• X
  • LINE
  • Facebook

9/6 I神戸戦 Match Preview

  • 9/6 I神戸戦
  • メディア

今シーズン最初のバトル オブ カンサイ。WEを舞台にINAC神戸レオネッサから敵地での初勝利を目指す

 
今シーズン初の敗戦を喫した2025/26 SOMPO WEリーグ第4節・AC長野パルセイロレディース戦から中5日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、アウェイに乗り込み、INAC神戸レオネッサとのWEリーグ第5節、バトル オブ カンサイに挑む。
 
関西に本拠地を置く2つの女子プロサッカーチーム。片やWEリーグ初代女王で、翌シーズンからも3シーズン連続で2位。片やWE発足3年目から参入を果たし、最高順位は昨シーズンの7位。実績面で大きな開きがあることは確かだが、関西の女子サッカーを盛り上げるブランドになり得るカード。それが、INAC神戸レオネッサとセレッソ大阪ヤンマーレディースがぶつかるWEリーグ版“関西ダービー”だ。両チーム、今シーズンはともにクラブの歴史において新たな局面を迎えた。I神戸はクラブ初の女性指揮官である宮本ともみ監督を招聘。セレッソは、昨シーズン、日テレ・東京ヴェルディベレーザを優勝に導いた智将・松田岳夫監督に指揮を託した。WEの舞台で“関西ダービー”が誕生して3シーズン目。今季はどのような歴史が紡がれるか。
 
昨シーズン、セレッソはバトル オブ カンサイで新たな歴史を作った。カップ戦とは言え、WEの舞台で初めてI神戸から勝点を得ると、2024-25 SOMPO WEリーグ第11節、ホームで迎えたリーグ戦では、I神戸から初の勝利をもぎ取った。開始4分に先制された中、12分、16分と連続して得点を奪い、逆転に成功。後半は相手の猛攻を懸命に耐える魂の守備で未知の扉をこじ開けた。決勝点を決めた百濃実結香は、「最高!という言葉しか出て来なかったです。最後は全員で体を張って守った。INACさんという強い相手でも負けずに勝ち切ったことは本当に嬉しかったです!」と声を弾ませた。この試合は、百濃と同期、善積わらいさんの引退セレモニーも試合後に予定されていた。百濃のゴールをアシストしたのも同期の高和芹夏。「やっと実結香とのホットラインを形成できました。しかもINAC戦という絶対に勝ちたい試合で2人で取れたことは、素直に嬉しいです」と、“02ライン”で同期を送り出せたことに、高和は感極まる様子も見られた。果たして今シーズンのバトル オブ カンサイではどのようなドラマが生まれるか。
 
I神戸は昨シーズンの得点王、カルロタ スアレスが抜けたが、前線に吉田莉胡が加入。高さや強さという脅威はやや薄れたが、地上戦におけるコンビネーションやパスワークは向上。前節、前々節と直近の連勝はいずれも点差こそ1点だが、チーム全体で多くのチャンスを作っており、ボール保持の質も高い。その中心に君臨している選手が10番の成宮唯。ピッチ上の至るところに顔を出して、チャンスメイク。セレッソにとっては、昨シーズンはカップ戦、リーグ戦の両方で決められた選手でもある。今節も成宮と吉田のホットラインを封じることが勝利には欠かせない。その成宮とマッチアップする機会も増えるであろう脇阪麗奈は、「作りからゴールまで、全部、唯さんがやっている印象。守備に回ることが多くなるとは思いますが、しっかり抑えたい」と決意。I神戸撃破には、攻守で桜の大黒柱の奮闘が欠かせない。また、今シーズン、セレッソに復帰した宝田沙織にとっては2020プレナスなでしこリーグ1部・第17節で戦って(2○0)以来、約5年ぶりのI神戸戦となる。当時から互いにメンバーは大きく変わっているが、「やっぱり関西ダービーなので、当時も他の相手とは違うライバル意識はありました」と述懐。I神戸のキャプテンであり、守備の要・三宅史織とは、なでしこジャパンで何度も共闘した間柄だ。「特長は分かっているつもり。自分が勝っているところもあるので、そこを試合でたくさん出していきたい」とWEの舞台での初対戦を見据える。そうした主力同士の激突が注目される一方、両チームの若き力の躍動もシーズン序盤のトピック。
 
セレッソは2006年生まれの田子夏海が今季のチーム初ゴールを記録。囲まれても当たり負けしない力強さは増しており、WEで2シーズン目となる今季はさらなる飛躍の予感が漂う。田子と同学年で新加入の新井萌禾も印象的なプレーを見せている。十文字高校出身の新井にとって、今節の舞台、ノエビアスタジアム神戸は青春の汗と涙が染み込んだ場所。自身を成長させてくれたスタジアムであり、高校2年生、1年生の選手権決勝では、1学年上の久保田真生を擁する藤枝順心高校に敗れて涙に暮れた悔しい思い出もある。「ノエビアの地には色んな思いがあるので、楽しみ。INACという相手にも燃えますし、会場という部分でも負けたくない。真生さんとは、神奈川県の県トレでも一緒でした。小学生の頃から知っているからこそ、負けたくない」と気持ちを高めている。高校3年生だった昨年12月、最後の選手権では2回戦で太田美月が守る大商学園高校に敗れて敗退しているだけに、そこでのマッチアップにも闘志を燃やす。若手のつながりで言えば、2022年のFIFA U-17女子W杯では、中谷莉奈、白垣うの、久保田、辻澤亜唯が招集メンバーとしてプレー、準々決勝進出に貢献した。また、昨年9月に行われたFIFA U-20女子W杯では、大会直前に久保田が負傷離脱し、緊急招集されたのが和田麻希という縁もある。準優勝を果たした同大会で、米田博美、白垣らが守るディフェンスラインの最後の砦として奮闘した選手がI神戸の守護神・大熊茜だ。今後の日本女子サッカー界を担う若き才能がひしめく今節、ピッチで輝くのは誰か。
 
前節、セレッソは今シーズン初黒星を喫した。「前からくる相手に対し、構えてしまった」と松田監督は振り返るだけに、今節のバトル オブ カンサイへ向けては、「気持ちの部分を前面に出していきたい」と引かない姿勢を強調する。WE参入後の2シーズン、リーグ戦におけるアウェイでのI神戸戦は、2試合とも先制に成功しながら同点に追い付かれた後、一気に崩れ、いずれも複数失点で敗れた。いかにメンタルを強く持って戦えるか、I神戸に流れが傾いた時間帯で我慢強く戦えるか。勝利を手繰り寄せるための大きなポイントになる。昨シーズン、ホームで勝利を掴んだ試合のように、最後までチーム一丸で戦い抜き、ノエスタに「Cerezo(さくら)満開」を響かせたい。

試合前日コメント

松田 岳夫監督


Q:今季初の敗戦になった前節をどう受け止めましたか?
「勝った後の試合が大事だと、選手たちも頭では分かっていたけど、思っていた以上に厳しい戦いになると、覚悟はできていなかったのかなと。それを伝え切れなかった自分の反省でもあります。でも敗戦も乗り越えないといけないので、ネガティブに捉えるだけではなく、次に向けてしっかりつなげていきたいと思います」

Q:INAC神戸レオネッサは個人、個人も上手く、決めるところは決めてくる印象だが?
「一人一人のポテンシャルが高いですね。個々で比較すると、厳しい戦いになる。チームとして、グループとして戦わないといけないところもあります。でもだからと言って、1対1で負けるから、という発想でスタートすると危険。女子はダービーとか、そういう意識は男子より薄いかも知れないけど、絶対に負けられない相手。そこは選手にも伝えてあります。個人として、相手に勝つ、戦う。その意識からスタートしていきたいと思います」

Q:前節の後、「構えてしまった」という言葉もありましたが、その意味では、今節は気持ちを出しやすい相手でもある?
「そうですね。『絶対に勝つ』という気持ちはストレートに出しやすいとは思います。ただ、その思いをどれだけ出せるか。まだ足りない。もっと出さないといけない。『これぐらいでいいか』というのではなく、本当の意味で戦わないといけない。それは次のゲームもそうですし、シーズンを通して伝えていかないといけない。例えば、僕は昨シーズンまでベレーザにいましたが、絶対に負けられない、優勝しないといけない、そのためには一つの勝敗がいかに重いか、そのプレッシャーは、今とは比較にならないぐらいありました。だからこそ、そういう結果(優勝)につながった。このチームの選手たちは、まだそこまでの習慣や経験がない。もしかしたら、経験して積み上げていかないといけないことかも知れないですが、今節のような試合で結果につなげて、勝つことの重みを伝えていければと思います」

Q:改めて、今節へ向けた意気込みをお願いします
「相手がどこであれ、毎試合、勝つために全力を尽くします。常に勝点3を目指していますが、特に今節は関西圏同士の戦い。向こうはライバルとは思っていないかも知れないですが、絶対に負けてはいけない相手。それは強く思っています。いいサッカーをして勝てれば一番ですが、それだけではなく、気持ちの部分を前面に出していきたい。今の順位とか、実際の力関係とかは関係ないのがダービーなので、全力で勝ちにいきたいと思います」



中谷 莉奈選手


Q:INAC神戸レオネッサ戦に向けて
「INACはチームとしてもそうですが、個人のレベルも高い。まず個人で絶対にやらせない気持ちで戦います。気持ちの部分で負けないように試合に入りたいです」

Q:前節は今季初の失点と敗戦。どう受け止めましたか?
「それまで無失点で来ていた中で、簡単に2失点してしまったことは、ディフェンス陣としては、やってはいけない失点だったと思います。しっかり受け止めながら、でも(必要以上に)とらわれ過ぎず、改善できるようにやっていこうと思っています。(今節に向けては)もう一度、チャレンジ&カバーを徹底したい。常に声を掛け合って守りたいです」

Q:同学年のI神戸、久保田真生選手とのマッチアップについて
「試合を見ていても、波に乗っていて、自分の特長を出しているなと思います。スピードもありますし、得点につながるプレーもしている。でも、同世代として、絶対に負けてはいけない相手。体を張ってでも、やらせないようにします」

TOP > ニュース一覧 > 9/6 I神戸戦 Match Preview