9/15 東京NB戦 Match Preview
- 9/15 東京NB戦
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前節からの立て直しが求められる今節。粘り強い守備から攻撃につなげ、昨季のチャンピオンから大きな1勝を目指す
0-5の大敗を喫した2025/26 SOMPO WEリーグ第5節・INAC神戸レオネッサ戦から中8日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、3試合ぶりにホームに戻り、日テレ・東京ヴェルディベレーザとの第6節に挑む。
WEリーグ参入3年目の今シーズン。これまで2シーズンを戦った選手たちの経験値は上がり、そこへ昨シーズンのWEリーグ優勝監督であり女子サッカーの指導歴も豊富な松田岳夫監督を招聘。新戦力としても、現役なでしこジャパンの宝田沙織が復帰した。大いなる期待の高まりも感じて迎えた新シーズン。開幕からの3試合は、勝ち切れない中でも1勝2分。まずまずのスタートを切った中、前々節、今シーズン初黒星を喫すると、前節は同じ関西に本拠地を置くI神戸に0-5の大敗。上位の洗礼を浴び、トップ3への道は甘くないことを実感した。「焦れずに、ブレずに、少しずつ積み上げていく」(松田監督)必要性も痛感させられた。オフを挟み、今週の練習を迎えた松田監督は、「悔しくて仕方なかった。オフもオフではなく、映像を見ながら(振り返っていた)」と歯ぎしり。選手に対しても、「仕方ない。次、頑張ろう、で終わっていては、この先はない。もっと悔しがって、勝つことへのこだわりを持たないといけない」と説いた。選手それぞれも深く受け止めている。前半45分で交代となった高和芹夏は、「関西ダービーでの0-5という結果は悔しい。自分たちの課題がたくさん出た試合になった。INACの方がフィジカル的にも技術的にも上だった」と振り返る。体感したその差をいかに埋めていくか、今後のリーグ戦の中で取り組む課題になる。
昨シーズンの王者・東京NBは、今季はここまで3勝2敗。I神戸、三菱重工浦和レッズレディースといった優勝争いのライバルには敗れているが、セレッソも対戦したノジマステラ神奈川相模原、ちふれASエルフェン埼玉、AC長野パルセイロ・レディースに3勝。いずれも大量点を奪うなど、持ち前の攻撃力、流れを掴んだ時に畳み掛ける迫力は圧巻だ。一人一人、足元の技術が高く、ボールを握る術にも長けているだけに、セレッソとすれば、いかに守備を機能させるかが今節の生命線。ハイプレス、ミドルブロック、リトリート。状況や時間帯によって使い分けることになると思われるが、どのような守備をするにしても、選手同士がまとまってコンパクトな状態を保つことが重要だ。つなぎのミスから失点を重ねた前節にしても、守備がハマらず、I神戸に簡単にボールを運ばれたことも敗因の一つだった。前から行った際に後ろが連動せず、中盤にスペースが空く状態を作らないよう、「一人一人の頑張りをつなげる」(松田監督)守備が大切になる。チーム全体で粘り強く戦うことが欠かせない今節だが、個々の対応も勝敗を分けるポイント。特に東京NBの両翼、山本柚月と北村菜々美に対しては、セレッソが3バックで臨むのであれば、ウイングバックとセンターバックの間でのマークの受け渡しは必須。必要以上に下がり過ぎないことも含め、ウイングバックのポジショニングがカギを握る。また、前節と同じポジションで先発となれば、昨シーズンのリーグMVPと対峙することになるのは中谷莉奈。「(山本は)シュートも右左両足、関係なく打ってくるので、寄せ方も考えないといけない。いい形に持って行かせないように、その前で抑えたい」と見据える。
もちろん、守っているだけでは勝てない。自分たちで主導権を握る時間も作りつつ、前線や中盤で奪ったところからのカウンターを中心に相手陣に迫り、ゴールにつなげていきたい。宝田沙織、田子夏海らFW陣の1発に期待がかかる中、今節は日テレ・東京ヴェルディメニーナ出身の新井萌禾にとっても気持ちが高まる一戦だ。「メニーナでプレーしていたからこそ、成長した姿を見せたい。知っている選手も多いので、負けたくない気持ちも強い。目に見える形で結果を残したい」と意気込む。3年間の思い出としては、中学3年次の2021年の12月、全日本U-15女子サッカー選手権大会での優勝を挙げる。JFAアカデミー福島との決勝戦では、自身も右サイドバックの位置から駆け上がり、得点を決めた。同学年の眞城美春については、「小3での神奈川県の区選抜からずっと一緒で、そこから県トレ、ナショトレと、ずっとライバルでした。美春にしかない武器も持っていて、尊敬する部分もありますが、負けたくない気持ちは強い。十文字のときもメニーナと対戦してマッチアップすることもあったけど、1回ぐらいしか勝てていないので、絶対に勝ちたい」と闘志を燃やす。
新体制は始まったばかり。これからも山あり谷あり、いくつもの起伏はあると思われるが、前節の大敗を受けて迎える今節は、今シーズン一つ目のターニングポイントと言える大一番。直近の2試合、アウェイで連敗を喫したセレッソとしては、ホームのヨドコウ桜スタジアムでできることを力に変えたい。前節からのリバウンドメンタリティーが問われる今節。「簡単にクロスやシュートを打たせない、最後は体を投げ出してでもゴールを割らせないことはチーム全体で徹底したい。1対1の場面でも負けないように、食らい付いていきたい」(高和)。チームとして焦れずに戦い、個々で体を張り、勝機を手繰り寄せたい。
試合前日コメント
松田 岳夫監督
Q:昨シーズンまで率いていた日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦に向けて
「前節、あのような負け方をして、力的には(INAC神戸レオネッサと)同等もしくはそれ以上の攻撃力を持ったチームなので、このままではいけない、という気持ちはあります」
Q:攻撃力のある相手に対し、ある程度、守備の時間が増えることも想定している?
「ある程度は覚悟しています。ただ、ズルズル下がるつもりはないし、基本はちゃんとプレッシャーをかけていきたい。ただ、前節のゲームは、無謀というか、ただ頑張っているだけ。頑張りの質を上げていかないといけない。前へのパワーだけではなく、後ろに戻る、自分のポジションに帰る、そのあたりも含めてしっかり(守備を)やっていかないといけません」
Q:I神戸戦やマイナビ仙台戦の前は、「(古巣ということは)考えてない」ということでしたが、今節に関しては意識もされますか?
「いえ、全く(笑)。もちろん、(東京NBは)巧さを持っている選手たちも多いし、それをどうやって防ごうかなと思いつつ、でもそこばかりにフォーカスすると、自分たちの選手の良さも失われてしまう。頭で考え過ぎると体が動かなくなるので、選手たちの良さを出させつつ、うまく機能させていきたいと考えています」
Q:前節の試合前に話されていた、「絶対に勝つ気持ちをどれだけ出せるか」も大事?
「もちろん、サッカーは色んな難しい局面もあるし、(戦術的に)意識しないといけないこともあるけど、大事なことは、もっとボールに触りたい、もっとこうしたいという思い。攻撃も守備も、自分の意思で何かをやろうとすることが大事。プレッシャーがきつい、流れが悪い時に、積極的に自分を出せる選手が少ない。ゲームの流れに飲み込まれて自分の良さを出せなくなる選手が多い。もちろん、そのためには経験も必要になってきますが、もっと自信を持つことも大事だし、もっとサッカーを知ることも大事。練習で自信を付けて、それをゲームで出して、それが通用した、しなかったと振り返って、次に積み上げていく。それしかない。急に上手くはならないし、急に気持ちに余裕もできない。そういう意味では、時間がかかることはかかる。焦れずに、ブレずに、少しずつ積み上げていくことが、今、やらないといけないことなのかなと思います」
脇阪 麗奈選手
Q:ホームに戻って迎える日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦に向けて
「この2試合連敗して、シーズンの中で3連敗はしてはいけないと思っています。強いベレーザが相手ですが、ホームで何としても勝点を取りたい気持ちです」
Q:守備に回る時間が長くなることも想定されるが、試合に臨むイメージは?
「ゲームとしては、守備に追われる時間が長くなるとは思っていますが、それだけでは勝点は取れないし、勝点3も取りにいきたい。プレスに行くところは全員でハッキリ行く。INAC戦でもハマった時間帯はあったので。全員で守備の共通意識を持ちながら、相手に中盤の後ろに入られないように気を付けたいです」
Q:相手の中盤には上手い選手も並びますが、マッチアップについて
「持たれることが多くなるとは思いますが、球際で戦うところ、予測して奪う部分は自分の持ち味として出していきたいです。やらせ過ぎないように、自分もどんどんチャレンジしたいと思っています」
Q:99年組のつながりで言えば、北村菜々美選手の調子がいいです。直接、対峙する機会は多くはないかも知れないですが、負けたくない相手なのでは?
「そうですね。点も取っていますね。ベレーザのレギュラーとして中心で活躍している中で、止めないといけないです選手ですし、自分たちのサイドの選手がしっかり対応することと、自分もカバーには行けるところは行きます」