2023-24 WEリーグ第3節

2023.11.23

セレッソ大阪ヤンマーレディース

0

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FULL TIME

1

0-0

0-1

AC長野パルセイロ・レディース

安倍 乃花 (90+2')

ヨドコウ桜スタジアム

3,032

大阪学芸サポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

粘り強い戦いの中から勝機を掴みにかかるも、2試合連続、終了間際の失点で連敗
 
快晴の青空の下、AC長野パルセイロ・レディースをヨドコウ桜スタジアムに迎えて2023-24 WEリーグ 第3節に臨んだセレッソ大阪ヤンマーレディース。先発は前節から2人変更。白垣うのと栗本悠加がWEリーグ初先発を果たした。
 
ここまでカップ戦も含めて一貫して4-4-2のシステムで戦ってきたC大阪だが、今節は脇阪麗奈をアンカーに、小山史乃観と田中智子がインサイドハーフ、百濃実結香と栗本をウィングに配置する4-3-3で挑んだ。入りは悪くなかったが、徐々にAC長野のプレスに苦しめられ、奪ったボールをつなげず劣勢の時間が増えていく。7分には、CBからのパスをカットされ、AC長野にショートカウンターを浴びたが、シュートはGK山下莉奈が阻止。19分にも自陣でのパス交換がズレたところをAC長野に拾われシュートまで持ち込まれたが、ここも山下が素早い反応で好セーブ。ピンチを防いだ。その後もAC長野の連動した守備を打開できず、なかなか自陣から前に出ることができない。相手に与えるセットプレーも増えていった中、GK山下を中心に何とか失点は回避すると、前半の終盤は相手のプレスをかいくぐり、敵陣に入るプレーを増やしていく。ここまで前向きにドリブルする機会が訪れていなかった栗本もこの時間帯は縦への推進力を発揮。スタジアムを沸かせるプレーを見せ、ゴールに迫った。前半は0-0で終了。C大阪としては決して思い通りに運べた内容ではなかったが、山下、筒井梨香、脇阪が試合後に声を揃えたように、うまくいかないなりに失点ゼロで抑えたことで、後半につなげることができた。
 
後半開始にあたり、C大阪の鳥居塚伸人監督は2枚替え。中谷莉奈と浅山茉緩に代えて前川美紀と米田博美を投入。小山を左サイドバックに下げ、前川が左のインサイドハーフに入った。後半も球際の攻防は激しいが、前半に比べると相手のプレスの勢いが弱まったこともあり、C大阪が敵陣に入る回数は増えていく。54分には、相手GKに矢形海優がプレス。ボールを奪って絶好のチャンスが訪れかけたが、惜しくもシュートは打てなかった。59分にも脇阪のパスから背後を取った矢形が決定的な形に持ち込みかけたが、DFのカバーに遭う。65分、栗本に代わり宮本光梨が入る。システムを4-4-2に戻し、田中が前線に上がって百濃が右サイドハーフに移った。すると69分にビッグチャンス。脇阪が右へ展開。白垣、百濃とつなぎ、最後は百濃がカットインからクロス。ファーに矢形が飛び込んだが、あと一歩合わなかった。後半は流れを引き寄せたC大阪だが、AC長野の集中した守備を前に決定的な形は作り切れない。87分、百濃に代わって玉櫻ことのが入り、WEリーグデビューを飾ると、90分、その玉櫻が背後へ抜けて相手DFのファウルを誘ってFKを獲得。ゴール前の良い位置だったが、田中のキックは味方と合わなかった。すると、90+2分、C大阪は痛恨の失点。自陣右サイドから許したロングキックに逆サイドから走り込んできた安倍乃花にヘディングで合わせられると、これがGK山下の頭上を越えてゴールに吸い込まれた。
 
前節に続き、終了間際での失点により敗れたC大阪。試合後は落胆の色も濃かったが、「これがサッカー、これがプロのリーグ」と選手たちに伝えたという鳥居塚監督。WEリーグ新規参入を果たした今季、早くも最初の試練が訪れた格好だが、「こういう経験を(シーズン)前半で味わっていれば、後半は上がっていくしかない。2試合連続でのこうした経験も、良かったと捉えたい」とキャプテンの脇阪。次節は中2日でのアウェイゲーム、ちふれASエルフェン埼玉戦が待っている。短い準備期間で心身の回復を図り、敵地に向かいたい。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督
 
「前節に続き、残り少ない時間帯での失点での敗戦ということで、いい経験を積んでいるかなと思っています。もちろん勝点1でも取らないといけない試合ではあったと思いますが、こういう敗戦が選手たちの成長につながると信じています。気持ちを落とさず、次すぐ試合はあるので準備したいと思います」
 
Q:今節はスタートの形を変えた中で挑まれたが、その狙いと、なかなか相手のプレスをはがせずボールを前に運べなかったが、前半の内容をどう見られた?
「前半が、今のウチの力かなと思っています。後半に多少、修正はかけたのですが、修正をかければできることも一つの力だとは思いますが、前半の局面を個人が考えて打開できるレベルに持っていかなければ、このリーグで勝ち続けることは難しい。システムを戻して対応することも一つの手ではあると思いますが、あくまでもウチはチャレンジャーということも含め、まだまだ成長させないといけない。このシステムの中で選手が考えて勝点3を取れるようになっていけば、WEリーグに旋風も巻き起こせるのかなと思います。カップ戦の結果は別として、勝点を取るのがどれだけ苦しいか思い知った2試合だと思うので、この経験をまた次につなげていきたいです」
 
Q:リーグ戦になり、カップ戦からまた一つ相手の強度も上がった中で、球際一つでも相手の圧は強い。個々のバトルも含め、WEリーグを戦う上で高めないといけないことは?
「経験は時間がかかってしまう。その経験の差をどう埋めるかは、一人一人が準備を早くして、見るモノを増やすこと。強度に関しても、球際の強さだけではなく、相手はうまさもあります。ボール扱いではないうまさは、WEリーグを先に2年戦っている選手は確かにうまいなと感じます。そういう駆け引きを含め、リーグ戦での戦いを覚えていって欲しいです。そんなに甘くないですし、試合を重ねてスカウティングされた中での対戦になるので、そこを打開できるかが今後のカギになると思います」
 
Q:今節は中盤の形を変えた中で挑まれたが、今日のシステムでどのような良さを出そうと思って臨まれましたか?
「個人戦術をまだまだ上げないといけないという中で、システムが変われば自分の役割も変わる。システムによって役割を理解しないといけない。今日はやり辛さもあったと思いますが、やり辛さの中でも、選手がどう考えて、どう試合を勝ちに持っていけるか。前半に関しては、うまくいかない中でも失点ゼロで抑えたことは成長だと感じています。その成長をつなげて、後半にもう一回チャレンジしようと臨んだのですが、結果としてああいう形になったことは、選手がもうひと踏ん張りしないといけない。目の前の試合に勝つことももちろん重要ですが、その中で選手が成長しないまま勝っても、このリーグで旋風は巻き起こせない。チャレンジしながらやっていきたいと思っています」
 
Q:今後も複数のシステムを併用してリーグを戦っていく?
「はい、そうですね」
 
Q;試合後、選手たちに伝えたことは?
「選手たちには、『これがサッカー、これがプロのリーグだよ』と話しました。勝点1を取る難しさを感じたと思うし、勝点3を取ることは、より苦しい。その苦しさとは、走ることではなく、色んな日々の努力を変えていくことが必要だということ。この2試合の悔しさが、選手たちのバネになってくれればいいと思います」

選手コメント

■山下莉奈選手
 
Q:前半はボールを前に運べず、苦しい時間帯も長かった中で、好セーブが光りました。
「やり方を変えて臨んだ中で、前半は自分たちのサッカーができず、自分たちのミスで失ってシュートを打たれることが多かった。失点ゼロで耐えられたことは良かったですが、前半は課題も多かったです」
 
Q:それでも前半を通してチャレンジをやめなかったのは、試合の中で成長していこう、という思いでしょうか?
「今日はフォーメーションを変えて臨んだのですが、無理だからすぐ止める、では成長もしない。難しくてもやろう、ということは最初から話していたので、やり続けました」
 
Q:最初から、劣勢でもしのぐことは意識していた?
「失点ゼロで抑えたら勝点は取れるので、ゼロへのこだわりは持ってプレーしていました」
 
Q:失点場面についてはアンラッキーな部分もあったと思うが、「まさか枠に飛んでくるとは?」みたいな思いもありましたか?
「あの場面も止めないといけなかったです。前節も最後の時間帯に失点したので、今後は一切ないように、最後の笛が鳴るまでやり続けないといけない、という課題ができました」
 
 
■筒井梨香選手

Q:前半は思うように試合を運べなかったが、どのような思いでプレーしていましたか?
「前半は4-3-3のシステムでやりました。練習ではやったのですが、最初からうまくいくことはない、という思いもあったので、初めてのシステムで0-0で終えたことは、逆に良かったと思っています」
 
Q:前半はボールを前に運べない中で、失ってピンチも招いたが、まずは耐えることを意識した?
「前半は相手のCKも多かったですが、全員で集中することは心掛けていました。ただ、セットプレーの回数を与え過ぎたとは思います」
 
Q:後半は相手のプレスも弱まり、流れも変わったが?
「主導権を握り切れた感じはなかったですが、1点でも取れば、こっちに流れが来るとは思っていました。そこで決め切れないことも実力なので、練習するしかないですね」
 
Q:2試合連続で後半アディショナルタイムでの失点はDF陣として悔しいと思うが、どう受け止めていますか?
「集中していないわけではないですが、ちょっとした経験の差を突かれている気もします。ただ、全体のミスなので。クロスが上がらなければ最後のヘディングもないですし、ビルドアップでミスしなければ、最後に押し込まれることもなかった。誰のせいでもなく、自分たちのミスの多さから失点していると思います。自分たちでのミスをなくしていけば、もっといいサッカーができると思います」
 
Q:中2日でアウェイという厳しい日程だが、こういう試合の後だからこそ、すぐに試合をしたい思いもありますか?
「そうですね。中2日ですし、切り替えるしかない。今日はボールの失い方が悪かったので、そこは短い時間の中でも改善しないといけないです。次は絶対に勝ちたいです」
 
Q:試練ですが、WEリーグの厳しさを早い時期に味わうことを糧に変えていきたい?
「簡単ではない、ということは分かっていましたが、その中でも勝ち切ることが重要。内容が悪くても勝つことが大事。その上で内容にもこだわって、ミスも減らしていきたいと思います」
 
 
■脇阪麗奈選手

Q:前半は思うようにいかなかったと思うが、その原因はどう考えますか?
「初めて4-3-3のシステムでやったので、うまくいかないこともある、という想定はしていました。それでも耐えながら、前半は失点ゼロで折り返せたことはプラスだったと思います」
 
Q:4-3-3は未完成だと思うが、より精度が上がれば、どういう良さが出ると思いますか?
「ワイドに速い選手を置いて仕掛けさせる狙いもあったので、それが生きてくると思います。サイドが仕掛けて相手が横に広がれば、真ん中でボールを受けて回せる選手もいる。今日に関しては、自分たちの後ろから中盤にうまくボールが入らなかったので、詰まってしまった部分もありました」
 
Q:今後さらに精度が上がっていけば、という感じですか?
「そうですね。ただ、4-3-3はオプションとして持っていたらいい、という感じだと思いますし、基本は4-4-2だと思います」
 
Q:次節に向けて、この2日間で意識したいことは?
「まだまだチームの力が足りない、ということ。まずはそれをしっかり受け止めて。こういう経験を前半で味わっていれば、後半は上がっていくしかないと思うので、2試合連続でのこうした経験も、良かったと捉えたいです」
 
 
■白垣うの選手

Q:WEリーグ初先発でしたが、何を心掛けて試合に入った?
「自分の特長である攻撃参加や、守備での1対1は負けたくない、と意識して試合に入りました。あと、立ち上がりにパスミスをしないことも意識して入ったのですが、そこは少し失敗してしまったと思うので、次に生かしたいと思います」
 
Q:「失敗した」とは、具体的には?
「低い位置でのパスミスが多かったり、遠くが見えていなかったり、です」
 
Q:相手は立ち上がりから、かなり前から来たが、チーム全体でビルドアップがうまくいかなかった印象ですか?
「WEリーグに入って、ここまで前から来るチームはなかったので、感覚として少し戸惑いはありました」
 
Q:試合中、栗本選手との縦関係では何を意識していましたか?
「悠加は縦に速い選手なので、外に張ってもらって、そこから攻撃を作れたらと思ったので、そういうコミュニケーションは取っていました」
 
Q:前半の最後も含め、白垣選手が縦に行けば何かが起こりそうな雰囲気もあったが?
「それがなくなってしまえば自分の特長がなくなる。自分が持って会場を沸かせるというか、何かを起こすのではないか、と思ってもらえるようなプレーは心掛けています」
 
Q:「悔しさをバネに成長」ということを監督も話されていたが、次節以降に向けて
「次は絶対に負けたくないです。すぐに試合も来ますし、引きずっても仕方ないので、この2日間で修正する部分はして、次節に臨みたいです」
 
 
■栗本悠加選手

Q:WEリーグ初先発でしたが、何を心掛けて試合に入った?
「試合前は、全部仕掛けて、『前向きにゴールを狙っていけ』という指示だったのですが、試合が始まったら、自分の武器であるサイド突破を有効的に使えなかった。もっと前を向いて仕掛けていけたら良かったと思います」
 
Q:前半は攻撃の回数も少なかったが、後半に向けてどう改善を試みましたか?
「少し強引にでも自分で突破していこうと思ったのですが、いい形でボールを受けられず、仕掛ける回数もあまりなかったので、次はもっと仕掛けて、怖い選手になりたいです」