プレシーズンマッチ
1回戦

2013.7.26

セレッソ大阪

杉本 (34')

南野 (63')

2

HOME

FULL TIME

2

1-0

1-2

マンチェスターユナイテッド

香川 (54')

ウィルフレッド・ザハ (90'+1)

レポート

世界最高のビッグクラブを、我らがホームに迎え撃ったセレッソ。しかも、セレッソ育ちで、いまや日本サッカーを代表する存在となった香川が、マンチェスター・ユナイテッドの主軸として長居に降臨。この「ヤンマープレミアムカップ」では、願ってもない形での凱旋試合が実現した。

4万4856人の大観衆が集うなか、この一戦のためのスペシャルユニフォームで臨んだセレッソも、勝利を目指して奮闘。34分には、南野のハイプレスから生まれたチャンスで、杉本が左足を振り抜き、先制点をもぎ取った。また、守備陣も気合いみなぎるプレーを見せ、ファン・ペルシーら世界のタレントに粘り強く対応。なかでもキム ジンヒョンは攻守を連発し、後半には香川のPKもストップ。「真司だけにはやられたくなかった」と闘志を燃やしていた桜色の正守護神が意地を見せた。

ただし、その2分後の54分、人一倍この試合に思い入れを持っていた男も黙っていなかった。左サイドでギグスからボールを受けた香川は、山下とキム ジンヒョンの股を抜くシュートを決めきった。その瞬間、この日一番の大歓声に包まれた。

それでも、香川が58分にピッチを去ったあと、再びスタジアムを沸騰させたのは、18歳の南野だった。63分、「チャンスだったら思い切ってシュートを打とうと思っていた」13番は、右足を一閃。きれいな鼓動を描いたボールは、相手ゴールに見事に吸い込まれた。

これで勝ち越しに成功したセレッソは、この日限りでセレッソから鳥栖へ期限付き移籍する播戸、ルーキーの小暮らも投入して勝利を目指したが、終了間際に失点。目前で金星を逃し、桜色のチームは悔しさをにじませたが、「日本代表に重要な3選手(柿谷、山口、扇原)を送り込んでいたなか、勝てたかもしれないというゲームができたことに、非常に満足している」と、レヴィー クルピ監督。内容には手応えを得た様子だった。

監督コメント

最高の試合だったと思いますが、アディショナルタイムに同点に追い付かれてしまったという結果は非常に残念に思います。試合全体を見たとき、イベントとしても最高のイベントだったと思います。ヤンマー社長の山岡さんをはじめ、関係者の皆さま、そして、スタッフの皆さまに、心から感謝したいと思います。さらには、セレッソに関わるすべての皆さん、サポーターの皆さんのおかげで、非常にいい雰囲気のなかで、スペクタクルな試合ができたことは、非常にうれしく思います。みんなの、すべての人の記憶に残るゲームになったのではないかなと思います。

Q.マンチェスター・ユナイテッドについての印象は?
A.マンチェスターさんはまだプレシーズンの段階にあるということですが、経験のある選手が非常に多く、レベルの高い選手も非常に数多くいると思います。今からコンディションを上げていけば、1カ月、あるいは、2カ月後に、かなりいいコンディションで試合をされていると思います。

Q.2-2という結果について、選手には将来的にどういう利点、影響があると考えられますか?
A.我々としては、アディショナルタイムで集中力を欠き、決定的なミスをしてしまった。これはしっかりと反省をして、今後にこの経験を活かさなければいけない。ただし、非常に素晴らしかった点もありました。得点を決めた18歳の南野拓実、さらに、20歳の杉本健勇、この2人は、将来的に日本を代表するアタッカーになるということを、多くの人々の前で示す機会を得た。そういうゲームになったと思います。

Q.教え子の香川選手のいるマンチェスター・ユナイテッドとの試合について、どのあたりが楽しみだったのか? また、実際に香川選手のプレーについての感想は?
A.まず、真司のいるチーム、マンチェスターと対戦することになり、真司と対戦する楽しみもあったのですが、もう1つは、非常に経験値の高いマンチェスター・ユナイテッドさんという、数々のビッグゲームを今までされてきたチームであり、世界選抜といってもおかしくないチームと対戦する、そういう機会を得ることができ、非常に楽しみにしていました。今日の真司のプレーを見て思ったのは、まだプレシーズンの段階ということで、コンディション的には、まだまだこれから上げていかなければいけないのではないかなと。これは時間が経てば彼の場合は解決するところかなと思います。さらに、マンチェスターさんのチームとして、今、プレシーズンを臨んでいる段階なので、ゲームスタイルもまだはっきり定まっていなかったと思います。そういったなか、彼は自分の持ち味を出そうとしていたと思います。セレッソとしては、代表のほうに、大事な、重要な3人の選手を送り込んでいたなかで、勝てたかもしれないというゲームができたことに関しては、非常に満足しています。

選手コメント

■キム ジンヒョン選手
相手はマンチェスター・ユナイテッドということで、気合を入れて試合に入りました。立ち上がりにやられてしまうと苦しい試合になると思っていたので、集中して入ったことと気持ちが入っていたこともあって、早い時間のシュートを止めることができました。
(ファンぺルシとの1対1の場面は?)世界で一番レベルが高いFWだと思っていましたし、シュートを止められたことは、正直嬉しいです。でも相手の調子はきっと100%ではなかったはずだし、100%ならもっと良いシュートを打ってきたはずだと思います。今日は止められて良かったとは思います。
(香川選手とのPKシーンは?)緊張しすぎて、(藤本)康太とマル(丸橋)に「どっちだと思う?」と聞いたんですが、康太は「右だ」と、マルは「左ちゃうか」って意見が分かれたんですよ。どうしようかと考えたとき、5年前は(香川)真司は左に蹴っていたのを思い出したんですが、冷静にポジションについて彼(香川)を見たら右に蹴るっぽいのが感じ取れましたし、コースも甘くて、止められました。それに真司だけにはやられたくなかった。PKを止めることはできましたが、その後すぐに彼に決められてしまいました。それは今の彼の実力だと思いました。PKで止めても流れからやられているので、PKで止めた意味がなくなっちゃったなぁと悔しいです。
(2-2の結果については?)最後にやられてもおかしくない展開ではあったのですが、そこに至るまでは勝っていたので、もう少しマイボールの時間を増やすとかしてもよかったかもしれない。相手は最後、前からプレッシャーに来ていたし、集中力もあったと思う。声も出ていてそう感じた。最後にやられはしましたが、良い刺激にはなりました。相手のGKも素晴らしかったですし、相手の選手たちの個々のレベルは素晴らしかったですから。
(リーグ戦に向けて?)最近のリーグ戦では失点が続いている。今日は失点はしましたが、ヨコ(横山)さんが真ん中でしっかり締めてポジションをとってくれていたことで大崩れはしなかった。が、ラストのあの時だけ(失点シーンだけ)甘くなった。この反省を生かしてリーグ戦では修正して臨みたい。攻撃陣は得点を今日もしっかり獲ってくれたんで、リーグ戦でも期待はしている。守備が失点0だと負けない。失点すると難しいゲームになる。集中してリーグ戦に準備したいです。

■杉本健勇選手
すごく楽しかったです。世界のトップレベルの人たちとやれたので、すごく勉強になりました。ただ、相手は体が重そうだったので、その中で引き分けという結果は残念ですけど。対峙していたウェルベック選手だったり、ギグス選手、途中から出てきたザハ選手はすごく技術が高かったです。ファン・ペルシ選手は少し重そうでしたけど、みんなすごかったです。あれだけ大きくて足が長い選手が、トップコンディションになったらもっと速いだろうし、技術ももっとあるだろうと思うとすごいですよね。

■南野 拓実選手
(ゴールについて)後半シュートを自分で打ってなかったので、そのちょっと前くらいから、チャンスだったら思い切ってシュートを打とうと思っていました。しっかりミートして、狙ったところに入ったので、よかったです。落ちるようなボールじゃないと入らなかったかなと。ペナ(ペナルティーエリア)のすぐ近くだったし、狙える距離だったので、思い切って打ちました。
(マンチェスター・ユナイテッドについて)相手はいいコンディションじゃなかったけど、1プレー1プレーの正確さ、個の力というのは、すごく高いなという感じでした。勝ちたかったというのは、自分の素直な気持ちですが、この試合をリーグ戦につなげられるよう、改善するところはしっかり改善していきたい。
(代表3人がいなかったが?)曜一朗くんだったり、攻撃の中心の選手がいなかったが、やるのは、残った僕ら。しっかり割り切って、自分たちの、自分の100%を出そうと考えてやっていました。
(相手にあれだけの有名な選手が揃っているなかで、試合をして、楽しめましたか?)めっちゃ楽しかったですね。テレビで出るような、ゲームで使うような選手ばかりで(笑)、対戦してみて、自分のなかで、いろいろ感じる部分もいっぱいあったし、課題も見えたので。自分が世界のああいうレベルのなかでやりたいという夢があるので、そのなかで、こういう機会があって、試合ができたのは、自分のなかでもすごく貴重な体験ができました。