第10節
2025.10.12日
セレッソ大阪ヤンマーレディース
和田 麻希 (38')
和田 麻希 (64')
北原 朱夏 (72')
3
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
1-0
2-0
ジェフ千葉レディース
ヨドコウ桜スタジアム
2,290人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■松田岳夫監督
「ホームで多くのファン・サポーターの方たちの前で勝利できたことを嬉しく思います。大きな声援をいただきまして、感謝しています。選手たちの力になったと思います。こういう苦しいゲームをモノにできたのも、ファン・サポーターの方たちと一体となって戦った成果だと思っています。ゲームの方は、なかなか相手のポゼッションに対して、前からハマらず、前半は特に苦労しました。積極的に(奪いに)いこうとするあまり、とにかく前から取りにいく、という思考回路になってしまい、相手のボールホルダーを限定できず、ただ闇雲に追ってしまった。結果的に、逃げ道を作られて、はがされて、後方に戻らないといけなくなる。その繰り返しでリズムを作ることができませんでした。早い段階で攻撃も守備もスイッチを入れるために選手を代えようと思い、和田を投入しました。そこでリズムが変わったかどうかは別にして、やはりあの1点が大きな流れを作ってくれたと思っています。あそこから色んなことが変わったのかなと思います。試合全般を通して、途中から入った選手がすごく戦ってくれました。トレーニングマッチも含めて、1週間、彼女たちがアピールして、競争し、今日のゲームで爆発した。チームがいい方向に進んでいるということを証明できたゲームになったと思っています。これに浮かれず、課題を修正して次節に臨みたいと思います」
Q:前半はうまく前から取れたシーンもありましたが、時間とともにプレスをはがされてサイドに展開されるシーンも増えました。想定としては、もう少し奪い切れる、押し込めるという思いもありましたか?
「高い位置で奪える、というイメージは持っていました。ただ、ファーストディフェンダーの切り方も含め、逃げ道を塞ぎ切れず、プレスバックもできず、味方同士で協力できず、行ってはがされ、行ってはがされ、それが少しずつズレて、ああいう結果になったのかなと思います。そういう意味では、もう少し限定の仕方、それから2列目、3列目のところでコンパクトに守る質を高めていかないと、なかなか奪い切ることはできないと感じました」
Q:36分という早い時間帯での交代については、チーム全体として、攻撃面で少し背後、背後になり、単調になったことも影響しているのかなと思ったが?
「そうですね。FWだけの問題ではないのですが、相手がそんなに前からプレッシャーに来ないことで、相手のゆったりしたリズムに巻き込まれてしまった。なかなかカウンターもできず、攻撃も外回りに終始した。例えば、ボランチからFWへのパスはほとんどなかった。外回りからのクロス一辺倒になり、相手としては守りやすかったのかなと感じていました。少し高い位置で相手の逆を取ったり、ボールを受けたがる選手を入れる、という意味で和田を起用しました」
Q:そうした起点を作ることに加えて、入った直後にWE初ゴールを決めた和田選手は、今週はINAC神戸レオネッサとの練習試合でも2得点、そして今日も2得点。ここまで公式戦ではゴールまであと一歩という試合が続いていましたが、殻を破りつつあるように見えます。今まさに成長盛りでしょうか?
「シンプルに外から見ていて、今まで以上にプレーをしたがっている、ボールを受けたがっている、というふうに感じます。受けてから周りを見てパスコースを探すのではなく、まず自分で行ってみようという積極性が、トレーニングマッチやトレーニングから感じた部分でした。何がスイッチになったのか。もしかしたら、スタート(先発)から出れなかったことが悔しかったのか。もしそれがスイッチになったのなら、チームにいい現象が起きているなと感じています」
Q:前節と今節と、右サイドバックの中西ふう選手が得点に絡んでいます。シーズン序盤は出場機会がなかったですが、ここに来て先発を掴んで続けてアシストと結果も残しています。彼女の現状については?
「彼女自身のプレー自体は、開幕から著しく向上したというわけではなく、元々、このぐらいのパフォーマンスはできる選手です。今シーズンは3バックからスタートしたことで、なかなかそこにハマらなかった部分と、4バックになってからも、攻守両面でと考えると、まだまだ課題は多い。ただ、彼女のいいところは、サイドにずっといるわけではなく、中の選手にボールを付けて、そのまま連続して関わりながら、いつの間にか中にいるとか。今、チームとして、ボールと人の流れを作ろうとしている中では、一つのスイッチになっていると感じています。課題は多いですが、その積極性がチームに必要な部分なので起用しました」
選手コメント
■和田麻希選手
Q:ついにWE初ゴール、おめでとうございます!
「いぇーい!ありがとうございます(笑)」
Q:1点目が入った瞬間の気持ちは?
「ホンマに入ったんかな?と確認するぐらい(笑)。決まったと分かって、めっちゃ嬉しかったです」
Q:冷静に枠に蹴り込みましたね。
「そうですね(笑)。ニアに決めました」
Q:36分に入ることは想定していなかったと思いますが、ピッチに入った時の気持ちは?
「まさかこんなに早く呼ばれるとは思っていなかったですが、チーム全体の流れも少し悪かった状況で呼ばれたので、自分が流れを変えてゲームを作っていこうという気持ちで入りました」
Q:得点はファーストタッチで決めたが?
「あまり意識していなかったですが、そうみたいです(笑)」
Q:ドリブルで切り込んで体を捻りながら逆サイドのスミに決めた2点目も凄かったですが、2点目を振り返ると?
「最初のタッチが少し大きくなってしまい、いつもなら、そこで無理やり打ってしまったのですが、冷静にもう一つ運んで、相手をかわして逆サイドに打てたのは、自分でも良かったと思います」
Q:今はイメージと体が自然に連動する感じですか?
「はい、いい感じですね(笑)」
Q:2点目のゴールパフォーマンスも決まっていたが?
「フフフ(笑)。本当はずっとしたいパフォーマンスがあったのですが、嬉し過ぎて忘れてしまって、(咄嗟に出たのが)あのパフォーマンスでした(笑)」
■田中智子選手
Q:中西選手、宝田選手、田中選手とつないで右サイドを崩した先制点の場面を振り返ると?
「(宝田から)あの場所にパスが来そうだなと思って、入りました」
Q:和田選手のWE初ゴールをアシストする形になったが?
「麻希がすごい表情で来たので、(咄嗟に)パスをしました(笑)。(和田の)体勢も良かったので、決めてくれて嬉しかったです」
■中西ふう選手
Q:交代した箇所は大丈夫ですか?
「はい、大丈夫です!」
Q:後ろからつないでくる相手に対して、立ち上がりからプレスに行った中で、いい奪い方ができた場面もあれば、相手にはがされて展開される場面もありました。中ではどのように感じてプレーしていましたか?
「相手に左右に展開されることも多く、後ろのディフェンスラインがもっとしっかり前の選手に声をかけて、『どっちを切って欲しい』とか『どこに誘導したい』とか、もっと伝えることができたら良かったと思います」
Q:攻撃では今日も右サイドが起点になっていました。前節ほどはうまくいかなかったかも知れないですが、攻撃のイメージは?
「前節と比べたら一人一人の距離が遠いと感じていました。ちょっとしたミスも多く、それで前半は特に相手にボールを握られたと思います」
Q:36分という早い時間帯に選手交代がありましたが、チーム全体としてスイッチが入った部分もありましたか?
「(和田)麻希はINACとの練習試合でも決めて、今週の練習でもいいプレーをしていたので、(早い時間帯だからと言って)違和感はなく、戸惑うことなくプレーできました」
Q:2分後、右サイドを崩して和田選手のゴールが生まれました。綺麗な崩しでしたね!
「はい、(宝田)沙織さんが頑張って走ってくれたので、感謝です(笑)」
Q:ここ2試合、うまく右サイドのニアゾーンを崩せているが?
「今年は自分があの位置を取ってクロスまで上げることが自分のやるべき役割だと思うのですが、沙織さんに感謝です。本当は自分があそこまで入ってクロスを上げることが監督の求めていることだと思うので、もっと走れるように頑張ります」
Q:チームとしての3点目も中西選手のクロスから生まれたが?
「あの場面はシュートも狙ったのですが、クロスの方が可能性があると思って切り替えました。少しズレたのですが、(北原)朱夏がうまく走り込んでくれました。練習でも一緒にやっていたので、決めてくれて嬉しかったです」
■脇阪麗奈選手
Q:立ち上がりからプレスに行った中で、いい奪い方ができた場面もあれば、相手にはがされて展開される場面もありました。中ではどのように感じてプレーしていましたか?
「(サイドを変えられて)中盤のスライドはきつかったですが、縦パスに対しては厳しく行けていたので、危ないシーンは作られなかったことが良かったと思います」
Q:その中で、はがされて展開された後、脇阪選手が守備で危ないスペースを潰している場面も多かったです。千葉がやってくることも見越して守れていた?
「そうですね。松田監督になってから、守備の部分も結構、言われていて、悔しい気持ちと、しっかりやらないといけない気持ちがあったので、今日はやれて良かったと思います(笑)」
Q:言われているのは、中盤でしっかり潰すこと、奪い切ることですか?
「中盤の強度のところです。守備もそうですが、攻撃でも言われるので、自分がやれることをもっと増やさないといけない、という気持ちでプレーしています。守備に関しては、今日は相手の中盤が多かったので、特に意識していました」
Q:それだけに、無失点も嬉しいのでは?
「はい、嬉しいです(笑)。こういう展開で失点したらもったいないので」
■名和咲香選手
Q:WEリーグでは自身初のクリーンシートになりました。気持ちは違いますか?
「違いますね(笑)。勝っても無失点じゃないと悔しいので」
Q:終盤も3点差が付きましたが、無失点にこだわっていた?
「はい!絶対に無失点で終わろうとずっと思っていました」
Q:試合を分けたポイントとして、2点目の直前のビッグセーブが大きかったと思います。クロスに逆サイドで合わせた山口選手のシュートを防いだ場面を振り返ると?
「カキさん(GKコーチ)から『体より先に目線から動かせ』と言われていたので、しっかりボール(の軌道)を見て反応できたと思います。すねに当たりました(笑)」
Q:サイドを突破されかけた場面も多かったですが、出る判断も含めて意識していたことはありますか?
「センターバックが出た後のスペースを狙われて走られると思ったので、背後のケアは、ポジションを気持ち高めに守っていました」
Q:前節、課題に挙げたクロス対応については?
「自分の特長として、手足が長くて身長が高いことがあるので、出ると決めたら出ることを意識しました」
■北原朱夏選手
Q:決めましたね!
「入ると思わなかったです(笑)。『ボールどこ行ったんやろう』と思って見たら、入っていました(笑)」
Q:ダイレクトでしたが、クロスに合わせるイメージは持っていた?
「クロスに入っていくことはイメージしていました。みんなが前に入っていったので、『少し後ろにいたら来るかもなー』と思っていました。ボールが来るまで時間があったので緊張しました(笑)」
Q:右足でのゴールについては?
「そこまで利き足にこだわっていないですし、両方蹴れるので、それはそこまで(笑)」
Q:今日は途中出場の2人が決めましたが、チームの競争意識も増していますか?
「そうですね。ベンチだった選手はもちろん、全員が次の週はアピールしていますし、練習から気が抜けない感じです」
Q:「対戦を楽しみにしていた」小川由姫選手の素晴らしい突破もありました。ベンチで見ていた時間と、一緒にプレーした時間を振り返ると?
「ベンチで見ていても『上手いなー』というシーンが何個もあって、出たら自分も魅せてやろうという気持ちでした。結果を残せて良かったです(笑)」
和田麻希のWE初ゴールを含む2得点、北原朱夏の今季3点目で快勝!ホーム連戦を今季初の連勝で飾る
2-1で勝利した前節・RB大宮アルディージャWOMEN戦から中6日。ホーム連戦となる今節。セレッソ大阪ヤンマーレディースはジェフ千葉レディースを迎え、今季初の連勝を目指して2025/26 SOMPO WEリーグ第10節に臨んだ。先発は前節と同じ11人。ベンチには、大宮戦翌日のINAC神戸レオネッサとの練習試合で2得点を奪った和田麻希も控えた。
立ち上がり、後ろからつなぐ千葉Lに対して前からプレスをかけるセレッソは、2分、いきなりチャンス。高い位置まで上がった中谷莉奈から脇阪麗奈、百濃実結香とつないで左サイドを崩すと、最後は百濃のクロスにゴール前で田子夏海がワントラップからシュート。強烈な弾道だったが、GK正面を突いた。前節の勢いそのままにセレッソがファーストシュートを放つと、以降も前線からのハイプレスで押し込む。ただし、7分、千葉Lにプレスをかいくぐられてサイドを起点に前に運ばれるなど、時間の経過とともに千葉Lのパスワークに後手を踏む場面も出てくる。互いの狙いがぶつかり合った試合はどちらも完全には主導権を握り切れないまま推移。その中で、セレッソは次第にプレスを外されて左右に展開されるシーンも増えていく。それでも、「中盤のスライドはきつかったですが、縦パスに対しては厳しく行けていたので、危ないシーンは作られなかった」と試合後に脇阪も振り返ったように、中央で受ける選手には四本帆夏と白垣うのが厳しく対応。脇阪も広範囲をカバーして危機の芽を摘み、千葉Lに決定機は作らせない。攻撃では、前から奪って速攻をメインに保持からの崩しも試みるが、中央を固める千葉Lに対し、「外回りからのクロス」(松田岳夫監督)が多くなり、怖さのある攻撃は仕掛け切れず。「相手にとって守りやすい」(松田監督)単調な攻撃になった感は否めない。0-0というスコアではあったが、攻守にリズムを掴み切れていないとみるや、松田監督の動きは早かった。36分、浅山茉緩に代えて和田を投入。序盤から2度追い、3度追いで奪い取るなど守備での献身性は高かった浅山のプレーが悪かったわけではないが、前線のキャラクターを変えて攻撃にリズムをもたらすべく、先手を打った。すると2分後、この交代策がズバリ的中。38分、右サイドで中西が起点を作ると、宝田沙織が同サイドのニアゾーンへ進入。中西からパスを引き出すと、そのまま中へクロス。DFを背負った状態で受けた田中が丁寧に落とすと、そこに走り込んだのは和田。入ってファーストタッチとなったシュートをニアに突き刺し、WE初ゴールを決めた。膠着しかけていた試合の流れを指揮官の一手で動かしたセレッソが、1点リードで前半を折り返した。
後半は守備から入ったセレッソ。前半立ち上がりのようなハイプレスではなくミドルブロックを組み、ある程度、千葉Lに持たせつつ、中央に入ってきたボールを挟み込む。千葉Lに攻撃の形を作らせずにいると、次第にボールを持つ時間も増やし、敵陣に入っていく。57分、百濃が倒されて得たFKでは、宝田が直接シュート。わずかに枠を外れたが、鋭く速い弾道にスタジアムが沸いた。64分には、左サイドで受けた百濃がカットインしてシュート。得意の形に持ち込むと、直後にセレッソが追加点。相手の組み立て段階でのバックパスをカットした和田がサイドから中央へ運ぶと、ブロックに来た相手DFを2人かわして左足でシュート。GKも届かない逆サイドのコースへ見事に決めた。昨シーズン終盤からブレイクの兆しを見せていた背番号29。大器の覚醒を思わせる鮮やかなゴールだった。畳み掛ける松田監督は66分に2枚替え。中谷に代えて北原朱夏、田中に代えて高和芹夏を投入すると、この采配もズバリ的中。交代から6分後、スローインから和田、宝田、高和とつないで中央を突破。最後は高和のパスを受けた中西のクロスにファーで待ち構えた北原が右足ダイレクトで枠内に蹴り込んだ。このシーンではニアに田子と百濃が入るなど厚みのある攻撃を仕掛けたセレッソ。北原の今季3点目で試合を決定付けた。交代選手の躍動は止まらない。77分に入った宮本光梨が2分後、ゴール前、中央からドリブルで運んでフィニッシュ。惜しくも枠を捉えることはできなかったが、得点の可能性を感じさせるミドルシュートを放った。終盤は千葉Lの反撃も受けたが、7試合ぶりの無失点を達成。2点目の直前、チームを助けるビッグセーブを見せたGK名和咲香は、WEの舞台で初めてクリーンシートによる勝利を掴んだ。
連勝を目指した今節へ向け、今週は選手たちを引き締める言葉も多く投げかけたという松田監督だが、先手、先手を打った采配がことごとく機能。「試合全般を通して、途中から入った選手がすごく戦ってくれました。トレーニングマッチも含めて、1週間、彼女たちがアピールして、競争し、今日のゲームで爆発した。チームがいい方向に進んでいるということを証明できたゲームになったと思います」とチームの成長に手応えも深めた様子だった。リーグ前半戦ラストとなる次節は、敵地に乗り込んでの三菱重工浦和レッズレディース戦。WE参入後、リーグ戦では未だ勝点を獲得したことがない相手だが、今シーズンここまで積み重ねてきた力を存分にぶつけ、3連勝を目指す。