2023明治安田生命J1リーグ第34節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.12.3

アルビレックス新潟

長倉 幹樹 (87')

1

AWAY

FULL TIME

0

0-0

1-0

セレッソ大阪

デンカビッグスワンスタジアム

22,605

  • 放送

    DAZN / 新潟総合テレビ(録)

ギャラリー

MATCH REVIEW

シーズン終盤の課題を持ち越し、0-1の敗戦。オフに精査し、来季の飛躍を誓う


前節の京都サンガF.C.戦から中7日、アルビレックス新潟のホームに乗り込み、今季の最終戦となる明治安田生命J1リーグ第34節に臨んだセレッソ大阪。先発は前節から3人変更。前節は大事を取った毎熊晟矢が戻り、前節、後半から出場した阪田澪哉と奥埜博亮が揃ってスタメン。ルーキー阪田は嬉しいJ1初先発となった。

試合前から降りしきる雨が強まる中でキックオフを迎えた試合は、立ち上がり、セレッソがテンポ良くボールを運ぶ。2分、香川真司を起点に最後は奥埜がシュートを放つと、6分には決定機。相手DFの縦パスをカットした香川が素早く前線へ送るとレオ セアラがフィニッシュも、シュートはGKの好セーブに阻まれた。14分には逆に自陣からのパスを新潟にカットされ、そのままミドルシュートを打たれたが、ここはポストを直撃。難を逃れた。28分にもセレッソにビッグチャンス。香川を起点に毎熊の縦パスをレオ セアラが右サイドへ展開。阪田のクロスにレオ セアラが合わせたが、シュートはヒットせず、わずかに枠を外れた。30分以降は新潟にボールを持たれる時間も続いたが、コンパクトな陣形を保った中で、人にも寄せつつスペースを埋めて対応。ただし、前半終了間際には立て続けに自陣でのパスミスから新潟にカウンターを許し、決定機を作られたが、GKキム ジンヒョンの好セーブもあり何とか失点は免れた。前半は両チームにチャンスがありながら、0-0で終えた。

前半はパス数も両チームほぼ同じで一進一退の攻防が繰り広げられたが、後半はセレッソが自陣に押し込められる時間が続く。奪ったボールもつなげず、ミスからカウンターを受けるなど、我慢の展開に。そうした中、61分、小菊昭雄監督は清武弘嗣と為田大貴を同時投入。奥埜をアンカーに、香川と清武をインサイドハーフに配置し、流れを引き寄せにかかる。66分、前向きにボールを持った清武からレオ セアラにスルーパスが送られたが、わずかに通らず。67分には、香川の大きなサイドチェンジに飛び込んだ毎熊がダイレクトで折り返すも、中とは合わず。背後を取る動きも増え始めたこの時間帯は、セレッソが相手を押し込み、失ったボールも高い位置で回収して2次攻撃へつなげていく。77分、山中亮輔と上門知樹が入り、より攻撃的な選手を増やして先制点を奪いにいくと、79分には清武のCKから進藤亮佑がヘディングでゴールを狙ったが、クロスバーを越えた。攻勢に出た時間帯で先制できずにいると、87分、新潟に先制を許す。セレッソは高い位置でプレスをかけるもここで奪えず前に運ばれると、ゴール前で数的優位を作られ、自陣左サイドを崩されネットを揺らされた。終盤で痛恨の失点を喫すると、以降はチャンスを作り切れずにタイムアップ。今季の最終戦を白星で飾れず、順位も一つ落として9位でシーズンを終えた。

9月にはトップ3、優勝争いも見えていた時期もあったが、アウェイでの鹿島アントラーズ戦以降、8試合で1勝1分6敗と失速。この間、わずか1得点と攻撃に課題を残した。「(今節も)ここ数試合の課題を改めて強く感じる試合でした。ただ、この課題を早めに全員で共有できたこと、我々選手スタッフだけではなく、強化部も含めて全員で共有できたことはプラスだと思っています。来季はセレッソ大阪30周年の記念すべき年でもあります。しっかりと準備して、自分たちの目標に向けてやっていきたい」と小菊監督。積み上げたビルドアップの上に、どうフィニッシュの回数を増やして得点力につなげていくか。チーム、選手個々でレベルアップを果たし、来季の飛躍につなげていきたい。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「最終戦ということで、大阪からもたくさんの方が新潟まで、この天候の中、駆け付けてくれました。テレビ中継でも、たくさんの方が我々の勝利を願って応援してくれていたと思います。そういった方たちに感謝の気持ちを込めて勝利をお届けしたかったのですが、最終節も勝てずに残念です。ここ数試合の課題を改めて強く感じる試合でした。ただ、この課題を全員で共有できたこと、我々選手スタッフだけではなく、強化部も含めて全員で共有できたことはプラスだと思っています。来季はセレッソ大阪30周年の記念すべき年でもあります。しっかりと準備をして、自分たちの目標に向けてやっていきたいと思います」

 

Q:守備は34試合で34失点という結果が物語る通り、大崩れはしなかった一方、シーズン終盤は8試合で1得点と得点力に課題が残りました。今節に関しても、前半から保持はできていた時間帯でもフィニッシュに至らなかったり、後半も推進力が出なかった場面も見られました。来季へ向けて、現時点での攻撃の課題をどう認識されていますか?

「二つあります。一つは、ボール保持はできても怖い攻撃、ゴールに迫る前進がなかなかできませんでした。前に、前に、相手の背後を取る、そういった怖さを出せなかった。もう一つは、私たちのストロングポイントである、高い強度の守備からいい攻撃につなげることができませんでした。失点シーンもまさしくそうですが、あそこで強度を高くボールを奪えていたら、逆に私たちのチャンスになったと思います。あそこでかいくぐられて、ピンチになる、失点する。紙一重ですが、強度の高い守備から、いい攻撃につなげていくことはここ数試合の課題だと改めて感じました。全員でボール保持が積み上がったことはプラスですが、ゴールを奪うための保持であって、そういったところは、キャンプから、怖いサッカーを表現できるようにやっていきたいです。守備に関しても、技術がある選手も経験がある選手も、全員が高い強度で守備をする。それができない選手は試合に出られない。その基準をハッキリしていきたいと感じた試合でもありました」

選手コメント

■香川真司 選手

Q:1試合を通してなかなかシュート数が増えない試合になってしまったが?

「(直近の)7試合で1得点という現実が今日も表れてしまったかなと。なかなか得点の形、チャンスを作り出せなかった。大きな課題が残りました」

 

Q:来季へ向けても、ボールを握った先に、どう崩すかは課題になる?

「そうですね。来季は来季でまた、しっかりと目標設定を含めて、やっていきたいです。今はまず、自分たちの現状を見つめ直さないといけないのかなと思います」

 

Q:Jリーグ復帰初年度の今シーズン、リーグ戦全試合出場については?

「ケガなく戦えたことは大きな感謝というか、皆さんに感謝したいですし、信頼に感謝したいです。と同時に、この結果で終わってしまったことは、自分自身、一番多く試合に出て、(責任を)感じています。改めて、来季へ向けてしっかりやらないといけない。自分たちの現状を見つめ直してやらないといけないと思います」

 

■奥埜博亮 選手

Q:今日の内容と結果をどう振り返りますか?

「内容もそうですけど、今日は勝ちたかったです。新潟さんもポゼッションがうまいチームなので、自分たちのいい守備から速く仕留める攻撃と、相手陣地でボールを握りながら相手を押し込む攻撃を使い分けられたら良かったですが、僕自身も含めて小さなミスが出てカウンターを受けたり、相手の流れになってしまったと思うので、そこはもったいなかったなと思います」

 

Q:相手のカウンターを受けた際の、奪い返す守備の強度も足りなかった?

「そうですね。そこは距離感(の問題)でもあって、攻撃で敢えてゆっくり、自分たちがいい距離感で押し込むことができれば、奪われた後のカウンタープレスもハマる。速い攻撃と使い分ける部分を、チームとしても、個人としても判断を高めていかないといけないと思います」

 

Q:ボールを握る遅攻に傾き、速攻を繰り出す機会も少なかった印象も受けたが?

「握りながらも、相手にとって怖いパスや動きは必要だと思う。チャレンジしたパスが通らなかったとしても、距離感よく奪いにいければ、カウンタープレスとして2次攻撃、3次攻撃ができると思う。パスを出す方もそうですが、受ける動きの部分でも、もっともっと相手に嫌だなと思われる動きをしないといけない。一人だけではなく、誰かが動くことで、誰かが空くので、2人、3人と意図した動きをもっともっと増やしていければと思います」

 

Q:清武選手が入って以降、香川選手とインサイドハーフを組み、奥埜選手がアンカー気味で中盤を組んだと思うが、その時間帯について

「真司くんはスタートから出てずっと一緒にプレーしていますが、そこにキヨが入ることによって、攻撃のクオリティーは確実に上がる。なるべくそういう選手が相手にとって怖い位置でボールを受けられるような場面をチームとして作っていかないといけない。あとは、一人一人がボールと関わりながらやっていけば、誰かが空く。(清武は)動けばパスが出てくる選手なので。そのタイミングは長く一緒にやっていれば、ここに来るんだろうな、ということは分かる。チームとしても、同じ形をやり続けるのではなく、選手が変わった時に、その選手を生かせるようなこともできればいいと思います」

 

■進藤亮佑 選手

Q:今日の内容と結果をどう振り返りますか?

「8試合で1得点という結果をどう捉えるか。今日の試合は、0-5になってもおかしくない負け試合だったと思います」

 

Q:握った中でシュートまで行き切れず、カウンターを受ける場面も多かった中で、後ろは懸命に耐えていたのでは?

「ここ数試合、チャンスの数も減っています。そこをどう考えて修正していくか。チャンスが少ないのは後ろの責任もあるのですが、ディフェンスに関しては、後ろは踏ん張ったと思います」

 

Q:今節だけではなく、0-1が今季は多かった。失点は最小限に抑えながらも、シーズン終盤、特に顕著になった得点力という課題と、後ろとしてはどう向き合うことが必要?

「やっぱりサッカーで教えることが難しいのは攻撃。守備は基本的にみんな昔から教わっている。粘り強かったり、規律があったり。その上で、外国籍選手を含めて、個の力を生かしたり、攻撃で変化を加えていくことを目指していましたが、そうした攻撃に関しては、新潟はワンタッチ、ツータッチが多く、勉強しないといけない。僕らは、パスミスに見えるところも受け手のミスなのかも知れない。来年以降、監督がどう攻撃をデザインしていくか。役割を与えてくれれば実行できるという自信はあります」

 

Q:自身としては、シーズン途中でレギュラーを掴んだ1年にもなりました。今季をどう振り返りますか?

「1年を通して出れば、いい試合も悪い試合も当然ありますが、レギュラーという鎧をまとってプレーすれば、いいプレーができる、という自信も再確認できたシーズンになりました。

ただ、鹿島、神戸、湘南に3連敗した後の広島戦でスタメンを外れましたけど、あそこで代えられないような選手にならないといけない。今日に関しても、自分が1億円プレーヤーなら、0-0で終わっていたと思います。そこは常に自分の実力不足だと思って、オフのトレーニングもそうですし、来年以降につなげていきたいです」

 

■毎熊晟矢 選手

Q:試合の入りはテンポよくボールも回っていたと思いますが、なかなかシュートまで行けず、前半の途中からは新潟のカウンターを浴びる場面も増えてしまったが?

「それがここ数試合の課題でもありました。分かっていても試合に出てしまうということは、本質のところを築けていないのか、もっと突き詰めていかないといけないのか。としか今は考えられません。チームとしてしっかり整理して、来年につなげないといけないと思います」

 

Q:最終節、雨の中、新潟に駆け付けてくれたサポーターへ

「試合中もなかかなかチャンスまで持っていけていないことは感じていました。それでも、何とか来ていただいた皆さんや、来年につなげるために、泥臭くてもどういう手段でも1点もぎ取って勝ちたかったです。負けてしまい、申し訳ない気持ちしか今はありませんが、僕たちは前を向いて来年につなげることしかできない。来年たくさん笑っていただけるようにやっていきたいです」

 

■清武弘嗣 選手

Q:今季の最終節、勝利を目指して戦った中で、この結果をどう受け止めていますか?

「最後のところの精度だったり、修正しないといけない部分もありましたけど、4-3-3という新しい試みの中で、近寄るのか、幅を取るのか、色々と考えながらプレーしました。なかなかうまくいかなかったですが、これもいい経験として、来季につながるんじゃないかと思います」

 

Q:いいテンポでボールが回っても、シュート数が伸びなかったように感じます。

「ファイナルゾーンでのやり方は工夫しないといけないですし、8試合で1得点はもちろん寂しい結果ですが、これからの積み上げ次第にもなってくると思いますし、ネガティブに捉えても仕方ないので、(新しい試みを)ポジティブに捉えてやっていきたいです」

 

Q:新潟に来て応援してくれたサポーターへメッセージをお願いします。

「寒い中、ここまで駆け付けてくれたサポーターには凄く感謝しています。勝ちを届けることができなかったことは残念ですが、1年間ありがとうございました、と伝えたいです」