12/20 I神戸戦 Match Preview
- 12/20 I神戸戦
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年内最後の公式戦となるINAC神戸レオネッサとのBATTLE OF KANSAI。前回対戦のリベンジを果たし、勝利で2025年を締めくくりたい
2-3で敗れたサンフレッチェ広島レジーナとの皇后杯準決勝から中5日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、年内最後の公式戦、2025/26 SOMPO WEリーグ第14節・INAC神戸レオネッサとのBATTLE OF KANSAIに挑む。
公式戦6試合ぶりの敗戦を喫した広島戦。立ち上がりはボールを動かして攻め込むなど、入り自体は悪くなかった。ただし、開始12分、スローインの流れからサイドの背後を取られて失点すると、以降も守備で裏を取られるシーンが目立ち、広島のストロングポイントを封じることができなかった。「相手のアクションに対して、常に守備でリアクションになってしまった」と松田岳夫監督。次第にディフェンスラインが下がり、前線との距離も開き、前半は攻撃で有効打を繰り出すことができなかった。「(準決勝という大舞台で)まだ自分たちのプレーを把握し切れていない部分、サッカーの奥深さを知らない、駆け引きで上回れない、そういう未熟さが出たのかなと思います」と指揮官も振り返ったが、勝負の土俵に上がる前に、気付けば3失点。後半こそ1点差まで追い上げる粘り強さも発揮したが、前半で試合を難しくした無念さは残った。ただし、それも現在の実力。「足りないところがあるから上の相手に対しては、あのようなゲームになる。それをしっかり理解して次に進んでいくことが大事」(松田監督)。広島戦を迎えるまでは公式戦5連勝と結果を残していたが、隙を見逃してくれない強さ、決定力がWEリーグ上位チームにはある。今シーズンの目標である「トップ3の次」を目指す上で、改めて足りない部分を突き付けられた一戦となった。そして、この試合と似た前半の展開に陥ったのが、I神戸との前回対戦時だ。「入りはそんなに悪くなかった。こっちのペースで進んでいた」(脇阪麗奈)中で、10分、相手CKのクリアが不完全になったところを突かれ、成宮唯にミドルシュートを許し、クロスバーに当たったセカンドボールを水野蕗奈に押し込まれた。「そこから相手も波に乗った。こっちもメンタル的に立て直せない」(脇阪)まま失点を重ね、最終的には0-5の大敗を喫した。この試合で身を持って体感したI神戸の強さがボールへのプレッシャー。セレッソは自陣でのつなぎを奪われて何度もピンチを招き、失点にもつながった。リーグ戦の前節、I神戸は三菱重工浦和レッズレディースとの首位攻防戦を2-1で制しているが、入りは浦和がペースを掴んでいた。ただし、16分、吉田莉胡と成宮がハイプレスでボールを奪い、成宮がドリブルで持ち込みゴール。良い守備から良い攻撃へ、まさに今季のI神戸を象徴する先制点だった。今節に関しても、立ち上がりの時間帯をどう進めるかは勝負のポイント。守備で隙を作らず、逆に自分たちが良い守備から先制につなげるぐらいの気迫で立ち向かっていきたい。I神戸はケガ人も増えて万全とは言えない状態だが、今季の目標である「三冠」(宮本ともみ監督)を達成する上で、今節に向けても手綱を締めて臨んでくるだろう。直近の数試合ではセットプレーを含めた勝負強さも発揮している。ただし、セレッソとしても、「いまは公式戦で勝ちも積んでいますし、ホームではずっと勝っています。今節はお客さんもたくさん入ってくれると思いますし、必ず勝って、年内を締めたい」(脇阪)。ヨドコウ桜スタジアムに集う力強いファン・サポーターの声援も背に、前回のリベンジを果たし、勝利で年内最終戦を終えたい。
今節は年内最終戦であると同時に、シーズン前半戦ラストの一戦でもある。WE参入3年目。松田監督新体制となり、選手それぞれが深くサッカーに向き合ってきたこの半年間を振り返り、キャプテンの脇阪は次のように語る。
「全員が成長したと思います。松田監督になって、チームとしてのプロ意識もより植え付けられて、みんながやろうとする思いが強くなっています。個人としても、監督からの要求に対して、吸収して消化して整理するのが難しい時期もありましたが、今はできることも増えています。ここからもっと得点やアシストにも絡んでいきたいですし、守備も含めて試合をコントロールしていきたい。要求は高いですが、言ってもらえることはありがたいこと。これを乗り越えていけば、もっと成長できると思っています」。
成長をピッチで具現化している一人でもある和田麻希は、10月6日に行われたI神戸との練習試合で2得点を決めて、チームを逆転勝利に導いた。「あの試合は得点以外も試合中のプレーも良かったと思います。今、INACは首位ですが、そこはあまり考えず、自分のプレーを出していきたい。失う怖さを考えて仕掛けないのではなく、自信を持って積極的にプレーして、打開していきたいです」と試合に臨むマインドを語った。この半年間、チームとして、個々として積み上げてきた集大成をホームで披露すべく、I神戸とのBATTLE OF KANSAIに挑む。
試合前日コメント
松田 岳夫監督
Q:皇后杯準決勝・サンフレッチェ広島レジーナ戦は、逸る気持ちが前に出過ぎたのか、背後を取られる守備も目立ちました
「相手のアクションに対して、常に守備でリアクションになってしまった。相手の動き出しは速かったのですが、ボールを見ている間に動かれて、逆を取られた。ディフェンスで一番やってはいけないことをみんながやっていた。特に前半ですが、後半も含めて試合を通してそういう現象が起きていました。どの相手とやったとしても、誰が出たとしても、そこは修正していかないといけません」
Q:それは準決勝という気持ちが入る舞台だったからそうなったのか、(背後にロングボールを入れてくる)広島相手だからそうなったのか
「どっちもあると思います。『絶対、勝ちたい』という思いが強くあればあるほど、前方向へのパワーは出るけど、後ろ方向のパワーは失っていきがち。(準決勝という大舞台で)まだ自分たちのプレーを把握し切れていない部分、サッカーの奥深さを知らない、駆け引きで上回れない、そういう未熟さが出たのかなと思います」
Q:公式戦では6試合ぶりの敗戦になりました。この1敗をどうつなげていきたいですか?
「それまで連勝していたと言っても、自分たちの力だけではないところもありました。自分たちの力が上がっているから勝っていると思ったら、その時点で成長は止まってしまう。足りないところがあるから上の相手に対しては、あのようなゲームになる。それをしっかり理解して次に進んでいくことが大事です。あとは、前半、良くないことには色んな要因があって、相手のプレッシャーが強くて元気な内は、それを打開する力がまだ我々にはない。相手が落ちてきた時は少し挽回できる。それがチームの現状だと考えると、これから先、前半からしっかり戦えるチームを目指して作っていかないと、上の相手には通用しません。次のINACは、まさに前からのパワーが強いチーム。早い時間帯で先制点を奪われてしまうとズルズルいってしまう可能性もあります。相手にパワーがある時間は我慢や耐えることも必要で、失点ゼロの時間を伸ばしていけば、我々にも勝機は出てくると思います」
Q:広島戦の敗戦を受けて、今週のトレーニングで変わった部分はありますか?
「映像も含め、足りないところは全員で共有しました。足りないところを理解して、埋めるためにトレーニングにどう取り組むかで変わります。勝っていると、(課題も)曖昧になって、勢いだけでやってしまいがちですが、足りないところを潰していくことが大事です。やらないといけないことはいっぱいあります。広島戦のようなプレッシャーを練習の中で実現できているのか。『試合の方が楽』という状況をトレーニングから作っていかないと、なかなか試合では発揮できません。そういう意味では、一歩、寄せが早くなったり、そういう部分は見られます。ただし、それを継続していかないといけません。1年間、継続して、やっと少しモノになるレベル。負けをマイナスではなく、プラスにしていかないといけません」
Q:今節のINAC神戸レオネッサ戦は、BATTLE OF KANSAIと銘打たれた一戦でもあります。意気込みをお願いします
「相手は首位を走っているチーム。我々はチャレンジャーなのは当たり前ですが、どうチャレンジしていくか。より具体的にどう戦うかを明確にして臨みたいとは思っています。みんな頑張っていますが、個別に頑張るだけでは勝てない。チームでどう戦うか。そこはもっと共有すべき部分は多いと思っているので、そういうところにこだわりながら、全員で戦っていけば勝機はあると思います。広島戦もそうでしたが、背後のスペースを取られて起点を作られると、ズルズル下がってしまう。そこからクロスも入って、失点につながるピンチも増えてしまう。まず背後のスペースをどう管理するか。そのためには、全体をコンパクトにボールにプレッシャーをかけながら守ることは、しないといけないと思います」
宝田 沙織選手
Q:前回のI神戸戦は0-5という悔しい結果になりました。そこから試合も重ねて、チームとして変わってきた部分はありますか?
「あの試合の頃よりは、連係の部分、やるべきプレーがちょっとずつハッキリして、個人に求められていることもしっかりしてきたので、少しはチーム力が上がったと思います」
Q:実際に対戦して、I神戸の強さを感じた部分は?
「攻守の切り替え、個の強さ、奪い切る力。前回はそこで上回られたと思うので、今回はそこでどこまで戦えるかが大事になります。今週はI神戸をイメージしながら強く当たることや前からのプレッシャーは意識しています。ただ、実際の試合ではもっと強度が高いと思うので、練習からもっとやっていかないと試合では出せない。練習から一人一人の強度をしっかり上げることができれば、強い相手でもチームとして戦えると思います」
Q:やはりI神戸の中心は成宮唯選手でしょうか?
「そうですね。唯さんと(吉田)莉胡を潰せれば、自分たちのやりたいサッカーもできるのかなと思います。(成宮は)ボールの受け方やスペースを見つけるプレーが上手い。そこをどう潰せるか。スペースを与えずコンパクトに守ることが大事だと思います」
Q:今節のI神戸戦は、BATTLE OF KANSAIと銘打たれた一戦でもあります。意気込みをお願いします
「前回、あのような試合をして悔しい思いをしたので、ホームでは必ず勝てるように。たくさんの人が観に来てくれる試合でセレッソらしいサッカーを出して勝つことができれば、今後も見に来て下さる人も増えると思います。自分の力もしっかり全部、出し切りたいと思います」