2023-24 WEリーグカップ
グループステージ 第3節

2023.9.9

ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

0

AWAY

FULL TIME

2

0-1

0-1

セレッソ大阪ヤンマーレディース

小山 史乃観 (35')

白垣 うの (74')

フクダ電子アリーナ

1,262

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

攻守に連携プレーが奏功し、敵地で快勝。小山、白垣に今季初ゴールが生まれ、クリーンシートも達成
 
敵地に乗り込み、WEリーグカップ グループステージ第3節、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦に臨んだセレッソ大阪ヤンマーレディース。ここまで第1節、第2節と同じ先発11人で戦ってきたが、この試合は2人変更。4日(月)から7日(木)までU-19日本女子代表候補の国内トレーニングキャンプに参加していた米田博美と中谷莉奈が外れ、荻久保優里がCBの一角に、藤原のどかが右SBに入った。
 
立ち上がりからセレッソがボールを握り、敵陣で試合を進めていく。その中で、「相手は中を固めてくる感じだったので、広げてサイドを使って攻撃しよう、という感じでボールを動かしていた」とボランチの宮本光梨も振り返ったように、セレッソは両サイドをうまく使って展開。特に序盤は左サイドが機能し、左SBの小山史乃観も高い位置を取り、攻撃に関わっていく。「セレッソ全体が『繋がり』を意識した中で、ゴールを取るために、どういう距離感がいいのかは考えながら、話ししながらできていた」(小山)。また、開幕2試合で光っていた前からのプレスはこの試合でも継続。後ろからつないでくる千葉Lに対し、田中智子と矢形海優の2トップを中心にプレスをかけ、相手に蹴らせてボールを回収。途中、やや千葉Lにプレスをかいくぐられるシーンもあったが、前半はセレッソが主導権を握った形で推移すると、35分、待望の先制点を奪う。敵陣で2次、3次攻撃を繰り出した中で、最後は高和芹夏が強いミドルシュートを放つと、GKがキャッチし切れず、こぼしたところを小山が詰め、冷静にゴールに流し込んだ。「得点の取れるサイドバックになりたい」と常々、語る背番号10。この場面でも、「パスを受けてシュートを打てる位置にいようという判断」でゴール前にポジションを取ると、こぼれ球にしっかり反応した。前節は先制から4分後に失点して追い付かれたが、この試合は1点のリードを保ったまま前半を終了。43分には、GKから1発のボールで相手のエース、千葉玲海菜に背後を取られかけたが、荻久保が戻ってカバー。シュートは打たせなかった。
 
後半に入ってもセレッソは自分たちのリズムで試合を進める。49分、宮本が高い位置でボールを奪取、すぐさま前線の矢形へスルーパスを通すと、矢形がうまく反転してシュート。得意の形に持ち込んだが、わずかにクロスバーを越えて、2戦連発とはならず。56分には、今度は矢形がボールを奪い、最後は脇阪がシュート。高い位置からの守備が功を奏す場面は継続して作っていたが、この時間帯はつなぎの部分でミスが続き、千葉Lに流れが傾きかける。守勢に回り始めた中、鳥居塚伸人監督は最初の選手交代を行う。右SBで献身的にプレーしていた藤原、1点目の起点になった高和に代え、白垣うのと栗本悠加を投入。再び攻守にスイッチを入れると、66分に決定機。百濃実結香のクロスに脇阪がヘディングで合わせたが、わずかにポスト右に外れた。
 
再び主導権を奪い返したセレッソは、74分、百濃の突破で得たFKから2点目を奪う。脇阪のキックにファーサイドで荻久保が折り返し、最後は白垣が蹴り込み、ネットを揺らした。勝利を大きく引き寄せる背番号22の今季初ゴールに沸くセレッソベンチ。セットプレーから生まれた今季初ゴールに、キッカーを務める脇阪も「3試合目で得点につながったことが嬉しかった」と笑顔を見せた。得点力を発揮した白垣は、守備でも魅せる。71分、77分と自陣右サイドを突破されかけたが、体を入れて進入は許さず。試合後は「ベンチから見ていて、相手につくタイミングなどしっかりイメージできていた」と頼もしい言葉を残した。チーム全体としても、「今週は守備の準備に時間を割いた」(小山)中で、「細かいポジショニングを徹底」(小山)。「しっかりとしたポジションを取ってから守備をすること。ディフェンスラインの上げ下げのタイミングも意識した」と荻久保も振り返ったように、千葉Lに大きなチャンスを与えることなく、クリーンシートを達成。敵地で堂々たる試合運びを見せたセレッソが2-0で今季2勝目を飾った。
 
快勝の中にも、鳥居塚監督は緩めることなくチームの課題を指摘。「(守備での)チームの連動というところでは、複数の選手がどれだけ関われたかというところは今後の課題。セカンド、サードのところで奪い切ることが必要。(攻撃でも) ボールを動かした中で、ゴールからの逆算、ゴールを見ることは今後の課題」と話した。チームとして攻守に積み上げを図る中、より高みを目指しつつ、次節はホームにマイナビ仙台レディースを迎える。「多くのサポーターに今度こそ勝利をプレゼントしたい」と宮本。WEリーグ参入後初のホームでの勝利をつかむべく、準備を進めていく。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督
 
「入りのところから、前線からプレッシャーに行こうという形で入ったのですが、相手の守備がしっかりしていて、なかなか崩すことができずに攻めあぐねていたのですが、選手が頑張ってくれて、先制点を取ることができて、優位に進められたことが今日の勝因かなと思います。選手が一生懸命やってくれた結果かなと思います」
 
Q:全体を通して守備が良かったと思うが、狙いや、できたところは?
「ウチのストロングとして、前線から守備に行こうというところで、選手が一生懸命、頑張ってくれた結果、このような内容になったと思います。ただ、チームとしての連動というところでは、複数の選手がどれだけ関われたかというところは今後の課題になります。ファーストディフェンダーは頑張ってボールを追いかけてくれたのですが、セカンド、サードのところで奪い切れたかと言えばそうではないので、そのあたりは今後の課題だと思っています」
 
Q:前半から主導権を握って試合を進めていたように思います。後半、やや押し込まれた時間帯は、監督の「相手のプレッシャーを恐れず、一つはがせ」という言葉も聞こえてきました。ボールをつなぐ質に関しては、今日の評価はいかがでしょうか?
「試合前から、『自信をもって、勇気をもって、ボールをつなごう』ということを今回のテーマとしてチャレンジした中で、前半は動かせてはいましたが、結局、ゴールからの逆算というところでは、なかなかゴールを見ることができなかったことは今後の課題かなと思います。ゴールから逆算した中で、どうやってボールを動かして相手をはがすのか、今後やっていかないと、点は取れないのかなと感じました」
 
Q:先制点を決めた小山選手ですが、今週の公開練習の日に練習後、マンツーマンで話をされていた場面がありました。彼女に求めることや、どのような選手になって欲しい、という思いはありますか?
「自分のストロングポイントをしっかり出すことが、ゲームの中での結果につながるということを、この間のトレーニングの後には話をさせてもらいました。本人が積極的にチャレンジした結果、(得点シーンでは)セカンドボールにも反応できたのかなと思っています。今後もそういったところも含めて、試合の中で結果を出せる選手を育てていきたいですし、小山にはそこを期待したいと思います」

選手コメント

■脇阪麗奈選手
 
Q:序盤から主導権を握った試合運びができていたと思うが、どのような感覚でプレーしていましたか?
「思っていた以上にボールを握れて、主導権もずっとこちらが持っていた中で、危ない場面もあまりなく、勝てたことが良かったです」
 
Q:特に立ち上がりから左サイドをうまく使えていたように思うが?
「ボールを丁寧につないでゴールまで目指そう、という練習の成果だなと思います」
 
Q:今節も前線2トップから始まる守備の意識は高かったが、チーム全体の守備については?
「全員が連動して、連続して守備をするのがセレッソの良さ。(前節の)広島戦を終えて、もう一度みんなで『前から行こう』という話をして今節に臨んだ中で、守備もうまくハマって無失点で終えられて良かったと思います」
 
Q:追加点はセットプレーからでした。あの時間帯でセットプレーから2点目を奪えると、試合運びも楽になりますね。
「そうですね。キッカーを任せてもらっていて、3試合目で得点につながったことが嬉しかったです(笑)」
 

■宮本光梨選手
 
Q:序盤から主導権を握った試合運びができていたと思うが、どのような感覚でプレーしていましたか?
「前プレというより、相手は中を固めてくる感じだったので、広げてサイドを使って攻撃しよう、という感じでボールを動かしていました」
 
Q:ボールを持ちながらどう崩すか、という展開になった中で、序盤から左サイドをうまく使えていたと思うが、前節も踏まえ、何かチーム内で話し合ったことはありますか?
「(小山)史乃観のところはいいところでもあるので、足元や背後を使い分けて仕掛けたり、右でつないで左に振ることも、話し合っていました」
 
Q:試合前、脇阪選手は「つないでいる時のリスク管理も大事」という話をされていたが、相手のカウンターに対するケアは、どのような意識でプレーされていた?
「(脇阪)麗奈さんは前に強い。前でプレスして潰してくれるので、自分はカバーできるように、ポジション取りは意識してプレーしていました」
 
Q:ホーム初勝利の期待が懸かる次節に向けて
「多くのサポーターに来て頂いた中で、ホーム初戦は負けてしまったのですが、今度こそ勝利をプレゼントしたいと思います」
 

■藤原のどか選手
 
Q:自身としては、WEリーグカップデビュー戦になりました。どのような思いで試合に臨みましたか?
「正直、嬉しい気持ちと緊張する気持ちもあったのですが、トリさんに『楽しめ』という言葉を頂いたので、思いっきり自信を持ってやるしかない、という気持ちで挑みました」
 
Q:これまでプレーしてきた舞台とは、やはりまた一つ緊張感も違いましたか?
「そうですね。プロリーグということで、色んな方が協力して下さって試合も成り立っていたり、観客もアウェイですが、セレッソのサポーターの方もいつも以上に応援して下さったり、違いは凄く感じました」
 
Q:試合内容については、前半から主導権を握った中でのプレーが続いたが、どのような思いで試合を進めていましたか?
「相手を分析して、『そこまで前からプレスはかけてこない』ということだったので、『落ち着いて、後ろからパスを回して攻撃しよう』と話をしていた中で、ディフェンスのところで、スライドが百濃選手とうまくいかなかったときもあったので、その都度、その都度、話をして、いい時間に先制点も決めることができたので、心に余裕が生まれてプレーできました」


■小山史乃観選手
 
Q:まずは先制点のシーンを振り返ってください。
「『こぼれてくるかな』とは少し思っていて、点を取りたいという気持ちから、あのポジションに入れていたのかなと思います。(高和)芹夏がシュートを打った瞬間、こぼれるかもと感じたので、冷静に決められてよかったです」
 
Q:プレーの流れのなかの判断で中央に残っていた?
「自分がパスを受けてシュートを打てる位置にいようという判断でした。パスは来ませんでしたが、こぼれ球に反応できる位置にいることができました」
 
Q:得点シーン以外にも前半から攻撃参加が目立っていました。
「セレッソ全体が『繋がり』を意識した中で、ああいうプレーを出せました。スカウティングもしていましたが、個人戦術の面と、全員が考えながらプレーした結果でもあるかなと思います」
 
Q:高和選手との縦関係で意識していることは?
「(高和)芹夏がサイドに張るよりも、私が張っていたほうが相手にとって脅威になるんじゃないか、と2人で話していました。その中で、私にボールが入ったときに、芹夏は誰と繋がっていてほしいのか、というポジショニングのことは結構話しながらプレーしていました。ゴールを取るために、どういう距離感がいいのかは考えながら、話ししながらできていたと思います」
 
Q:守備ではクリーンシートを達成。その要因とは?
「今週は守備の準備に時間を割いていました。特に細かいポジショニングです。一人ひとりがポジショニングを徹底することで、確実に守れる。そういう守備を目指しています。その中で、一人ひとりの細かい動き、ディフェンスラインの上げ下げを含めて、しっかりできたと思います。前線の選手が運動量豊富でしっかり追ってくれているのも大きいです」
 
Q:今日マッチアップした千葉レディースの小川由姫選手は大阪学芸高校の同級生だそうですね。
「そうなんです。しかも同じクラスでした。サッカーの話をよくしていましたし、小学生の時には一緒にプレーしたこともあります。負けたくない気持ちが強かったので、気持ちの面でもいい状態で戦うことができました」
 
 
■白垣うの選手
 
Q:プロとしての初ゴール、おめでとうございます。
「ありがとうございます! 目の前にボールがあったので、蹴り込むだけでした」
 
Q:荻久保選手が競ったことで、ボールがこぼれてきましたね。
「(荻久保)優里さんは結構折り返してくれるタイプなので、そのボールを狙っていこうと思っていました。はじめはヘディングをしようと思って、ジャンプをしましたが届かず、でも『まだある』と思っていたら、ボールがこぼれてきて『よし!』って(笑)」
 
Q:セットプレーでの得点力はご自身の武器の一つ?
「そこはチームからも求められていますし、自信があります」
 
Q:今日は61分からピッチに立ちました。どういう意識でピッチに入りましたか?
「ベンチから試合を見ていて、相手につくタイミングなどしっかりイメージできていました。相手に試合の流れが傾きかけていたので、まずは守備をしっかりしようという意識でした」
 
Q:スタメンで出るためにも、もっと練習からアピールしていきたい?
「いつでも(先発で)いける準備はしています。練習では自分の持っているモノを出し切ることを意識して、どんどんアピールしてきたいです。攻撃参加や1対1の守備の強さを見せていきたいと思っています」
 
 
■荻久保優里選手
 
Q:WEリーグカップ初先発となりましたが、試合の入りで意識したこととは?
「相手がしっかりとコンパクトに守ってくるというのは、相手の試合を分析して全員が把握していました。しっかりと(どちらかのサイドに)寄せて、サイドチェンジするっていう、 自分の特徴を生かしたロングキックで相手を揺さぶろう、というのを意識していました」
 
Q:守備面で気をつけていたことは?
「まず筒井(梨香)選手と私の2人がスライドするというのが、このチームのやらないといけないことというか。鳥居塚(伸人)監督がおっしゃっているように、しっかりとしたポジションを取ってから守備をすること。また、ディフェンスラインを上げ下げするなかで、相手のパスが出るタイミングでラインを下げるのは、しっかりタイミングが合うように意識していました」
 
Q:今日のゲームから得られた収穫と課題とは?
「相手のロングボールに対しては、ヘディングで強く弾き返したり、いいプレーを出せたかなという手応えがあります。課題は、背後を取られた時の対応であったり、前の選手を(コーチングで)動かすことは、まだまだできていないと感じています」
 
Q:74分の白垣うの選手ゴールは、荻久保選手が競ったことで生まれましたね。
「はい、膝でボールに触ることができました。得点シーンの前のセットプレーで(脇阪)麗奈さんから良いボールが来たけど、自分がちゃんと入れず、『次こそは』と思ってしっかりファーサイドに入っていました。自分の前に相手がいましたが、ボールが逸れてくるとわかったので、足を出したらうまくいきました(笑)」