StubHub ワールドマッチ2017

2017.7.17

セレッソ大阪

80' 福満隆貴

1

HOME

FULL TIME

3

0-1

1-2

セビージャFC

42' ウィサム ベンエデル、55' ウィサム ベンエデル、90'+1 ルイス ムリエル

ヤンマースタジアム長居

StubHub

レポート

セビージャの質の高さの前に完敗を喫するも、新たな刺激を糧に今後の戦いへつなげる

Jリーグがサマーブレイク期間に入った7月17日。ラ・リーガの強豪、セビージャをホームのヤンマースタジアム長居に迎えた『StubHub ワールドマッチ2017』が開催された。セレッソ大阪は28人が、セビージャは26人がベンチ入りしたこの試合、セレッソは、直近のリーグ戦、第18節の柏レイソル戦から先発1人を変更。ソウザに代わって木本恭生がボランチに入った。

開始4分、最初に決定機を作ったのはセレッソ。左サイドを突破した柿谷曜一朗のクロスに水沼宏太がヘディングで合わせたが、ここはセビージャのGKセルヒオ リコに防がれた。以降も14分に木本が、17分には杉本健勇がシュートを放つなど、序盤は互角の戦いを演じたセレッソだが、20分過ぎから、試合は一方的なセビージャペースへ。「前半はずっと(ボールを)回されていた。セビージャは1人ひとりの技術がしっかりしているので、(ボールの)取りどころを明確にできなくて、あまりプレスがハマらなかった」と試合後に山村和也も振り返ったように、セビージャのアンカー・ステヘン ヌゾンジを中心としたセビージャの巧みなビルドアップの前に、セレッソは杉本と山村の2トップがプレスに行けず、守備がハマらない。

必然的に全体が下がって相手の攻撃を受ける形となる中、外からのクロスに対してはDFラインが集中力を高く保ち、跳ね返した。いくつかあった決定的なピンチもキム ジンヒョンが好守でしのいだ。押し込まれつつも、前半は0-0で、後半勝負─。そんな青写真が砕かれたのが、42分だった。ここまで、再三、好セーブを見せていたキム ジンヒョンが、ワルテル モントーヤのシュートをファンブル。ウィサム ベンエデルに詰められ、セビージャに先制を許した。

後半開始から木本に代えて福満隆貴を投入した尹晶煥監督は、システムを[5-3-2]に変更。サイドで数的優位を作られていた守備を安定させる狙いを持って入ったが、55分、ガンソから裏に出たパスに反応したホアキン コレアをキム ジンヒョンが倒したとして、セビージャにPKが与えられる。「僕としては、しっかりボールに行ったので、ファウルではないと思う」とキム ジンヒョンも話す微妙な判定ではあったが、これをウィサム ベンエデルに決められ2点差に。

その後、62分にはセビージャが、71分にはセレッソが交代枠7人を全て使い切る。セビージャの攻撃の起点になっていたステヘン ヌゾンジが下がったこと、セビージャ全体の運動量が落ちたこともあり、後半の中盤から終盤にかけてはC大阪が押し込む展開も生まれた。77分には、山口蛍のカットから、前線でパスをつないで崩し、最後は福満がシュートを狙う。すると、80分。セレッソが一矢報いる瞬間が訪れた。キム ジンヒョンのキックにリカルド サントスが競り勝つと、リカルド サントスが頭で関口訓充へつなぐ。関口のスルーパスに抜け出したリカルド サントスが放ったシュートがポストに当たって跳ね返ったところを福満が詰めて、ネットを揺らした。沸き返るスタジアムを背に一気に同点まで持って行きたいセレッソだったが、90+1分、相手GKのキックに抜け出したルイス ムリエルに、守備の隙を突かれて得点を許した。再び2点差となり、ここで試合は決定付けられた。

 第10節・柏戦での敗戦以降、続けてきたリーグ戦、カップ戦での負けなしが止まったセレッソだが、「今日、セビージャと対戦して、すごく学ぶことがたくさんあるなと感じました。それをリーグ戦につなげることができれば、いい経験ができたと言えるのではないでしょうか」と尹晶煥監督も振り返るように、この敗戦をここから先の公式戦に生かしていくことが何より大切。さしあたって、この試合から5日後に控えるJ1第22節・浦和レッズ戦。「セビージャと同じようにしっかりとつないで崩してくるチーム」(キム ジンヒョン)である浦和を相手に、この試合でハマらなかった守備をどう立て直すか。修正力が問われる。

監督コメント

「今日、セビージャという相手と試合をしたのですが、シーズン中はなかなかできないことなので、私たちにとって貴重な経験になったと思います。試合に向けたコンディション調整は難しいところもありましたが、今日、セビージャと対戦してみて、すごく学ぶことがたくさんあるなと感じました。それをリーグ戦につなげることができれば、いい経験ができたと言えるのではないでしょうか。続けて負けることがないようにすることが大事だと思います。選手たちも、今日の経験を生かしてやっていくだろうと思います。
次は浦和戦ですが、リーグの前半戦で僕らは負けましたので、後半戦はしっかりとリベンジするという意味で、いい準備をして試合に臨みたいと思います。今日も大勢の方々にスタジアムに来ていただいたのですが、いい姿を見せることができず、ガッカリさせてしまって申し訳なく思います。浦和戦はしっかりと戦って、いい姿を皆さんにお見せできるように頑張りますので、よろしくお願いします」

Q:今日の試合でセレッソとして学んだ部分、リーグ戦に生かしていきたい部分は?
「皆さんもご覧になった通り、セビージャの選手はコンディションはそこまでいいとは思わなかったですが、にもかかわらず、ボールを持った時、持っていない時の質が高かったと思います。いろいろな質が高かったと思います。選手全員の連動性を持ったプレーが良かったと思いますし、攻守の切り替えもすごく速かったと感じました。1つだけということは言えず、学ぶことはたくさんありました。セビージャの選手と同じプレーはできないと思いますが、僕らができることをしっかりと吸収して、僕らのモノにすることが大事だと思います。そうするためには、意識を高く持って、普段の練習に取り組むことが大事だと思います。そうやって、毎試合、同じ姿を見せることで、成長できたと言えるのではないでしょうか」

Q:今日、セビージャ相手に通用したと思えるところは?
「そうですね(苦笑)。通用したと言えるところはあまりなく、お話しできることは多くないです。選手たちは、今日の試合を楽しんでプレーしようとしたと思いますが、勝つことが一番楽しいことなので、今日については僕はあまり楽しくなかったです」

選手コメント

■福満隆貴選手
Q:ゴールは身体ごと押し込むような感じだったが、ゴールポストに身体が当たりそうな怖さはなかったか?
「怖さよりも、みんながしっかりつないできてくれたボールだったので、身体ごと押し込もうと思って飛び込みました。あまりかっこよくなかったかもしれないけど、泥臭く取っても1点は1点なのでよかったと思います」
Q:ラ・リーガのトップレベルの選手たちと対戦して、質の違いなど感じたか?
「そうですね。本当に、止める、蹴る、1つひとつの質がものすごく高かった。そういう選手と同じピッチに立てたというのは、自分のプラスになると思います。今後のリーグ戦、カップ戦につなげていければと思います」
Q:狙ったスルーパスを試みても、コースが空いていたように感じても、通らないシーンもあったのでは?
「そういうシーンもあったので、逆に自分のレベルをもっともっと上げないといけないと思いますし、そういうのもわかったので、いい経験になったのかなと思います」
Q:後半戦に向けても、いい意味で『初心に帰る』試合になったのでは?
「そうですね、1つひとつの試合が本当に勝負だと思っている。与えられた時間にしっかりと自分の力を出し切ろうと決めているので、もっともっとやらなきゃいけないですが、本当にいい経験になった。これを無駄にしないように、チームの勝利に貢献できるようにやっていきたいなと思います」
Q:前半、ベンチで試合を見ていた時のセビージャの印象について
ものすごくうまいと正直思いました。パスのテンポだったりが早かったので、すごいなと思いながら見ていました。
Q:後半の時間帯は、セレッソも攻める時間も増えたのでは?
「でも、その中でもミスがまだまだ多かったので、そのミスを減らしていくことができれば、もっとゴールにつなげることができたのかなと思います」

■山村和也選手
「(セビージャは)質がやっぱり高いなと思いました。前半ずっとボールを回されていたので。1人ひとりの技術がしっかりしているので、ボールの取りどころというところが明確にできなくて、あまりプレスがはまらなかったように思います。取ったボールに対しても、(奪い返しに来る)囲みも早かったので、そういうところで僕がうまく逃げることもできなかった。ただ、そういったことを肌で感じることができたのはよかったと思います。
Q:思っていた以上に、相手のうまさを感じたか?
「技術的なところはやっぱりうまいなと思いましたね。セビージャの選手はこの暑さにもそこまで慣れていない状況でありながら、しっかりとボールをつなぎつつミスも少なくて、僕たちは逆に走らされて、疲れる状況になってしまったので。そういったところは技術力がすごいなと思いました」
Q:今後につなげられるところは?
「サポートの位置だったり、そういうところは見習うべきところがあったと思います。取られたあとのプレスの速さというのは、やっぱり違うものを感じたので。そういったところを自分たちもできるようになれば、またちょっと違う形でボールを保持したりできるかなと思う。真似するというのではないですが、いいところはできるのであれば参考にしたいなと思います」
Q:後半戦に向けても、いい意味で『初心に帰る』ような試合になったのでは?
「そうですね。本当に、ずっと回されていたので。後半戦でも、どういったところで声をかけていくのかだったり、Jリーグでもパスを回してくるチームもあるので、そういったときにどういう対応をしていくか、しっかり見つめ直していきたいと思います」

■木本恭生選手
「前半、思うようにボールを取れなくて、日本のチームだったら取れるかなというところで(セビージャの選手たちは)パスを通してきたり、プレッシャーをかけようかかけないか、そういった微妙な立ち位置を取るのが、ものすごくうまくて、うまくプレッシャーをかけられなかった。ああいう展開になると、正直厳しいなと思いました。何回か攻撃でもチャンスはあったので、ああいうところを決め切れれば勝つチャンスはあったと思いますが、攻撃よりも守備の部分で課題がたくさんあったので、そういう部分はもっと改善して、声をかけてしっかりコミュニケーションをとってやっていきたいです。セビージャは判断のスピードだったり、そういう部分はものすごく高いなと思いました。取りに行きたいのですが、パスのスピードでもわざとボールを緩くさせて(奪いに来させようと)食いつかせたりしていたり、ベンチからでも後半そういうプレーがものすごく見えた。そういうところは、テクニックというわけではないですが、自分たちもそういう(セビージャがやっていたような)1個1個のプレーは真似できる部分とかもあった。そういう面では(試合を経験して)よかったなと思います。
敗戦してしまいましたが、ここで気持ちをしっかりリセットして、後半戦に臨みたいというのはあります。ルヴァンカップに出ている組も試合もありますので、そういう意味でも、もう1回気持ちを切り替えてやっていくことが大事になると思います」

■マテイ ヨニッチ選手
「すごくいい経験でした。スペインのトップレベルのチームと戦えて、本当にうれしく思います。
Q:最近のJリーグの試合では、チームがここまで前半から押し込まれ続ける場面はあまりなかったので、そういった意味でもセビージャの強さを肌で感じたのでは?
「そうですね。あまり今までそういったことはなかったので、本当に新しい体験でした。Jリーグではそういう流れは今までなかったので、Jリーグのチームと比べて本当にどれだけ強いのか、わかったと思います」
Q:後半戦に向けても、チームとしてのいい経験になったのでは?
「そうですね。1点を決めて、本当に自信になりましたし、ちょっと同点ゴールまではいかなかったですが。最後は、相手にラッキーゴールもあって1-3になってしまったのですが、本当にこれもいい経験だと思います」

■キム ジンヒョン選手
Q:PKになった場面は、ボールに行っていたと思うので不運だったと思うが?
「僕としてはしっかりボールに行ったのでファウルではないと思いますが、レフェリーの判定はPKになってしまった。でも、それも試合の1つなので、文句は言いません」
Q:とは言え、あの失点で流れを決めてしまったので、もったいない判定だったのでは?
「そういった流れの中でも自分たちはしっかりやらないといけないし、リーグ戦に向けて参考になった部分もあります」
Q:3失点したとはいえ、いいセーブも多かったのでは?
「そうですね。でも、スペインとの相性が悪すぎて(苦笑)<注:2016年に韓国代表でスペイン代表と対戦して6失点の経験がある>。今日はいい試合をして、いい記憶を残したい気持ちがあったんですけど。でも、気持ちが入り過ぎるといいプレーができないから、いつもと変わらず冷静にプレーしようと思ったんですけど、やっぱり相性の悪いスペインやったと思います(苦笑)」
Q:今日の敗戦をリーグにつなげていく部分は?
「今日はかなりセビージャに崩されましたけど、次の浦和(7/22・土・ヤンマー)もしっかりとつないで崩してくるチームなので、リーグ戦に向けて、もっと自分たちがやらないといけないところがわかりました。ミスから失点してしまい、ディフェンスとして今日は残念な結果になったので、次のリーグ戦に、もっと集中して入れると思います」
Q:セビージャのボール回しやパススピードを、後ろからどう見ていたか?
「プレッシャーに行きにくかったですね。中央に付けてからサイドに展開するパスも速かった。自分たちが準備する前にやられてしまった。スペインらしいサッカーをまた久しぶりに見たなと思います」

■松田陸選手
「もうちょっと出来る部分もあったのかなと思います。前半はずっと相手のペースで支配されていて苦しい時間帯が続きました」
Q:やっぱりセビージャは上手かった?
「本調子じゃないですけど、やることが徹底されていましたし、全員の一つ一つの止める蹴るが本当に上手くて、それが一番すごいなと思いました」
Q:浦和戦に向けての良いスパーリングになりました?
「あそこまでは強くないと思いますから、もっと自分たちの時間帯があると思うので、そういう時間帯をしっかりものにして少ないチャンスでも点を取って勝ちたいと思います」
Q:サイドで2対1の場面を作られることが多かったですが…
「両サイドハーフがずっと張っていて、僕たちは絞ったのですが、絞らないとボランチが出てきて間にパスを入れられてやられていたので、正直「どうしたらいいん?」という感じでした。プレスに行ってもダイレクトで縦に出されたりした。一人では守れないので、早く自分たちが2対2や3対2に、運動量で上回ってやれれば、もっと良い展開になったと思います」
Q:ここが一番差があったと思った点は?
「シンプルに止めて蹴るが上手いですけど、判断のミスがないですね。回ってきた選手をしっかり使うし、前を向いている選手に一度、絶対にボールを当ててもう一度ボールを貰うとか、自分で突破もするし、無理ならまたやり直すし、そういう判断の凄さが全然違いましたね。
ボランチのヌゾンジはすごいですね。やっていても『そこが見えてるの?』というのもあるし、サイドにつけるボールもめっちゃ早いし、あそこでボールが落ち着くし。ミスは多分なかったです。ずっと三角形を作られていたので、そこがキツかったです。難しかったです」

■水沼宏太選手
「自分たちが学ぶべき所がたくさんあったので、無駄にはならなかった試合だったと思う。これをしっかり自分たちのモノにしなきゃいけない事もたくさんあったので、そこを次のリーグ戦に生かしていくために日々の練習からこだわるところはこだわっていかなきゃいけないと思います。
パスの質だったり、動きの質というところは、コンディションが全然上がっていなくても、1歩2歩ちょっと角度を付けるだけで全然パスは回るんだなというのがよく分かった。いつもの日本でやるリーグで味わえないことが味わえたので、良い試合だったと思います」

■リカルド サントス選手
「実際、僕は彼(福満)が見えてなかったのです。後で画像を見ていたんだなというのが分かりました。自分はフォワードなので出来るだけ早くシュートを撃とうという考えでした。キーパーが過ぎた後に彼(福満)が見えたのですけど、自分のゴールにしても彼のゴールにしても、決まってくれという気持ちでした。彼のゴールで自分たちが1点決めることが出来て嬉しいです。ゲーム的にも良かったと思います。
取りあえず前で競ることを意識していました。相手のディフェンスが来ているのをピッチの中で見て、判断してやりました。
クニ(関口)とタカキ(福満)がサイドでやっていたので、彼らのスペースを空ける動きもしました。ただ、空中戦で自分が勝てたので、それでリズムが作れたのじゃないかなと思います。
ゴールシーンに関しても、自分が競り勝って、それがクニに行って、自分が走って貰い、シュートを撃った感じです。それに詰めてくれたという形でした」
Q:後半戦に向けて良いアピールになった?
「自分の目的は試合に出る事ですけど、自分たちのチームはすごく強いですし、いいメンバーもたくさんいるし、調子も良いので、試合に出る事自体も難しいと思いますけど、こういったチャンスで少し自分の力を見せられたことは良かったと思います。
今、少しあるチャンスでも自分のものにしようと頑張っているところです」
Q:実際に対戦してみて印象に残った選手は?
「ガンソに関してはファンでしたし、ブラジルだとすごくビッグな選手なのでいつも見ていました。近くでプレー出来たし、対戦できたのはモチベーションが上がりますね」