2023明治安田生命J1リーグ第14節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.5.20

湘南ベルマーレ

0

AWAY

FULL TIME

2

0-0

0-2

セレッソ大阪

レオ セアラ (53')

上門 知樹 (89')

レモンガススタジアム平塚

10,549

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

レオ セアラの先制点に上門知樹の追加点。盤石の試合運びで今季2度目の連勝を達成

アウェイ連戦となった今節。セレッソ大阪は今季2度目の連勝を目指し、湘南ベルマーレとの明治安田生命J1リーグ第14節に臨んだ。先発は前節の京都サンガF.C.戦と同じ11人。ベンチには出場停止明けの上門知樹が戻った。

前節に続き[4-4-2]で臨んだ中、開始からキム ジンヒョンを起点に山中亮輔が2トップを背後に走らせるパスを送るなど、相手の高いDFラインを狙う意識を鮮明にする。8分に最初の好機。進藤亮佑が加藤陸次樹に送ったロングパスのこぼれ球に反応したジョルディ クルークスが香川真司へつなぎ、香川は山中へ展開。山中の左足でのクロスに飛び込んだのはレオ セアラ。GKの手前で足を伸ばしてネットを揺らしたが、わずかにオフサイドでゴールは認められず。21分にもキム ジンヒョンのキックを毎熊晟矢が競り、こぼれ球を拾ったジョルディ クルークスからレオ セアラへつなぎ、背番号9が思い切ったミドルシュートでゴールを狙う。風下に立った前半だが、シンプルに背後のスペースへ蹴り、セカンドボールを拾って厚みを出す攻撃で優位に立つ。ただし、25分を過ぎたあたりからはビルドアップでのミスが続き、湘南のカウンターを受ける場面も。29分には、左から右へ揺さぶられ、鋭いクロスを入れられたが、ここはGKキム ジンヒョンが弾いて難を逃れた。前半終了間際にも立て続けにピンチを迎えたセレッソだが、鳥海晃司や進藤を中心に体を張って失点は阻止。0-0で前半を折り返した。

風上に立った後半、セレッソは毎熊がより高い位置を取り、右サイドで起点を作りつつ攻撃に人数をかける。すると53分、先制に成功。右サイドのスペースへ走り出したジョルディ クルークスの動きを見逃さず、キム ジンヒョンが正確なキックを届けると、ジョルディ クルークスが見事なトラップで収め、逆サイドへ展開。香川、毎熊、奥埜博亮とつなぎ、奥埜が左サイドへ送ると、フリーで受けた山中が狙いすましたクロス。ここでファーサイドへ飛び込んだのはレオ セアラ。背番号9の今季6ゴール目でセレッソが試合を動かした。この場面では、ペナルティーエリア内に6選手が入っていくなど厚みのある攻撃を仕掛けることができた。勢いづいたセレッソは、63分にもFKからネットを揺らす。またも山中のクロスに毎熊が合わせたが、副審のフラッグが上がる。VARチェックでも判定は覆らず、惜しくも追加点とはならなかった。

すると68分、この試合セレッソにとって最大のピンチを迎えたが、至近距離でのシュートをキム ジンヒョンが左手一本でスーパーセーブ。ここ数試合、安定したプレーを続けている守護神のビッグセーブで同点を許さずにいると、試合の流れは再びセレッソへ。72分、カピシャーバと上門を投入して前線を活性化させると、87分には西尾隆矢を投入してシステムを5-4-1へ変更。試合を締める意思を明確にしつつ、「意図的に引き込んでカウンター」(小菊昭雄監督)を狙ったセレッソが、89分、試合を決定づける2点目を奪う。湘南のビルドアップに対し、カピシャーバが縦を切り、奥埜が狙いをもったプレスでボールを奪うとすぐさま背後へふわりとした優しいパスを送る。ファーストタッチでうまく前を向いた上門がGKとの1対1を冷静に沈めた。

終盤の戦い方について、「京都戦よりラインも高く設定しながら戦えた。ああいう戦いができたら自然と攻撃にもつながっていく。そこの改善は見られた」と香川。「今週は守備のプレッシャーのかけ方やチームのバランスを考えてミーティングや練習もしていたので、試合を通して結果につながって良かった」と最後まで走り切ってアシストした奥埜も納得の表情で話した。守備での粘り強さ、さらにはチャンスを逃さない決定力を示したセレッソ。今季2度目の連勝、さらには今季初の2点差での勝利と、ここからのさらなる上昇気配を漂わせた。次節はルヴァンカップを挟み、ホームに横浜FCを迎える。今季初の3連勝へ、さらなる上位を目指していきたい。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「2試合連続クリーンシートで連勝できたことを非常に嬉しく思います。選手たちともミーティングで共有したのですが、『湘南の攻撃面のスタッツは素晴らしい数字が残っている。攻撃力はJ1でも屈指のチーム』だと。実際、シュート数、得点数、クロス数、高い数字を残しているチームです。そうした素晴らしいチーム相手にクリーンシートで勝てたことを嬉しく思います。全員が一つ一つのポジションを取り続ける、バトルする。それを全員が全うした結果が今日の勝利につながったと思います」

 

Q:試合前、「昨年も湘南とは紙一重の勝負だった」と話されていたが、今日も2点差が付くまでは、どちらに転んでもおかしくない展開だったと思います。その中で、守備陣の奮闘はもちろん、GKキム ジンヒョン選手の活躍が今日も光りました。ここ数試合、かなりの勝点をチームにもたらしていると思うが?

「ジンヒョンは、年齢を重ねても成長し続けている。そういう状況にあると思います。それを支えているのは、彼の日々の努力です。素晴らしい準備、アフターケアも含めて彼の取り組みは僕自身も本当に感心します。何よりも、その背中を見た若い選手が、『このくらいやらないと一流選手にはなれない』と。そういう日々の過ごし方をしていることが全てだと思います。努力の成果が進化し続けている要因だと思います」

 

Q:風下の前半は長いボールを押し戻されたり、下からつないでもミスが起きてカウンターを受けるなど難しい展開だったと思う。ある程度、割り切った部分もあったと思うが、そうした前半をどう見ていましたか?また、後半にかけて修正したことは?

「仰る通り、風の影響も考慮して戦いました。前半はあのような時間帯が続くと思っていました。湘南のデータを見ても、後半の失点が多いということもありました。ハイペースで試合を進めてくることも予想されました。何より、前半に苦労したビルドアップのところをハーフタイムで選手たちはしっかり修正して、いい立ち位置でボールを動かし続けたことが、先制、追加点につながったと思います。そうした選手たちの戦術理解のところは嬉しく思います」

 

Q:上門選手のゴールについて。前々節・鹿島戦での退場もあり、今節に懸ける強い決意、様々な思いがあったと思うが?

「退場については、一生懸命プレーした中で、少しアンラッキーな部分もあったと思います。意図的に危険なプレーをしたわけではないので。その中で、彼もチームに迷惑をかけたということで反省していましたし、何よりも、日々のトレーニングからみんなの信頼を取り戻していくという、高い意識で練習から取り組んでくれました。今日は得点にはならなかったムツキ(加藤陸次樹)も含め、攻守にクオリティーの高いFW陣に感謝しています」

 

Q:2点目につながったショートカウンターについて。西尾選手を入れて5バックに変え、香川選手も下げて、クロージングにいくと思っていたが、高い位置で奥埜選手が奪って得点につなげた。攻守のバランスを含め、守りながらも2点目を奪いにいく姿勢を見せたことについて

「仰る通り、5バックはボックスを守ってゴールを守る狙いもありますが、前線にクオリティーの高い選手もいますので、意図的に引き込んでカウンターという狙いもあります。ズルズル下がることなく、しっかりスライドしながら、ファーストディフェンダーを明確にして連動していく。いい守備からカウンターを狙うことも大きな武器です。それが結果につながって良かったです」

 

Q:香川選手をボランチで起用している理由について

「まず、システムを4-3-3から4-4-2に変えたことが一番大きな理由です。4-3-3のときはインサイドハーフの役割を全うしてくれましたが、今は4-4-2のダブルボランチのタスクを全うしてくれています。あれだけのクオリティーの高い選手ですので、攻撃でのクオリティーを生かしながら、守備でも、あれだけ海外で修羅場をくぐってきた選手ですので、一番危ないスペースを常に察知してくれます。かつ、昨年の私たちの良かった堅い守備からカウンターに加えて、課題でもあったボールを奪った後にコントロールすること、ボール保持率を上げていくこと。そのタスクも全うしてくれています。昨年の私たちの課題に対して彼がプラスαをもたらしてくれていると思います」

 

Q:改めて、山中選手のクロス精度について

「彼のクロスでチームも私も何度も助けられました。彼の左足はJリーグでもナンバーワンだと思います。どの選手もそうですが、彼も練習から意識高く取り組んでくれています。ジンヒョンやジョー(上門)とも同じ話になるのですが、その努力の成果がグラウンドで発揮されたことを嬉しく思います」

 

Q:アウェイでの4連勝について

「私たちはホームもアウェイも1試合1試合を精一杯準備して戦っています。その中で、アウェイ4連勝ももちろん嬉しいです。次はホームでも勝ち続けられるように。昨年もこの時期からホームでの連勝も続きましたので、今年もここからホームで勝利を重ねていきたいです」

選手コメント

■レオ セアラ 選手

Q:前半もオフサイドにはなりましたが、山中亮輔選手のクロスに合わせてネットを揺らしています。クロスに対する合わせ方は狙い通りでしょうか?

「そうですね。練習してきたことが試合で出せました。僕たちのサイドハーフやサイドバックにはいい選手がいます。クロスの質が非常に高いです。みんながアシストしてくれるおかげで僕も得点できています。前半もいい形でチャンスがあって点を決めたのですが、残念ながらオフサイドでした。感覚は悪くなかったので、後半に決めることができて良かったです」

 

Q:今季6点目だが、ここまでの得点ペースに関しては?

「この2年と比べても、今年が一番いい数字が出せるのではないかと思っています。みんなのおかげで点が取れていることに感謝しています。リーグ戦もまだ残っているので、昨年、一昨年を上回る数字を出したいと思います」

 

■キム ジンヒョン 選手

Q:2試合連続クリーンシートで勝利ですが、チーム全体の守備をどう振り返りますか?

「そこまでやられたシーンはなかったと思います。後半に2回ほど(ピンチが)ありましたが、安定した守備ができたと思います」

 

Q:前半は、自陣でのビルドアップのミスからいくつかカウンターを受けるシーンもあったが、最後は落ち着いて守れた?

「進藤(亮佑)もトリ(鳥海晃司)もうまく対応してくれました。ああいうシーンは、サッカーなら1度くらいは起きてもおかしくないので、そこもうまく対応できて良かったです。今後も、そういうシーンがあったとしても、崩れないことが大事です」

 

Q:後半の左手で防いだシーンは、ジンヒョン選手の個のスーパーセーブだったと思うが?

「最後までボールを見ていて良かったなと。相手選手のシュートのあと、たぶん少しウチの選手にも当たって、コースが変わりましたが、しっかり最後までボールを見ることができました。そのあとのセカンドボールも含め、やられなくて良かったです」

 

Q:先制点の場面は、ジョルディ クルークス選手の動き出しをしっかり見て、いいキックを届けたことが起点になったが?

「そうですね。ジョルディは、張るところ、裏に動き出すところをしっかり判断してくれます。『タイミングがあれば、動き出してくれ』というコミュニケーションは普段から取っています。後半は風もあってボールも少し長くなったのですが、ジョルディはスピードもある。うまく合って良かったですし、そこから点につながったことも良かったです。ジョルディはパワーもあるし、キープ力もある。いいボールを蹴ればマイボールにしてくれます。そこから個でも仕掛けられるので、いいボールを預けていきたいです」

 

■鳥海晃司 選手

Q:今節も無失点での勝利になりました。ここ数試合、守備の安定感が光るが?

「4-4-2に変えて、前の選手が守備を限定してくれます。後ろとしては、前の選手があれだけ限定してくれたら守りやすいところはあります」

 

Q:進藤選手と組んで2試合連続無失点。チームとしても層の厚さを示せたと思うが?

「そうですね。まだ2試合しかやっていないので、連係面はこれからもっと良くなると思います。勝ちながら修正できることはいいことだし、また映像も見ながら、シン(進藤亮佑)とも話し合って、修正していきたいです」

 

Q:前半、ボールの失い方が悪くてピンチもあったが、開始早々の鳥海選手のカバーも含めて前半を無失点で終えたことが勝利につながったと思うが、自身のパフォーマンスについては?

「試合の中では絶対にピンチはあるし、それを補うのがチーム。危なかったですが、全員で守れて無失点で終えたことは、次につながると思います」

 

■山中亮輔 選手

Q:オフサイドになった2点も含め、3度クロスからネットを揺らしたが、キックの感覚はいつも以上に良かったですか?

「そうですね。キックのフィーリングは良かったです。欲を言えばもう一つくらい数字が付けば良かったですが、チームが勝てたので、それが一番嬉しかったです」

 

Q:オフサイドもわずかでした。それだけ、受け手も含めてギリギリのところを狙っている?

「僕の球質はみんなが理解してくれています。練習でもたくさん合っているので、どんどんゴールは決まると思います。今日は1本だけでしたが、継続することが大事なので、次の試合でも数字を残せるようにしたいです」

 

Q:相手の守備が崩れていなくても、ピンポイントで合わせることができるスペシャリティーを感じたが?

「そこが僕のストロングだと思いますし、今日に関しては、中を見る余裕もあったので、合わせやすかったです」

 

Q:2トップになったことで変化はありますか?

「ターゲットが2枚になったことで、ムツキも含めてFWの選手と目が合う回数は増えています。どちらかとアイコンタクトを取って、狙ってクロスを上げられる状況にはなっていると思います」

 

Q:守備では、チームとして2試合連続無失点だが、守備については?

「みんなで協力して守る部分も大きいですし、最後はジンさんがスーパーセーブで守ってくれているので。これを自信にして、これからも質を高めていければいいと思います」

 

■香川真司 選手

Q:2点差での勝利は今季初だが、勢いも出てきましたか?

「そうですね。無失点で終われたことも良かったです。チャンスは何度か与えましたが、京都戦よりはラインも高く設定しながら戦えたので。ああいう戦いができたら自然と攻撃にもつながっていきます。そこの改善は見られたと思いますが、もっともっと改善すべきところはあるので、満足せずにやっていきたいです」

 

Q:前半は自陣でのミスからピンチも招いたが、ハーフタイムで修正した部分は?

「簡単なミスからピンチも招いていたので、ポジショニングの修正をしながら、後半はマイク(毎熊)を含め右サイドでいい形で起点を作ることができました。ジョルディを含め、そこはもっと強みになると思います。その精度と連係はもっと増やしていきたいです。個の能力が高い分、個に頼りがちだけど、もっと連動を含めてチームとして上積みできれば、もっといい戦いができると思います」

 

Q:先制点の場面は、自身もうまく関わり、前にも顔を出していたが?

「いい流れでゴール前に入っていけました。あれだけの人数がゴール前に入っていけば何か起こるので、いいゴールでした。自分自身、今日は前への意識をもっていましたし、得点やアシストなどラスト3分の1にもっと絡んでいきたいです。(ボランチで出たとしても)そういうところでボールを受けたり、自分の良さを生かしていきたい思いも強いです。それはこれからの練習でも取り組んでいきたいです」

 

Q:ボランチとして、守備や泥臭いデュエルでも戦っていたと思うが?

「もちろん、どのポジションでも守備は求められるし、僕自身、あまり守備的な選手には見られないですが、自分の中では守備の仕方や経験は学んできているつもりなので。ましてや、それができないと欧州では戦えない。それプラス、もう一つ前でどういう仕事をするか。そこはまだまだできていない。守から攻につなげる意味でも、前に入っていかないといけない。自分の運動量もそうですし、タイミングもそうですし、仲間との連係もそうですし。それらが噛み合ってくれば、バイタルに入っていくシーンも増えていくと思います」

 

■奥埜博亮 選手

Q:プレスからつなげた2点目について。5バックで締めるだけではなく、追加点を奪えたことについて

「5バックにして、中に堅さをもたらすこともそうですが、後ろがしっかりスライドしてくれる分、中盤やボランチは左右にスライドする距離も短くなる。プレッシャーにいくタイミングも出やすくなった。あの場面も、ボールホルダーに対してカピ(カピシャーバ)か亮輔(山中亮輔)がしっかりプレッシャーにいってくれて、縦のコースは切れていたので、僕も潰しにいけました。今週は守備のプレッシャーのかけ方やチームのバランスを考えてミーティングや練習もしていたので、試合を通して結果につながって良かったです」

 

■上門知樹 選手

Q:試合を決定付けた2点目について

「いい守備からいい攻撃は監督もずっと言っているので、それを体現できて良かったです。それに自分自身、結果も欲しかったので。鹿島戦で退場してしまい、チームメートや来てくれたサポーターに、どこかで取り返したかった。あの試合後、退場して落ち込んでいたのですが、セレッソサポーターのみなさんがSNSで凄く温かいメッセージをくれて、セレッソのサポーターは素晴らしい人たちばかりだと改めて思ったし、今日のゴールはサポーターに向けたゴールです。鹿島戦の思いもあったので、より嬉しかったですし、勝てて良かったです」

 

Q:「前節は自宅で見ていた」という話だが、改めてチームの力になりたい思いも強めて臨んだ試合でしたか?

「そうですね。前節は嬉しい反面、自分が出ていなくて悔しい思いもありました。上に行くためには連勝が必要だったので、今日の勝利に貢献できて良かったです」

 

Q:5バックで守り切るのではなく、ハイプレスから追加点を取れたことはチームとしても大きかったと思うが?

「それが僕たちのスタイルだと思います。1点差でしたし、引き過ぎると相手も(同点を)狙ってきます。僕自身、ロングシュートも狙っていましたし、どこかで試合を決める2点目を取りたいと思っていました。奥埜選手がうまく僕の動きを見てくれました。奥埜選手の守備力と、パスも丁寧だったので、奥埜選手に感謝したいです」

 

Q:サポーターからのメッセージで、特に響いたものや、励まされたメッセージはありましたか?

「『笑っていない上門選手は見たくない』『必ず待っているから』と言ってもらいました。

僕自身、次の日は落ち込んで、何を言われるか怖かった思いもあったのですが、嫌なメッセージは何一つなく、皆さん温かいメッセージを下さいました。本当に感謝したいですし、サポーターに愛されていることも感じました。このサポーターのために優勝したい思いが強くなりました」