第11節
2024.12.1日
セレッソ大阪ヤンマーレディース
百濃 実結香 (12')
矢形 海優 (16')
2
HOME
FULL TIME
1
ヨドコウ桜スタジアム
2-1
0-0
INAC神戸レオネッサ
成宮 唯 (4')
ヨドコウ桜スタジアム
4,754人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「多くのお客さん、サポーターが入ってくれて、『この場を作ってくれた全ての人に感謝してゲームに入ろう』という形でこの試合に臨みました。その中で、先制はされたのですが、選手自身が頑張ってくれたし、多くのサポーターが後押ししてくれた結果、このような試合になったと思います。このようなゲームを毎回できるように努力していきたいのと、『試合の入りは重要だよ』と言った中で失点してしまった課題もあります。後半も必死に頑張っていましたが、あの中からまた自分たちのリズムに持っていける技術と判断は課題も残ったゲームだったので、継続しながら修正して、次節に臨みたいと思います」
Q:WEリーグ参入後、初めてホームゴール裏を開放した試合で、5,000人近くのお客さんが入った試合で、INAC神戸レオネッサにWEリーグで初勝利を掴みました。レディースチームにとって、この意義をどう感じますか?
「多くの人がこういう環境を作ってくれたことに対して、選手たちがどれぐらい恩返しできるか。今までは、こういう場面でなかなか勝ちをプレゼントすることができなかった中で、選手が一生懸命、頑張ってくれました。多くの人が入ってくれたことが後押しになって、この結果になったと思います。これからも勝点3を取れるチームに成長させていきたいですし、個人としても、こういうゲームで活躍できる選手になっていって欲しいなと思います」
Q:最近のホームゲームでは、前半は良い戦いをしても後半に崩れて失点を重ねる試合も目立ちましたが、今日は最後まで体を張って無失点で終えました。試合前も「守備の個人戦術」という話がありましたが、この試合で見せた守備をどう評価されますか?
「ちょっとしたことだと思うのですが、負けたくない気持ちが出ていたと思います。そのちょっとした一歩が、この勝利につながったと思います。寄せるところも含めて、ゴールを守る気持ちが今日はあったのかなと。見ていて、それをしっかり感じたゲームでした。こういう守備をどれだけ続けていけるか。トレーニングの中でしっかりやっていくことが、試合でも発揮されます。まだまだ成長できる部分はあるので、継続して成長させていきたいです」
Q:(相手のシュートシーンを含め)プレスがしっかりかかっていたと思うが、意識付けについては?
「本当に選手が一生懸命よく走ってくれたことが全てなのかなと思っています。ただ、その中でも、もっと高い位置からプレスに行くことは課題ですし、スライドできずにゴール前で固まってしまったことは今後の修正点です。この時間帯はこう守ろう、と選手たちが判断して動いたなら、それも成長です。ただ、自分たちのゴール前で守ることはリスクが高いので、(苦しい時間帯でも)より高い位置でプレッシャーをかけられるように、チャレンジしていきたいです」
Q:引退される善積選手について。同期で決めた1点目も含め、「彼女のために」という思いが出ていたと思います。善積選手自身、怪我で辛い思いもしてきたと思いますが、最後にピッチに立ちました。善積選手にかける言葉をお願いします
「(引退は)怪我で、という形だと思いますが、怪我に負けずに何とか復帰してやろう、という姿をずっと見てきました。ピッチに帰ってきた姿、その中でも全力を出し切ってピッチでプレーする姿を見せてくれました。多くのことを感じさせてくれる選手でした。ここまで本当に大変だったと思いますが、お手本になる選手の一人です。最後にヨドコウ桜スタジアムのピッチに立てたことは、今後にも生かして欲しいですし、チームにとっても、こういう選手がいたよね、こんなに努力していた選手がいたよね、ということを見習って、個人、個人が成長して欲しい。チームとしても成長していきたい。セカンドキャリアでも、一生懸命、頑張ってもらいたいと思います」
選手コメント
■百濃実結香選手
Q:ゴールおめでとうございます!
「ありがとうございます!本当に良かったです。お待たせしました(笑)」
Q:勝った瞬間はどのような気持ちでしたか?
「もう最高!という言葉しか出て来なかったです。本当にしんどかったので。みんな体を張って守って。いつもああいう展開になるとやられてしまうのですが、INACさんという強い相手でも負けずに勝ち切ったことは、本当に嬉しかったです」
Q:決めた瞬間の思いはいかがでしたか?
「はぁ、という感じです(笑)。色んな意味で、嬉しかったです。前期のうちに決められたことにホッとしたのと、『ゴール裏に向かって決めます』と言っていたので、決められてホッとしたのと、(善積)わらいを勝って送り出したい気持ちが強かったので、色んな意味で嬉しかったです」
Q:5点分ぐらいですね(笑)
「もうとりあえず安心というか(笑)、またここからさらに取っていきたい気持ちが強くなりました」
Q:しかもアシストが同期の高和選手でした
「同期がつないでくれた、同期へ向けてのゴールでした(笑)」
Q:その後は一目散に善積選手のところに走って行きましたね
「古澤(留衣)さんの時と同じで、『決めるから待っておいてね。同期で行くね』と言っていたので、有言実行できて嬉しかったです」
■高和芹夏選手
Q:感動しました(笑)
「いや、ホントに(笑)。試合終了の笛が鳴った瞬間は、嬉し過ぎて感動しました(笑)」
Q:先制された後、すぐに取り返した得点は02年組でしたね
「やっと実結香とのホットラインを形成できました。しかも、INAC戦という絶対に勝ちたい試合で2人で取れたことは、素直に嬉しいです」
Q:うまく入れ替わったと思うが、技術的な部分であのシーンを振り返ると?
「五分五分のボールだったので、あそこで体を入れたら、もしかしたら倒されてPKの可能性もあったし、あそこで体を入れたことで抜け出せました。チームとしても、あのゾーンを取ろうという話はしているので、その形が出せて良かったです」
Q:得点後は、百濃選手と一目散に善積選手のところに行きましたね
「試合前から、『02で点を取ったらわらいのところに行こう』という話をしていたので、それができて嬉しかったです」
Q:ゴール裏にサポーターが入ったスタジアムの雰囲気はいかがでしたか?
「ゴール裏に攻めていた前半、2点を取れたのは、間違いなくゴール裏のサポーターの皆さんのおかげです。まさか、あんなに入ってくれるとは思わなかったので。後半もゴール裏の皆さんのおかげで守り切れたと思います。今日は間違いなく、ゴール裏の声援のおかげで勝てました」
■矢形海優選手
「良かったですー!!ほんとに嬉しいです(笑)。いつもより、今日の勝利は嬉しいです!」
Q:全員の気持ちが出ていたゲームでしたね
「やっぱり最後は気持ちっしょ、ですね(笑)」
Q:足を一歩出すとか、体を投げ出してブロックするとか、魂のこもった守備も多かったです。実際、後半はどのような思いでプレーしていましたか?
「後半はほぼ相手の攻撃を受ける立場で、相手陣地には行けていなかったので、45分間ずっと苦しかったですが、ゴールを取られなかったら勝てる状況だったので、全員で体を張って守りました。今日の勝利は全員が頑張った結果で、気持ちが入った試合ができました」
Q:それを可能にしたのも、矢形選手の勝ち越しゴールのおかげです
「そうですね(笑)。早い時間帯で失点したのですが、すぐに実結香が同点ゴールを決めてくれて、自分のゴールはクロスも良かったので、合わせるだけでした。入った瞬間は、もう最高でした(笑)。初めてゴール裏にサポーターが入って、応援の迫力は凄かったし、その目の前で決めた瞬間の声援は、本当にパワーを感じました。本当に最高でした」
Q:目標の二桁ゴールも達成しました。ただ、通過点ですね
「そうですね。前半戦で取れたことは良かったですし、目標を達成できたことは嬉しいですが、チームとして5位以上という目標もあるので、これからもゴールを量産しつつ、チームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいです」
■脇阪麗奈選手
Q:WEリーグでINAC神戸レオネッサに初めて勝った感想は?
「毎回、勝てる感覚はあったのですが、負けているのが現実だったので、今日は本当に勝てて良かったです(笑)」
Q:試合前、「苦しい時間帯でどう守るか」を試合のポイントに挙げていました。後半はきつかったと思います。押し込まれていた時間帯について
「全員が集中して守れました。お客さんがたくさん入ってくれていたので、その前で失点はできないと、みんなも自分も思っていたので、全員で必死に守れて良かったです」
Q:矢形選手のゴールのアシストは、またもピンポイントのクロスでしたね
「練習からああいう形はあったので。試合でも自分の思ったところに蹴られて良かったです」
Q:試合後はゴール裏に挨拶もされていたが、今日のスタジアムの雰囲気を体感した感想はいかがですか?
「試合中もあの応援があったから、みんな走れたし、守り切れたと思うので、本当に感動しました!」
■浅山茉緩選手
Q:裏MVPと呼べる素晴らしい活躍ぶりでしたね!
「ありがとうございます(笑)」
Q:INACの高さと強さのある攻撃を受けて、どう守っていましたか?
「まず、たくさんのサポーターが来てくれて、運営の人も動員など頑張ってくれたので、色んな人に『絶対、勝利で返したい』という気持ちでプレーしていました。今季はずっとFWをやっていて、練習でもあまりCBはやっていなくて、準備期間は短かったのですが、『やるしかない、自分はできる』と言い聞かせて臨みました(笑)。不安もあったのですが、前日の練習で(米田)博美ともしっかり話して。相手はスラして攻めてくることも分析ではあったので、どう対処するかを話して臨んで、しっかりチャレンジ&カバーはできたと思います」
Q:後半、足を伸ばして止めたプレーもありました。あのシーンもビッグプレーでしたね
「あの場面は気持ちでした(苦笑)。失点しなければ勝てる、と言い聞かせてプレーしていたので。今日はやり慣れていないCBだったこともあって、守備の対応で足にきて、後半10分ぐらいで足をつりかけてしまい…(苦笑)。でもとにかく気持ちで乗り切ろうと。後ろにサポーターさんがいっぱい付いてくれていたので、応援の声も聞こえて、頑張れました」
Q:両足を伸ばしていましたね。よく最後まで乗り切りましたね
「一か所つると、他の箇所もつり初めて(苦笑)。ホンマに気持ちで戦いました」
■山下莉奈選手
Q:特に後半、相手の攻撃を受けていた時間帯の心境について
「ずっと押し込まれている状況で、そこで1失点でもしたら勝点を逃すと思ったので、それだけは絶対に阻止しないといけないと思って、みんなで頑張りました」
Q:足でビッグセーブした場面については?
「ヘディングだったと思いますが、勝手に体が動いた感じです(笑)」
Q:ゴール裏からの応援を体感した感想はいかがですか?
「初めて後ろで応援していただいて、やっぱり、やらなな!という気持ちになりました。距離も近いので、ネットを揺らされたら、皆さんも見えるので、それだけはアカンなと思って頑張りました(笑)」
Q:ウーマン・オブ・ザ・マッチの10万円の使い道は?
「焼肉が好きなので、美味しいお肉を食べます!(笑)」
■善積わらい選手
Q:スピーチ感動しました
「ありがとうございます(笑)」
Q:しっかり自分の思いを伝えていましたね。全部、思いの丈は話せましたか?
「言いたいことはいっぱいあったので、何を言おうか色々考えていた中で、限られた時間でどれだけ感謝の思いやこれまでの経験を伝えられるかな、と思ったのですが、自分なりには全部、伝えられたかなと思います」
Q:家族の話で涙も流していましたが、やっぱり、一番支えてくれていた存在が家族ですか?
「そうですね。家族がいなかったら今の自分もいないですし、辛い時もずっと支えてもらっていたので。やっぱり家族の話をすると、涙が出ちゃいました(笑)」
Q:素晴らしい試合で送り出してくれたチームメートへの思いは?
「INACには今まで勝てていなかったので、試合前から厳しい試合になるとは思っていましたが、試合前から実結香が『わらいのために決めるから』と言ってくれて、それを実現してくれた実結香。アシストしてくれたのがセリ(高和芹夏)。やっぱり私の同期は凄いなと思いました(笑)。ありがたかったです」
Q:でも、そんな高和選手も試合前、「ずっと憧れていた。上を走っていた存在」と話していましたよ
「いえいえ、そんな(笑)」
Q:「辞めて欲しくない」とも言っていました
「そう言ってもらえるだけで、嬉しいです」
Q:最後、なかなかプレーが切れなくて、どうなるかと(笑)
「ハハハ、そうですね(笑)」
Q:どのタイミングで、声がかかったのですか?
「後半41分ぐらいに『アディショナルタイムで行くよ』と言われて。実際アディショナルタイムに入って、そこから残り2、3分になって。待っている時に笛が鳴ったらどうしようと思っていたのですが(笑)、最後にピッチに立てて良かったです!ありがとうございました」
WE参入後、INAC神戸レオネッサから初勝利。百濃実結香、矢形海優のゴールと魂の守備、見事な逆転勝ちで、「バトルオブカンサイ」を制する
今季初の連敗を喫した前節・ちふれASエルフェン埼玉戦から中7日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、ホームに戻り、INAC神戸レオネッサとの2024-25 SOMPO WEリーグ第11節に臨んだ。今節はWEリーグ参入後、初めてヨドコウ桜スタジアムのホームゴール裏が開放された一戦。試合前から雰囲気が出来上がった状態でキックオフを迎えた。
前半は「日差しの関係」(山下莉奈)もあり、エンド交換を選んだC大阪。結果的に、この選択が試合の流れと絶妙にマッチすることになる。立ち上がり、猛攻を仕掛けてきたのはI神戸。今シーズンは早い時間帯での得点が多いチームだけに、C大阪としても「入りは重要」(鳥居塚伸人監督)と警戒して臨んだが、4分、I神戸の10番・成宮唯に中央を割られて失点。厳しいスタートとなった。それでも下を向くことなくボールをつないで反撃に転じると、12分、同点に追い付く。決めたのは百濃実結香。試合前、「(同期の善積)わらいのためにもゴールを取って、勝って、笑顔で送り出したい」と話していたが、まさに有言実行の一撃となった。しかも右サイドを崩してアシストしたのも、2人と同期の高和芹夏。得点後は百濃、高和が揃ってベンチの善積、松本奈己の元へ駆け寄った。前節のEL埼玉戦では、「公式戦で初めて4人が揃って先発した」(高和)記念すべき一戦だったが、「4人とも途中交代となり、試合後はみんなで苦笑いをしていました(笑)」と善積は振り返る。それだけに、百濃と高和にとって前節の悔しさを払拭する会心のゴールであり、「やっぱり私の同期は凄い(笑)」と善積も微笑んだ。この得点で勢い付いたC大阪は、ゴール裏の応援も力に変えて、4分後、逆転に成功する。ショートコーナーの流れから、脇阪麗奈の正確なクロスにファーで合わせたのは矢形海優。目標にしていた二桁ゴールに到達する一撃を、この大事な一戦で決めてみせた。試合後は、「良かったです!!ほんとに嬉しい(笑)」と満面の笑みを浮かべ、「ゴール裏の前で決めた瞬間は最高でした」と声を張り上げた。今節を迎えるまでは無敗で首位、さらにリーグ戦での前半は無失点でここまで来ていたI神戸の牙城を見事に崩した。このあとは、シンプルなクロスも多用し、前線の個の強さを前面に出してきたI神戸に対し、前半の終盤は押し込まれる時間帯も続いたC大阪だったが、1点リードのまま前半を折り返した。
後半開始からI神戸は切り札・髙瀬愛実を投入。前線を3トップ気味に、ロングボールを多用してきた。C大阪も田中智子に代えて北原朱夏を投入。矢形、北原の2トップで後半に入った。56分、脇阪のパスを受けた矢形がカットインからシュートを放つと、61分にも、北原のクロスをファーで矢形が合わせて惜しいチャンス。ただし、この時間帯以降はほぼ守勢に回ったC大阪。これまでのリーグ戦では、相手に渡った時間帯で失点し、そのまま試合の流れも持っていかれることも多かったが、この試合では「全員が集中して守れた」(脇阪)と、自陣に押し込まれても体を張って守る。I神戸が多用してきたクロスに対しても、米田博美、浅山茉緩を中心にしっかりと体を当て、セカンドボールへの反応でも足が動いていた。それでも強引にこじ開けにきたI神戸に対し、ゴールを割られそうなシーンも何度かあった。裏に抜け出されかけた73分、78分のシーンでは、浅山が足を伸ばして懸命に突破を阻止。この2つのプレーで両足をつるなど、ギリギリの戦いを強いられながら、「気持ちで乗り切った」(浅山)。今季はずっとFWでプレーしており、CBでのプレーは今節が初めてながら、I神戸の強力FW陣に対応。影のMVPと呼べる活躍ぶりだった。75分には、CKから放たれたカルロタ スアレスのヘディングがクロスバーを直撃。C大阪は運も味方に付けると、88分の髙瀬のヘディングはGK山下が右足でスーパーセーブ。「体が勝手に動いた」と抜群の反応でゴールを守った。その跳ね返りを狙ったカルロタ スアレスのシュートも米田がブロックした。1点リードで迎えた後半アディショナルタイム。ラストプレーが近づいてきたタイミングで善積がピッチに入ると、その直後に試合終了の笛。WE参入後、C大阪はI神戸から初めて公式戦での勝利を達成した。
試合後、鳥居塚監督は、「負けたくない気持ちが出ていた」と選手たちを称えつつ、「多くのサポーターが後押ししてくれた結果、このような試合になったと思います」と、ヨドコウ桜スタジアムに集った大勢のファン、サポーターに感謝の言葉を述べた。ミックスゾーンでは選手たちも、「ゴール裏の声援のおかげで勝てました」(高和)と声を揃えたように、ゴール裏を開放して約5,000人の観客が集まったこの日のスタジアムの雰囲気は素晴らしかった。試合後は善積の引退セレモニーも行われ、引退を決断した経緯に加え、これまで共に戦ってきた選手、指導者、さらには「一番のサポーターだった」という家族に対して感謝の言葉を述べた。途中、その目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。多幸感に包まれた年内最後のホームゲーム。ここから中9日空いて、浦和がAFC Women's Champions League 2024/25に出場する関係で延期となっていた第5節が11日(水)に行われる。リーグ戦前期最後の一戦。この勢いのまま上位の浦和も倒し、24年を締めたい。