2025/26 SOMPO WEリーグ第1節

2025.8.9

セレッソ大阪ヤンマーレディース

0

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FULL TIME

0

0-0

0-0

マイナビ仙台

ヨドコウ桜スタジアム

2,363

ギャラリー

MATCH REVIEW

WE参入3年目の新シーズンが開幕。ヨドコウ桜スタジアムにマイナビ仙台を迎えた一戦はスコアレスドロー。新スタイルの片鱗を見せるも、ゴールは割れず
 
いよいよ開幕した2025/26 SOMPO WEリーグ。新たに松田岳夫監督を招いて迎えたセレッソ大阪ヤンマーレディースにとってWE参入3シーズン目。栄えある開幕スタメンは、GK山下莉奈、DFは右から米田博美、白垣うの、中谷莉奈の3バック、脇阪麗奈と宮本光梨がダブルボランチを組み、右ウィングバックに高和芹夏、左ウィングバックに百濃実結香、宝田沙織を1トップに新井萌禾と和田麻希が2シャドーに入る[3-4-2-1]で臨んだ。マイナビ仙台のシステムは[4-3-3]。昨シーズンまでセレッソでプレーしていた矢形海優が1トップ、同じくセレッソ出身の井上陽菜もアンカーで先発した。
 
立ち上がりから一進一退の攻防が展開された中、最初のシュートはマイ仙台。9分、右サイドからのクロスに江崎世来が合わせたボレーシュートはGK山下が正面でしっかりセーブ。ピンチをしのいだセレッソは、11分に好機。右サイドを米田、高和、和田とつないで崩し、ボックス深くに進入した和田が相手を外して中へクロスを上げると、宝田のスルーを挟み、ファーサイドから百濃が飛び込む。DFに防がれたこぼれ球に高和が詰めたが、シュートは枠を外れた。ゴールこそならなかったが、複数の選手が関わってペナルティーエリア内に進入した良い崩しだった。続く12分には、脇阪のパスを受けた宝田が遠めの位置からミドルシュート。ここからはセレッソがボール保持の時間を増やし、マイ仙台を自陣に押し下げる展開が続く。守備でも矢形に入ったボールは白垣や米田がしっかりブロック。マイ仙台に良い形で攻撃を許さない。23分には、新井が右サイドで相手を抜いてクロス。ファーに百濃が飛び込むも、わずかに届かずDFにクリアされた。
 
飲水タイム後は、よりセレッソがセカンドボールも回収しながら主導権を握って試合を進めると、33分、中谷の縦パスから宝田にボールが入り、後方から脇阪が追い越してペナルティーエリア内に進入。左足でのシュートはDFに防がれたが、意図をもった攻撃を仕掛けた。39分にも宝田が起点となって左サイドに展開、最後は脇阪のクロスに宝田自身がゴール前に入ってヘディングを狙った。徐々にマイ仙台のゴールに迫っていくと、45分に決定機。米田からパスを受けた高和が宝田へ斜めのクサビを入れて、宝田がダイレクトで絶妙なパスを背後へ通すと、ここに走り込んだ和田がGKとの1対1を迎えた。ただし、狙い澄ましたシュートはわずかに枠を外れた。前半はこのまま0-0で終了。序盤こそマイ仙台に攻められる時間もあったが、10分以降はほぼセレッソが試合を掌握して折り返した。
 
後半も立ち上がりからセレッソがボールを握るもシュートまで行けずにいると、後半は仙台に裏へのパスからチャンスも作られ、反撃を受ける。54分には、矢形のシュートに反応した遠藤ゆめに決定的なシュートを許したが、枠を外れた。ハーフタイムに高和に代えて北原朱夏、58分には和田に代えて田中智子を投入、選手交代も早めに行い、変化をつけていった松田監督だが、後半はチーム全体の運動量も落ちて、前半のようなテンポでパスをつなぐことができない。67分には、再びマイ仙台に決定機も作られたが、矢形のシュートは枠を外れて事なきを得た。直後に左サイドでボールを受けた新井がカットインしてシュート。GKの正面に飛んだが、思い切り良く放ったこのシュートが、セレッソにとっては後半1本目となった。
 
試合開始前の時点で30℃を超える高温多湿の中、この時間帯からは足を攣る選手も続出し、米田と宝田が途中交代を余儀なくされた。そうした中でも最後まで運動量が落ちなかったのが新井。後半はボランチ、1トップとポジションを移しながら、初期配置のシャドーと合わせて3つのポジションでプレー。印象的なWEデビューを飾った。同じくWEデビューであり、国内復帰初戦となった宝田も、正確なポストプレーから決定機を演出するなど随所に技術を発揮したが、「彼女の力は今日出せなかったことも含め、まだまだあると思うので、私も含めて試合を重ねて引き出していければと思います」と試合後に松田監督も総括したように、まだまだ序章といったところ。宝田自身、「結果を出せなかったことは課題。次はしっかりFWの仕事をしていきたい」と次節以降に目を向けた。試合終盤は互いにゴールへ向かう場面も作ったが、ディフェンス陣の奮闘もあり、スコアは動かず0-0で終了。セレッソとしては、前半の良いリズムを後半は継続できず、後半はシュート2本に終わったことは課題。「相手のディフェンスラインの背後に進入したシーンはほとんどなかった」と松田監督も反省点を口にした。とは言え、新体制の初陣。「これから積み上げていくための第一歩」(松田監督)であり、新スタイルの片鱗もピッチで表現された。ここからさらにコンディションも高め、チーム全体で意図を共有していきたい。

監督コメント

■松田岳夫監督
「開幕戦から多くの方に来ていただいて、本来は勝点3を取れれば良かったですが、残念な結果になりました。ただ、それでも、励ましの言葉、応援の声が選手たちに届いて、次に向かって戦っていこうと改めて共有できました。ゲームの方は、リスクを冒して攻撃することができなかった。ボールを動かすことは、当初からこのチームに植え付けてきたことですが、どこかでリスクを冒さないと、ゴールは手に入らない。試合を通して、相手のディフェンスラインの背後に進入したシーン、ゴールに近づいたシーンはほとんどなかったと思います。うまく自分の言葉が選手たちに伝わらなかった。力のなさを感じています。やはり勝ち切るためにはゴールが必要、そのためにはリスクを冒すこと。そこはもう一回選手たちと共有して、次のゲームに向かっていきたいです。守備の方では、後ろに重い時間もありましたが、ラインをコントロールしながら対応できました。もう一つ高い位置でボールを奪うことができれば、我々が思うサッカーができるのかなという、多少の手応えは感じました。ただ、ゴールを奪うという根本的な問題を解決しないといけません。これから積み上げていくための第一歩。良かったことは負けなかったこと。そういうゲームになったと感じています」
 
Q:前半の最後、宝田選手を起点に和田選手が抜け出して決定機もありましたが、後半は思うようにチャンスを作り切れなかった印象です。「背後の動きが足りなかった」という言葉もありましたが、今日の攻撃面での課題と収穫については?
「相手の背後にパワーをもって出て行くためには、高い位置でFWやシャドーの選手がボールを引き出さないといけない。(それができずに)どうしても攻撃が外回りになり、相手の中央に進入していくことができなかった。高い位置で起点を作れなかったことが、裏に行きたくても行けない、そういうもどかしい状況になったと思います」
 
Q:国内復帰初戦の宝田選手について。後半最後に交代しましたが、状態を含めて今日の内容をどう振り返りますか?
「体力的な部分で最後までもたなかったことは残念でしたが、ボールが入ればキープ力もあるし、ボールを引き出して時間を作ることはできる選手だなと感じました。チーム全体として、彼女をもっと見る必要がある。リスクがあっても、そこにボールを入れれば、味方が追い越す時間が作れます。チーム全体として、彼女の使い方をもう一度、考える必要があると感じました。彼女の力は、今日出せなかったことも含め、まだまだあると思うので、私も含めて、試合を重ねて引き出していければと思います」
 
Q:チームのポテンシャルも含め、今シーズン、どのあたりまで行けそうだという青写真を描いていますか?
「チームの目標としては、トップ3を脅かす存在になりたいと思いますが、今日のゲームを終えて、今の段階で、こういう手応えがあった、ということは言えないです。目標は目標。ただ、そこに到達するには、相当、困難な道だと感じましたし、やらなければいけないことがたくさんあるという心境です」
 
Q:初めてホームとしてヨドコウ桜スタジアムで戦われましたが、感想について
「今年からゴール裏にも人が入り、選手との距離感が近い、応援の声もすごく聞こえる、選手が皆さんの声に後押しされてプレーしていると感じました。暑くて湿度が高い過酷な状況の中で、非常に力になっていたと思います。できれば、その声援に応えたかったですが、次回、こちらで試合をする時は、皆さんと喜べるよう、全力で戦っていきたいと改めて感じました」

選手コメント

■宝田沙織選手
Q:WEリーグデビューになりました。ピッチに立って戦った感想は?
「自分の歌はすごく後押しになりましたし、すごく嬉しい気持ちになりました。試合中に聞くと、『やってやろう』という気持ちになりました」
 
Q:前半の終盤、ワンタッチで落として決定機を作った場面について
「自分が受けて、シャドーが抜けていく形は練習でも作れていました。自分がターゲットになることは練習からやっていたので、その形を出せたと思います」
 
Q:後半、徐々に相手のペースになったのは、スタミナ的な部分も大きかった?
「自分たちのやりたいサッカーができなくなって、相手のペースになったことは、チームとしての経験(のなさ)の部分もありますし、もっと前に圧をかけていくことができれば良かったです」
 
Q:待望していたFWでのプレーについては?
「そこでやりたい思いで帰ってきたので、結果を出せなかったことは課題です。次はしっかり、FWの仕事をしていきたいです」
 
Q:先ほどの監督会見では、「チーム全体として、彼女(宝田選手)の使い方をもう一度、考える必要がある」という言葉もありました。自身では、今日の周りとの関わりをどう振り返りますか?
「自分をターゲットにした攻撃の形をあまり作れなかったので、自分も受けにいかないといけないですし、出し手にも、もっと当ててもらえるようにしたい。自分の課題でもありますし、出し手の選手も見るところを幅広くもってやることが大事だと思います」
 
Q:交代時の状態について
「ふくらはぎを攣ってしまいました。しっかり準備はしてきたつもりですが、あそこで攣ってしまうのは自分の実力だと思います。もっとしっかり90分走れるように調整していきたいです」
 
Q:宝田選手の活躍がWEリーグ、さらには女子サッカー全体を盛り上げることにもつながると思うが、そのあたりの思いについては?
「セレッソに帰ってきたからには、盛り上げたい気持ちもありますし、自分が点を決めて、結果を出して、もっとセレッソやWEリーグを知ってもらいたい。それは自分が背負わないといけないと思います」
 
 
■新井萌禾選手
Q:めちゃくちゃ走っているな、と思って見ていましたが、開幕戦を終えた感想は?
「まず、試合に入る前、めちゃめちゃ緊張しました(笑)。WE初出場だったので。ただ、試合前から、『うまくいかなくても走ろう。走ってチームに貢献しよう』という思いはあったので、ピッチに入ったらまず走ろうと思っていました。そこで緊張もほぐれました。勝ちたい気持ちでプレーしていたので、勝つことができなくて悔しい気持ちでいっぱいです」
 
Q:前半、時間とともにセレッソのペースになっていったと思いますが、どのようなことを意識していましたか?
「最初はボールを受けることに消極的だったのかなと。徐々に試合に慣れていく中で、ボールを受けよう、ボールに関わろうと意識していたので、少しずつボールに関われるようにはなったかなと思います」
 
Q:後半はボランチとFWでもプレーしました。試合を通じて3つのポジションでプレーしましたが、今までやってきたことが生きた部分もありますか?
「ボールに関わり続けること、恐れずプレーすること。そこを評価してもらって、試合の中でも中盤やFWで使ってもらえたのかなと思います」
 
Q:開幕戦のピッチに立って、WEデビューでしたが、率直に、楽しめましたか?
「開幕戦のピッチに立てたことは嬉しかったです。ボールに関わる意識やシュートを打つ意識が試合の中でどんどん出てきて、自分の中で、そういう気持ちになれたことが良かったです。ただ、今日の自分のプレーに納得はしていないですし、まだまだやらないといけません。少しずつ試合に慣れて、もっとチームの戦力になって、このチームで勝ちたいと思いました。もっと自分の質を上げて、もっとチームに貢献したいです」
 
 
■和田麻希選手
Q:開幕スタメンを掴みました。試合を迎えるにあって、どのような思いでピッチに入りましたか?
「この2シーズンは途中出場が多く、スタメンはたまにしかチャンスがなかった中で、開幕からスタメンで出れたことは気合いが入ったし、緊張感もすごくありました」
 
Q:そうした中で、前半から良いプレーを見せていました。ボールも多く受けて、ゴール前に進入していく場面もありましたが、自分自身のプレーをどう振り返りますか?
「抜け出せた場面など、いいところもありましたが、サイドに流れて張り過ぎてしまい、もっと中のポジションを取らないといけなかったと思います。(宝田)沙織さんとの距離が遠くなって、沙織さんが孤立した状況も長かった。沙織さんは収めてくれるので、そこで沙織さんが受けたあとにパスコースを作れるように、意識していければ良かったと思います」
 
Q:まさに前半最後、決定機の場面はそうした流れで生まれました。あの場面を振り返ると?
「沙織さんなら出てくると思い、走り出しました。パスを受けた後も時間がありましたが、GKと1対1になった中で、ちょっとコースがなかったというか、緊張してしまいました(苦笑)。狙いすぎて力んで、枠を外してしまったので、振り抜けば良かったです」
 
 
■脇阪麗奈選手
Q:最後は暑さや疲労との戦いにもなったと思うが、試合を振り返ると?
「開幕戦という緊張感もあり、みんな足が攣ったり、タフな試合になりました。お客さんもたくさん入ってくれて、勝たないといけない試合でしたが、負けなかったことをプラスに捉えて、ここから1年間を戦っていきたいです」
 
Q:新監督になってやり方も変わった部分もあると思うが、今日はどのぐらい出せた実感がありますか?
「攻撃の部分でやってきたことが出せなかったという思いです。1ヶ月、準備してきたことを表現できなかったことが悔しいです」
 
Q:練習試合では出せていた部分もありましたが、やはり公式戦になると、また違う部分もありましたか?
「そうですね。公式戦になると、できないことも多かったです。ただ、今日、分かったことをどうみんなで感じて、成長していけるかだと思うので、今日の引き分けを無駄にせず、全員で同じ矢印を向いて、次の試合に向かっていきたいです」
 
Q:昨季までは、2トップをシンプルに生かす攻撃がメインだったと思いますが、今シーズンは、より丁寧につなぎながらボールを動かして、フィニッシュに至る戦い方を目指していると思います。やりがいや難しさなどはどう感じていますか?
「自分としても、ボールに関わること、ボールを触る回数は増えているので、前に行きやすい状態ではあります。やっていて楽しい感覚はあります。練習ではできているので、みんなでもっと自信をもってプレーして、リーグ戦というお客さんも入った緊張感もある中で、表現していければと思います」