第9節
2025.10.5日
セレッソ大阪ヤンマーレディース
百濃 実結香 (13')
百濃 実結香 (85')
2
HOME
FULL TIME
1
ヨドコウ桜スタジアム
1-0
1-1
RB大宮アルディージャWOMEN
齊藤 夕眞 (76')
ヨドコウ桜スタジアム
1,309人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■松田岳夫監督
「なかなか勝利を掴めない中で、それでもこうしてスタジアムに来て応援して下さった皆さんに、心から感謝したいと思います。試合を通じて選手の背中を押してくれました。その声援があったからこそ、ハードワークできた。サポーターの方も含めた全員の勝利だと感じています。ゲームの方は、やはりそのハードワークの部分(が大きかった)。技術、戦術ももちろんですが、球際を強く、切り替えを早く、ボールを追い越すハードワーク。そういうところをしっかり出し切ることができた。今まで試合を積み上げてきた中で、無意識に自分たちのパワーにリミッターをかけていたようなところもあって、『そのリミッターを外せたら、こういう力を出せるんだ』と、この1週間をかけて意識付けしてきました。そういうスピード、パワーの部分が少しはこのゲームで出せたのかなと思っています。それを出せたことで、特に前半はゲームの流れを掴め、ゴールにつながったと考えています。ただ、一度ハーフタイムを挟むと、再点火しなければならなくなり、スピード、パワーのところで機能し辛かった。そこで守備をする時間も長くなり、リズムを掴めなかったあの時間帯はチームとしての課題になりました。ただ、失点しても最後まで戦い、突き放し、勝ち切ることができた。苦しい時間も多かったですが、全員の力、スタートの選手だけではなく、途中から入った選手も含め、全員でつなぎながら勝利を勝ち取ったと感じています。次のゲームに向けてプラスに考えていきたいですし、これが最低限のベースとして、ここからさらに積み上げていきたいと考えています」
Q:背後へのアクションとボールを握ることがうまくミックスされた内容だったと感じています。その要因の一つとして、2トップ、ボランチの人選も関係してくると思いますが、今節の先発に込めた思いは?
「今日の2トップは、それぞれタイプが違う。足元で受けてターンをするタイプと、スペースに走って起点を作るタイプ。連係という部分では課題もありますが、違ったタイプのFWが前で色んな形で起点を作れたことは大きかったです。それから、宝田がボランチで出場した中で、我々の中央のところでボールを引き出す、時間を作ることができた。今まではパスの意識は高くても、味方がオーバーラップする時間がなかったり、攻め急いで結果的に自分たちのミスにつながってしまったり。そういう悪循環を招いていたのが、少しそこで余裕ができた。そういうイメージは持てています。ただ、これを90分続けていくことが大事なので、課題はまだまだ多いですが、何かきっかけになれば、というゲームになったと思います」
Q:2得点の百濃選手ですが、「ボランチをやったことで、サイドになっても、ボールを受ける気持ちが強くなった」という話もしていました。この短期間でも変化や成長は感じていますか?
「百濃に限らず今のウチの選手はトレーニングの中から色んなポジションをやっています。景色がちょっと変わるだけで、やれることも変わってくる。最初は違和感があっても、積み上げることによって、プレーの幅につながっていきます。最後、どのポジションをやるにしても、プレーの幅が広がることはいいことだと思います。今日は比較的、サイドの選手が中に入ったり、後ろの選手が前に行ったり、中央の選手が外に出たり、人の流れができたことがチームとしても大きかった。ゲーム前にそういう話をした中でやれたことは、チームとしても一歩、前進できたのかなと感じています」
Q:メンタル的なことになりますが、第6節、日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦の試合後は、「ラスト5分とアディショナルタイムでやり切ることができなかった」という話をされていましたが、今日に関しては、追い付かれた後のメンタルはどう見ていましたか?
「勝利するために自分たちが何をできるか。実際にグラウンドにいる選手がパフォーマンスで表現するしかないわけです。とにかく全てを出し切ろうと。下を向く時間はないし、とにかく前向きにやり続けることだという話もしました。ちょうど今、Jリーグも佳境に入っていますが、優勝争いや残留争いでは、プレーの激しさや思いもピッチに出ています。まさに昨日、男子トップチームが名古屋グランパスと対戦しましたが、(J2降格圏に近い)グランパスの勢いとか、そういうことも具体的に選手に話をしました。WEリーグに入れ替えはないですが、我々が今、置かれている状況は、順位を考えても、結果を振り返っても、決して良くはないと。そのギリギリの状況の中で最後まで戦っていけるか。この場で戦っている選手たちの責任だと思っているので、その部分を少しだけ感じてくれたのかなと思っています」
選手コメント
■百濃実結香選手
Q:2得点、おめでとうございます!
「ありがとうございます(笑)」
Q:率直な気持ちとしては、ホッとした感じでしょうか?
「そうですね。負け続けていたので、ホンマにホッとした感じです(笑)」
Q:5連敗中だったので、やはり今節は絶対に勝ちたかった?
「監督からも、『これ以上落ちることはないから気持ちを見せろ。リミッターを外せ』と言われていたので、練習でも今週は上げていました。気持ちの部分で負けないことを一番大事にしていました。1対1でもセカンドボールでも負けないことを意識していました」
Q:1試合2得点というのはこれまでありますか?
「なでしこリーグではありますが、WEリーグでは初めてです」
Q:それもリミッターを外した効果でしょうか?(笑)
「フフフ(笑)。でも今日は『2点を決めてくるわ』と家族に言って家を出てきたので(笑)」
Q:すごいですね(笑)
「はい(笑)。でも本当に取れるとは(笑)。あと、今シーズンが3年目ですが、年々、1点目が早くなっているので、そこもちょっと安心しました(笑)」
Q:2点目は相手もシュートブロックに来ていた中で、浮かせ気味で打ちましたか?
「いや、もう無我夢中でした。誰が打ってもセカンドボールに反応できるように準備はして。あの場面も(脇阪)麗奈さんが打つと思ったので準備したら、いいボールが来ました。相手の足が見えたから浮かせたとか、そういうことも考える間もなく先に触ろうと思って蹴ったら、あのコースに飛んでいきました(笑)」
■中西ふう選手
Q:今季初先発となりました。試合前の思いは?
「今まで通り、変わらず自分がやれることをやろうと思って入りました」
Q:出られない間はどういう思いで練習していましたか?
「自分の中でも、昨年と体が全然違う感じがあったので、自分の体と相談しながら、どうやったらうまくいくかなと思いながらやっていました。あとは、球際の部分が足りないと感じていたので、そこも意識して頑張りました」
Q:連係で押し込むこともできますし、溜めることもできます。やはり中西選手がサイドにいるとスムーズに攻撃も進むと感じたのですが、プレーを振り返ると?
「トモ(田中智子)が中でポジショニングよく取ってくれたので、クロスを上げる位置まで入りやすかったです」
Q:先制点のアシストはピンポイントでのクロスだったが?
「GKに取られるかな、と思ったのですが(笑)、実結香が決めてくれて良かったです」
■脇阪麗奈選手
Q:試合終了の瞬間はホッとした感じですか?
「そうですね、やっと勝てたな、という感じでした(笑)」
Q:内容的にも、前へのアクションもあり、ボールも握れて、良かったのでは?
「前半はほとんどこっちのペースで進めていて、今までやりたかったことが表現できた前半だったんですけど、後半は相手も選手を代えてきて、こっちがはね返せない状況で失点したことは課題だと感じました。(後半は)前半とは違う入りになって、押し返すことが難しかったです」
Q:今節は先発から初めて宝田選手とボランチを組みましたが、お互いの良さが出ていたと思います。脇阪選手も生き生きしていましたね(笑)
「ハハハ(笑)。ボールを収めてくれるので、自分も思い切って前にアクションできて、そこにボールも来て、そこから攻撃というシーンも多く作れたと思います。持っている良さを出せたと思います」
Q:その推進力が決勝点にもつながりました。人数をかけて攻めて、ゴールにつなげたが?
「ボランチが2人ともゴールエリアに入っている状況で、絶対にシュートで終わらないとカウンターを受けるシチュエーションだったので、良かったです。最後は自分のトラップミスがパスになって、(百濃)実結香が決めてくれました(笑)」
Q:パスを狙ったわけではなく?
「トラップして左足で打とうとしたんですけど、(結果的に)パスになりました(笑)」
■宝田沙織選手
Q:前節の途中からボランチになって、「次、どうなるかな?」と思っていましたが、今節もボランチでしたね(笑)
「ボランチになりましたね(笑)」
Q:気持ちとしては、どう整理しましたか?
「監督ともコミュニケーションをしっかり取れましたし、ボランチとして1週間、準備もできたので、いい感じで試合にも入れたと思います」
Q:監督の思いも伝わった?
「はい。『こういうプレーをして欲しい、こういう思いがあるから、今はチームのためにボランチをやって欲しい』と言われて。チームのためだったらと思って、やりました(笑)」
Q:やはり宝田選手が中央にいることでチーム全体が落ち着くというか、見違えますが、自分自身ではどういうプレーで貢献したい思いでしたか?
「落ち着かせるところ。前に前に急ぐときも必要ですが、マイボールにして、パスをつないで前に進むことは、これまでなかなかできない試合が多かったので、そこは自分がしっかり落ち着かせて、つないでサッカーすることは意識してプレーしました」
Q:脇阪選手と2人が中央にいることで、攻守に安定感も出ていたように思います
「自分ら2人は攻撃的というか、前に関わることが多いので、流動的に動くことで相手もマークに付き辛かったかなと思います」
Q:脇阪選手も生き生きしていましたね(笑)
「そうですよね、ほんと(笑)」
Q:決勝点も2人がボックス内に入って生まれました。良さが出ましたね
「同点だったので、得点を取るしかなかった。リスクも考えつつですが、2人とも攻撃に関わって点を取れたことは、セレッソのいいところかなと思います」
Q:セカンドボールを前向きに受けたり、そこから拾ってドリブルするシーンもありましたが、逆にボランチだからこそシュートシーンも増えるのかなと思ったが?
「そうですね。ボランチに入ることで2列目からの動き出しでフリーにもなれますし、フリーでロングシュートを打てるシーンも作れるので、ゴールも狙っていきたいです」
■四本帆夏選手
Q:WEリーグの舞台でホームでは初めてでしたが、ヨドコウ桜スタジアムでプレーした感想は?
「アウェイでもたくさんの方々が足を運んで下さっていましたが、アウェイとは違う雰囲気で迫力があったというか、特別な気持ちになりました」
Q:前半から齊藤夕眞選手と競る場面も多かったですが、どういう思いでプレーしていましたか?
「相手は経験値が高く、そこは自分の方が劣っているとは思いますが、それでも絶対に負けない、球際を強くいく、スピード感は速くても予測したり、そういうところでは負けないように意識して戦いました」
Q:後半、少し苦しい時間があり、でも最後はまたギアが上がったように見えたが?
「苦しい時間が続いた中で、もう一つ、二つ、足を運ばないといけないと思いました。みんな体を張って戦ってくれて、自分のカバーもたくさんしてくれていたので、自分も自分のできることを100%しないといけない。そういうことを感じて、最後は頑張りました」
Q:WEの舞台で初勝利ですが、試合終了の瞬間はどのような思いでしたか?
「失点はしたのですが、実結香さんが2ゴールを決めてくれて、全員で躍動できて勝ちを掴めたと思うので、めっちゃ嬉しかったです」
■名和咲香選手
Q:先発した試合でWEリーグ初勝利となったが、勝利した瞬間の思いは?
「やっと勝てたなと(笑)。失点したから悔しい思いもありますが、チームメイトが点を取ってくれたので、『ありがとう』という気持ちでした」
Q:後半開始15分、20分ぐらい、押し込まれた時間帯で何度も好セーブを見せていたが?
「集中して入ろうと思っていたのと、ハーフタイムにカキさん(垣井大治GKコーチ)から、『後半はミドルシュートも増えると思う』と言われていたので、しっかり準備してプレーできました」
Q:あの時間帯は相手のセットプレーも増えたが、対応については?
「自分は何もしていないです。味方が全部、助けてくれました。だから自分ももっと成長しないといけないと思ったので、もっと練習します!」
3試合ぶりにホームに戻った今節は、前半から果敢に攻める姿勢を発揮。百濃実結香の2得点で連敗を5で止め、今季2勝目を掴む
0-1の敗戦を喫した前節・サンフレッチェ広島レジーナ戦から中7日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、3試合ぶりにホームに戻り、RB大宮アルディージャWOMENを迎えて2025/26 SOMPO WEリーグ第9節に挑んだ。先発は広島戦から3人変更。右サイドバックに今季初先発となった中西ふうが入り、その一つ前、右のサイドハーフには田中智子が4試合ぶりスタメン、2トップの一角には田子夏海が2試合ぶりスタメンを果たした。並びは前節の終盤を継続。宝田沙織がボランチに下がって脇阪麗奈とコンビを組み、田子の相方は浅山茉緩。攻撃的な布陣で臨んだ。
両チームともシステムは4-4-2。立ち上がりは2トップの背後やサイドのスペースを狙う、似た形で攻撃を仕掛ける。その中で、最初の決定機はセレッソ。9分、田中が起点を作り、中西がクロス。DFのクリアボールを拾った脇阪がシュート。DFに当たってこぼれたところを今度は田子がフィニッシュ。後者は決定的な形だったが、GKに防がれた。ここから前半はセレッソが主導権を握る。試合前、「つなぐだけではゴールに向かえない。そこには人の流れも必要。人が動かないと、相手も崩れない。ボールを持っていない人がアクションを起こさないといけない」と今節に向けた改善点を話していた松田岳夫監督だが、まさに今節のセレッソは2トップが積極的に動き出し、ボールを収め、そこに湧き出る形で後方から選手がサポートしてチャンスを創出。13分、四本帆夏のロングパスから右サイドのスペースを取った浅山が狙い澄ましてニアへクロスを上げると、そこへ鋭い動きで入った田子のシュートは惜しくもポストを叩いたが、この流れからセレッソが先制に成功。ポストに当たったはね返りを田中が収め、中西が正確なクロスを上げると、ニアで田子がGKを引き付けて、その裏で合わせたのは百濃実結香。うまく合わせたボレーシュートでネットを揺らした。セレッソは守備でも白垣うの、四本のCBコンビを中心にアラートな対応で大宮の攻撃を防ぐと、24分にも決定機。宝田、中西と鋭い縦パスをダイレクトでつなぎ、受けた田子が右サイドのペナ角からドリブルで運んでシュート。ループ気味でありながら強烈な弾道を飛ばしたが、惜しくもクロスバーを直撃した。31分には、大宮にサイドを取られてクロスからピンチも招いたが、シュートはポストに当たり、事なきを得た。単発で大宮にチャンスを作られることはあっても、前半は総じてセレッソが試合を支配。38分にも決定機。田中のパスに抜け出して右サイドのニアゾーンを取った脇阪がクロス。浅山と競ったDFのクリアに中谷莉奈が詰めたが、GKの体を投げ出した好セーブに阻まれた。前半のセレッソは、アグレッシブにゴールに迫る動きとボールを握って時間を作るプレーが融合。「今までやりたかったことが表現できた」(脇阪)内容で優位に立ち、1点リードで折り返した。
後半は開始から選手を入れ替えてきた大宮の攻勢を受けると、48分、50分と立て続けにピンチも迎えたが、いずれもGK名和咲香が手を伸ばしてゴールを守った。後半の立ち上がりはボール保持で時間が作れず、大宮のターンが続く。前半は機能していた田子と浅山の2トップにもボールが入らず、シュートまでいけない。大宮のセットプレーの機会も増えるなど、セレッソにとっては苦しい時間帯が続いたが、ここをしのぐと、72分、田子が強烈なシュートを放ち、大宮ゴールを脅かす。ここで得たCKから決定機。ただし、脇阪のキックにニアで合わせた白垣のヘディングは惜しくもクロスバーを叩いた。すると76分、大宮に一瞬の隙を突かれて失点。相手の高い位置でのスローインの流れから、途中出場、田中聖愛のクロスに齊藤夕眞に頭で決められた。前半の内容を考えると引き分けでは終われないセレッソは、ここから再びギアを上げる。82分、GK名和のロングキックを田子が収め、この試合5本目のシュートを放つ。ここはGKの好セーブに阻まれたが、連続してCKを獲得するなど押し込むと、85分、勝ち越しに成功。百濃が左サイドをドリブルで突破しクロスを上げると、ペナルティーエリア内に田子、浅山、高和、脇阪、宝田と5人が入り、田子の落としを受けた宝田がゴールへ向かう。DFに防がれたこぼれ球を拾った浅山がシュート。DFにブロックされたセカンドボールに反応した脇阪がトラップすると、これが百濃への絶妙なパスになり、走り込んだ百濃が豪快にネットに蹴り込んだ。厚みのある攻撃で再びリードしたセレッソは、90分には途中出場の和田麻希がドリブルから巧みなフェイントで相手を外してシュート。クロスバーをかすめて外れたが、貪欲に3点目を狙うと、後半アディショナルタイムの大宮の反撃も抑えて2-1で勝利。連敗を5で止め、今シーズン2勝目を掴んだ。
見事なシャドーストライカーぶりを発揮して2得点を決めた百濃は、試合後、「負け続けていたので、ホッとしました(笑)」と目には薄っすら涙も浮かべつつ、安堵の表情を見せ、「監督からも、『これ以上落ちることはないから気持ちを見せろ。リミッターを外せ』と言われていたので、練習でも今週は上げていました。気持ちの部分で負けないことを一番大事にしていました」と今節に臨む前の心境を明かした。チーム、選手が苦しみながらも乗り越えた一つ目の壁。選手それぞれの個性が発揮された今節は、今後、飛躍を遂げていくためのきっかけにもなる一戦だった。中6日で迎える次節のジェフ千葉レディース戦は再びホーム。次は今季初の連勝を狙う。