2025/26 SOMPO WEリーグ第13節

2025.11.9

セレッソ大阪ヤンマーレディース

中谷 莉奈 (36')

1

HOME

FULL TIME

0

1-0

0-0

ちふれASエルフェン埼玉

ヨドコウ桜スタジアム

1,046

ギャラリー

MATCH REVIEW

前半から攻める姿勢を発揮し、中谷莉奈の嬉しいWEリーグ初ゴールで先制。守備でも無失点でしのぎ、リーグ戦での連敗をストップ。公式戦ホーム4連勝を飾る

 

悔しい逆転負けを喫した前節、日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦から中6日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、ホームにちふれASエルフェン埼玉を迎え、2025/26 SOMPO WEリーグ第13節に臨んだ。先発は前節から3人変更。前節は後半から出場し、チームに勢いをもたらした浅山茉緩、和田麻希をスタートから起用。右サイドバックには米田博美がリーグ戦6試合ぶりの先発を果たした。

 

雨が降りしきる中でのキックオフとなった試合は3分、宝田沙織のスルーパスに抜け出した田子夏海がファーストシュート。7分にも百濃実結香が左サイドからカットインしてシュート。序盤から攻勢をかけたセレッソは、守備でも前へ意識が強く、高い位置でのボール奪取を試みる。12分には田子がプレスバックでボールを奪うと、そこから素早く前に当て、宝田の落としを脇阪麗奈がシュート。遠めの位置だったが、左足を思い切りよく振り抜いた。GKの好セーブに遭い、惜しくも先制とはならなかったが、「積極的に先制点を目指していきたい」と試合前に松田岳夫監督が話していたように、今節は開始からアグレッシブな攻守が目立った。19分にも右サイドからチャンス。米田が相手DFを2人引き付けて外から走り込んだ和田へパスを送ると、和田がニアへ鋭いクロスを供給。崩した形だったが、わずかに中とは合わなかった。30分、宝田の縦パスを起点に百濃、浅山とつなぎ、最後は背後に抜けた田子がフィニッシュ。枠は外れたが、鋭い攻撃だった。守備では、EL埼玉にボールをつながれ、サイドからのクロスや背後を狙われる場面もあったが、センターバックの白垣うの、四本帆夏を中心に対応。決定機は作らせない。前半はセレッソが優位に進めると、36分、先制に成功。右サイドでのスローインを深い位置で受けた和田がボールをキープ。寄せてきた相手2人を鮮やかなターンでかわしてサイドを突破すると、深く進入してからのマイナスのクロスにファーで合わせたのは中谷莉奈。「ボールが反対のサイドに出たときは絶対に中に入ろうと決めていた。麻希がクロスを入れてくれると信じて入っていきました」とサイドバックの位置から前に走り込み、左足でシュート。GKの手をはじきながらゴールにねじ込んだ。中谷にとっては嬉しいWEリーグ初ゴール。「ずっと結果を残したかった」と話した背番号17を中心に歓喜の輪が生まれた。お膳立てをした和田も、今節は今季初の右サイドハーフでの先発だったが、松田監督の起用に応える見事な突破を見せた。続く37分にも右サイドを突破した田子が角度のないところからシュート。枠に飛んだが、GKの好セーブで防がれた。41分にも高い位置で奪った和田がそのままシュート。いいコースに飛んだが、ここもGKの好守に阻まれた。追加点とはならなかったが、前半はセレッソが優勢のまま1点リードで折り返した。

 

後半、セレッソは米田に代えて中西ふうを右サイドバックに投入。EL埼玉も2人選手を入れ替えてきた。後半もファーストシュートはセレッソ。48分、背後を取った浅山がシュート。49分にも田子と浅山の2トップが背後を取り、田子のパスを受けた浅山がシュート。先ほどより、さらにゴールに迫る形を作った。59分、ペナルティーエリア内でボールを収めた田子が反転してシュート。枠は外れたが、積極的にゴールを狙う。64分には、中西が鋭いインターセプトから背後へパス。直前に浅山に代わって2トップに入っていた田中智子が巧みなトラップからシュートを放つ。後半も良い入りを見せたセレッソだが、後半は前線を2トップにして起点を増やし、全体を押し上げてきたEL埼玉にミドルシュートを許す回数も増えていくと、75分には、サイドからのクロスをGK名和咲香がはじいたセカンドボールを拾われシュートを受けるも、宝田が体でブロック。77分には、後半から入った栃谷美羽のミドルシュートを名和が指先で触れてクロスバーを直撃するシーンもあった。前節は1-0でリードしていた終盤にPKとCKから失点、逆転負けを喫したセレッソとしては、試合の締め方が求められた中、前線でキープする時間も作りつつ、後ろも体を張って対応。90+3分にはFKからゴールを脅かされる場面もあったが、シュートはわずかに枠を外れて事なきを得た。試合はこのままセレッソが1-0で勝利。リーグ戦での連敗を2で止め、ホームでは公式戦4連勝となった。

 

「ゴールに近づく機会は作るけれど、決定力、ゴールへの意識や執念が不足していた。勝利した以外の部分では、課題も多かったゲーム」と試合を総括した松田監督。選手それぞれにも反省の言葉は聞かれたが、前半から試合をコントロールしつつ、前節の逆転負けを払拭して再び前を向く勝利を得たことは大きい。今月はここから皇后杯、クラシエカップと続いていく。特に皇后杯は負けたら終わりの1発勝負。「プレッシャーはありますが、そういう試合でもセレッソが表現したいサッカーをたくさん出しながら勝って、次節以降のリーグ戦にもつなげていきたい」と宝田。リーグ戦で積み上げてきた力をカップ戦でもしっかりぶつけ、勝利を重ねていきたい。


監督コメント

■松田岳夫監督
「雨の中応援に来ていただいたファン・サポーターの方々に感謝したいと思います。 勝利しましたけれども、今日来ていただいた方々に、点数だけではなくもっともっと選手のパフォーマンス、躍動感、勝利に対する執念、そういう姿を見て欲しかったです。それを全部出し切れないゲームになってしまったことは非常に残念です。私から選手たちにゲームへの入りの伝え方をもっと工夫できなかったかと非常に反省しています。 前半のシュートまで行くシーンを作りその中で1点取れ、結果的に勝利を得たわけですが、それ以外のプレーのところでは、やはりゴール前の迫力不足。ゴールに近づく機会は作れるけれど、やはり決定力というか、ゴールへの意識や執念というのが不足している、そういうような印象でした。後半に入ると相手にリズムを取られて、なかなか高い位置でボールを奪えず防戦一方になりましたが、自分たちはリズムを取り戻すためにどうしていくのか、選手交代も含め取り組んでいきましたが、最後までそれが実らなかったと思います。今日得たものは勝利。それ以外の部分では、課題に非常に多かったゲームでした。これもしっかりと修正して、次週以降の皇后杯、カップ戦に向けて、またチームを高めていきたいと思っています」

Q:試合を通してFWがサイドに流れたり、全体的に選手が流動的に動いている印象がありました。そうした動きは、チームとして意図的にディフェンスラインの裏でボールを受ける狙いがあったのか?
「比較的これまでのゲームは、FWが足元でボールを受けてポストプレーをし、起点をつくる場面が主でした。ただ、浅山のようなスピードのある選手がスペースで受けられるようになってきており、それはここ数試合継続できていて、今日のゲームでもその形をよく出してくれたと感じています。ただ、FWにボールがついた時の2人目、3人目の連動がなかなかなく、どうしてもFWが孤立するシーンが多く、守備ではコンパクトを意識できていましたが、攻撃では距離感が悪く全体が間延びしてしまう。そこが今日のゲームで起きていた課題かなと感じています」

Q:EL埼玉のプレッシャーがきつく、ボールが落ち着きにくかったことについて、どのように感じられましたか?またWEリーグ初ゴールでもある決勝点を挙げた中谷選手の評価について
「相手のプレッシャーに対して、我々も相手チームもボールを動かしながら相手を剥がしていくというこだわりは当然持っていますが、やはりパスだけではなく前にスペースがあれば運ぶことも必要ですし、アタッキングサードでは1対1で仕掛けることも大事です。前だけでなく横方向など360度に出口を持っておかないと、どうしても慌ただしい展開になってしまう。プレッシャーを受けるとバックパスが増えて逃げの姿勢になることもあるので、もっとサポートの質を高め、最後の3人目の飛び出しを増やしていく必要があると思いました。中谷のゴールについては、チームが当初3バックでスタートし、今は4バックになっていますが、サイドバックには攻撃的な姿勢を強く求めています。今日のような攻撃参加をもっと増やしていって欲しいです。決勝点となるゴールを決められたこと、その瞬間は本当にゴールへの意識が非常に高かった。あの場面のように90分間を通してゴールへの意識を持ち続けることが、これから彼女に求められることだと思います。本当に素晴らしいゴールだったと思います」

選手コメント

■中谷莉奈選手
Q:まずは36分の決勝点のシーンを振り返ってください
「ボールが反対のサイドに出たときに、絶対に中に入ろうというのが、自分の中にありました。(和田)麻希がゴールライン際で(ボールを)持ち、クロスを入れてくれるだろうと思って信じて入っていきました。ボールが来たときはもう思い切ってシュートを打つだけでした」
 
Q:自身にボールが渡ってきた時、どう思いましたか
「『来た!』と思ったのですが、あまり考えすぎてしまうと、決められない部分もあると思ったので、思い切って打ちました」
 
Q:WEリーグ初ゴールです。得点を挙げるまで長かったという思いがありますか
「本当にずっと結果を残したくて。でもなかなかチャンスがなかった中で、今日やっと決められて良かったなと思っています」
 
Q:チームメイトからはどう祝福されましたか
「『ナイス!』って、みんなが言ってくれました。すごく嬉しかったです」
 
Q:今季は3バックで始まり、今は4バックの布陣です。最近は左サイドバックでプレーしています。普段からどんなことを心がけていますか
「4バックの時は攻撃参加に行くことを心がけています。逆サイドに(ボールが)ある時は必ず中に入っていくのと、前の選手が持ったら追い越すというのは大事にしています」
 
Q:逆サイドにボールが出たあと、どう中に入っていくイメージですか?
「特に高い位置では、(ボールを)奪われても戻る時間はあるので、とにかく中に入ってと思っています。よりゴールに近い位置に入っていけるようにというのを意識しています」
 
Q:ただ、チームとしては後半、リズムを出し切れませんでした
「相手に(ボールを)持たれた時にファーストディフェンダーが決まっていない状態だと、後ろも狙えません。そこはもっと、後ろから前の選手に声をかけて(相手の選択肢を)限定させ、自分たちが後ろから奪うというのを意識していければいいと思います」
 
Q:今後に向けての意気込みをお願いします
「これからもゴールやアシストといった結果を残していけるように頑張りたいです。このチームに必要とされる選手になれるように日々努力し、チームに欠かせない選手になりたいと思います」
 
 
■宝田沙織選手
Q:松田監督は会見で「力を全然出しきれなかった」と話されていました。1-0で勝利した今日の試合をどう振り返りますか?
「勝ったということだけはプラスに捉えられる試合だったかなと思います。というのは、べレーザ戦は負けましたが、今日よりもセレッソらしいサッカーがたくさん出ていたし、一人ひとりの攻撃の迫力もベレーザ戦のほうがたくさん出せました。その一方、今日の試合では(攻撃の迫力を)出し切れませんでした。ですので、勝ったとはいえ、何もできなかったという評価になってしまいます」
 
Q:「何もできなかった」原因はどういうところにあると感じますか?
「パスを出した後の動き出しや、3人目の関わりが少なく、相手をなかなか動かすことができませんでした。止まってパスを受けることが多く、相手のプレスを受けてしまって奪われることも多かったと思います。もっとたくさんの選手がボールに関わって相手を意図的に動かしていく。その部分はチームとして取り組んでいかないといけないと思います」
 
Q:後半は選手を代えて、立ち位置も変えてきたEL埼玉に主導権を握られる時間帯もありました。修正を試みたけれど修正し切れなかった部分とは?
「一番は選手一人ひとりの距離感です。ディフェンス、フォワード、ボランチ、それぞれの距離感が全部遠いと感じていました。それで、セカンドボールが拾えない。攻撃にもなかなか関われない。そこは大きな課題だと感じました」
 
Q:後半アディショナルタイムには、あわや失点というピンチもありました。そうした中でもしっかりと勝ち切れたことは大きいと思いますが?
「前回のベレーザ戦は勝てる試合を落とした感覚がありました。メンタル的にも時間帯的にも少しマイナスに働いてしまった部分があったのかなと思います。その教訓を生かして今日の試合は最後まで(集中力を)切らさずに全員で守ることは共通理解を持って実践できたと思います」
 
Q:公式戦ホーム4連勝です。勝ち切れたのはファン・サポーターの皆さんの存在も大きいと感じますか?
「やっぱり観客の皆さんの声援はホームとアウェイでは全く違います。選手みんな、ホームでは絶対に勝つという強い思いを持っています。それが結果につながっているのかなと思います」
 
Q:次戦は皇后杯になります。意気込みをお願いします
「皇后杯は負けたら終わりというまた違うプレッシャーがありますが、そういう試合でもセレッソが表現したいサッカーをたくさん出しながら勝って、次節以降のリーグ戦にもつなげていきたいと思います。
 
 
■和田麻希選手
Q:今日は右サイドハーフで先発出場しました。どういう意識をもって試合に入りましたか?
「右サイドでは、前向きでボールをもらいやすいポジションなので、自分の得意なドリブルを出していこうと思って試合に入りました」
 
Q:サイドに張るだけではなく、中にポジショニングを取ったりして自由に動き回っていましたね
「松田監督から『攻撃は自由にやっていい』と言われていました。前の試合でも『中に入ってボールを受けろ』と指示がありましたし、自分に求められている動きはそういうことなのかなと思って、中で積極的に受けてボールはさばくことも意識しました」
 
Q:前半36分には素晴らしいターンを決めたあと、ドリブルからのクロスで中谷莉奈選手の決勝点をお膳立てしました。あの場面を解説すると?
「あそこの位置(コーナーフラッグ付近)は好きというか、得意というか(笑)。ドリブルしやすい場所ですし、どんどん仕掛けることを意識していました。クロスを上げたときは、莉奈が見えていたわけではないんですが、そこに飛び込んできてほしいという思いであそこに出しました。決めてくれて良かったです」
 
Q:ただ、その後は攻撃の迫力を出し切れませんでした。課題に感じた部分は?
「やっぱりゴール前のクオリティです。今日は自分で仕掛けるのではなく、パス優先のプレーになっていました。自分で仕掛けて相手が食いついてからパスを出すなど、もっとクオリティを上げつつ、より積極的にフィニッシュに関わっていければと感じました」
 
 
■名和咲香選手
Q:今日は雨中での戦いになりました。ピッチコンディションを含めて、より意識したことはありますか?
「雨でも、晴れでもいつもどおりのプレーを出せるように意識しています。雨でピッチコンディションが変わったからといって、自分のプレーが変わったらダメだと思うので、普段どおりのプレーを出そうと思って試合に入りました」
 
Q:77分にはEL埼玉の栃谷美羽選手の強烈なミドルシュートを指先で触ってのビッグセーブがありました。あのシーンを振り返ると?
「辛うじて触れましたが、もっとしっかり触ってクロスバーの上にまで弾き出したかったです。相手にミドルシュートが多いということは分析でも言われていました。頭にも入っていたので、もっといい準備をしないとダメだなと」
 
Q:1-0で勝利し、公式戦ホーム4連勝となりました
「無失点で勝ちはしましたが、今日は自分のプレーは全然出せませんでした。味方に助けてもらった部分が大きいです。しっかり振り返って反省して、次の1週間でまたしっかり準備していきたいと思います」
 
 
■米田博美選手
Q:リーグ戦では6試合ぶりの先発出場となりました。右サイドバックとして意識していたことは?
「久々のスタメンでの出場だったので、何かを残そうと思っていましたが、なかなか自分のプレーや周りを生かすプレーができませんでした。悔しさが残りました。EL埼玉は背後に蹴ってくるという分析があったので、ディフェンスラインを早めに下げて、ダウン、アップのラインコントロールも意識していました。あとはチャレンジ&カバーもしっかり意識してプレーしました」
 
Q:今日は和田選手との縦関係でした。和田選手をどう生かそうとい考えていましたか?
「麻希と縦関係を組むことはあまりなかったのですが、麻希はドリブルが武器で、あと中で受けられることも特長だと思うので、自分が幅を取って彼女が中で受けやすいようにと意識しました。また、守備面では常に声をかけて、コミュニケーションを取りながらプレーしていました」
 
Q:いろいろなポジションで試合に出ていますが、どこのポジションであれ自分の力を出すという意識が強いですか?
「そうですね。どのポジションであっても、まずは目の前の相手に絶対に負けないこと。その上で自分の良さ、ビルドアップの部分や、サイドバックであれば攻撃に関わるチャンスがたくさんあるので、そこをもっともっと出していけたらと思います」
 
Q:来週から皇后杯の戦いがスタートします
「皇后杯はリーグ戦とは違って一発勝負です。負けたら終わりですので、緊張感や戦いづらさがあると思います。ですが、それで引いて守ったりするのではなく、自分たちのアグレッシブなサッカーをして、一戦一戦、目の前の相手に負けないように頑張っていきたいです」