第19節
2025.4.27日
INAC神戸レオネッサ
カルロタ スアレス (20')
カルロタ スアレス (32')
カルロタ スアレス (53')
3
AWAY
FULL TIME
1
ノエビアスタジアム神戸
2-1
1-0
セレッソ大阪ヤンマーレディース
田中 智子 (12')
ノエビアスタジアム神戸
2,162人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「今シーズンも残り4試合、まずは自分たちがやってきたことを全て出そうと臨みました。INACさんも優勝するためには負けられないゲーム、必死になって向かってくる相手に対して、どれだけできるか。そういう相手をしっかり跳ね返して、勝点3を奪おうと臨みました。ゲームの入りは落ち着いて入れたと思いますし、先制点を取れたところまでは良かったのですが、その1点で気の緩みになったのか、クロスのところのアプローチの緩さも出ましたし、クロスの対応で失点を重ねてしまいました。やっぱり、細かいところを逃さないのが上位陣なのかなと改めて感じたゲームでした。この経験を生かして残り3試合、しっかり修正して、3つ勝てるように準備していきたいです」
Q:入りは今シーズンの中でも一番というぐらい良かったと思ったが、失点を重ねるごとに自信を失っていったように見えました。3失点目は軽率なミスからでしたが、前半の2失点に関しては、高さ、フィジカルの部分でなかなか防ぐことが難しい失点にも見えました。どのような対応が必要だったでしょうか?
「まず、クロスを上げさせないところで、どこまでアプローチにいけたのか、そこを見直さないといけません。もちろん、高さというところでは、普通に競り合ったら勝てないですが、正しいポジションを取れていたのか。勝てないにしても、やらせないことは可能だったと思うので、体を当てるポジショニングはどうだったんだろうと。相手がいい状態で競れば、相手の方が上なので、いかにやらせないか。そこを追求していくしかない。チームとして簡単にやらせない、入った後のセカンドボールを回収する。そこを突き詰めていくことが大事だと思います」
Q:今日の結果で、得点ランキングで矢形選手がカルロタ スアレス選手に抜かれました。ここ数試合、矢形選手はプレッシャーを抱えている様子も見られましたが、追う立場になったことも含め、残り3試合に向けて、彼女にメッセージをお願いします
「後期になってなかなか得点が取れていないことで迷いもあるのか、プレー自体も少し慌てていた部分、それによってファーストコントロールが決まらない、ゴールから逆算できていない部分もあったと思うのですが、このゲームに関してもフィニッシュに行く回数は少なかったですが、プレーのスピードを落としたり、見えるものは増えてきたのかなと思うので、残り3試合でしっかり修正して、得点も重ねてもらえたらいいのかなと思います」
Q:先制点は田中智子選手がボックスの外から打ったミドルシュートでした。積極性も含めて、どう成長を感じますか?
「前節の脇阪もそうですし、ゴールを意識したフィニッシュが増えてきているのかなと。ゴールを見て、シュートに持っていくところは成長した部分はあるのかなと思います。ただ打っても入らないですが、チャンスを逃さないところが少しずつ出てきている部分はチームの成長だと思うので、そこは継続しながら、それに対して周りの選手がどれぐらい反応していけるのか。そこも加えてやっていければいいと思います」
Q:後半の3人同時交代の意図について
「やることがチームとして変わるわけではないですが、流れが完全にINACさんに行っていたので、3人を替えて、パワーのある選手を投入して、運動量でもう一回、相手を押し返すことができればいいと思って替えました。その中で、それぞれの役割がどこまでできたのか、もう一回見直して、さらにチームがパワーアップできるようにやっていきたいです」
選手コメント
■田中智子選手
Q:素晴らしい先制点でしたが、打った瞬間、決まった瞬間の思いは?
「やかち(矢形海優)にパスを出そうと思ったのですが、マークがいたので、『どうしよう』と思って、とりあえず打ったら入ったので、『入って良かった』という気持ちです(笑)」
Q:入りは良かったですが、今日に向けて準備してきたことが出せた感じでしょうか?
「入りはボールも回せて、前線からの守備もハマって良かったのですが、点を取られる前あたりからだんだん悪い流れになって、その中で決められて、悪い方向に進んでいった印象です」
Q:ここ数試合、点が取れていないことで矢形選手はプレッシャーもあると思いますが、残り3試合、隣でどういうプレーでサポートしていきたい?
「これからも決めてくれると思うので、『頑張れ!』と、隣で応援し続けます(笑)」
■矢形海優選手
Q:悔しい結果になったと思うが、まずは、この結果をどう受け止めていますか?
「前半の最初はやれていた部分もありましたが、失点してから崩れていった部分もありました。でも前半、(相手)GKのミスで自分にもチャンスがあった中で、そこをゴールにつなげることができなかった。そこからバタバタしてしまったので、責任を感じています」
Q:前半はボールの回りも良く、攻守の切り替えも良かったと思うが、今日に向けて準備してきたことを出せた部分もありましたか?
「最初はそうでしたが、守備の部分では、クロスを上げられて、カルロタ スアレス選手に当ててくることは全員が警戒して準備していたのですが、同じ形で2失点してしまった。一つ前も、クロスを上げさせる前にもっと寄せないといけないですし、上げられたとしても、合わせられないように、もっと徹底しないといけなかったと思います」
Q:得点ランキングでも抜かれてしまったが、いい意味でプレッシャーから解放されて、ラスト3試合に臨めるのかなとも思うが、次節、古巣の仙台戦へ向けて
「これまでは追われる立場でしたが、次からは追いかける立場になったので、ここからが勝負です。まだあと3試合あるので、諦めずに最後の笛が鳴るまで走り続けたいです。毎試合、応援して下さるサポーターの方々には、最近は得点という結果で恩返しできていません。今日も最後まで歌ってくれたことは、期待してもらっていると思うので、その期待に絶対に応えたい気持ちは強いです。今日は悔しいの一言ですが、この悔しさを爆発させます!」
■脇阪麗奈選手
Q:入りは素晴らしく、先制もできましたが、1失点目をしてから相手に勢いも出てきて、止めることが難しくなった印象ですが、振り返ると?
「試合の入りは良かったですし、思うような形で点を取れたので良かったですが、2失点目以降、崩れてしまった印象です。点を取られても慌てずやれたら良かったですが、立て直すことができないのが今の流れというか、私たちの実力だなと改めて感じました」
Q:立ち上がりは相手を見ながらボールを動かしたり、ボールを失っても奪い返せていただけに、失点して崩れてしまったことが課題というか、残念ではありましたが、メンタルの部分が大きいですか?
「そうですね。想定していた形で点を奪われたことが、精神的にみんなきたのかなと思います。その中でも自分は『大丈夫』という声をかけ続けたのですが、一人では変えられない部分もあるので、こういう苦しい試合になったかなと思います」
Q:今日の試合をどう残り3試合に生かしていきたい?
「やっぱり、失点しても自分たちがやることは変えずにやっていくことが大事です。もっと自信をもってやれたら、前半の入りみたいにつなげると思うので、自信を持って、メンタルの部分でも成長していけたらと思います」
■浅山茉緩選手
Q:カルロタ スアレス選手に対するクロスはチームとしても警戒していた部分だとは思いますが、マッチアップして、やはり相手が上でしたか?
「そこにボールが来ることは分かっていましたし、高さで負けることも分かっていた中で、ボールが空中にある時にどれだけ駆け引きできるか、体を当てられるか、そこが勝負だと思っていました。高さで負けるなら、もっと準備のところで勝負しないと失点になってしまう。そこを改めて痛感したので、次、対戦する時はゴール前でもっと体を当てるとか、クロスのところでも、もっと声を掛け合って、いいボールを上げさせないとか、もっとできることはあったと思うので、次の試合以降に生かしていきたいです」
“ダブル”を目指したバトルオブカンサイ。田中智子のゴラッソで先制も、カルロタ スアレスにハットトリックを許して無念の逆転負け
リーグ後半戦、初勝利を収めた前節のノジマステラ神奈川相模原戦から中7日、セレッソ大阪ヤンマーレディースは、連勝を目指して敵地でのINAC神戸レオネッサ戦、2024-25 SOMPO WEリーグ第19節に臨んだ。先発は前節と同じ11人。古巣戦となった脇阪麗奈はこの試合でWEリーグ・なでしこリーグ通算200試合を達成した。
立ち上がり、主導権を握ったのはC大阪。攻撃ではテンポよくつないで相手の背後を狙うと、8分、荻久保優里のクロスのこぼれ球を脇阪がシュート。前節と同様、思い切りよくシュートを放つと、12分、先制に成功。宮本光梨が高い位置で相手のパスをカットすると、これがそのまま前線の田中智子へのパスになり、田中が遠めの位置から右足を振り抜くと、逆サイドネットに吸い込まれるビューティフルゴールとなり、前節に続いてC大阪が早い時間帯でスコアを動かした。C大阪は攻から守への切り替えも早く、複数で囲い込んでボールを奪うなど、I神戸に有効な攻撃を許さない。上々の入りを見せたが、19分、I神戸の山本摩也にクロスバー直撃のミドルシュートを打たれると、その流れから同点に追い付かれる。自陣右サイドから上げられた滞空時間の長いクロスに対し、ファーサイドでカルロタ スアレスに頭で合わせられた。この場面では、カルロタを浅山茉緩と荻久保で挟んでいたが、さらにその上を行く打点の高いヘディングで押し込まれた。このゴールを機に息を吹き返したI神戸に対し、C大阪は守勢に回る時間が増えると、32分、再び自陣右サイドを崩され、クロスからカルロタに頭で決められ、逆転を許した。C大阪としては、警戒していた形で2失点。「クロスに対するアプローチの緩さ、普通に競ったら勝てない相手に対し、中で正しいポジションを取れていたのか」と課題に言及した鳥居塚伸人監督。「ボールが空中にある時にどれだけ駆け引きできるか、体を当てられるか、そこが勝負だと思っていた」と浅山も十分に理解していたマッチアップだったが、I神戸のストロングポイントに上回られた格好となった。35分には、相手DFからGKに出たバックパスに詰めた矢形海優がGKのミスを突いてボールを奪いかけたが、シュートには至らず、前半はこのまま1点ビハインドで終了した。
後半も立ち上がりはC大阪が攻守に前への矢印を強く出し、アグレッシブな入りを見せたが、53分に3失点目。左サイドバックの荻久保が不用意な形でボールを失うと、カルロタに独走を許し、GKとの1対1を決められた。この失点でやや気持ちが切れてしまったC大阪は、以降の時間帯はI神戸に好機を量産される。それでもDFのカバーやGK山下莉奈の好セーブもあり、4失点目は防ぐと、66分、鳥居塚監督は3枚替え。田中、百濃実結香、高和芹夏に代えて、田子夏海、和田麻希、丸井優奈を投入。「流れが完全にINACさんに行っていたので、パワーのある選手を投入して、運動量でもう一回、相手を押し返す」狙いのもと送り込むと、73分、田子が敵陣ペナルティーエリア手前で受けて、反転シュート。左サイドでは和田が仕掛けるなど、I神戸の勢いを削ぐことには成功したが、C大阪のチャンスになりかけたシーンでのI神戸の戻りも早く、チャンスは作らせてもらえない。87分には、I神戸の決定機でGK山下が好セーブ。4点目こそ与えなかったが、試合はこのまま1-3で終了。前回対戦に続く勝利とはならず、I神戸の逆転優勝にかける思いの強さの前に屈した形となった。
素晴らしい試合の入りから一転、失点後は相手に飲まれる展開で敗れたC大阪。キャプテンの脇阪は、「点を取られても慌てずやれたら良かったですが、立て直すことができないのがいまの私たちの実力だと改めて感じました。失点しても自分たちがやることは変えずにやっていくことが大事。もっと自信を持って、メンタルの部分でも成長していけたらと思います」と今後を見据えた。得点王を争うカルロタに眼前でハットトリックを決められ、得点ランキングでも抜かれた矢形は試合後、「悔しいの一言に尽きます」と唇を噛み締めた。ただし、その目は決して死んではいない。「これまでは追われる立場でしたが、次からは追いかける立場になったので、ここからが勝負です。まだあと3試合あるので、諦めずに最後の笛が鳴るまで走り続けます。今日は悔しいの一言ですが、この悔しさを爆発させます!」とラスト3試合での得点量産を誓った。今シーズンのバトルオブカンサイは、C大阪が歴史的な1勝も挙げたが、今節はI神戸にリベンジを許す形で敗れ、1勝1敗で終了。関西に拠点を置く好敵手として、来季こそ、その差を縮めて追い越す戦いに期待したい。