2025/26 SOMPO WEリーグ第5節

2025.9.6

INAC神戸レオネッサ

水野 蕗奈 (10')

吉田 莉胡 (29')

吉田 莉胡 (65')

水野 蕗奈 (67')

愛川 陽菜 (79')

5

AWAY

FULL TIME

0

2-0

3-0

セレッソ大阪ヤンマーレディース

ノエビアスタジアム神戸

2,941

ギャラリー

MATCH REVIEW

今シーズン最初のバトル オブ カンサイは完敗。INAC神戸レオネッサから受けた洗礼を今後のシーズンに生かし、成長につなげたい

 

今シーズン初の敗戦を喫した2025/26 SOMPO WEリーグ第4節・AC長野パルセイロ・レディース戦から中5日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、アウェイに乗り込み、INAC神戸レオネッサとのWEリーグ第5節、バトル オブ カンサイに挑んだ。先発はAC長野戦から4人変更。浅山茉緩が今シーズン初先発を果たし、高和芹夏と田中智子が3試合ぶり、田子夏海が2試合ぶりのスタメンとなった。

 

この試合ではボランチとして先発した百濃実結香。すると開始5分、その百濃が宝田沙織のパスから背後を取ってチャンスを作りかける。ボランチでの起用について、「中でボールを受けることができる」と話した松田岳夫監督。百濃自身も、「受けてボールに触ってリズムを作ること、背後へ抜け出して人の流れを作ることを期待してもらって、ボランチで使ってくれたのかなと思います」と試合後に話していたが、まさにこの場面では、そうした百濃のランニングが生きたシーンになった。直後には、チームとして高い位置で奪い、田子が振り向きざまのシュート。入りとしてはセレッソも悪くなかった。ただし、10分、この時間帯で続いたI神戸の3本目のCKから先制点を奪われる。セレッソがクリアしたボールに対し、成宮唯がダイレクトでミドルシュート。GK山下莉奈が懸命に手に当ててクロスバーに当たったが、はね返りを水野蕗奈に押し込まれた。ここからはI神戸にボールを握られる時間が続き、全体が下がってしまったセレッソ。奪ったボールもパスミスが目立ち、マイボールにできずにいると、22分、28分と連続して自陣でのよくない失い方からピンチを招く。そうした流れに飲み込まれるように、29分に2失点目。GK山下から出たパスを愛川陽菜にカットされ、ショートカウンターを受けると、成宮の落としに反応した吉田莉胡に決められた。前と後ろの距離が開いてしまい、攻撃も単発で終わっていたセレッソだったが、42分、この試合最初の決定機。中央でボールを受けた百濃のパスを宝田が落とし、高和がシュート。DFに当たってこぼれたボールがゴール前にいた北原朱夏のもとへこぼれたが、北原のシュートはDFのブロックに遭い、3試合連続ゴールとはならず。前半は2点ビハインドで折り返した。

 

後半からセレッソは高和に代わって新井萌禾が入り、システムも4-4-2に変更。田子と宝田の2トップに田中が右サイドハーフ、新井が左サイドハーフ、脇阪と百濃のボランチにディフェンスラインは左から北原、白垣うの、浅山、中谷莉奈が並んだ。失点後は後ろが重く、5バックになっていたセレッソだが、2トップにして前から行く姿勢を強めると、後半の立ち上がりは攻勢に出る時間帯も。48分、宝田の落としを新井がミドルシュート。50分にも中盤で脇阪がカットし、素早く前に付け、宝田がミドルシュート。56分にも脇阪からの縦パスを受けた田子が反転してシュート。フィニッシュへ行く回数を増やしていくと、61分に決定機。脇阪が中央で宝田とのワンツーでゴール前に進入。ペナルティーエリアの手前からシュートを放ったが、わずかにクロスバーを越えた。この時間帯で1点を返せば試合は分からなかったが、65分、自陣でつないだパスをI神戸に奪われ、致命的な3失点目を喫してしまう。59分に交代でピッチに入り、ボランチでプレーしていた荻久保優里にGK山下からボールが入ったところを狙われた。2失点目に続き、自陣でのミスが失点に直結する形に。「つなぐところと大きく蹴って失点は防ぐところの区別は、まだまだ若い」と試合後に宝田も指摘した部分は、ボール保持の向上に取り組むセレッソにとって、シーズン序盤の課題になる。この失点でやや集中力が切れたセレッソは、3失点目から2分後にディフェンスを揺さぶられて4失点目を喫すると、79分にも自陣でのパスをカットされて5失点目。4失点目と5失点目の間には、脇阪のクロスからDFのクリアが不完全になったところを百濃が詰めて決定機も、GK大熊茜に防がれた。最後まで足を動かして戦い続けたセレッソだったが、一矢報いることはできず、0-5で試合は終了。今シーズン1試合目、WEリーグ通算5度目のバトル オブ カンサイは完敗に終わった。

 

敗戦の中にも後半は何度となくチャンスに絡むなど、奮闘を見せたキャプテンの脇阪は、「INACの上手さや強さを一人一人がどう感じて変えていくかだと思うので、この結果を無駄にしたくない。しっかり受け止めて、成長していかないといけない」と気丈に話した。ホームで行われるI神戸との次回のリーグ戦は年内の最終戦になる。そこでリベンジを果たすためにも、今節、完敗に終わった要因や試合の内容を、チーム、そして選手それぞれがしっかりと振り返って消化し、成長につなげていかなければならない。


監督コメント

■松田岳夫監督
「今日は関西対決ということで、セレッソのファン・サポーターの方にもたくさん来ていただいて、熱い声援を送っていただきました。結果で応えることができず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。結果は残念ではありましたが、最後まで選手たちは戦う姿勢を見せた。唯一、それだけが、この試合の中で次につながる要素なのかなと思っています。結果で応えることができない中で、ヤキモキさせていますが、もう少し我慢して応援していただければと思っています。ゲームの方は、支配されることはある程度は予想していました。しっかりとボールへのプレッシャーもできていましたし、ピンチこそあれ、最後のところでしっかり踏ん張る守備はできていたと思います。ただ、1失点目のセットプレー、2失点目の単純なミスからの失点。自分たちのリズムを崩すミスからの失点が、記憶しているだけでも3失点はありました。なかなか自分たちの思い通りにゲームを進めることができませんでしたが、プレッシャーの中でもボールを動かそう、相手をはがそうという意識は、今日の試合でも少しは感じながらやれたと思います。下を向かずに、結果は結果として受け止めつつ、次のゲームに進んでいきたいと思っています」
 
Q:まさに2失点目、3失点目、5失点目が、つなぎのところをカットされてショートカウンターから受けた失点でした。つなぐところに意識を持ち始めたチームにありがちな失点でもあり、ある程度、ミスを許容すべき部分もあるとは思いますが、簡単な失点を繰り返してしまうと、ゲーム自体が壊れてしまうリスクもあります。そのあたりの折り合いをどうつけるか。やろうとしている質を上げていくのか。今後の方向性も含めて、どのように考えていますか?
「当然、しっかりボールを動かしましょう、という中では、ミスは付きものだと思っています。ただ、ミスにも質はあって、プレッシャーがキツイから、とりあえず逃げておこうと。(そういうミスは良くない)。今日のミスのほとんどが、バックパスのミス。前に進むために後ろに下げることはいいのですが、前に進めないから後ろに下げる。そこからは何も生まれないと思っています。失点がそういう形から生まれたのも残念ですし、選手たちにハーフタイムで強調したのは、相手はパスした選手がもう一回、パスコースを作る。後ろに下げても、もう一回、前でパスコースを作る。そうやってパスコースを作る質を高めるところがウチには足りない。それに取り組んでのミスであれば、まだ次につながるとは思っています。逃げない、ということは一つのキーワードで、やろうとしていることはブレることなく進めていきたいと思っています」
 
Q:百濃選手をボランチで起用された狙いと、実際のプレーを見た感触について
「ボールを動かすという中では、ボランチの選手、シャドーの選手、中央にいる選手がもっとボールを引き出さないといけない。今はプレッシャーを受けた時に外回りになり、逃げるプレーになってしまい、中に進入できない。外から中に入れるパスの質や判断もそうですけど、簡単に言ってしまうと、中の選手が受けられない。百濃に関しては、受ける部分をすごく感じます。守備についても、体を投げ出して守備ができる。もちろん、(中で受けるためには)色んな判断をしないといけないですが、中央で色んなところからプレッシャーが来る中でも、いい判断ができる、というもとで、彼女をボランチで起用しました。実際のゲームの中でも、要所、要所で良かったところを見つけられたことはプラス要素ですが、欲を言えば、もっとミスを恐れずボールを受けて欲しい。これは続けていくしかないと思っています。継続して考えていきたいと思っています」
 
Q:後半から前を2トップ、後ろを4バックにして、前線からの守備が良くなった面もありました。システム変更の狙いについては?
「少し4バック気味にして、チームのやれることを考えながら進めていきました。元々、このチームは4バックでやっていたので、それほど大きなリスクではありません。そもそもなぜ3バックに変えたかと言えば、守備を厚くしようというよりは、後ろは3枚の方がビルドアップをしやすい、そういうところで取り組んできました。4枚にして守備は安定しましたが、攻撃のところでは、プレッシャーを受けた時に前に進めない。そういう状況も見受けられました。4枚にする、3枚にする、ということはこれから考えていきますが、もう少しビルドアップの質を高めていかないと、ボールをつなぐと言いつつ、前に進めないという実感は持っています」

選手コメント

■脇阪麗奈選手
Q:ショックの残る結果になってしまったが、この試合をどう受け止めていますか?
「自分たちのミスでゲームを壊してしまったことをもったいなく感じています。その中で、自分は変えようとしたけど、変えられなかった実力不足がもっと悔しいです」
 
Q:つなぐことにトライし始めたチームとしては、起こり得る失点ではありますが、簡単に失点していたら試合が壊れてしまう。トライするところと、シンプルにやるところを、ピッチの中で感じ取らないといけない?
「相手の矢印がハマったところに出してしまったり、相手のラインを越えられないキック力だったり、実力不足でした。上位との差が出た試合だなと強く感じました」
 
Q:前半は守備もハマりづらかった中で、後半はシステムも変えて、前からいい守備ができている時間帯もありました。チームとして試行錯誤している様子も伝わってきたが?
「4バックは久しぶりでしたが、前から行くところで、セレッソらしいアグレッシブさを出して、守備がハマっていた部分もありました。そういうところは消さずにやっていきたいと思うのと、でも、前から行っても裏返してくるINACの上手さや強さも全員が感じたと思います。それを一人一人がどう感じて変えていくかだと思うので、この結果を無駄にしたくない。しっかり受け止めて、成長していかないといけないと思っています」
 
Q:後半の入りはいい時間帯もあって、宝田選手とのワンツーで、脇阪選手のいいフィニッシュもありました。ああいう場面を増やしていきたい?
「そうですね。自分が前に行かないと攻撃にならないということは、前回の試合でも感じて。いい状態でボールが持てている時はどんどん前に行こうと意識していたので、シュートまで行けたのは良かったです」
 
Q:試合後、監督は「最後まで戦う姿勢を見せたことが、唯一、次につながる要素」と話されていましたが、次節のホームに向けて、どう挽回していく?
「最後まで戦うことは当たり前のベースにして、5点も取られた悔しさを、次の試合でみんながどう表現してくれるか。それは自分も含めて。そこを見ていただければと思います」
 
 
■宝田沙織選手
Q:0-5という結果をどう受け止めていますか?
「自分たちの実力、ただそれだけです」
 
Q:失点の仕方という部分では、チャレンジしていることの裏返しでもあると思うが、そのあたりについては?
「前節もそうでしたが、ビルドアップのところで引っかかってしまうことが多く、そこをまた突かれた。学んでいないというか、同じことを繰り返した結果、こういう点差になってしまったと思います」
 
Q:つなぐことに意識を持ち始めたチームに起こり得る失点でもありますが、簡単な失点を繰り返してしまうと、ゲーム自体が壊れてしまうリスクもあります。そのあたりの折り合いは、どうつけていくことが大事でしょうか?
「もちろん、リスクがあることは分かっていますが、ここはつなぐところ、ここは大きく蹴って失点はしないところの区別は、まだまだ若いなという部分なので、練習も含めてしっかりやっていかないといけないと思います」
 
Q:後半、脇阪選手とのワンツーで決定機につながった場面もありました。攻撃では、あのような回数を増やしていきたい?
「そうですね。自分が受ければキープもできるので、そこで前向きな選手がどれだけ入ってきてくれるか。前半は自分が運んで背後を取ることもありました。自分が行くのか、誰かを使うのか。積極性のところは自分に足りないところだと思うので、意識は上げていきたいです」
 
 
■山下莉奈選手
Q:0-5というショックも残る結果になりましたが、どう受け止めていますか?
「ミスが重なっての失点だったので、そこはもったいなかったと思います」
 
Q:悪い失い方から失点を重ねてしまいましたが、今のサッカーをやる上で、リスクも承知な部分もあるとは思いますが、失点につながっていたら勝てない。そのあたりでは、割り切る部分も必要でしょうか?
「自分自身、必死につなげようとしている部分があったので、もう少し割り切るところは割り切ってプレーしたら良かったと思います」
 
Q:トライすることも止めずに、ということですね
「はい」
 
Q:後半の厳しい時間帯での好セーブもありました。苦しい展開の中で、どうプレーしていましたか?
「もっと防げる失点もあったと思うので、もっと防ぎたかったです」
 
Q:チームとして、今日の試合をどう今後につなげていきたい?
「下を向いている時間はないので、明日から切り替えて。でも、今日の負けを忘れずやっていこうと思います」
 
 
■百濃実結香選手
Q:今日はボランチでの先発になりましたが、ボランチで先発は初めてですか?
「はい。試合の中で、最後の時間帯にやったことはありましたが、練習からちゃんとやって、先発でプレーしたのは初めてでした」
 
Q:今節に向けた紅白戦でもやっていましたが、実際に試合でプレーした感触はいかがでしたか?
「サイドで受ける時と中で受ける時の準備は全然違いましたが、ずっと関わり続けることは意識しました。監督からも、試合の途中で、『全部に関わり続けるぐらいの気持ちで関わり続けろ。無理なら抜けることもしながら。戸惑いもあると思うけど、やり切れ』と言われたので、とりあえず関わり続けることを意識しました。守備では、成宮さんを含め、そこでやられないように付いていこうと。自信なくやっても、もったいないので、せっかくやるなら、自分にしかできないプレーをやろうと思って、動き続けることは意識しました」
 
Q:百濃選手をボランチで起用した理由について松田監督は、「ボールを受けることができる」と話していました。中で受けて時間を作ったり、循環したり、そういう部分が監督に与えられた役割でしょうか?
「そうですね。受けて時間を作ることもそうですし、受けられなくても、(背後に)抜け出せば、トモさん(田中智子)や(脇阪)麗奈さんが空く。監督がよく話す、人の流れを作ることも求められていたと思います。受けてボールに触ってリズムを作ることと、人の流れを作ることを期待してもらって、ボランチで使ってくれたのかなと思います」
 
Q:監督は「継続して考えていきたい」とも話していましたが、自身としても、本格的にやるのであれば、積極的に取り組んでいきたい?
「ネガティブになっても仕方ないですし、サイドでプレーしていた時に、ボランチにいて欲しかったポジションも意識したいです。違う視点でプレーすることで、プレーヤーとしても成長できると思うので、ポジティブに捉えたいです。(宮本)光梨さん、(荻久保)優里、ナオ(松本奈己)がやっていたボランチとはまた違う特長を出せるように。同じことをしていても意味がないと思いうので、自分にしかない特長を出して、また違うチームになっていけるように、ボールに関わり続けたいです」
 
Q:守備もサイドとは違うと思うが、やってみていかがでしたか?
「2列目からの飛び出しに付いていくことは得意ですが、セカンドボールのところで、今日も全部は拾えなかったので、セカンドボールが落ちてくるところをもっと予測して、拾えるようになっていきたいと思います」
 
Q:今日は残念な結果になりましたが、次節、ホームでどのような姿を見せたいですか?
「自分たちのミスからの失点が多かったので、その部分をなくすことと、監督も『最後までやる姿だけは良かった』と言ってくれたので、次のベレーザ戦も、持たれる時間は多くなるかも知れないですが、焦れずにやって、少ないチャンスでもモノにして、最後まで諦めずに食らい付いていきたいと思います」