第2節
2025.11.30日
セレッソ大阪ヤンマーレディース
中西 ふう (79')
新井 萌禾 (90+3')
2
HOME
FULL TIME
1
ヨドコウ桜スタジアム
0-1
2-0
アルビレックス新潟レディース
下吉 優衣 (12')
ヨドコウ桜スタジアム
1,027人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■松田岳夫監督
「まずは今日お越しいただいた皆さんとともに勝利を分かち合えたことを非常に嬉しく思います。ここ数試合ホームでは負けていませんし、ファン・サポーターの皆さんの後押しは本当に心強く思います。そのなかで、自分たちのプレーを100%出し切るんだという意識が、徐々にチームに芽生えてきたと感じています。その結果最後まで諦めずに戦い今日のような結果につながったことは、チームとしてもポジティブにな要因だと考えています。
前半は運動量が足りず、切り替えも遅く、どちらかというと自分たちの良さを出すというより相手を探りながら試合が進んでしまいました。フォワードからしっかりプレッシャーをかけ、限定してボールを高い位置で奪うというコンセプトでゲームに入ったにもかかわらず、フォワードからのプレッシャーが足りませんでした。どうしてもラインを落とさざるを得ないというところは非常にネガティブな展開になってしまったと感じています。さらに失点についても、前回対戦時もコーナーキック2本で負けているので、本当に一番注意しなければいけないシーンでああいった展開になったことは非常に残念です。
ただ、後半に入ってからは、『まずやるべきことをしっかりやろう』と。当然相手の3バックというシステムの狙いどころは前半から伝えていましたが、うまく活用できなかったのですが、後半に入って少しその意識がついたことで、前向きでボールを持てる状況が増えたことが展開が良くなった要因だと思います。守備に関してもフォワードからのプレッシャーが効果的に機能し、高い位置でボールを奪えたことで相手ゴールに近くなりました。運動量を増やしたことで、いろいろプラス面が働いた印象です。何よりも本当にゴールを取りたい場面で、シュート数は多くないですが、ゴールを目指すためにどういう道を作っていくのかという意識、全員がスピードコントロールしながらむやみにがむしゃらに行くのではなく、工夫をしようとした姿勢が非常に評価できました。もう少しシュートへ確実につなげて、攻撃を終わらせる展開に持ち込めばベストですが、まだそこまでは至っていないのが現状です。ただ、チームとして、少しずつ成長しているところを見てもらえたゲームだったと思います」
Q:後半から宮本光梨選手、新井萌禾選手を投入されて、攻撃が4選手でチャンスを作れるようになりましたが、ふたりに伝えたことがあれば教えてください
「やはりチームの中心のラインで前進できず守備でもはまらずにいたことは感じていましたので、運動量の多い2人を投入することで、まずその部分を活性化させる狙いがありました。もちろん2人が入って流れが変わりましたが、
全員の意識が変わったということが大きく、前半で交代させた2人が悪いのではなく、チーム全体が少しずつ妥協したために自分たちのサッカーができていなかった中で、2人がきっかけになってゲームが変わったのだと思います」
Q:理想に近いゴールだったように見えました。選手の判断やコースの作り方については?
「ボールを持った選手の前にパスコースを作り、最後はクロスにつながりました。でもその前も内側の選手が反応し、駆け引きをしていたので、多くの選手が直接的に絡んでゴールになりました。相手のポジションを崩したり、駆け引きがあってのゴールだったので本当に全員で取った素晴らしいゴールでした」
Q:工夫しようとした成長が見られたとおっしゃっていましたが、特に見えた部分とは?
「やはり相手があってのサッカーですから、こちらが相手のところに押し込んで優位に運べば、相手の人数は多くなり、当然ゴールまでの間にたくさんの人が関わるので、それをパスだけで剥がすのは難しい。そういう意味では、ひとり抜くことや、相手を裏返すパスを狙うなど、前半は横に移動していたものが、後半は少し縦のパワーがドリブル、パスを含めて増えたかと思います。いつも意識をしていることですが、どうしてもゴール、ゴールと頭が行きがちで、スピードが上がりすぎたり、突破できなくて余計な手数が多くなり、逆にゴールが遠くなるシーンが多くなる中で、多少工夫が見られたと感じています。今日はたまたまの部分もありますし、強さやパワーだけでなく、相手の逆を突く想像力も必要で、その両方が少し見られたゲームでした。まだまだやらなければいけないことはたくさんあるし、こういうゲームができるというところでは若い選手たちの可能性を少し感じました」
選手コメント
■新井萌禾選手
Q:後半のスタートからの出場になりました。どういう指示を受けてピッチに入りましたか?
「『全部、追え』と言われました。前半はファーストディフェンダーが決まらず、前からのプレスがかかりきっていないから、『全部を追う勢いで行け』と言われたので、言われた通り、全部を追ってボールを奪い切ろうという気持ちでした。いつも以上にもっと強くプレッシャー行こうという意識で入りました」
Q:攻撃面での崩しは、どうイメージしていましたか?
「自分が裏に抜けたり、足元でボールを受けたり、強引なドリブルからシュートを狙ったり、常にボールに関わって流動的にプレーしたら、周りも動くし、自分も動いて囮にもなれる。そういうことを意識しました」
Q:79分の1点目のシーンの起点にもなりました。難しい体勢の中で宝田沙織選手に通したパスが結果的にゴールにつながりました
「最初は斜めに走っている選手に出そうと思いましたが、タイミングが合わなくて。でも、最初に背負って(パスを)受けた時に沙織さんがいたことに気づいていました。それで、前を向いた瞬間に沙織さんが走っているのも見えていて、斜めに走った選手が相手を引き連れていってくれたので、そのスペースが空くというイメージがあったので、スペースにパスを出しました」
Q:そして後半アディショナルタイムに決勝点ゴール。あのシーンを振り返ると?
「ピッチに入ってから点を決めたい思いはずっと持っていました。チームメイトを信じて、『(パスが)出てくるだろうな』ではなく、『出てくる』という意識でプレーしていて、常にゴール前に走り込んでいました。ずっとそういう意識でプレーしていたので、最後の最後までゴール前に詰めようと思っていました。あの場面は、ボールがこぼれてきたので、あとは押し込むだけでした」
Q:ヨドコウ桜スタジアムでのケガからの復帰戦。ゴールで勝利をもたらしたことはご自身にとってもすごく大きいですね
「2カ月間ずっと悔しい思いをしてきて、この気持ちを表現するのは自分次第でした。試合に出たら絶対に自分が活躍して、勝利に貢献するんだっていう気持ちが大きかったです。自分の気持ちにも応えられたと思いますし、周りにもそういう後押しというか、周りからの声も自分の頑張る力になっていたので、その人たちにも後押しされて、今日ピッチに立って結果は残すことができたのかなと思います」
Q:クラシエカップ、皇后杯でいい戦いができています。タイトルへの思いを聞かせてください
「リーグ戦も大事ですが、カップ戦は1試合1試合がより大事になってきます。負けたら終わりという試合もあり、選手みんなが強い気持ちを持って戦っています。一つずつ目の前の試合で勝ちにこだわって、タイトルを獲れるように頑張っていきたいです」
■中西ふう選手
Q:67分からの途中出場になりました。どういう意識でピッチに入りましたか?
「0-1で負けている状況だったので、点を取るためにクロスを上げること、どんどん前に関わることを意識して入りました」
Q:素晴らしいボレーシュートで同点弾を決めました
「ビックリしました(笑)。とにかくミートすることを考えて蹴りました」
Q:決まった瞬間の思いは?
「とりあえずビックリしました。その前の(中谷)莉奈のクロスがめっちゃ良くて、セリ(高和芹夏)が決めてくれると思っていたら、ボールがこっちに飛んできました。ちゃんと決め切ることができて、ホッとしました」
Q:昨シーズン、WEリーグのちふれASエルフェン埼玉戦でもボレーシュートから得点を決めています。ボレーは得意なんじゃないですか?
「どうなんでしょう(笑)。でも、高校時代や大学時代、ボランチをやっていた頃にこぼれ球を打つ練習はよくしていました」
Q:最近は途中出場が多くなっています。練習から意識していることは?
「途中から出るということは、おそらく流れを変える役割もあるはずなので、練習から攻撃に全部関わる意識でやっています。いろいろなところにパスを受けに行く気持ちでやっています」
Q:松田岳夫監督のサッカーの中で、意識が変わった部分やより意識が高まったことはどういうところでしょうか?
「パスを出したあとに止まらないことです。昨シーズンまではパスを前に1回預けたら後ろで受けることが多かったのですが、今シーズンはパスを出した選手を追い越す動きを意識していますね」
Q:ヨドコウ桜スタジアムでは5連勝となりました。ここで勝たないといけないという思いは強いですか?
「どんな試合でも応援してくれている人たちのために勝って感謝を伝えなければいけないと思っています。そういった意味で今日は勝つことができて良かったです」
Q:WEリーグ参入3年目のシーズン。タイトルを狙う気持ちは高まっていますか?
「そうですね。目指すものがあるのなら目指していくべきだと思います。みんなで目指しながら頑張っていきます」
■筒井梨香選手
Q:前半はチームとしてチャンスを作りきれず、ビルドアップの場面でもパスの出しどころに困っているように見えましたが?
「前半は陽射しの影響もありました。ボールがすごく見えづらかったです。相手もそんなに前からプレスに来るわけではなく、それでもスペースはあるけど、ボールはあまり繋げていない印象でした。CKから失点してしまいましたが、崩されたわけではないので。前からの守備があまり嵌っていなくて、しんどい時間が続きましたが、そこで我慢できたことが後半につながったと思います」
Q:その後半、攻撃面で改善しましたが、後ろから見ていて良くなった要因をどう感じましたか?
「選手同士の距離感が良くなったと思います。そして、みんなが連動できるようになりました。守備の場面では(新井)萌禾が入って、最初のファーストディフェンダーのところが決まったのが大きかったです。相手のパスコースを限定して、自分たちの奪いたいところで奪うことができていたと思います。シュートを打ち切ることはできていなかったのですが、最後の最後に逆転することができました」
Q:逆転して勝ち切れたことは、チームとしても大きいですね
「最後の最後まで全員で一丸となって頑張れたことは良かったです。やっぱり勝つことにこだわってやらないといけない中で、こうやって勝てたことは自分たちの成長を示す上でも大きなことだと思います。ただ、課題はたくさんあります。後半のサッカーを前半からやらないといけない中で、できていないのが今のチームの現状なので。自分自身ももっと頑張ってスタメンに定着できるようにやっていきたいです」
Q:90分間プレーしたのは今シーズン初めてですね
「結構キツかったです(苦笑)。まだ(90分間に)慣れていない感じはあります。コンディション的には60~70%くらいだと感じているので、100%に近づけられるよう、いろいろと取り組んでいきます」
■中谷莉奈選手
Q:前半は思うような試合運びができなかったと思いますが、意識していたことは?
「チームとしてファーストディフェダーがプレスに行って、そこから後ろが連動して奪うことを意識して試合に入りましたが、ファーストディフェンダーがなかなか決まらずに、後ろもラインが少し重くなってしまいました。「ここ」というところで取り切れないことが多かったので、チームとしての反省点が多かったと感じます」
Q:新潟Lの川澄奈穂美選手への対応については?
「相手のDFなどが蹴れる状態になった時に、相手よりも先に下がる部分だったり、準備のところはもう少し早くしないといけなかったと思います」
Q:後半、流れが良くなり、チャンスを作れるようになりました。うまくいった要因は何でしょうか?
「まず守備からっていうところで、前からプレスをかけて、それに後ろが連動することは前半よりもできるようになりました。それで高い位置で奪えることが増えました。攻撃面ではサイドで前にパスコースを作ることだったり、間に(パスを)当ててもう1回受けたり、連動する部分が前半よりもできるようになりました」
Q:79分、クロスから同点ゴールを演出した場面は、迷いなく駆け上がっていきましたね
「はい。自分自身もそこを出すことが特徴というか、武器にしていきたいと思っているので、(宝田)沙織さんがボールを持った時点で、たとえボールが来なくても、絶対に追い越しに行こうという意識がありました。沙織さんがパスを出してくれて、クロスを上げきれたのは良かったです」
Q:クロスも狙い通りでしたか?
「ここに飛び込んできてほしいっていうところに、空間に上げられたかなと思います」
Q:難しいゲームを勝ち切れたことはチームの成長を示したと思います。手応えや喜びも感じられましたか?
「前半に失点して、ビハインドの状況で後半が始まって、全員が勝つことにフォーカスしてプレーできました。勝てたことは今後につながっていくと思います」
前半に先制されるも、後半に猛攻。中西ふうの同点ゴール、新井萌禾の勝ち越しゴールで逆転に成功。クラシエカップ グループステージ連勝を果たす
ノジマステラ神奈川相模原との皇后杯3回戦から中7日。舞台をクラシエカップに移し、セレッソ大阪ヤンマーレディースはアルビレックス新潟レディースをホームに迎え、2025/26 WEリーグ クラシエカップグループステージ第2節に臨んだ。先発はN相模原戦から4人変更。なでしこジャパンに選出された白垣うのが不在のディフェンスラインはセンターバックに筒井梨香が入り、右サイドバックに米田博美。GKは山下莉奈が公式戦5試合ぶりにスタメンを果たし、前線では皇后杯3回戦を欠場した田子夏海も復帰した。
立ち上がりからボールを握ったのはセレッソ。4分、右サイドで和田麻希、田子とつないで崩し、最後は宝田沙織がフィニッシュ。ファーストシュートを放つと、直後には左サイドから百濃実結香が突破。両サイドからゴールに迫る。ただし、悪い失い方からカウンターも受けると、12分、CKを直接決められ失点。リーグ戦での対戦時もCKから2失点を喫したセレッソとしては、悔やまれる形だった。その後は新潟Lが3バックを生かして幅を取りながらボールをつなぐ。序盤とは立場が入れ替わった状態となったが、18分、セレッソは中盤で奪い、宝田のパスを受けた田子がシュート。良いコースへ飛んだが、わずかに枠を外れた。続く19分にも高い位置でボールを奪取。宝田のパスから右サイドを抜けた田子のクロスにニアで百濃が潰れ、ファーで中谷莉奈がフィニッシュ。崩した形だったが、シュートはクロスバーを越えた。ここから再びボールを握る時間も増えたセレッソだが、新潟Lの守備を破るには至らない。失点以降は相手にチャンスを作らせていなかったが、35分、1本のフィードから川澄奈穂美に裏を取られ、クロスから新潟Lに決定機。崩された形だったが、中で合わせた新堀華波のシュートが枠を外れて事なきを得た。38分にもサイドからピンチを招くなど前半の終盤は押し込まれる展開も続いたが、2点目は許すことなく前半を終えた。
後半開始から松田岳夫監督は2枚替え。前半について、「運動量が足りず、切り替えも遅く、自分たちの良さを出すというより相手を探りながら試合が進んでしまった」と総括した指揮官は、脇阪麗奈と田子に代えて宮本光梨と新井萌禾を投入。交代した2選手の出来が悪いわけではなかったが、「より運動量を増やし、フォワードからしっかりプレッシャーをかけて、限定してボールを高い位置で奪うコンセプト」(松田監督)を再度、チームに注入した。すると後半開始早々、浅山茉緩と新井が高い位置でプレス。挟んでボールを奪い、新井がシュートを放つと、50分に決定機。左サイドから中央に入った百濃が宝田のパスを受けてスルスルとボックス内に進入してシュート。ただし、DFにブロックされたボールはわずかに枠を外れた。52分には、宮本がミドルシュート。枠を捉えたが、相手GKの好セーブに阻まれた。後半は、最初のプレーでスイッチが入ったセレッソが押し込んだ状態で試合を進めると、67分に3人目の選手交代。米田に代えて中西ふうを右サイドバックに投入。より攻撃で特長の出せる選手を送った。77分には和田に代わり高和芹夏が入ると、後半の猛攻が実ったのは79分。中央で起点を作った新井が前を向いてドリブル。前方を走る宝田へパスを送ると、受けた宝田もさらに左サイドを追い越してきた中谷へスルーパス。中谷の正確なクロスに合わせたのは、入ったばかりの高和。決定的なヘディングシュートはGKに防がれたが、その跳ね返りを中西がダイレクトボレー。抑えの利いたシュートをゴールに突き刺した。「相手のポジションを崩したり、駆け引きがあってのゴールだった。全員で取った素晴らしいゴール」と指揮官も称賛した全員が沸き上がる得点で勢いに乗ると、87分にはCKからピンチもあったが、ここをしのいだ試合終盤に波状攻撃を仕掛け、迎えた90+3分。勝ち越しに成功。相手のクリアボールを高い位置で拾った四本帆夏が相手をかわして左足でシュートを放つと、GKがはじいたところに詰めたのは新井。「チームメイトを信じて、『(パスが)出てくるだろうな』ではなく、『出てくる』という意識で常にゴール前に走り込んでいました」と試合後に振り返ったように、シュートを打った瞬間に動き出し、こぼれ球に誰より早く反応。ネットを揺らした。怪我から復帰後、この試合がホーム・ヨドコウ桜スタジアムでの初戦。「2カ月間ずっと悔しい思いをしてきて、この気持ちを表現するのは自分次第でした。試合に出たら絶対に自分が活躍して、勝利に貢献するんだっていう気持ちが大きかったです。自分の気持ちにも応えられたと思います」と安堵の表情を浮かべた。
試合前、「自分たちも少しずつ積み上げて、やれることは増えたはず。その増えたことを、このゲームで出せるかどうか。それが一番、大事」と話していた指揮官だが、「チームとして、少しずつ成長しているところを見てもらえたゲームだったと思います」と振り返る会心の逆転勝利を収め、これでクラシエカップは開幕から2連勝。現時点でグループCの単独首位に立った。