第8節
2025.9.27土
サンフレッチェ広島レジーナ
李 誠雅 (38')
1
AWAY
FULL TIME
0
エディオンピースウイング広島
1-0
0-0
セレッソ大阪ヤンマーレディース
エディオンピースウイング広島
2,606人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■松田岳夫監督
「毎回のことですが、アウェイの中、応援して下さったファン・サポーターの方に申し訳ない気持ちでいっぱいです。勝利を信じて応援して下さったことに報いることができず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。選手たちは、勇気を持って戦ってくれたと思いますが、気持ちの部分は改善しても、プレーで表現できなければ、結果は変わりません。それぞれが頑張っても、なかなかチームとして一つになれない。相手のゴールに向かう部分ではマイナス面に働いてしまったと思いますが、今日はボールを動かすということをイメージしてゲームを進めていった中で、やろうとする意識は感じられたと思います。ただ、これが今の我々の力です。やろうとしてもできない、というのが今の我々の実力なので、我慢強く高めていくしかありません。ゴールを目指すために、どう味方同士が絡んでいくのか。どうやってチームとして表現していくのか。これは積み上げていくしかないことなので、我慢強く次のゲームに向かって考えていきたいと思います」
Q:今の総括とも重なるのですが、今日のテーマとして、「相手のプレッシャーを怖がらずにボールをつないで打開していく」ということがあったと思います。前後半を通じてチャレンジする意思は見えましたし、良い場面もありましたが、シュート数という意味では、前半は1本、後半も2本しか打てていません。両立していくために、今後、必要になることは?
「今は漠然としていますが、システム云々ではなく、選手が適材適所ではない、ということもあるかも知れません。やはり前めの選手であれば、1試合で3本、4本とシュートを打って欲しいですし、その意識が不足していると感じます。サイドの選手であれば、相手もサイドにスライドしてボールを奪いにきます。そこで奪われてはいけない。そのために何をするのか。それがしっかりできる選手がそこにいるべきで、(今日に関しては)相手の強度に対してノッキングするシーンも多かったので、改善していかないといけません。選手の質を高めると同時に、もう少し選手のプレースタイルを見極めながら、また色んなことを考えていきたいと思っています」
Q:まさに監督自身が選手を見極めている、ポジションも含めてトライしている最中だと思いますが、今日は後半の早い時間帯で宝田選手をボランチに落として、彼女の技術、キープ力、展開力が発揮されていたように思いました。彼女自身はFWを希望してこのチームに加わったと思いますが、今後もボランチでの起用は選択肢に入ってきますか?
「もちろん、本人がFWを希望して、という意思はこちらも理解していますし、そういう方向で進めてきました。今後については彼女とも話をしながらですが、何より今日の試合も含めて、ここまでFWで輝けていない、僕が彼女を輝かせることができていない。そういう現象が、事実として起きています。彼女が輝くためにどうするのか。トレーニングの中からFWとしてもっとやれることを高めていくのか。あるいは、下がったポジションで彼女の良さを生かしていくのか。それは今後の展開次第だと思っています。今の時点では、どうするか頭の中にはないです」
Q:今日は高校1年生の四本帆夏選手がWEリーグ初先発を果たしました。とても安定して、周りとも全く遜色ないプレーを見せていましたが、彼女の評価について
「全く違和感なくできる。それは今日のゲームで証明できたと思います。彼女が経験を重ねることで、我々のオプションが増える、チーム力が向上する。頼もしい選手だと感じています。まだトレーニングに参加して間もないですし、もっともっと判断力やチームとのコミュニケーション、連係の部分を高めていけば、もう少し真ん中で彼女の力を発揮させることができるのかなと思っています」
選手コメント
■宝田沙織選手
Q:前半は両チームにいい時間帯がありましたが、前半を振り返ると?
「自分が受けた時や、もう一人のFWが起点になった時の迫力、前へのパワーは足りなかったと思います。一回、攻撃してもセカンドボールが拾えなくて、1発の攻撃になり、なかなかゴールまで行けなかったという印象です」
Q:つなぐことにもこだわりながらやっていますが、シュートまでいけないことが課題?
「そうですね。味方との距離もまだまだです。でも今日も自分が2列目からの動き出しでフリーになるシーンもあったので、そこで受けることができれば、もっといい形も作れると思いました」
Q:積み上げていく難しさも感じていると思うが、やはり攻撃の回数を増やしていくことが一番の課題ですか?
「もっと攻撃に関わる人数を増やしたり、個で仕掛けるタイミングを作ったり、シュートに行く機会を増やしていかないといけない。自分も修正しないといけないですし、味方とも合わせていかないといけないと思います」
Q:後半の途中からはボランチに下がりました。欧州でもやっていたポジションですが、見ている感想としては、収まりもよく、展開力もあり、このチームでもハマる可能性も感じたが?
「フフフ(笑)。そこで起用されたら、やるしかないですし、まひ(浅山茉緩)がFWに移ったことで前のパワーが出たり、なっちゃん(田子夏海)が入ったことで収める起点が増えたので、自分も(パスを)出しやすかったです。あとは、最近はサイドチェンジも少なかったので、サイドも少しは広く使えたかなとは思います」
■脇阪麗奈選手
Q:試合前、監督も、「ボールを保持しようとすればプレッシャーはくるし、リスクもある。でも、そのリスクに恐れず向かっていけるか」と話されていましたが、前半からつないで打開する意思は伝わってきました。一方で、シュート数が伸びないジレンマもあったかと思いますが、今日の試合を振り返ると?
「前半、自分が落ちたりして、ボールがうまく回った時にゴール前まで行けたシーンはあったのですが、その回数が少ないのと、自分も含め、中盤でボールを失うシーンが多くて、なかなかリズムを作れないまま相手のセットプレー1本でやられてしまった。後半は何度もはね返す場面は作れた中で、自分は何もできなくて。そういう試合が続いていて、悔しいです」
Q:起用法も含めて監督も色々なトライをしている中で、まだコレといった形が出来上がってはいませんが、現状について
「1年目も厳しい試合が続いた中で、監督が代わって新しいことにチャレンジしている中で、似たような状況ではあるのですが、自分が試合を変えられないというか、目に見える結果も出せていないですし、試合を通して流れを変えるプレーができていないことが、チームにも影響しているのかなと強く思います」
Q:今日はボールへの関わり方、受け方も良かったと思うが、まだまだ足りない?
「このサッカーをするためには、ボールをもっと触って、もっと受けて、無理な状況でも打開できないといけない。それがまだまだできていない。練習でもトライしているのですが、自分の足りないところでもあるので、まだ身に付いていないなと。少しずつはできるようになってきましたが、一気に見違えるようにはできないな、という思いです」
Q:途中から宝田選手がボランチに落ちましたが、彼女のキープ力、展開力を生かしたダイナミックな攻撃も含め、いいシーンもありました。ボランチでコンビを組んだ感想は?
「起点を作ってくれて、ゴール前でなっちゃん(田子夏海)がシュートを打ったシーンだったり、そういう場面もいくつか作れました。ボールを失わないので、自分も思い切って前に行けた部分もありました。初めて組んだのですが、変な感じもなく、スムーズにできたかなと思います」
Q:後ろでは四本帆夏選手がWEリーグ初先発を果たしました。プレーしていて、どう感じましたか?
「練習でも、前節のアルビ戦(アルビレックス新潟レディース戦)でもしっかり入ってくれて、16歳とめっちゃ若いですが、それを感じさせないぐらい頼もしくて、チームを引っ張ってくれていると今日も思いました」
■浅山茉緩選手
Q:右サイドバックで先発しました。4バックの右サイドバックの経験はありますか?
「4-4-2の右サイドバックは、WEリーグになってからは、あまりやっていなかったです」
Q:どういうプレーを心掛けて入りましたか?
「相手に中嶋淑乃選手という、スピードが速くてドリブルが上手い選手、そこからチャンスを作ってくる相手がいたので、1対1で負けないこと、簡単にドリブルさせないことは意識したのですが、ロングボールが入った時に、ボールの移動中に寄せ切れなくて、抜かれたり、サイドからクロスも上げられたことは反省点かなと思います」
Q:セットプレーから失点はありましたが、流れの中からの失点は防いでいたが?
「セットプレーは相手の強みで、ニアで合わせてくる選手は多い中で、警戒はしていました。一人一人が責任を持ってやる部分では、できていたこともありますが、相手の方が勝負強かったり、細かいところで負けていることが、失点につながったと思います」
Q:後半の途中からは2トップの一角に入りました。FWでのプレーで意識したことは?
「言われた時はビックリしたのですが、楽しみというか、ワクワクする気持ちでした(笑)。守備ではスイッチを入れて、なるべく高い位置でボールを奪えるように、前線からのプレスを心掛けました。攻撃では、自分は背後に抜けることが得意なので、背後に抜け出してボールを受けること。あとは、スローインの時に体を張って起点になることも心掛けたのですが、FWとして、シュートを打てず、ゴールに向かう回数が少なかったことは足りない部分だったと思います」
■四本帆夏選手
Q:WEリーグ初先発を果たしました。プレーを振り返ると?
「失点もしましたし、足りないところが全部、出たと思います」
Q:安定したプレーをしているように見えましたが、課題に感じたことは?
「ボールを受ける回数も時間が経つにつれて減りましたし、怖がった消極的なプレーが多かったなと思っています。マークも、クロスが上がってくるタイミングではがされたりしているので、足りなかったと思います。そこは修正してもっと高めていきたいです」
Q:次節のホームゲームへ向けて、意気込みをお願いします
「今週も練習に呼ばれたらしっかりアピールできるように、頑張りたいと思います」
攻守に狙いを持ったプレーを披露も、セットプレーからの1失点に泣く。シュートの場面を増やし、ホームに戻る次節こそ勝利を掴みたい
前節から中6日。連敗を止めるべく敵地に乗り込んだセレッソ大阪ヤンマーレディースは、サンフレッチェ広島レジーナとの2025/26 SOMPO WEリーグ第8節に挑んだ。先発は前節から4人変更。GK名和咲香が2試合ぶり、前節WEデビューを飾った四本帆夏がWE初先発を果たし、ボランチの宮本光梨が2試合ぶり、前線の和田麻希は4試合ぶりの先発となった。システムは4-4-2。試合開始から採用するのは今シーズン初めて。
立ち上がりは広島に攻め込まれる場面もあったが、ここをしのぐと、10分過ぎからセレッソもボールを持つ時間を増やし、敵陣に入っていく。11分には、今節は右サイドバックで先発した浅山茉緩が中央へパスを送り、宝田沙織がダイレクトで裏へ狙う。惜しくも和田には通らなかったが、浅山が高い位置を取った中で前線と絡み、良い距離感で崩しを試みた。その後も狙いどころを絞った守備でボールを奪うと、奪ったボールは丁寧につないで組み立てる。試合前、「自分たちの良さをしっかり出すことで、相手が自分たちに合わせてくる、それぐらい強気でいきたい」と話していた松田岳夫監督だったが、そうした気概を選手たちがピッチで表現。19分には、この試合は左サイドハーフで先発した北原朱夏が高い位置でボールを奪い、宝田が遠めの位置からミドルシュート。枠には飛ばなかったが、両チーム通じて最初のシュートを放った。20分にも白垣うのを起点に北原へ縦パスが入り、北原の落としを受けた宝田が背後へスルーパス。惜しくも百濃実結香には通らなかったが、中央をテンポよく割っていく攻撃を見せた。20分過ぎからは再び広島にペースを握られると、セットプレーを与える機会も増えていく。すると38分、広島に先制を許してしまう。FKから李誠雅にバックヘッドを決められた。前半、広島に許したシュートはこの1本だっただけに、セレッソとしては悔やまれる失点となった。もっとも、自分たちが放ったシュートも宝田の1本のみ。後半に向けて、より深い位置で攻撃を仕掛けていく課題も見られた前半となった。
後半も立ち上がりは広島の攻撃を受けると、54分には再びCKから枠内にヘディングを打たれたが、ここはライン上で和田がクリア。懸命なプレーで何とか2失点目は防いだ。その後も立て続けにCKを与えたが、前節の反省も生かし、ニアでしっかりクリア。体を張った守備を見せた。55分、最初の選手交代を行う。宮本に代わって田子夏海が入り、田子が和田と2トップを組み、宝田がボランチに下がった。61分、四本のインターセプトから田子が前へ向かうなど、代わって入った背番号28の推進力でセレッソがゴールに迫る。次第に敵陣でのプレーを増やしていくと、65分にさらに2枚代え。和田と北原に代わり、米田博美と高和芹夏が入った。この交代により、浅山が2トップの一角に上がり、米田が右サイドバックに。高和は右サイドハーフに入った。68分、宝田のフィードに浅山が背後を取ってクロス。ポジションチェンジによる良さも発揮し始めると、75分、宝田のカットから田子が思い切ってミドルシュート。やや遠めの位置だったが、積極的にフィニッシュに持ち込む田子の良さが発揮された。守備では後半になっても運動量が落ちずに粘り強く対応。82分、中嶋のカットインからのシュートは名和が好セーブ。すると89分にこの試合、最大のチャンス。浅山のポストプレーを起点に宝田がサイドへ展開。途中から右サイドバックにポジションを移していた白垣のクロスに合わせたのは田子。良い崩しだったが、シュートはわずかに枠を外れた。ラストプレ-では白垣のクロスに2列目から宝田が飛び込むも、惜しくも合わず。開始から終始、締まった良い戦いを見せたセレッソだったが、1歩及ばず敗戦。これで連敗はクラブワーストの5に伸びた。
試合後、松田監督は、「選手たちは勇気を持って戦ってくれたと思います」と称えつつ、「気持ちの部分は改善しても、プレーで表現できなければ、結果は変わりません。それぞれが頑張っても、なかなかチームとして一つになれない」現状を指摘。試合中に目まぐるしくポジションが変わる中でも懸命に役割をこなしていた選手個々の奮闘をどうグループとしての強さに変えていくか。ホームに戻る次節では、今節、見せた改善の兆しを結果につなげたい。