2023明治安田生命J1リーグ第30節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.10.21

サンフレッチェ広島

0

AWAY

FULL TIME

0

0-0

0-0

セレッソ大阪

エディオンスタジアム広島

22,834

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

決定機を逃してスコアレスドローも、攻守に改善の兆し。連敗を3で止め、次節・必勝戦の大阪ダービーへ挑む


前節の湘南ベルマーレ戦から3週間の中断期間を経て再開された明治安田生命J1リーグ。セレッソ大阪はアウェイに乗り込み、サンフレッチェ広島とのJ1第30節に挑んだ。先発は前節から3人変更。鳥海晃司が2試合ぶり、上門知樹が3試合ぶり、マテイ ヨニッチが第25節・名古屋グランパス戦以来、5試合ぶりにスタメンを張った。 

中断前のリーグ戦はいずれも無得点で3連敗を喫していたセレッソ。何らかの変化を加えたい今節だったが、試合開始時にピッチに並んだ布陣は4-3-3。香川真司をアンカーに、上門知樹と奥埜博亮をインサイドハーフに置く逆三角形の中盤で臨んだ。相手の予測の裏をかいたこともあり、前半、試合を優位に進めたのはセレッソだった。ボール保持を高めたチームにあって、GKキム ジンヒョンが起点となり、香川や毎熊晟矢が受け手としてうまく関わり、チャンスを作る。7分、キム ジンヒョンが中にパスを通してレオ セアラが起点となり、香川からジョルディ クルークスへ展開。良い形を作ると、20分には決定機。相手のプレスを外したキム ジンヒョンから今度は毎熊へ正確なパスが渡ると、毎熊は斜めに走った奥埜へパス。裏に抜けた奥埜が収め、最後はクルークスのクロスにファーサイドでカピシャーバがヘディングで合わせた。崩した形だったが、日本代表GK大迫敬介のセーブに遭い、ゴールはならず。34分にもキム ジンヒョンのパスをクルークスが頭で落とし、毎熊のクロスからゴールに迫る。ビルドアップで相手のプレスを外しつつ、守備でも高い位置から即時奪回を試み、セカンドボール争いでも負けずに応戦したセレッソ。前半は相手を上回る内容を披露した中、45分に招いたピンチでは、キム ジンヒョンが2度のビッグセーブで失点を阻止。0-0で折り返すも、内容の濃い前半となった。

後半も最初のチャンスはセレッソ。50分、右サイドのスローインから毎熊、セアラ、毎熊、クルークスとつなぎ、最後は上門のクロスに奥埜が中で合わせたが、シュートは惜しくもクロスバーを越えた。53分には、この試合最大の決定機が訪れる。相手のセットプレーを跳ね返したところから上門、毎熊、香川とつなぎ、最後はDFの背後を斜めに走ったセアラへ、カピシャーバが絶妙なパス。うまく受けたセアラがDFをかわしてGKと1対1になったが、シュートは大迫に止められ仕留めることはできず、背番号9は天を仰いだ。ここからは、前半以上に前からのプレスを強めてきた広島に対し、セレッソが守勢に回る時間帯も。

ただし、ここで立ちはだかったのが、GKキム ジンヒョン。65分の加藤陸次樹、73分のエゼキエウのシュートを防ぎ、ゴールを割らせない。すると、71分に上門に代わって投入された柴山昌也が躍動。80分には、毎熊とのワンツーでゴール前に進入。複数のDFに囲まれながらもドリブルで運んで決定的なシュートを放つなど、中の位置であるインサイドハーフに入ったことで、狭いスペースで受けてゴールに迫るドリブルがより効果を発揮。今後へ期待を抱かせた。後半は互いに攻め合った中、ネットは揺れず、0-0で終了。セレッソは4試合連続で無得点という結果に終わったが、守備陣は最後まで集中力を切らすことなく、無失点を達成。4連敗は免れ、勝点1を獲得した。

「難しい状況を一歩、乗り越えたと思う。次につながる勝点1になった」とは、無失点の立役者となったキム ジンヒョン。新たな中盤の形でプレーした奥埜は、「効果的なプレーもあったと思うし、もっと改善していける部分もあると思う」と振り返りつつ、「形にこだわらず、相手を見ながら、一人一人がいい立ち位置を取れば、相手を悩ませることもできると思う」と話した。次節は、ガンバ大阪との大阪ダービー。「大一番に向け、全員でクオリティーを上げて、イメージを共有する回数を増やしていきたい」と小菊昭雄監督は力を込める。次節こそネットを揺らすシーンを一つでも多く作り、5試合ぶりの勝点3を手にしたい。

監督コメント

■小菊昭雄監督

「もちろん、勝ち切りたい試合でしたが、この3週間、広島をスカウティングして、分析すればするほど、広島は攻守にアグレッシブで安定感がある、攻撃も守備も能力が高い選手が揃っているなと。厳しい試合になると思っていた中で、この3週間、色々なことにトライしました。勝ち切れなくて残念ですが、たくさんの新しい発見もありましたし、広島を相手にクリーンシートで終われたこと、チャンスや決定機も作れたこと。そこはポジティブに感じています。次の大一番に向けて全員で努力して、クオリティーを上げて、イメージの共有、その回数を増やしていきたいと思います」

 

Q:香川選手をアンカーに配置して4-3-3で臨んだ意図と、実際のパフォーマンスについて

「4-3-3に変えたことは、攻守で理由があります。今季も始めは4-3-3にトライして、途中から4-4-2に戻して戦ってきましたが、前回の4-3-3をやっていた頃からメンバーも大きく変わりました。移籍があったり、ケガでの離脱があったり、現在のストロングポイントであるジョルディ(クルークス)やカピ(カピシャーバ)が私たちのやり方に馴染んできたこともあります。今の選手たちで一番合うシステム、立ち位置を考えた時、個が生かせて、ビルドアップが安定する。攻撃面では、そうした理由があります。守備のところでは、ここ数試合を振り返った時、私たちの強みである前線からのハイプレスに対して、鹿島も神戸も早いタイミングでロングボールを多用して、そこからのセカンドボールのバトルで回収し、前進してきました。そこでの対応で、私たちの課題がありました。今回は、サイドに誘導すれば、ボランチ3枚と、逆サイドのウィングがいて4枚になる。構造的にセカンドボールを拾いやすくなる。それらの理由があり、広島のストロングポイントも踏まえて、4-3-3で臨みました。

 

(実際のパフォーマンスとしては)特に守備のところは、J1でもトップクラスの攻撃力を誇る広島に対し、結果が示す通り、たくさんの時間で守備でゲームをコントロールすることができたと思います。攻撃のところも、まだまだクオリティーは上げないといけないですが、特に前半は自分たちで意図的にボールを前進させて、ファイナルゾーンまで運んでいく。そういった狙い通りのシーンもたくさんありました。後半は相手がマンツーマン気味に戦い方を変えてきましたので、強度のところでうまく前進できないところもありましたが、新たな課題として、2人、3人で出入りをしながら相手を崩していく。そこの課題も一つ一つ、次の試合に向けて高めていきたいと思います」

 

Q:クリーンシートの一方、4試合連続で無得点という現状もあるが、今日のやり方は続けていきたい?

「そうですね。手応えはありますので。実際、決定機も作れましたし、そこをしっかり決めていく作業、回数を増やしていく作業。いま前線でケガ人が多発していますが、ダービーには数名の選手が帰ってこれそうな状況ですので、誰が出てもやれるように。今日は途中で入った柴山がインテリオールのポジションで違いを見せてくれました。そういった競争もしながら、これを続ければ、必ず攻撃のところでもチームとしてレベルアップしていけると確信を得た、そういったゲームだったと思います」

選手コメント

■キム ジンヒョン 選手

Q:0-0で勝点1という結果をどう受け止めますか?

「全員で最後まで一生懸命走って、難しい状況を一歩、乗り越えたと思います。強い広島を相手に失点ゼロで抑えたことは自信にもなったと思いますし、前半、自分たちのペースでボールを回せて、チャンスも作れました。チームとして次につながる勝点1になったと思います」

 

Q:スタートの立ち位置が変わり、香川選手がアンカーに入る形になったが、実際に公式戦でやってみての感想は?

「前半は特に真司がフリーで顔を出せる場面は多かったですし、ボールもうまく回ったと思います。後半は少し苦しい場面も増えましたが、オク(奥埜)もジョー(上門)もうまくポジションを取れる選手たちなので、そこでのコンビネーションをもっと高めていくことができればと思います」

 

Q:自身としては、失点ゼロで抑えたが?

「この3週間、いい準備をして臨みました。自分で自分のポジションを勝ち取らないといけない状況は変わっていません。まず失点ゼロで抑えるのが自分の仕事ですし、その上でビルドアップでもチームの力になっていければと思います。プレッシャーもありますが、そのプレッシャーも力に変えて、やり続けたいと思います」

 

Q:後半、シュートを止める場面もありましたが、相手として対戦した加藤選手の印象は?

「ムツキはセレッソでもいい選手でしたし、点の取れる選手。広島に行って、もう一つステップアップしないといけない気持ちもあると思います。移籍して何試合か見たら、ムツキらしくアグレッシブに走ったり、得点も取ったり、成長していると思います。ただ、今日はムツキだけにはやられたくなかった。今日はヨニッチも久しぶりに出たのですが、後ろからすれば、無失点で終えたので、良かったと思います」

 

■マテイ ヨニッチ 選手

Q:守備としては無失点で終えましたが、試合を振り返ると?

「3連敗していた中で、強い相手とのアウェイゲームでした。内容としては僕の中では五分五分だったと思うので、引き分けに納得する部分もあります。ただ、やはり勝点3を取りたかったので、残念な思いもあります」

 

Q:相手として対峙した加藤選手については?

「特に気にしていませんでした。相手が誰であろうと守ることが自分の仕事なので」

 

Q:第25節・名古屋戦以来の先発となった中、改めて自身の力を示せたことは、前進でしょうか?

「出ていなかった間も、練習からいいプレーはできていたと思います。フィジカルも問題なかったので、自分の中では、いつ試合に出てもいいように準備していました。今日の無失点が次の試合に向けていい方向に行けばと思います」

 

■毎熊晟矢 選手

Q:お互いにチャンスがあった中で、0-0という結果に終わったが、振り返ると?

「広島をスカウティングした中で、こちらがやりたいことを出せた時間帯もありましたし、チャンスも多くはなかったにしてもあったので、そこで仕留める力がないと、勝てないと思いました」

 

Q:中盤の形が変わった中での試合だったが、実際にプレーした感触は?

「相手がマンツーマン気味に来ていたので、みんなで流動的に動いて、つながった場面ではチャンスになりました。ただ、崩し過ぎて奪われてピンチというシーンもあったので、そこはあまり崩しにこだわり過ぎず、はがしていくことも考えていかないといけないと思いました。この布陣でずっといくか分からないですが、積み重ねていきたいですね」

 

Q:日本代表から戻っての試合は今回が2試合目でしたが、今回は神戸からの移動だったことも含め、コンディションの合わせ方などは少しずつ慣れてきましたか?

「そうですね。前回とは移動距離が全然違ったので、だいぶ楽にはできました。ただ、いつもなら、週の中日で(コンディションを)上げる日を作って、コンディションを作っていくのですが、今回は火曜日の試合に向けた準備をして出場時間がなく、水曜日から練習という形だったので、疲労はゼロではなかったので、試合の持って行き方で少し難しさはありました。ただ、今回はそこまで気にならずに試合に臨めました」

 

Q:途中から中盤の右サイドに柴山選手が入り、いい形でコンビネーションも作っていたが、うまく崩せた感じはありましたか?

「そうですね。相手のアタッキングゾーンに入った時の彼とのコンビネーションは、移籍してきてすぐ、練習からお互いの頭の中で通じるモノがありました。練習からあのような形はどんどん出せていたので、それを今日は試合で出せたと思います」

 

Q:こちらの決定機は相手GK大迫選手に止められた場面もありましたが、日本代表でともにプレーした仲間と対戦して、今までとは違った思いもありましたか?

「さすがだな、と思いました。フィードを含めて彼の良さが出ていたと思います。なおさら、決めて勝ちたかった気持ちはありました」

 

Q:相手として加藤選手と対戦した印象は?

「やっぱり、いい選手だなと思いました。常に貪欲にシュートやゴールを狙っているので、相手にいたら、嫌な選手でした」

 

■奥埜博亮 選手

Q:香川選手をアンカーに、奥埜選手と上門選手がインサイドハーフに入る中盤の形で臨まれましたが、実際にプレーした手応えは?

「効果的なプレーもあったと思いますし、もっと改善していける部分もあると思います。距離感など、状況によってうまく変化させながらプレーしていけたらと思います」

 

Q:監督は「現在のメンバーをより生かせる形」という話もありましたが、今節に向けて準備してきた?

「中断期間中、特にこの1週間で準備してきました。今いる選手の特長をより生かすため、という部分もあると思いますし、4-3-3という形にこだわり過ぎず、相手を見ながら、一人一人がいい立ち位置を取れば、相手は悩むと思います。どこに人数をかけるのか、どこにスペースを作るのか、みんなとより共有していけば、もっと深まっていくと思います」

 

Q:自身としては先発復帰後2試合目でしたが、前回よりうまく関われた手応えもありますか?

「そうですね。前回よりはうまく関われたと思います。チームとしてのバランスの部分でも、前向きな状態で選手を置けたと思います。あとは小さなミスを無くして、僕自身も含め一人一人の精度を上げていけば、もっともっといい攻撃ができて得点にもつながっていくのかなと思います」

 

■柴山昌也 選手

Q:後半途中から入り、チャンスや決定機にも絡んだが、振り返ると?

「いつもは外に張るプレーも多かったですが、今日はいつもとフォーメーションも変わり、インサイドハーフで使ってもらったので、自分の特長はより生きたかなと思います。今日は無失点で終わることも大切だったので、インサイドハーフとして守備の強度も求められていた中で、チームに貢献できて良かったです」

 

Q:普段より一つ中に入る分、自身の特長も出し易かった?

「そうですね。ゴールが近い中でのドリブルや、狭いスペースで受けるプレーは得意なので、特長は出せたと思います」

 

Q:自ら持ち運んで決定的な形を作り、相手GKにビッグセーブされた場面もありました。

「大迫選手も日本代表のGKですし、簡単には入らないな、と感じました。得点は貪欲に狙っているので、次の(大阪)ダービーで決めることができたらと思います」