2024-25 SOMPO WEリーグ第21節

2025.5.10

AC長野パルセイロ・レディース

稲村 雪乃 (20')

岩下 胡桃 (75')

2

AWAY

FULL TIME

1

1-1

1-0

セレッソ大阪ヤンマーレディース

田子 夏海 (29')

長野Uスタジアム

1,230

ギャラリー

MATCH REVIEW

今シーズン最後のアウェイ戦は、田子夏海にゴラッソが飛び出すも惜敗。次節、ホーム最終戦で有終の美を!
 
3-1で勝利した前節・マイナビ仙台レディース戦から中5日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、今季初の連勝を目指し、アウェイでは今季最終戦となる2024-25 SOMPO WEリーグ第21節・AC長野パルセイロレディース戦に臨んだ。先発は前節と同じ11人。2トップの一角には、2試合続けて田子夏海が入った。
 
開始40秒、矢形海優がファーストシュートを放つと、4分にも高い位置でボールを奪い、宮本光梨がシュート。悪くない入りを見せたC大阪は、ボールを保持しつつ、チャンスと見るや矢形を背後へ走らせるパスも積極的に狙う。ただし、前線にパワーをかけてくるAC長野の攻撃を前に次第に守勢に回り始めると、20分に失点。前線に当てられてサイドに展開され、自陣左サイドから上げられたクロスにファーサイドへ飛び込んできた稲村雪乃にヘディングで決められた。「(AC長野は)ダイレクトプレーが多く、ワンタッチで背後を取られるなど自分達のディフェンスが裏返されたことが多かった」と試合後に荻久保優里は振り返ったが、前への推進力を発揮してきたAC長野の攻撃を防ぐことができなかった。今シーズンのホーム最終戦となる相手の勢いに押された格好となったC大阪だが、すぐさま同点に追いつく。飲水タイム明けの29分、高い位置で奪った荻久保が前線の田子へ付けると、複数のディフェンスに囲まれながらもうまくターンして前を向いた背番号28が右足を一閃。持ち味である豪快なミドルシュートをゴール右上に突き刺した。「練習から前を向けるように意識して取り組んでいたので、試合で出来て良かったです」と得点シーンを振り返った田子だが、まさに自身の長所であるシュートの形をいかに作るか。そこに課題を置いて取り組んでいただけに、嬉しいゴールとなった。ワンチャンスを生かして相手に傾いた流れを断ち切ったC大阪。ここからはパスワークにも安定感が戻ると、34分、高和芹夏が倒されて得たFKを脇阪麗奈が狙いすましてシュート。際どいコースへ飛んだが、GKの好セーブで防がれた。37分には百濃実結香が高い位置までドリブルで進入したが、惜しくもDFに止められた。前半はこのまま1-1で終了。C大阪がAC長野の勢いを止めて折り返した。
 
後半も互いに攻め合う入り。49分、C大阪は自陣右サイドを攻め込まれ、先制点を決められた稲村にシュートを打たれたが、わずかにクロスバーを越えて事なきを得た。直後に反撃。矢形が前線でボールを奪い、クロスを上げると、DFのクリアを拾った宮本がミドルシュート。前節、待望のWE初ゴールを決めた背番号18がこの日も積極的にゴールに迫った。ここからはAC長野がロングスローやCKなどセットプレーからパワープレー気味に押し込んでくると、56分、ファーサイドに流れてきたCKに対応したGK山下莉奈がボールポストに体をぶつけるも、何とか起き上がる。C大阪も61分に決定機。右サイドバックの中西ふうのクロスにファーサイドで百濃が合わせたが、枠を捉えたシュートはGKの好セーブに防がれた。64分にもCKの混戦から百濃がシュート。ゴールに押し込みかけたが、ゴール前に人垣を作る相手DFのブロックに遭う。73分にもC大阪に決定機。脇阪のスルーパスに抜け出した矢形が右サイドからクロス性のシュートを放ったが、ここもGKの好セーブに阻まれた。この時間帯で勝ち越せずにいると、75分、AC長野に勝ち越しゴールを許す。後半、何度も狙われていたCKから決められた。その後は途中出場の和田麻希がヘディングでゴールに迫るなど最後まで攻めたC大阪だったが、1-2で試合終了。今シーズン最後のアウェイ戦を勝利で飾ることはできなかった。
 
後半は互いに決定機を作り合い、どちらが仕留めるか、という流れではあったが、守備では「勝負所でどれだけ体を張れるか。しっかりプレーを切れるか」(鳥居塚監督)といった際(きわ)の部分、攻撃でも「背後を取れていたシーンもあった中で、最後のクオリティーの部分」(鳥居塚監督)で課題が残った。ホームに続いてアウェイでもAC長野のパワー、攻守における前への矢印に屈した形となったが、WEリーグを戦う上で、こうした相手に勝ち切ることが、中位からさらに上位へ進出していくためには必要になる。次節は今シーズンの最終節。「チームとしても1万人プロジェクトをしているので、たくさんの観客の中でしっかり勝ちきって恩返ししたいと思います」と宮本も話したように、WE参入後、最多の観客動員が見込まれるホームでの一戦で、今シーズンの集大成を発揮して勝点3を奪い、来シーズンへつなげていきたい。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督
「遠いアウェイの地まで足を運んでいただいたサポーターの皆さんには感謝しかありません。勝利して恩返ししたいと臨んだゲームでしたが、残念ながら勝点3を奪うことができませんでした。選手は一生懸命戦ってくれましたが、これが今のウチのチームの力だと思います。そこをもう一回、見つめ直して、最終戦に向けて準備して、最後は勝点3を取って終われるようにしたいです」
 
Q:前半、ビルドアップで可変しながら前進されていたと思うが、後半は少し立ち位置の修正も見られたが、前後半で変えた部分や狙いについて
「前半はボールの動かし方が安定しなかったので、しっかり(後ろで)3枚を作ろうと。中盤のところでサイドを有効に使うこと、ボックスをしっかり使って前に運ぶことを整理して、もっと安定してボールを運ぶことをハーフタイムで修正しましたが、その中での判断、どこを使えばいいのか、相手がどういう状況なのか。そこをしっかり見てジャッジするところまでは至らなかったので、今後の課題として修正していきたいです」
 
Q:前後半を通して、どちらに勝敗が転んでもおかしくない紙一重の試合だったと思います。こちらがボールを握ったり、背後を取るシーンもありましたが、どうしても相手のロングボールやクロス、セットプレーに対してリズムを掴み切れないまま終わってしまった印象です。このような相手にしっかり握って勝ち切れたら、もう一つ上の景色が見れると思いました。監督の印象としてはいかがでしょうか?
「長野さんはセットプレーに強いですし、パワーもある。クロスからの得点率も高いので、そこはケアして入ったつもりですが、そのちょっとしたところで失点してしまっているのが今のウチのチーム力なのかなと思います。勝負所でどれだけ体を張れるか。しっかり守備でプレーを切れるか。細かいところで勝敗は決してしまうリーグだと、改めて感じさせてもらいました。こういう相手に対して、しっかりボールを動かして、ゲームを作らないといけないですし、背後を取れていたシーンもありましたが、最後はクオリティーの部分が低い。そこが勝てない原因なのかなと思います。すぐには変わらないと思いますが、どれだけ選手が日々の中で、意識を変えて取り組んでいけるかがポイントになると思うので、残り1試合ですが、1週間の中でまずは気持ちを切り替えて、最終節は来シーズンにつながるようなゲームをして、ホーム最終戦をしっかり勝って終わりたいと思います」
 
Q:得点した田子選手ですが、あの位置からのミドルシュートは持ち味だと思います。今までWEリーグの舞台ではなかなか出せなかったですが、前節、今節と前を向いてシュートを打つ場面を作れています。この短期間での彼女の成長については?
「まだまだ課題は多い選手ですが、彼女のシュート力はストロング。どのエリアでもシュートを打てる力があります。まずゴールを目指すというところ。あのゾーンは十分、彼女にとってはシュートエリアだと思います。GKを見て、打てるチャンスを逃さないことは彼女の課題だったので、一つああいうシュートが決まったことは今後の成長につながると思います。ただ、他の細かい部分においては、まだまだ課題は多いので、粗削りな部分を修正して、もうワンランク、ツーランク上の選手に成長してくれたら嬉しいと思います」

選手コメント

■田子夏海選手
Q:強烈なミドルシュートが決まりました。ゴールシーンを振り返ってください
「前を向いた時にゴールが見えたので、思い切って打ちました」

Q:前を向くことを課題としていた中で、前節、今節とミドルシュートを打てていることについて
「練習の時から前を向けるように意識して取り組んでいたので、試合で出来て良かったです」

Q :試合の流れの中で、さらに磨いていきたいプレーについて
「周りを使うタイミングと、どこからでも決められる、どんな形のシュートでも決めきれるように頑張ります」

Q. 次節はホーム最終戦です。意気込みをお願いします
「最終戦勝って終われるように頑張ります。ぜひ応援に来てください!」


■荻久保優里選手
Q:高い位置で奪って田子選手のフィニッシュにつながった1点目について
「逆サイドで持ち上げている時は中央が開くので、そこを常に狙っていました。丁度ボールがこぼれてきて、相手と正対した時に味方のなっちゃん(田子)が動き出してくれて、なっちゃんにパスができました。なっちゃん自身が身体が強くてターンも上手いので、しっかり足を振ってくれて決めてくれました」

Q 長野のダイレクトプレー、クロスやセットプレーの対応は難しさも感じさせたが、このような攻撃にはどう対処すべきか?
「ダイレクトプレーが多くて、ワンタッチで背後を取られるなど自分達のディフェンスが裏返されたことが多かったので、ファーストディフェンダーをはっきりするのと、ワンタッチの背後のボールに対して、しっかりディフェンスラインがチャレンジカバーも含めてもう一個早く下げれていれば、クロスボールも上げさせることがなかったと思うので、ゴール前での攻防も少なくできたと思います」


■宮本光梨選手
Q:今節も積極的にゴールを狙っていましたが、前節WEリーグ初ゴールを獲得したことで、さらに意欲も出ている?
「そうですね。1点で満足はしていないので、今日もリーグとして2点目を狙ってましたし、決められなかったですが、次が最終戦なのでそこでも狙っていこうと思います」

Q:うまくボールを回せていた時間帯もあったが、もう一つ崩し切れなかった要因は?
「自分たちのミスで失う事も多く、競り負けていることも増えたので、そこをもう少し繋いで自分たちのペースにできれば、1点が近いと思います」

Q:次節はホーム最終戦です。意気込みをお願いします
「ホーム最終戦はチームとしても1万人プロジェクトをしているので、たくさんの観客の中でしっかり勝ちきって恩返ししたいと思います」