、どのポジションでもできないといけなかったし、移籍してきたからには、結果を残さないといけないという使命もあります。その期待に応えないといけないと感じています」
■登里 享平選手
Q:個人としては、久々のメンバー入りからの出場になったが?
「久しぶりの出場でしたが、出場機会をもらったからにはやらないといけなかったですし、もっともっとできることはあったと思います」
Q:入った状況で0-2でした。相手のカウンターの鋭さも含め、流れを取り戻すのは難しい状況でしたか?
「前半で0-2になってしまったので、やることはハッキリしていました。攻めて、セカンドボールを拾って、相手を押し込むことが役割でしたが、そこでの意思統一というか、状況、状況に応じた全体のプレーの選択は考えるべきだと思います。自分もそうですが、スイッチを入れられなかった。(反撃を)促すことができませんでした」
Q:加入1年目でしたが、今シーズンを振り返ると?
「優勝するためにセレッソに飛び込んできて、結果、浮き沈みの激しいシーズンになり、昨年や一昨年と同じことを繰り返してしまった。その責任や申し訳なさ、悔しさが残るシーズンになりました。しっかりと捉えてやっていくしかない。優勝を目指す上では、ビジョンというか、『ここを目指す』という明確なモノがやはり必要なので、芯を持ちながら、逆算してそこに選手も向かっていくことが大切だと思います。1試合に関しても、一人一人万全な準備をしているのか、しっかり考えないといけないですし、クラブ全員で同じ方向に向かっていく集団になっていかないといけないと感じます。もっともっと期待に応えたいですし、もっともっと喜べる試合を増やして、心を動かすプレーもやっていきたい。来シーズンは監督も代わるので、方向性が大事になっていきます。自分自身も今シーズンを反省して、メンタルの部分もサッカーの部分もオフに整理して、来シーズンに向かっていきたいです」
今シーズンの最終戦であり、小菊昭雄監督のラストマッチを勝利で飾れず
ホーム最終戦となった前節の鹿島アントラーズ戦から中7日。セレッソ大阪は、今シーズンの最終戦となるFC東京との明治安田J1リーグ第38節に臨んだ。今シーズンをもって退任が決まっている小菊昭雄監督のラストマッチでもある一戦、何としても勝利で終えるべく、敵地・味の素スタジアムに乗り込んだ。先発は前節から2人変更。出場停止から戻った田中駿汰がボランチに入り、トップ下には2試合ぶりに北野颯太が名を連ねた。
立ち上がり、セレッソはテンポよくボールを運び、敵陣に入っていく。ただし、シュートで終われずにいると、5分、カウンターを受けてFKを与え、FC東京に決定機を作られる。荒木遼太郎のキックをファーで折り返され、中で詰められたが、ここはわずかにシュートが枠を外れて事なきを得た。試合前、小菊監督が警戒していたFC東京のカウンターだったが、10分にもカウンターからピンチを招くと、13分に失点。クリアしたセカンドボールを拾われ、中央を割られると、最後は仲川輝人に決められた。「(ボールを)取られた後の切り替え、自分たちの出足も相手より遅かった」と試合後に田中も振り返ったが、この日のセレッソは、攻守の切り替えにおける反応で後手を踏み、FC東京のサイド攻撃に苦しめられる。前半の終盤には立て続けにピンチの場面を迎えると、42分に2失点目。相手のシュートが進藤亮佑に当たり、コースが変わって入る不運な形ではあったが、セカンドボールを拾われ、サイドで押し込まれ続けたことで起きたアクシデントでもあった。前半、攻撃面では北野に2度チャンスが訪れた。まず33分、ルーカス フェルナンデスのパスから背後を取ったレオ セアラの折り返しに詰めたが、GKの体を張ったブロックでゴールならず。45分にもフェルナンデスのパスからハーフスペースに進入してシュートを放ったが、ここは枠に飛ばすことができなかった。また、得点王へ向けては少なくとも3点が必要だったセアラには中々ボールが入らず。シュートは奥埜のパスから背後を取って放った1本のみに終わった。
後半開始から北野に代わって柴山昌也がピッチに入る。追撃の1点を奪うべく攻めに出ると、51分に決定機。右サイドを崩し、奥田勇斗、田中とダイレクトでつないで中央を割り、最後はセアラがシュート。決定的な形だったが、FC東京の守護神、野澤大志ブランドンの抜群の反応に防がれた。52分にもチャンス。高い位置で奪ってショートカウンターを発動させると、カピシャーバのクロスに柴山が合わせたが、ここはシュートがミートせず枠外へ。セレッソは57分、58分にも決定機を作ったが、セアラのシュートは相手DFにブロックされ、進藤の至近距離からのシュートもGKのセーブに遭うなど1点が遠い。63分、今季限りで現役を引退するオリヴェイラが交代でピッチを後にした際は、両チームの選手が花道を作る演出。オリヴェイラは小菊監督、セレッソのスタッフ、選手とも挨拶を交わし、FC東京ベンチに下がった。同じタイミングでセレッソも選手交代。フェルナンデス、カピシャーバに代わって山田寛人と登里享平が入り、為田が1列前に上がった。ここから攻撃のギアを上げたいセレッソだったが、ボールは持っても、人数をかけて守る相手のディフェンスをこじ開けることができず、88分にはCKから3失点目で万事休す。今シーズンの最終節であり、小菊監督のラストマッチを勝利で飾ることはできなかった。
今節の敗因について、「ゲームコントロール、強度、決定力」を挙げた小菊監督。残念ながら自身のセレッソラストを勝利で飾ることはできなかったが、「安定した土台を全員でつなげていって欲しい、優勝という目標に向かって、明るい未来へ向かって、つなげていって欲しい」と最後に選手たちに言葉を残した。約1ヶ月後に始動する2025シーズンへ向け、チームは束の間のオフを取り、英気を養う。そして最後に改めて、27年という長い年月をセレッソ一筋で尽くされた小菊監督へ、感謝の気持ちと今後の成功を祈って締めくくりたい。