2023明治安田生命J1リーグ第24節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.8.20

横浜FC

0

AWAY

FULL TIME

1

0-0

0-1

セレッソ大阪

レオ セアラ (49')

ニッパツ三ツ沢球技場

8,195

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

リスク管理も徹底しつつ、ボールを握ってチャンスを量産。レオ セアラの決勝点で、リーグ戦3試合ぶりの勝利をつかむ

前節の柏レイソル戦から中7日。再び敵地に乗り込み、横浜FCとの明治安田生命J1リーグ第24節に臨んだセレッソ大阪。先発は前節と同じ11人。今節はベンチにも7人全員が揃い、リーグ戦3試合ぶりの勝利を目指した。

立ち上がり、横浜FCの攻撃を受ける場面もあったセレッソだが、6分のピンチは毎熊晟矢が戻ってカバー。9分のシュートもGKヤン ハンビンがキャッチ。前々節は8分、前節は4分と開始早々の失点が続いていた嫌な流れを断ち切ると、10分過ぎからボールをもつ時間を増やし、主導権を握る。香川真司と喜田陽のボランチ2人を中心にパスを展開、左右に振り分けつつ、チャンスとみるや縦に差し込むと、22分、この試合、最初のビッグチャンス。相手のバックパスがズレたところを拾ったレオ セアラが縦に運び、マイナスのクロス。飛び込んだ香川、カピシャーバ、ジョルディ クルークスがゴールに迫った。23分には香川、クルークス、毎熊とつないで右サイドを崩し、毎熊のクロスにセアラがヘディングシュート。29分にも、クルークスと毎熊のコンビで右サイドの深い位置を取ると、折り返しに喜田、クルークスが立て続けにミドルシュートを放ってゴールを脅かした。36分には、喜田のパスを中央で受けたカピシャーバがドリブルからシュート。わずかに枠を外れたが、際どいコースを狙った。序盤以降は横浜FCにカウンターの機会を与えずセカンドボールも拾い続けたセレッソは、その後も香川を起点に右サイドからチャンスを作り続けたが、1点が遠く前半は0-0で折り返した。

守備でのリスク管理を徹底しながらボールを握り、ゴールも目指した前半の内容は決して悪くなかったが、先制点へ向けてもう一つギアを上げたい後半。開始早々、連続してクルークスが右サイドを突破して好機を作ると、49分、待望の瞬間が訪れる。香川を起点に毎熊が中にカットインして相手を動かしながら、再びパスを受けた香川の正確なサイドチェンジを受けたカピシャーバが対面の相手を抜いてフワリとしたクロス。ニアに上門知樹、毎熊が飛び込み相手DFを引きつけると、ファーでマークを外してフリーになったセアラが打点の高いヘディングを叩き込んだ。3試合ぶりの先制点に歓喜を爆発させるセレッソイレブン。その後も攻撃の勢いを止めることなく2点目を狙う。54分、毎熊のクロスにセアラがヘディングシュート。61分にはショートカウンターから決定機。カピシャーバがドリブルで運び、セアラへラストパス。決定的な形だったが、シュートはGKに防がれた。

62分、横浜FCは2枚替え。ここから次第に横浜FCにボールをもたれる時間も増えていく。66分、67分と自陣左サイドからピンチも招くと、69分、小菊監督も鈴木徳真と柴山昌也を投入。システムを4-5-1に変え、「中盤の5枚でしっかりブロックを作った中で、ボックス(のスペース)を消していく」(小菊監督)狙いをもって試合を進める。77分、横浜FCが次なる交代で前線を2トップに変更。前線の圧力を増していくと、79分、今度はマテイ ヨニッチと渡邉りょうを投入し、システムを5バックに移行させた小菊監督。クロス対応も含め、「ボールを奪う守備からゴールを守る守備に変更」する。89分にはカウンターから柴山がボールを運び、ゴールに迫るシーンも作りつつ、後半アディショナルタイム、サイドの深い位置まで進入されたピンチではヨニッチがカバー。守備を厚くした効果が出た。

試合はこのまま1-0で終了。「目標のトップ3へ入っていくためには勝点3がマストの試合」(小菊監督)で見事リーグ戦3試合ぶりの勝利をつかんだ。「2点目を取れれば試合は決まった。取れるチャンスはあったので、その精度は課題」(香川)「(押し込まれた終盤、チーム全体の)守備の強度は上げていかないといけないと感じた」(毎熊)と選手はそれぞれ課題も述べつつ、交代枠もフル活用しながら3位・名古屋グランパスとの勝点差を縮めることに成功したセレッソ。次節はその名古屋をホームに迎えるシックスポイントマッチだ。「ここからラスト10試合、トップ3、そしてトップ3に入ってからは優勝争い。そこに全員で挑んでいけるように、大一番である次の名古屋戦に向けて準備したい」と小菊監督。今節の収穫と課題を糧に、さらなる上昇を目指す。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「今日の試合は我々の目標であるトップ3へ入っていくためには勝点3がマストの試合でした。堅守を誇り、鋭いカウンターを武器にする横浜FCを相手に前半から素晴らしい内容で、たくさんの決定機を作ることができました。ここ数試合、試合の入りに課題があったのですが、前半、後半と全員でやるべきことを共有して、後半もいい入りができて、得点が生まれたことを嬉しく思います。選手たちのハードワーク、勝ちたい気持ちが上回ったと思います。70分、75分以降は相手にもボールをもたれる時間はありましたが、システムを変えながら18人全員で役割を全うしてくれたことも嬉しく思います。ここからラスト10試合、トップ3、そしてトップ3に入ってからは優勝争い。そこに全員で挑んでいけるように、1試合1試合、次の大一番である名古屋戦に向けて準備したいと思います」

 

Q:今節は、守備でのリスク管理を徹底しながら相手の守備をこじ開ける、というテーマがあった中で、終盤以外はゲームをコントロールしながら相手にチャンスを作らせず、こちらは多くのチャンスが作れていたと思うが、90分の試合内容について

「試合の中の3分の2、4分の3は自分たちのハイパフォーマンスだったと思います。もちろん、どの試合も主導権が入れ替わる時間帯はある中で、苦しい時間帯もあったのですが、今年取り組んできた5バック、または4-5-1で中盤を厚くしてのカウンター、いい守備からいい攻撃に移れたシーンもありました。課題としては、素晴らしい時間を90分間続けること、カウンターで仕留めること。2点目のチャンスもありましたので、そこで決め切ることでチームはまた成長すると思います。その課題にもしっかり向き合っていきたいです」

 

Q:前半から毎熊選手がチャンスメイクするシーンも多く、得点場面も彼のカットインから始まっています。常々「日本代表を狙えるポテンシャルをもっている」と話していますが、改めて彼に対する期待について

「私は『和製ハキミ』と呼んでいます。攻守にハイクオリティーの選手で、まだまだ成長できる選手だと思っています。今日も素晴らしい攻撃、守備でも最後のアディショナルタイムを含めて素晴らしいシーンがいっぱいありました。今のパフォーマンスを続けることで、近い将来、必ず日本代表に入れる選手だと思っています」

 

Q:後半は4-5-1、5-4-1と時間の経過とともにシステムを変えたが、それぞれの狙いについて

「(システム変更した)一番(の理由)は、相手の意図がどうなのか。交代選手も含め、狙ってきているポイント、スペースを見ていました。あの時間帯は我々の4-4の間のボックスに、人、またはキーパスを打ち込んでくる。そこから崩してくる。そういう選手交代があり、そういう狙いを感じたので、4-5-1という形にして、中盤の5枚でしっかりブロックを作った中で、ボックスを消していく。チャレンジ&カバーで消していく中で、自分たちの時間にしていきたい狙いがありました。そしてラスト10分、相手は高さを加えてクロスを入れてくる中で、我々も跳ね返さないといけない。そこでヨニッチという素晴らしい選手がいますので、5-4-1に変えて、クロス対応をしました。ボールを奪う守備からゴールを守る守備に変更しました」

 

Q:ラスト10分に関しては、ある程度、相手も放り込んでくる、ということも考えていた?

「もちろん、横浜FCをスカウティングしていますし、ゲームプランの中で、交代選手がどのような選手なのか。強みはどうなのか。そこを把握した中で、4-5-1と5-4-1とシステムを使い分ける準備はしてきました」

 

Q:クラブとしては2017年以来6年ぶりに二桁得点者が誕生したが、改めてレオ セアラ選手の評価について

「まず10点に乗ったことは、彼の努力の賜物だと思います。練習が終わってからも、コーチ陣とシュート練習を重ねています。それだけの努力家でもあります。その努力をした成果が1点1点の積み重ねになったと思います。それと、私も長年のコーチ経験の中で、ゴール数を重ねる選手はいましたが、あれだけの守備をしながら、守備で貢献して自己犠牲もしながら10点を取る(選手はいなかった)。そこがレオの素晴らしさだと思います。攻守に我々の中心選手としての役割を担いながら、これからも引き続き得点を重ねていって欲しいと思います」

選手コメント

■レオ セアラ 選手

Q:決勝点のシーンを振り返ると?

「カピシャーバが素晴らしいボールを上げてくれたので、僕は押し込むだけでした。言葉が通じる分、彼とは常にコミュニケーションを取っています。クラブハウスでも練習でも常に一緒にいるので、試合でも助けになっています」

 

Q:前節、今節と攻めながらも得点が遠い時間が続いたが、決めた瞬間の思いについて

「前節は得点こそ最後の1点に留まり、引き分けに終わりましたが、自分たちのサッカーをやり抜いたと思います。今節はそれを続けた上で、ゴールを取れたこと、勝てたことは良かったです。最後まで全員で頑張った結果、勝利につながったと思います」

 

Q:クラブとしては2017年以来、6年ぶりとなる二桁得点者となったが?

「スタジアムに入るとき、今日は妻と話しながら来たのですが、『昨年はこのスタジアムで、マリノスの選手として試合をして点を決めたね』という話をしていました。いい印象がありました。今日もこのグラウンドで点を決められたことは嬉しいです。ただ、通過点でもあるので、もっと決めて、さらに結果を残していきたいです」

 

Q:奥さまがいいイメージをもたらしてくれたのですね(笑)。

「そうですね(笑)。大事なパートナーですし、勝っても負けても常に僕を支えてくれる本当に大切な存在です」

 

Q:12点という自己ベストの更新も見えてきたが?

「はい。毎年、伸ばしていきたい気持ちがあります。ここまで10点取れたのもチームのおかげです。チームメートがいなければ点を取ることはできません。本当に感謝しています」

 

■カピシャーバ 選手

Q:前節に続きクロスからアシスト。今節は決勝点になったが、得点場面を振り返ると?

「日々のトレーニングが全てだと思っています。そのおかげで今日も活躍することができました。今日、勝利できたことで、また上位での争いができると思います。チームの目標である3位以上に入れるように頑張ります」

 

Q:レオ セアラ選手の存在について

「素晴らしい選手です。いつも点を取ってくれると信じています。彼が10点取れたことは、チーム、そして彼に力がある証明です。彼をサポートできていることは僕も嬉しいです」

 

■毎熊晟矢 選手

Q:時間の経過とともに主導権を握った試合になったが、振り返ると?

「ここ数試合、前半の早い時間帯で先に失点して苦しくなっていたのですが、今日はしっかり試合も運べたと思いますし、ゴール前の崩しの場面も多く出せたので、練習の成果を少しずつ発揮できていると思います」

 

Q:前半の中盤から終盤、そして得点場面も含め、チャンスの多くに絡んでいたが、自身のパフォーマンスについては?

「得点に直接結びつけることが一番の目標にはしていたのですが、ここ数試合、今日だけではなく、いい形で攻撃に関われていると思うので、これを上位相手にもいかに出せるかが大事になると思いますし、継続してやっていきたいと思います」

 

Q:ジョルディ クルークス選手との連係やタイミングが今節も良かったが、何を考えながらプレーしていた?

「相手や時間帯によって、どっちが中と外を取った方がいいのか、ジョルディとも話しながら動かして、変えています。前半の最初は自分が外を取っていたのですが、なかなかうまくいかなかったので中に入ったら、いい場面が何回か出せました。試合の中で考えながらジョルディと話し合ってできているのがいいと思います」

 

Q:2度のシステム変更もあったが、ピッチの中でスムーズに意図は伝わった?

「そうですね。(1回目の変更が)ちょうど飲水タイムの時間でしたし、4-5-1もスムーズにできたと思います。日頃のミーティングから『どのフォーメーションでもやっていく』という話はしていますし、これまでも試合中に変えることはあったので、ズレなくできたと思います。ただ、ピンチの場面もあったので、個人的には、もっともっと(チーム全体の)守備の強度は上げていかないといけないと感じました」

 

Q;今日は日本代表の森保一監督も視察に来られていました。もちろん、アピールするためにプレーしたわけではありませんが、いいアピールになったと思うが?

「小菊監督ともいつも話しているのですが、小菊監督も僕も『日々のトレーニングが試合に出る』という考えです。(森保)監督が来ているから頑張るのではなく、日々のトレーニングをしっかり頑張ることが大事だと思っています」

 

Q:次節の名古屋戦は、今季の目標を達成する上でも非常に大きな試合になるが?

「そうですね。僕、個人としても、昨季セレッソに来てから一度も勝てていない相手なので。ここで勝てれば波に乗っていけると思うので、大事な試合になると思います」

 

■香川真司 選手

Q:先制点は香川選手が起点になりましたが、試合を振り返ると?

「粘り強く戦えたと思います。欲を言えば前半で1点欲しかったですし、取れなかったことで嫌な展開でもありましたが、後半の最初にいい流れで点を取れたことが大きかった。2点目を取れれば試合は決まったと思います。取れるチャンスはあったので、そこの精度は課題です。ただ、勝ったことが何より大事なので、良かったと思います」

 

Q:今日の試合を視察していた日本代表の森保監督は、「(香川選手のところに)ボールが入ると、落ち着く。(ボランチという)いいチャレンジをしている」というコメントもあったが、自身のパフォーマンスをどう振り返りますか?

「まだまだ安定したパフォーマンスという意味では、僕個人としてもチームとしても求めていかないと、上にはいけません。まだ波があります。そういう意味では次の試合、相手は(3位の)名古屋ですし、継続できるかが重要になります。高いレベルで要求し合わないといけないです」

 

Q:ボランチで組む喜田選手との意思疎通や連係については?

「そこはお互いを見ながら連係を取っています。陽は縦パスを入れられる選手ですし、ボールももてる。今日はそこでうまくリズムを作れていました。これをどんな相手でもやれるようにしていきたいし、さっきも言いましたが、次の試合が重要かなと思います」

 

Q:ゴール前に入っていく回数は少し減っていますが、敢えてそういう風にしている?

「バランスは見ながらやっています。両ウィングやサイドバックには前にいける選手がいるので。ただ、今日の試合もそうですが、僕らボランチが(前に)入っていけるところで入っていかないと崩れないので。そこは求めていきたいし、タイミングと共通意識を図っていきたいです」

 

Q:この暑さで試合を続けるのは大変だと思いますが、日本に復帰して、夏の暑さには慣れましたか?

「いや、慣れないですね(苦笑)。最後は足を攣っていたし、ラスト10分、15分は一気に疲労がきます。その意味でも、試合の展開、リズムをどう進めていくかが重要。2点目を取るチャンスで取ることも求めていきたいです。今日は久しぶりに勝てたのでそれを自信に変えていくことも大事ですが、そこ(追加点)を求めないと、上にはいけない。チームとして、個人個人として、最後の精度にはもっとこだわってやっていきたいです」

 

■喜田陽 選手

Q:香川選手との連係について

「2人で『こう相手を動かしていこう』『こう崩していこう』という話はしています。(2人の)距離感を近くして、相手を戸惑わせるような遊びのパスを増やすことも意識しています」

 

Q:今節も2人のパスの出し入れでチームも落ち着いて攻撃回数も増えていったが?

「もっと後半も自分たちが握る時間を増やせれば楽に試合を進めることができたと思います。後半は相手に合わせてしまったというか、行ったり来たりのシーンが増えてしまった。そういう時間帯に細かなパスを増やしてテンポを作れたら、もっと良かったと思います」

 

Q:次節の名古屋戦も含め、今後に向けて

「上に行くには、全部勝つつもりで戦わないといけません。まずは次の名古屋戦が大一番になるので、いい準備をして勝ちたいと思います」

 

■鈴木徳真 選手

Q:途中出場のタイミングで4-5-1のシステム変更があったが、どのような意図で入った?

「ボールをつなげるならつないで2点目を狙って、しっかり守って勝ち切ること。攻撃と守備、両方の役割を求められたと思うので、そのタスクを徹底しようと思ってプレーしました」

 

Q:前節は展開上、交代が1人に留まったが、今節は交代枠をフル活用して勝利しました。今後も展開によるとは思いますが、全員で勝ち切れたことはチームにとっても大きい?

「そうですね。出た選手が多いことはポジティブですし、(途中出場で入った選手の)コンディションもここからもっと上がっていくと思うので、今日はいいチャンスを得たと思います」

 

■柴山昌也 選手

Q:1-0での出場ということで、自身をアピールしたい半面、守備もしないといけない難しい局面だったと思うが、やはりまずは守備を意識して入った?

「そうですね。アピールというより勝利を優先して入りました。もちろん、チャンスがあったら自分のプレーも出しつつですが、まず失点しないように、守備から入ろうと思っていました」

 

Q:カウンターからボールが集まり、シュートまでいった場面もあったが?

「決めたかったですね(苦笑)。タラレバですが、一人キックフェイントでかわした後、少しタッチが伸びてしまった。ロングスプリントの後だったので、少し息が上がっていた状態だったので、タッチが乱れてしまいました。抜いた後のタッチが決まっていれば、得点のチャンスはあったと思います」

 

Q:今後、さらに出場機会を伸ばしていくために必要なことは?

「今日、シュートまで行ったようなシーンを何回も連続して出すことができれば、もっと得点やアシストのチャンスも増えると思います。ああいうシーンをもっと出していくこと、そして残りリーグ戦10試合、チームの勝利のために走り続けること。結果を残して監督からの信頼を得て、スタメンも目指していきたいです」