2023明治安田生命J1リーグ第28節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.9.23

ヴィッセル神戸

佐々木 大樹 (59')

1

AWAY

FULL TIME

0

0-0

1-0

セレッソ大阪

ノエビアスタジアム神戸

25,601

  • 放送

    DAZN / NHK BS1

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

神戸のアグレッシブな守備に攻め手を欠き、無念の敗戦。首位との勝点差が10に広がる


0-1で鹿島アントラーズに敗れた前節から中6日。セレッソ大阪は、再び敵地に乗り込み、首位・ヴィッセル神戸との明治安田生命J1リーグ第28節に挑んだ。両チームの勝点差は7。わずかに残る逆転優勝の可能性を広げるために、今節は勝点3のみが求められる必勝戦となった。先発は、前節から1人変更。北野颯太がリーグ戦では開幕戦以来となるスタメンを果たし、レオ セアラと2トップを組んだ。

序盤は互いにロングボールが増え、リスクを回避しつつ、サイドからゴールを狙う。セレッソの最初のチャンスは15分。GKヤン ハンビンのキックを北野が収め、香川真司からカピシャーバへ展開。左サイドから仕掛けてCKを得る。17分にも、喜田陽、香川、カピシャーバとつなぎ、最後は大外を駆け上がった舩木翔のクロスにファーサイドでジョルディ クルークスが飛び込むも、DFのカバーに遭い、シュートは打てず。互いに攻守の切り替えが速く、一瞬の隙が命取りになる緊迫した展開が続く中、20分、自陣左サイドでボールを失い、神戸にカウンターを許すと、最後は大迫勇也にシュートを打たれたが、クロスバーを越えた。32分、セレッソは香川のCKに毎熊晟矢がニアで合わせてゴールに迫ったが、相手DFに防がれた。この試合、セレッソはボールを前に運ぶことに苦労。相手のプレスを1枚はがしても、両サイドに入った瞬間、神戸の素早い戻りと寄せで、スピードアップを図れず、前半は決定機を作れなかった。それでも、セカンドボールの攻防では互角に渡り合うなど、内容的には、ほぼ五分。勝負は後半に持ち越された。

後半、攻撃のギアを上げたいセレッソだったが、より攻勢を強めてきた神戸に立て続けに決定機を作られる。55分、酒井高徳のクロスをファーサイドで受けた大迫にワントラップからシュートを放たれると、56分にも大迫に起点を作られ、縦に抜けた武藤嘉紀へのパスからピンチを招く。すると、やや間延びし始めた59分に失点。GKヤン ハンビンのロングパスを前線で受けたレオ セアラがジョルディ クルークスに落としたところを狙われ、神戸にボールを奪われると、前がかりになったDFラインの背後を1発のパスで取られ、進藤亮佑の懸命の戻りも及ばず、佐々木大樹に決められた。直後の60分、セレッソは北野と喜田を下げ、上門知樹と奥埜博亮を投入。奥埜はJ1第17節の神戸戦以来、11試合ぶりの出場となった。すると、その奥埜がボールを受けて前に出ていくなど、攻撃を活性化。小菊昭雄監督はさらに65分には柴山昌也、74分には渡邉りょうと新井晴樹を投入し、交代枠をフル活用。同点を目指して積極的にカードを切ると、75分、鳥海晃司、舩木、奥埜とつなぎ、最後は渡邉が決定機に近い形まで持ち込んだが、シュートはDFに防がれた。77分には、香川のサイドチェンジを受けた柴山がカットインから左足のシュートを放ったが、今度はGKのセーブで得点ならず。1点ビハインドのまま終盤に突入する。

先制した後、より前からの守備の圧力が増した神戸に対し、セレッソは自陣でのパスミスからカウンターを何度か浴びたが、決定的な2失点目は許さない。それでも、今節は最後まで決定機らしい決定機を作ることができず、タイムアップ。前半は互角の内容も、時間の経過とともに、セカンドボールの攻防で後手に回り、神戸に押し切られた格好となった。必勝を期して臨んだ上位直接対決だったが、終わってみれば、攻守両面で相手を上回ることができず、スコア以上の完敗に。首位との勝点差も10に広がり、残り試合数が6であることを考えても、逆転優勝は現実的には厳しくなった。それでも可能性がある限り、最後まで諦めずに戦い抜くとともに、もう一つの目標である「トップ3」へ向け、次節、ホームに戻り、湘南ベルマーレとの一戦で3試合ぶりの勝利を目指す。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「神戸の前線からの圧力に対して、ゲームをコントロールするために、ロングボールとショートパスを使い分けながら、かいくぐっていく。そこが大事なポイントになると思っていましたが、前半から、神戸の強度の高いディフェンスに対して、自分たちは安定してボールを運ぶことができなかった、その回数が少なかった。それが、今日の試合を難しくした大きな原因だと思います。先ほど選手たちとも共有したのですが、今日の敗戦で、優勝という目標は現実的には厳しくなりました。ただ、私たちは今年の目標をトップ3ということでキャンプから全員でやってきましたので、ここで折れずにトップ3を目指して、ACLに行けるように、目標を少し変えてしまうことにはなりますが、もう一度、強い思いを共有して、チーム全員で(次節の)湘南戦に向かっていきたいと思います」

 

Q:ここ数試合、サイドと中央、長短のパスを織り交ぜながら、攻撃の形は良くなってきたが、今節は決定機らしい決定機を作れなかった。そのあたりは、相手の守備が良かったのか、こちらサイドに問題があったのか。どう見られますか?

「両方だと思っています。神戸も前半からかなり重心を前に向かってきた中で、そこを一つ、二つはがすことができればチャンスになるシーンもあったのですが、自分たちでそこをかいくぐれなかった。サポートの問題もありますし、技術的な問題もあります。なかなか、その回数が少なかった。そこが今日のゲームを難しくしたと思います。一番、選手たちがピッチで感じたと思います。この強度の中でもかいくぐることができれば、ゾーン3まで運ぶことができる。逆に、そこで奪われたら神戸のストロングポイントであるカウンターを発動させてしまう。そこは紙一重なところですが、自分たちで、そこをしっかりはがして、前進して、ゾーン3まで運ぶ。そのクオリティーを上げていく、サポートの質も上げていく、チームとしてのデザインも共有する。たくさんの学びがあった試合だったと思います」

 

Q:リーグ戦では開幕戦以来の先発となった北野選手ですが、スタメンで起用した理由と、今日のパフォーマンスについて

「コンディションが良かったこと、練習でのパフォーマンスが良かったこと。競争を勝ち取ったことが、今日、先発で起用した理由です。前半、彼にボールが入った時にチャンスになることもありました。パフォーマンス自体は悪くはなかったと思いますが、先ほど話したように、チームとしての前進に問題があり、なかなか彼を生かすことができなかったと思います。ただ、できたこともあり、颯太からゲームをコントロールするところ、そうした時間帯、プレーもありましたので、また彼とも映像も含めて見直して、トレーニングからやっていきたいと思います」

 

Q:球際の競り合いや、こぼれ球を拾うことなど、いわゆるベーシックな部分で、精神論ではなく、読みや体の強さも含めて選手の質が表れるところかなと思うが、そこで差が出てしまった感も否めないが?

「まさに、一番の差は、そこだったと思います。ベースのところ、今日はそこが一番のポイントになると思っていました。走り切る、戦う、セカンドボールのバトル、強度の高い守備に対してもしっかりとボールを失わずスクリーンする。そこが今日のゲームではポイントになると思っていましたが、神戸は経験のある選手が走って、戦って、ボールを失わない。素晴らしいチームだと思いました。そういった彼らが首位を引っ張る存在なのかなと、戦って、改めて思いました。私も精神論だけで選手たちに伝えるつもりはないのですが、もちろん、メンタル面も必要ですし、フィジカル的な要素、テクニカルな要素も関わってきます。まだまだ鍛えないといけないなと痛感しました。先が明るい選手たちがたくさんいますので。今日、私自身も戦って色んなことを感じました。それをしっかり選手たちと共に成長していけるように、明るいセレッソの未来を築いていけるようにやっていかないといけないと痛感したゲームでした」

選手コメント

■香川真司 選手

Q:優勝争いの大一番だったが、試合を通して、差を感じた部分はありますか?

「正直、答えはないですね。結果なので、これが全てです。(0-1で負けたということが)現状の差だと思います」

 

Q:ここまで数試合、ボールを握ってうまくサイドや中央も使えていたが、今節はなかなか決定機には至らなかった。そのあたりは、相手の守備が上回った部分もある?

「正直、分からないです。今日、求めたのは結果なので。そこで下回ったことが実力です」

 

Q:監督は、「優勝は現実的に厳しくなっても、トップ3を目指していく」という話もされていたが、もう一度、そこに向けてチーム全体で共有していく?

「試合後は悔しい気持ちしかないので、それは来週以降、しっかり切り替えたい。正直、今は言葉がないですね」

 

■北野颯太 選手

Q:リーグ戦では開幕戦以来の先発となったが、今節の結果について

「この試合に勝てば優勝も見えてくる。そのような大一番でスタメンで出られたのは嬉しかったですし、燃える気持ちはありました。でも、結果が結果なので、受け止めるしかないです。今まで途中出場が多かった中で、スタメンで出たい気持ちは強かったので、プレーでもっと示したかったです」

 

Q:神戸は長いボールを入れて押し込む形を増やしてきた中で、セレッソの前線としては、いい形でボールを受ける時間が少なかったが、どう起点を作ったり、カウンターに持ち込むイメージをしていた?

「もっとボールに触りたい思いはありました。これからも、こういう(なかなかボールに触れない)試合はあると思う。その中で、自分に何ができるか。正直、今日の試合では何もできなかった。こういう試合でも、何か違いを出せるプレーは求めていかないといけないです」

 

Q:レオ セアラ選手との2トップに関しては、どう攻撃を作っていくイメージをしていた?

「今日の試合は、ボールを回す位置が自陣、自陣になり、相手のプレスをまともに受けていた。難しい試合になりましたが、押し込む時間帯もあったので、そこでシュートで終わることや、もっとボールに絡むプレーを出すことはできたと思います」

 

Q:今節の結果、首位と勝点差は『10』に開いてしまったが?

「現実的に見れば厳しいことは確かでも、諦めたわけではないし、まず優勝を目指さないと、ACL圏内も達成できない。残り6試合、全部勝てば、まだ何が起こるか分からないので、全部、勝つ気持ちで戦います」

 

Q:今日の先発について、小菊監督は「コンディションと、練習でのパフォーマンス。競争で勝ち取った」と話されていたが、この大一番で先発を取れたことは、今後の励みになる?それとも、負けてしまったので、その思いは薄い?

「先発を勝ち取った自信は、勝てばもっと膨らんだと思いますが、この大一番でスタメンで使ってもらったことは、自分が積み上げてきたことがしっかりつながったと思います。そこはポジティブに捉えています。あとは、チームを勝たせる選手にならないといけない。また次の試合に向けて練習から競争はあるので、覚悟をもってやっていきたいです」

 

■進藤亮佑 選手

Q:0-1という結果を振り返ると?

「失点場面は完全に僕の責任なので、あのシーンに関しては悔いが残りますが、高いラインを敷けば、リスクはある。事前の準備で防げたと思うし、背後を取られても追いつける身体能力があれば…。もっとトレーニングします」

 

Q:あの場面は毎熊選手も高い位置を取って、サイドの背後を走られる形になりました。ボールの質も高かったと思うが、防ぐために必要だったと思うことは?

「佐々木選手に対して矢印が向き過ぎて、もっと余白を残しておけば、と。初瀬選手との距離もあったので、もっと佐々木選手との距離を空けておいて、ボールが移動中に寄せる方が良かった。体の反転の仕方も悪かった。彼はスピードに乗っていましたが、僕はゼロからの対応になってしまったので。体の向きや進路の準備で解決できたかなと。もう一つは、自分が不利な体勢になった後のスピードや、追いついた時の力強さなど、身体能力で解決できれば問題なかったので、その2つですね」

 

Q:失点には絡んでしまったが、前半から、相手のハイボールに対して孤軍奮闘で守っていたと思います。神戸のような攻め方に対する守り方や、チーム全体のバランスなどは、どう考えますか?

「負けた試合でこんなことを言うと、プロの世界では怒られるかも知れませんが、凄く手応えのある試合でした。優勝争いの中で、凄く大事なゲームで、失ったモノは大きいですが、僕個人のことで言えば、かなり濃い、収穫のある試合でした。実際、監督も試合前の全体ミーティングで、『CBのところで、どれだけ跳ね返せるかが大事』だと話していました。大迫選手とのバトルのところで負けてしまえば、このチームのCBとしてプレーする必要はないと、自分自身にプレッシャーをかけて試合に臨みました。特に前半に関しては、自分がやってきたことは間違っていなかった、十分に通用すると感じられた。ただ、CBは90分の中で、相手をしっかり抑えてこそ評価されるポジション。全体で見れば、今日の試合の評価はいいモノではないと思います」

 

Q:まさに前半は良いポジショニングから何度も跳ね返すなど、高いパフォーマンスを発揮していたと思います。ただ、失点場面に絡むと、評価も下がらざるを得ない。つくづくCBは難しいポジションだなと思いますが、どう折り合いをつけますか?

「失点シーンを見て、スピードや対応について批判はあると思うし、あの失点で0-1で負けてしまったので、戦犯という見られ方をされることは覚悟しています。でも、それを恐れてプレーを変えることはない。小菊監督が信頼して選んでいる11人の中に入ってプレーして、現状、セレッソのCBの先発として出ているわけで、失点したからと言ってブレることはありません。J1の舞台で連続して先発している自信は、このワンプレーで揺らぐことはありません。何を言われても、僕は胸を張って、オフ明けの練習から取り組みたいし、このチームを引っ張る意識でプレーしたいです」

 

Q:今日はビルドアップでパススピードが短かったり、相手に引っかかるなど、少し窮屈な場面も見られたが、相手の寄せも速かった?

「それもありますし、グラウンドが他のスタジアムとは少し違う質感でした。乾き易く、なかなかボールが走らない。ビルドアップに関しては、前半は特に、変なミスで失って試合を難しくしたくなかったので、蹴るシーンも多かったです。ただ、相手が一つ来ても、二つ目ではがせる感覚もあったので、流れを見ながら、つなぐところはつなぎました。後半、うまくはがせた場面ではチャンスになりましたし、引っかかるとカウンターを受けるシーンもありました。そこは紙一重ですが、トレーニングや公式戦でさらに詰めていければと思います」