第6節
2025.9.15月
セレッソ大阪ヤンマーレディース
新井 萌禾 (35')
オウンゴール (64')
2
HOME
FULL TIME
3
ヨドコウ桜スタジアム
1-1
1-2
日テレ・東京ヴェルディベレーザ
塩越 柚歩 (33')
北村 菜々美 (52')
菅野 奏音 (85')
ヨドコウ桜スタジアム
2,331人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■松田岳夫監督
「ホームゲームで、たくさんの人たちに後押しをしていただきました。最後まで粘り強くゲームを進めることができた最大の要因だと思っています。我々の力だけではなく、本当に声援の後押しがあった。それは、まず始めにこの場でお伝えしたいと思います。ある程度、ゲームのコンセプトを立てながら進めていけました。85分までは。当然、先に点を取ってゲームを優位に進められれば良かったですが、なかなかそういう展開にはならなかった。ただ、取られて取り返して、取られて取り返して、そういう展開までは持ち込めた中で、ラスト5分、アディショナルタイムも含めて、その時間帯で、どこか頭の中で、『よくやった』と自分たちで思ってしまった。それが最後、ボールへの寄せが一歩、一秒、遅れたり、相手にボールを持たれながらゲームをクローズされてしまった。あの時間帯で力を発揮することは難しいですが、85分を戦えても残り5分を戦えなければ、勝ちは手に入らない。それを考えると、まだまだチームに課題は多いのかなと思います。ただ、戦えたことは事実ですし、その5分をどう埋めていくか。それはこれからの課題になっていきますが、自分の中では、約3ヶ月チームを見てきて、このチームのポテンシャルはこんなものじゃないと思っています。その一端を見せることはできた。そこは評価すべきです。ただ、選手たちがこの結果を踏まえて、惜しいで終わるのか、悔しいと思って次につなげていくのか。それは今後のゲームでファン・サポーターの方たちに披露していければと思います。非常に悔しいゲームでした。それは全員、同じだと思いますが、ただ悔しいだけではなくて、次につながる一歩にしていきたいと思います」
Q:昨シーズンまで率いていた相手との試合を終えて、どのような感想をお持ちですか?
「個人的な感情は全くないです。当然、彼女たちを指導してきた中で、こうして欲しいとか、チーム作りの上で色々考えながらトレーニングを積んできました。その高めてきたチームと対戦する上で、やっぱり厄介なチームだなとは感じました。逆に、こういう仕事をしていると、それに対してどうするか、どんどんやらないといけないことが増えてきます。それは、個人的にはワクワクする気持ちになります。それをうまく選手たちに伝え切れれば良かったですが、うまく選手たちに伝え切れなかった。今日のゲームに関して、自分自身の反省も感じるところがあります」
Q:試合前、「ある程度、守備に回ることは覚悟しています。ただ、ズルズル下がるつもりはない」と話されていました。まさにそのような守備が見られたと思います。うまくいった部分、それでも最後、相手にこじ開けられてしまった課題については?
「前節の大量失点もあったので、今週のトレーニングでは、やはり失点しないことは一つのテーマになりました。ただ、守備を固めてカウンターのイメージは全くなく。守備のベースの部分をまだこのチームはしっかりと植え付けられていないというところで、守備意識はトレーニングの中で時間を割いてやってきました。映像を使う、実際のトレーニングで落とし込む。短い時間の中で、そこは選手たちがしっかり理解し、今日のゲームで表現してくれたと思っています。ただ、我慢しながら守備をする中で、『ここだ』と思うところで勝負する(取りにいく)。その勝負したところで、食い付いた裏をやられる。その駆け引きの部分では、相手に一つ、二つ、イメージの部分では上回られたかなと思います。その差だけですが、その差が大きい。課題は多いですが、持って行き方次第では、次に向かっていける第一歩になったのかなと思います」
Q:攻撃力の高い相手に対して、前半は守備で締める時間も多かったが、後半は前進力も見せたと思います。ハーフタイムで伝えたことについて
「どうしても守備の時間が長くなると、奪ったボールを縦に、前へ、という意識が強くなる。もちろんそれは、カウンターに出ていくためには必要ですけど、前後の動きだけになると、どうしてもパスコースが狭くなる。サポートの角度を作るために、横の動きも強調しました。ボールに対してサポートの角度をしっかり持とう、と。さらにそこに3人目が絡んで行けるように。距離的には難しい部分もありましたが、横に動くことを強調した分だけ、広さができたし、相手の間でボールを受ける意識も多少は出てきたと思います」
Q:もちろん勝負の世界なので、「勝った」「負けた」はありますが、今日の試合はとてもいい戦い方だったと思うが?
「選手たちに言ったのは、惜しいでは、勝点はもらえない。この結果はしっかり受け止めないといけない。最初に言ったように、ラストの戦い方、最後の1分1秒まで諦めずに戦う姿勢。それをこのスタジアムに来た人たちに見てもらいたい。最後、惜しいな、ではなく、倒れるまで戦って欲しい。そこがこれからの課題かなと思います」
選手コメント
■新井萌禾選手
Q:激戦になりましたが、試合を終えての率直な感想は?
「悔しかったです。崩されて負けたわけでもなく、自分たちが決め切れるところを決め切れなかったり、最後に緩みが出て失点したり。最後の詰めが甘かったからこそ、悔しかった。自分としても、古巣相手に絶対に勝ちたかったです」
Q:その古巣相手にWE初ゴールを決めました。シュートを打った時の思いと、決まった瞬間の思いは?
「いつもよりボールを受けた瞬間も落ち着いていましたし、ちゃんとゴールも見て打てました。相手に当たってのゴールでしたが、『決めるんだ』という意識が最初に来たからこそ、パスの選択ではなく、自分で打てました。絶対に決めたかったので、足を振って良かったです」
Q:決めた後のスタジアムの雰囲気はどう感じましたか?
「うわーってなりました(笑)。先輩方も寄り添ってきてくれて、嬉し過ぎて。でも同点だったので、切り替えて、もう1点いかないと、という意識もありました。嬉しかったですが、締めないといけない気持ちもありました」
Q:バチバチやるシーンもありましたが、眞城美春選手とプロの舞台で対戦した感想は?
「オフでは仲もいいので、試合前は『頑張ろうね』みたいな感じもありましたが、試合になると、お互い負けたくない気持ちが全面に出るタイプなので(笑)。プロで対戦できたことは嬉しかったですが、負けたくなかったです」
■宝田沙織選手
Q:前節の大敗を受けて、チーム全体でしっかり立て直したゲームはできましたが、敗戦も含め、どのような思いですか?
「結局は結果なので。最後のところの得点力や、守備で耐えるところはまだ足りないと、この試合を通して感じました」
Q:今節に向けて取り組んできたことは、ある程度、出せた部分もあるのでは?
「そうですね。今週1週間の練習の中で、つないでくる相手に対し、しっかり間を締めること、ハードワークしてつながることに関しては、前節よりはできたのかなと思います」
Q:守備一辺倒になるのではなく、宝田選手から新井選手につながってゴールになった場面も含め、攻撃の回数も作れた?
「そうですね。カウンターもそうですし、自分が間でもらえるタイミングは結構あったので、そこで自分が時間を作ったり、また新しい形は何個か作れたのかなとは思いますが、最後の迫力はまだまだだなと思います」
Q:球際でもバチバチやり合っていましたが、昨季のWEリーグチャンピオンと肌を合わせて、宝田選手として感じたことは?
「チームとしてやろうとしたことは、要所、要所で出せましたが、最後のパスの質や仕留める細かい部分については、チャンピオンとは差があるかなと思います」
■脇阪麗奈選手
Q:手に汗握る好ゲームだっただけに、勝点1でも欲しかったと思うが、試合を振り返ると?
「守備のところで練習してきたことが通用した85分だったなと思うのと、最後のところで決められてしまうのがずっと課題で、それがまた出てしまったな、という試合でした」
Q:前節のような大敗後、チームでやることのベクトルを合わせて戦えた、という部分では、次へ向けた一歩にもなったのでは?
「そうですね。試合内容的にはそんな感じでしたけど、負けは負けというところで、3連敗をしてしまったので、重く受け止めたいと個人では思います」
Q:ここまでフル出場が続いていた中で、終盤の交代は珍しいなと。チーム全体で戦うということだと思いますが、どう受け止めましたか?
「悪かったら交代は当たり前なので。個人的にはできていた感覚もあったので、不甲斐ない気持ちもありますが、これを受け止めてまた成長していきたいな、という思いです」
■浅山茉緩選手
Q:今日は右のウィングバックで先発しました。役割としては、相手のサイドアタッカーを見ながら、ベタ引きにはなり過ぎずに、出て行くところはプレスをかけるポジショニングも求められたと思いますが、どのような意識でプレーしていましたか?
「(北村)菜々美さんとマッチアップする形で、なるべく菜々美さんにスピードに乗らせない守備を意識しました。自分の前でボールを触らせること、縦に行かせず、後ろに下げさせる守備を心掛けました」
Q:ここ数試合に比べると、北村選手の良さを出させていませんでした。チームとしても、今節に向けて練習してきた守備を出せた部分もありましたか?
「はい。それぞれが自分の持ち場に(相手が)入ってきた時に行くこと、場所によって、誰が前に出るか、それをチームとして統一してできていたとは思います。ただ、最後もやられましたし、3失点しているので、まだまだ足りなかったと思います」
Q:ただ、2失点目は北村選手でした。チームとしての失い方も含め、チームとしてどう防げたのではないか、という思いがありますか?
「まず、取られた瞬間に自分が戻っていれば防げた失点かも知れないですし、あそこのゾーンで失うと、失点につながってしまう。一人一人が責任を持ってプレーしないといけない。つなぐことも大事ですが、場所を考えてプレーしないと、INAC戦でもそうですし、そういうミスをチームとして減らしていかないと、勝点を積み上げていけないと思います」
Q:ウィングバックというポジションについて。前半、絞って相手の決定機を防ぐ場面もありました。自分自身の良さを、守備でも攻撃でも出せそうな手応えはありますか?
「自分の良さを出せないもどかしさもありましたが、今日は少し出せました。出るポジションによって求められることは違いますが、どこで出てもチームのためになる、勝ちにつながるプレーをしていきたいので、練習から考えながらプレーしていきたいです」
■名和咲香選手
Q:WEリーグデビューおめでとうございます
「ありがとうございます」
Q:先発が分かったタイミングと、その時の思いについて
「確定したのは今日です。元々、今週の始めから今日は絶対に出てやろう、という気持ちでやっていたので、そんなにビックリはしなかったです。出るからにはしっかり自分のプレーをやろう、と思いました」
Q:WEリーグではデビューですが、カップ戦や皇后杯には出ていますし、緊張はしなかった?
「そうですね。緊張はしなかったです」
Q:前半も含め、何度も好セーブがありましたが、3失点の悔しさもあると思います。振り返ると?
「まず3失点して負けたことがシンプルに悔しいです。防げない失点ではなかったと思うので、しっかり振り返りたいです。自分1人で守るのではなく、味方とも連係していかないといけないと、改めて思いました」
Q:前節はつなぎのミスから失点もありました。今日はゴールキックも含め、後ろからのビルドアップで意識したことはありますか?
「失いたくはないので、つなげる場面があったらつなごうとは思いましたが、相手が前からハメてくることは予想できたので、そこは自分の長所はロングキックなので、自分の長所を出して、シンプルに前に蹴ろうと思いました」
Q:アカデミー時代からしのぎを削っていた相手だけに、WEデビューがベレーザで燃えた部分もありますか?
「そうですね(笑)。まぁでも、基本的に、相手がどこでも目の前の相手には負けたくないです」
連動した守備が機能。2度、追い付く粘り強さも見せたが、最後は日テレ・東京ヴェルディベレーザの質に上回られる形で惜敗
0-5の大敗を喫した2025/26 SOMPO WEリーグ第5節・INAC神戸レオネッサ戦から中8日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、3試合ぶりにホームに戻り、日テレ・東京ヴェルディベレーザとの第6節に臨んだ。先発はI神戸戦から4人変更。米田博美、宮本光梨、新井萌禾が2試合ぶりにスタメンに戻り、GK名和咲香が今季初出場初先発を果たし、WEリーグではデビューとなった。
ボール保持に長けた相手に対し、監督、選手ともに「守備に回る時間が長くなる」ことは想定していた中で、どうその守備を機能させるか。この試合の大きなポイントになった中、ボール非保持の際は、新井を1トップに、中盤は右から百濃実結香、宮本、脇阪麗奈、宝田沙織が並び、後ろはウイングバックが下がる5-4-1を選択。しっかりとサイドのスペースを消す形を取った。それでも開始早々、東京NBの左ウイング北村菜々美に入ったボールに対し、この試合では右ウイングバックで先発した浅山茉緩が激しく寄せて、百濃と宮本も挟んでボールを奪い切るなど、セレッソの選手たちの出足は良く、引くのではなく、東京NBのボールホルダーにしっかりとプレッシャーもかかっていた。「それぞれが自分の持ち場に(相手が)入ってきた時に行くこと、場所によって、誰が前に出るか、それをチームとして統一できていた」と試合後に浅山も振り返ったように、今節に向けて取り組んできた守備が機能。攻撃に関しても、奪った後に縦に急ぎ過ぎることなく、しっかりとつなぎながら遅攻と速攻を使い分ける。「自分が間でもらえるタイミングは結構あったので、そこで時間を作ったり、新しい形は何個か作れたのかなとは思います」とは、この試合ではシャドーの位置に入った宝田沙織。アクセントになって攻撃を牽引した。16分には、後ろからつなぎつつ中央を割って、最後は宮本のパスに百濃が抜け出して決定機になりかけたが、シュートは戻ってきたDFに防がれた。攻守に良い入りを見せたセレッソだが、それでもこじ開けてくるのが東京NB。22分には、眞城美春に左サイドの深い位置まで入られると、そこからのクロスに対し、中央で受けた塩越柚歩に決定的なシュートを打たれたが、GK名和がビッグセーブ。29分にも、左から中央に進入してきた北村に背後を取られかけたが、ここは浅山が絞って対応。何とか失点は防いでいたセレッソだったが、33分、この試合では1トップで先発していた山本柚月に右サイドで1対1を作られると、縦に突破されてクロス。中で米田がクリアしたボールをダイレクトで塩越に詰められて失点。東京NBに先制を許した。それでも2分後、同点に追い付く。失点場面では山本に縦に突破を許した白垣うのだったが、得点場面では相手のパスを中央でインターセプト。素早く縦に入れると、受けた宝田がさらに前方の新井へパス。良い受け方をした新井が中にカットインして思い切りよくシュートを放つと、DFに当たってゴールイン。中学時代を過ごした古巣から嬉しいWE初ゴールを決めた。前半アディショナルタイムに与えた決定機では、再び名和がビッグセーブ。1失点こそ喫したが、距離感よく連動して奪い取る守備は前半を通して一定の機能性を発揮した。
互いにメンバー変更なしで迎えた後半。最初にチャンスを作ったのはセレッソ。48分、米田が背後に抜けた宝田へパスを送ると、相手GKがクリアミス。ボールが無人のゴールへ向かったが、戻ってきたDFにカバーされ、得点とはならず。すると52分に失点。左サイドでのビルドアップでボールを失うと、後半から右ウイングに入っていた山本のパスを受けた北村に、コースを狙ったシュートを冷静に決められた。再び1点を追いかける形になったセレッソは56分、宮本に代わって田子夏海が入ると、その2分後、宝田のパスを受けた田子が遠めの位置からシュート。ゴールへの意欲を出していく。この交代で、それまで右のシャドーを務めていた百濃がボランチに下がる攻撃的な布陣にすると、64分、同点に追い付く。高い位置で宝田が奪い返して2次攻撃を仕掛けると、北原朱夏、百濃、新井、脇阪、浅山とつなぎ、最後は浅山がクロス。飛び込んだ新井と北原に対応した東京NBのセンターバック土光真代のクリアがそのままゴールに入り、オウンゴール。セレッソが再び試合を振り出しに戻した。直後には、再びビルドアップを狙われ、東京NBの速攻を受けると、山本に決定的なシュートも打たれたが、ここでもGK名和が好セーブ。前半から再三のピンチを防いだ。試合終盤になっても互いの運動量は落ちず、球際の攻防もヒートアップ。次の1点がどちらに生まれるか、といった試合終盤。スコアを動かしたのは東京NBだった。セレッソはゴール前でボールをつながれ左右に揺さぶられると、最後は自陣右サイドを破られ、クロスを上げられ、逆サイドから飛び込んできた菅野奏音にヘディングで決められた。ペナルティーエリア内に人数は揃っていたが、はね返すことができなかった。それでも食い下がるセレッソは、90+1分に決定機。中谷莉奈を起点に百濃、新井、宝田とつないで中央を崩し、最後は宝田のフリックを受けた田子が背後を取ってシュート。良い形だったが、GKに防がれた。その後は東京NBにうまく時間を使われて試合終了。2度、追い付く粘りを発揮したが、東京NBに一歩及ばず悔しい敗戦となった。
最後は東京NBの質に上回られたセレッソだったが、この試合に向けて準備してきた守備は前節からの改善が見られ、攻撃でも宝田を起点に何度もチャンスを創出。昨シーズンまで自身が率いた東京NBを追い詰めた松田岳夫監督も、「惜しいでは、勝点はもらえない」と悔しさを滲ませつつ、「持って行き方次第では、次に向かっていける第一歩になったのかなと思います」と今後に向けた手応えも語った。次節は中4日でアウェイのアルビレックス新潟レディース戦。ホームで示した内容をアウェイでも継続できるか。再びチームでまとまった戦いを見せ、今季2勝目を目指す。