2025/26 SOMPO WEリーグ第2節

2025.8.16

ちふれASエルフェン埼玉

0

AWAY

FULL TIME

0

0-0

0-0

セレッソ大阪ヤンマーレディース

熊谷スポーツ文化公園ラグビー場

4,035

ギャラリー

MATCH REVIEW

開幕戦に続きスコアレスドローも、相手ゴールに近づく場面は確実に増える。終盤はGK山下莉奈が立て続けにビッグセーブ
 
2025/26 SOMPO WEリーグ開幕戦から中6日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、ちふれASエルフェン埼玉のホームに乗り込み、今シーズン初のアウェイゲームとなるWEリーグ第2節に挑んだ。舞台となった熊谷スポーツ文化公園ラグビー場はWEリーグ初開催。先発は開幕戦から1人変更。和田麻希に代わって田中智子が入り、3トップの一角を担った。ベンチには筒井梨香が今シーズン初めてメンバー入りを果たした。
 
開始4分、新井萌禾が自身のポジションとは逆の右サイドのポケットを取ってクロス。開幕戦に続いて豊富な運動量でチャンスに顔を出す。攻から守への切り替えも早く、高い位置で奪う意識も強いセレッソだが、11分、前線でボールを失い、カウンターを受けると、最後は髙橋美夕紀にシュートを許したが、GK山下莉奈が好セーブ。直後のCKからEL埼玉に決定機を作られたが、ファーで合わせた大沼歩加のシュートはミートせず、事なきを得た。19分、セレッソは後方から宝田沙織に入った縦パスをスイッチに中央を崩し、最後は脇阪麗奈がシュート。枠を捉えることはできなかったが、連動した攻撃からフィニッシュにつなげた。23分には米田博美がドリブルで持ち運び、最後は田中のクロスに新井がニアへ飛び込みシュート。良いタイミングで合わせたが、DFのカバーに遭い、クロスバーを越えた。
 
序盤から一進一退の攻防が展開された中、前半の飲水タイムを終えた次の決定機もEL埼玉。31分、セレッソが高い位置で奪い切れずにカウンターを受けると、最後は樋口梨花に左サイドを突破されてシュートまで持っていかれたが、ここはクロスバーを直撃。ヒヤリとしたセレッソも38分にビッグチャンス。新井がハーフェーライン付近からドリブルで持ち上がり、右サイドへ展開。高和芹夏の宝田を目掛けた低い弾道のクロスはDFにクリアされたが、セカンドボールに反応した宮本光梨が飛び込み、ヘディングで押し込んだが、GKの好セーブに防がれた。前半アディショナルタイムにもセレッソがゴールに迫る。百濃実結香がドリブルでカットインしてシュート。DFにブロックされたこぼれ球を百濃が拾って落とし、最後は脇阪がミドルシュート。際どいコースへ飛んだが、GK浅井菜摘の好セーブに阻まれた。前半はこのまま0-0で終了。互いに決定機も作った中で、スコアは動かず勝負は後半に持ち越された。
 
セレッソはハーフタイムに1人交代。高和に代わり、浅山茉緩が右のウィングバックに入った。後半最初のシュートはセレッソ。前半から積極性が目立っていた新井が左サイドからカットインしてシュート。遠めからでも思い切り狙っていく。後半は選手間の距離も近くなり、良い入りを見せたセレッソは、51分にも好機。右サイドから浅山のクロスをニアで新井が落とし、最後は宮本が左足で狙いすましたシュート。「いい感じに受けて、コースも見えていた」と試合後に自身も振り返ったように、良い軌道でゴールに向かったが、わずかに枠を外れた。60分、田中に代わって和田が入る。63分には、開幕戦に続き今節も先手を取る守備が光っていた白垣うのが高い位置で奪い、そこから和田、宝田、新井とつながり、流れるような攻撃も見せる。後半は開始から主導権を握っていたセレッソだったが、64分、EL埼玉の木許和心に際どいミドルシュートも受けたが、GK山下が右手を伸ばしてビッグセーブ。68分には髙橋に中央を割られかけたが、白垣と中谷莉奈が挟み込んで対応。シュートは打たせない。すると74分、新井の縦パスを宝田がダイレクトで、スペースへ走り込んだ脇阪へパス。通っていれば1点モノのシーンを作ったが、相手DFの懸命な守備に防がれた。76分には2枚替え。宝田と百濃に代わり、田子夏海と北原朱夏が入る。プレスの強度も保ちつつ決勝点を奪いにいったセレッソは、86分に田子がシュート。この時間になっても運動量が落ちない新井、途中出場の和田と3トップを中心に最後まで果敢にゴールを目指したが、試合終盤は立て続けにEL埼玉に決定機も作られる。ただし、ここで立ちはだかったのが山下。90+4分、ミドルシュートを今度は左手一本で防ぐと、直後のCKからのヘディングもビッグセーブ。「準備もできていたので、反応できた」と連続してEL埼玉の決定機を阻止し、勝点1をもたらした。
 
開幕戦に続き2試合連続でのスコアレスドローとなったセレッソだが、「第1節に比べると相手のゴールに近づこうとする意識は増えてきた」(松田岳夫監督)、「前回の試合よりつないでいける場面も増えたし、アタッキングゾーンへの侵入、シュートまでいく回数も増えたと思います」(宮本)と指揮官、選手ともに確かな手応えは感じている。ホームに戻って迎える次節のノジマステラ神奈川相模原戦こそ、必ずやチーム一丸で今シーズン初勝利を掴み取る。

監督コメント

■松田岳夫監督
「アウェイゲームの中、ピンクのユニフォームを着たセレッソ大阪ヤンマーレディースサポーターの方に背中を後押しされ、選手は戦えたと思います。多くの観客の中、ホームアウェイかかわらずたくさんの方に観てもらえる機会であったことは今日のゲームで一番良かったことではないかと思います。ただ、それに見合うだけのパフォーマンスをと考えると、我々には課題が多い。ゲームを支配すること、相手のゴールを奪っていくこと。守備の面では機能している面は多かったですが、点を取らなければ勝点1に終わるという点では課題は非常に多いと感じています。第1節に比べると相手のゴールに近づこうとする意識は増えてきたと思いますので、それを足掛かりに次のゲームに向けて高めていきたいと思います。この暑い中ハードワークという面ではウチの選手だけではなく相手の選手も含めて非常に戦えたと思います。少しでも女子サッカーの魅力を観ていた人に感じてもらえるなら、それも一つ今日の試合の成果ではないかと思います」

Q:序盤なのでまだ手探りな部分はあると思いますが、現時点でチーム作りで重視していることは?
「ゴールを目指すためには相手の背後に侵入しなければならない、そのためにはボールを動かさないといけない。その両方をやっていかないとゴールも奪えないしゲームも支配できない。そのどちらかに偏ってしまうことは未だに課題だと感じます。ただ距離感は徐々に良くなってきたので攻撃の一つ突破口になるのかなと思いますし、距離感が良いだけ切り替えの早さが有効になってくるので、守備の部分は非常に高まってきたのではと感じます」

Q:セレッソ大阪ヤンマーレディースと比べて登録選手の少ないチームが多いですが、WEリーグの選手層について感じることは?
「今シーズンまだ2試合を終えたばかりですが、各チームオフシーズンに補強をされ、EL埼玉さんも髙橋選手というチームの柱となる選手が加わり、移籍というひとつのきっかけでチームが活性化するというのはとても感じています。少し活躍するとすぐ海外に行ってしまうという流れの中で、下部組織から持ち上げる、あるいは他チームから移籍し活躍の場を求める。それが活性化することによってリーグ全体の底上げにはなるのではと思います」

Q:監督が伝えたい女子サッカーの魅力とは?
「男子と違ってスピードやパワーは劣るかもしれないし、パスの本数は多くなるかもしれない。ですがその中で駆け引きだったりはグラウンドの中にたくさんあるので、選手のプレーの質という部分ではスピード感あふれる男子サッカーよりも高いものが求められているのかなと感じます。なかなか観に来てくださった方に伝わるのかは難しいかもしれませんが、ひとつひとつのプレーに色んな意味があって、ただ頑張っているだけではなくどう頑張っているのかというのをそれぞれの選手・チームが表現している。そこがもしかしたら男子にはない女子サッカーの魅力なのではと思います」

Q:今のセレッソ大阪ヤンマーレディースの強み、また松田監督自身がさらに肉付けしたい要素とは?
「今までのセレッソに対して対戦相手として分析したところによると、昨シーズンで言えば前に速いストライカーがいて、そこに速くボールをつけてみんながゴールを目指していく、個々の力はゲームの中に出ていたのは感じています。そこをチームとしてどうまとめていくかというところで、スピードやパワーだけに頼っていくと男子サッカーを追っているような感じがしていて、女子ならなおさら人と人との距離、あるいはアプローチの速さは男子よりも緩くなってくる。判断の速さは男子でも女子でも変わらないと思っています。だからこそそういったものを身につけてグラウンドで表現していかないと女子サッカーの良さは伝わらないかなと感じます。それをこのチームに来て一番伝えたいことです。ただそこばかり伝えると彼女たちの良さであるスピードやパワーが逆に消えていってしまうので、そこのバランスを保つことが非常に難しいです」

選手コメント

■宮本光梨選手
Q:今日の試合を振り返って
「前回の試合より繋いでいける場面も増えたし、アタッキングゾーンへの侵入も増えて、シュートまでいく回数が増えたと思います」

Q:今日はゴールに迫るシーンも見られましたが?
「真ん中でいい感じに受けて、コースも見えていたんですけど、決めきれなかったのでしっかり決めきれるようにしていきたいです」

Q:次節への意気込みをお願いします
「守備も攻撃も少しずつ良くなっているのを続けて、攻撃で簡単に失わないようにして、ゴールまで、シュート数も増やしていきたいです」


■山下莉奈選手
Q:今日の試合を振り返って
「まずは0で押さえられたんですが、勝ちきれなかったのと、前節と同じ0-0での引き分けなので、そこは改善点かなと思います」

Q:昨シーズンの課題であった終盤での失点という点は改善されたと思いますが?
「チーム全体がその課題は分かっていると思うので、90分になってからも、より引き締めて徹底できてたのかと思います」

Q:今日はいくつかビッグセーブも見られましたが?
「準備もできていたので、反応できたと思います」

Q:次節N相模原戦への意気込み
「昨シーズンも中央からミドルを打たれたりしているので、まずはボールを持たせないよう声出して全員で守っていきたいです」


■中谷莉奈選手
Q:今日の試合を振り返って
「試合が始まる前から、前半15分はチームとして前から(ボールを)取られたら取り返すということを話していたので、守備のところは全員が意識してできた部分はありましたが、勝つには得点が必要なので、そこは課題が残ったかなと思います」

Q:昨シーズンは悔しいシーズンだったと思いますが、今シーズンは2試合ともフル出場です。今シーズンの戦い方について
「システムも変わって、私は3バックの一角に入っていて、求められているのは攻撃では『安定』守備では『負けない』ということ。自分自身は今シーズンは勝負の年だと思っているので、絶対にこのチームに必要とされる選手になりたいという思いがあるので、練習から意識して取り組んでいます」

Q:次節N相模原戦への意気込み
「まだシーズンが始まって勝利が無いので、ナイトゲームですがたくさんのファン・サポーターの方が来てくれているので、絶対に勝利を届けられるように全力で頑張ります!」