2023-24 WEリーグカップ
グループステージ 第2節

2023.9.2

セレッソ大阪ヤンマーレディース

矢形 海優 (36')

1

HOME

FULL TIME

2

1-1

0-1

サンフレッチェ広島レジーナ

小川 愛 (40')

中嶋 淑乃 (53')

ヨドコウ桜スタジアム

2,989

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

WEリーグ参入後初のホームゲームは矢形海優のゴールで先制も、無念の逆転負け。開幕2連勝はならず
 
WEリーグ参入後初のホームゲーム、WEリーグカップ グループステージ第2節 サンフレッチェ広島レジーナ戦に臨んだセレッソ大阪ヤンマーレディース。先発は、第1節のノジマステラ神奈川相模原戦と同じ11人。ホーム・ヨドコウ桜スタジアムの後押しも受け、開幕2連勝を目指した。
 
試合前、「相手のストロングをしっかり消しながら、チャンスは必ず来ると思うので、少ないチャンスをしっかりモノにすることがポイント。そこを逃さず、点を取って勝ちたい」と話していた鳥居塚伸人監督。キャプテンの脇阪麗奈も同様に、「広島も強いと思うので、しっかり守備から入って、決めるところで決め切ることが大事。その質にこだわりたい」と、指揮官と似たニュアンスの言葉を残していた。現時点では、やや力の差があることを認識した上で、しっかりと守備で対応しながらチャンスを作り、得点と勝利を目指すことが今節のプランだった。その意味では、立ち上がりこそややチーム全体が硬い入りとなったものの、セレッソにとって想定した展開で試合は進んでいく。相手のストロング、第19回アジア競技大会(2022/杭州)日本女子代表メンバーにも選出された中嶋淑乃が陣取る広島の左サイドの攻撃も何とかしのぐと、31分には百濃実結香と田中智子が続けてゴールに迫るなど反撃。すると36分、相手GKとDFの間で起きたミスを矢形海優が突き、GKとの1対1を冷静にかわしてゴール。第1節の2得点に続き、セレッソの強みである前からのプレスで今節も先制点を奪うことに成功した。
 
ただし、「前半、リードしていた状況で、残り少ない時間で失点してしまい、後半も早い時間帯で自分たちのミスから失点した」と矢形も振り返ったように、先制から4分後、警戒していた相手の左サイドから崩され同点に追いつかれると、後半に入り、53分にも自陣右サイドでのバックパスを中嶋に拾われ、シュートを決められた。このあたりの2失点に関しては、「守備では準備がまだまだ遅い。奪ったボールも、パスなのか、自分で運ぶのか、ジャッジが遅い」と鳥居塚監督も課題に言及。この試合、再三、好守備を見せた筒井梨香も、「コミュニケーションのところでもっと丁寧にすれば良かった。1失点目は相手が上でしたが、2失点目は防げた。声掛けをもっとしてあげれば、どうにかなったので、悔しい思いしかない」と振り返り、自身も含めた対応を悔やんだ。
 
短時間で逆転されたセレッソだが、3,000人近い(2,989人)観衆が集まったホームの後押しも受け、ここから猛反撃を開始。キーマンになったのは、56分に投入された栗本悠加。現在、高校2年生ながらU-19日本女子代表候補にも選出されている小柄なアタッカーは、左サイドハーフに入ると果敢なドリブルで敵陣へ進入。左サイドバック小山史乃観との連係も冴え、66分には、2人で作ったチャンスから、最後は栗本と同じタイミングで試合に入った松本奈己がシュート。67分にも、小山のクロスに中谷莉奈がヘディングで合わせると、68分には栗本がカットインから自らシュート。この時間帯はセレッソが縦への推進力を発揮し、立て続けにゴールに迫った。ただし、「得点という形でチームに貢献したかったのですが、ゴールが遠かった」と栗本も試合後に振り返ったように、広島の粘り強い守備をこじ開けるには至らないまま時間は経過。逆転を許して以降は広島の攻撃を抑えていたセレッソだが、1点が遠い。試合は終盤へ突入した中で、90分、セレッソに決定機が訪れる。筒井のロングフィードを百濃が落とし、背後に抜けた小山がGKと1対1になるも、狙い澄まして放ったシュートは惜しくもクロスバーを直撃。土壇場での同点劇とはならず、試合は1-2で終了。最後の最後まで攻めたセレッソだったが、ホーム開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。
 
もっとも、試合後は選手たちの健闘を称え、スタジアムから大きな拍手が送られた。「雰囲気は本当に最高でした。感謝し切れないくらい感謝。皆さんの前で勝ちたかった」(矢形)、「勝たないといけない試合で勝てなかったのが今の自分たちの実力。(スタジアムの雰囲気は)とてもワクワクしました。やっぱりセレッソは温かいなと思いました」(脇阪)、「これだけ人が集まってくれた中で試合ができたことは本当に幸せでした。だからこそ、絶対に勝ちたかった」(小山)。試合後、選手たちはそれぞれに感謝の思いと、だからこそ勝利を届けることができなかった悔しさを吐露した。「課題を克服して、次につなげることで、選手たちも成長する。このゲームを無駄にせず、成長し続けていきたい」と鳥居塚監督。記念すべきWEリーグ参入後初のホームゲームは涙に暮れる結果となったが、この試合を出発点に、1試合1試合、確実に力を付けていきたい。戦いはまだ始まったばかりだ。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督

「ホーム開幕ということで、たくさんのサポーターの方々に来て頂いた中、選手たちと勝点3を取りにいこうと臨んだのですが、勝ち切ることができず、残念に思います。ただ、選手たちは一生懸命やってくれました。その中で、足らない部分に関しては、こちらがトレーニングで積み上げていかないといけない。選手とともに課題が見つかったと思います。これをしっかり克服して、次につなげることで、選手たちも成長してくれると思うので、このゲームを無駄にせず、成長し続けていきたいと思います」
 
Q:相手のストロングポイントである左サイドに苦しめられる場面もあった中で、粘り強い守備も見られました。攻撃でも、後半の途中から栗本選手が入り、小山選手も含めて左サイドが活性化しました。今節の攻守について振り返ると。
「まず守備に関しては、準備のところがまだまだ遅いというところ。奪った後のつながりがなかったために、奪った後もロストした場面もありました。攻撃に関しても、奪ったボールをつなげていくクオリティーがまだ低い。あとは勇気ですね。ハーフタイムにも話したのですが、結局、自信がなくて、パスなのか、自分で運ぶのか、ジャッジが遅れたためにプレッシャーがかかっているシーンが多かった。ここは経験値でもあるし、技術のところでもあるので、その課題を克服して次節に臨みたいと思います」
 
Q:ホーム開幕戦ということもあり、3,000人近いファン・サポーターがスタジアムに集まってくれました。そのことについての思いは。
「バスが会場に到着したときから多くのファン・サポーターの方々に来て頂いて。その中で、選手も初めての体験で、どう対応していいか分からない選手もいたかも知れません(笑)。開幕戦以上の緊張感があったと思います。その中でも一生懸命戦ってくれました。多くのサポーターが来てくれた中で勝利をプレゼントしないといけないゲームではあったのですが、今後、しっかりと勝ち切れるチームにしていきたいです。温かい声援が後押しになって、いいゲームができたと思うので、応援して頂いてありがとうございます」

Q:前節の後も話されていたが、決め切る部分は今節も課題として残った印象があるが?
「そうですね。日々の練習から、『何センチにこだわろう』という話はしていますが、実際、攻撃でのクロスの精度や質、最後の小山のシュートもそうですが、あの何センチというところがゴールにつながるのか、跳ね返されるのか。結局、そこも技術だと思うので、その何センチにこだわることは、今後も選手たちに求めていかないといけないと思います」

Q:失点場面はいずれもセレッソの右サイドでした。相手の中嶋選手のような個の力をもった選手をどう防ぎ、勝点を手繰り寄せることが必要か?
「相手のストロングは何か、それを出させないために何が必要か。それを把握しないと、良さを出させてしまう。今日の失点も、あの失点に至るまでにどのような準備ができたのか。その個人戦術はまだまだ経験値が少ないと感じています。経験で結果が出るモノではないですが、個人戦術はさらにレベルアップさせて、今後の試合に臨んでいきたいです」

Q:9月4日から米田博美選手、和田麻希選手、中谷莉奈選手、白垣うの選手、栗本悠加選手がU-19日本女子代表候補の国内トレーニングキャンプに参加します。こういうことを学んできて欲しい、という思いはありますか?
「セレッソ大阪自体が世界を基準に考えているところもあるので、代表に行っても世界基準でトレーニングしてきてもらいたいです。選手たちがそういう場所にいったときに世界基準でトレーニングをすることで、日本のレベルも上がるでしょうし、逆に代表で求められているモノを多く学び、チームに還元してくれたらいいなと思います。こういう機会があれば、ハードワークさせて、多くの選手を輩出できればと思います」

選手コメント

■矢形海優選手

Q:ホーム初ゴールをも含め、今節を振り返ると?
「多くのお客さんの前であのようなゴールで先制できたことは、自分自身、本当に良かったです。セレッソに帰ってきたな、という思いがありました。ただ、勝ち切れなかったことは、まだまだ自分たちの課題だと思います」

Q:得点シーンは相手のミスからボールを奪い、最後は冷静でしたね。
「そうですね。GKと1対1になったので、最初は抜くか抜かないか迷ったのですが、冷静になって、抜いてしっかり決めることができました」
 
Q:その後の試合運び、特に前半の終わり方も含め、心残りもありますか?
「前半、リードしていた状況で、残り少ない時間で失点してしまい、後半も早い時間帯で自分たちのミスから失点した。まだまだ、自分たちのできていない部分もありました。そこから後半、何回かチャンスもあったのですが、決めるために、あと数センチが足りなかったと思います」
 
Q:前節の2得点も含め、前からプレスをかけてボールを奪うことは、チーム全体に浸透している?
「はい。セレッソのサッカーは前線からスイッチを入れて、アグレッシブに前から奪いにいくこと。そこはチーム全体で連係しているところなので、毎試合、欠かさずやっていきたいと思います」
 
Q:今日のスタジアムの雰囲気はいかがでしたか?
「本当に最高でした。感謝し切れないくらい感謝です。3,000人近くのファン・サポーターの皆さんの前で勝ちたかったです。まだまだ試合は続くので、ここからまた自分たちで結果を残して、また見に来て頂けるように頑張りたいです」


■脇阪麗奈選手

Q:ホーム開幕戦となった今節を振り返ると?
「勝たないといけない試合で勝てなかったのが、今の自分たちの実力だと思います。(2失点は)自分が締め切れなかった部分もありますし、一つ声をかければ、みんなのミスも防げたのかなと思います。私自身ももっとレベルアップして、みんなを助けられるような選手になりたいです」
 
Q:3,000人近く集まった中での試合でしたが、スタジアムの雰囲気はいかがでしたか?
「緊張していた選手もいたかも知れないですが、私はとてもワクワクしました。やっぱりセレッソは温かいなと思いました。今日のような試合で勝つことが大事なので、勝てずに申し訳ないという思いです」
 
Q:広島との差は、どのようなところに感じましたか?
「経験の差だと思います。ゲーム運びは相手の方が上でした。そこの差を、次に対戦するまでに埋めていきたいです」
 

■筒井梨香選手

Q:ホーム開幕戦となった今節を振り返ると?
「1番、勝たないといけない試合でした。3,000人近くの観客の皆さんに来て頂いた中で、勝ち切ることができなかったことが悔しいです」
 
Q:前半途中までは粘り強く守っていたが、相手のストロングである左サイドから2失点。守備について振り返ると?
「コミュニケーションのところでもっと丁寧にすれば良かった、という思いがあります。1失点目は相手が上でしたが、2失点目は防げました。声掛けをもっとしてあげれば、どうにかなったので、悔しい思いしかないですね」
 
Q:筒井選手のフィードが起点となったラストのシーンは惜しかったですね。
「(小山と)ホットラインを築いているので(笑)。『入るかな?』と思ったのですが、あと少しでしたね」
 
Q:前節、課題になったビルドアップについて、今節はどのような手応えを持ちましたか?
「前半は焦って、みんな蹴ってばかりだったので、『落ち着いてやろう、落ち着いたらもっと丁寧につなげるよ』ということを自分発信でできたらいいなと思ったので、自分なりにはトライしたつもりです」
 
Q:後ろから中央に縦パスを入れるシーンもありましたが、練習で取り組んでいることを出そうとしている姿が印象的でした。
「ボランチに脇阪選手がいてくれるので、安心して(縦パスを)入れることができます。常にポジションを取ってくれるので、自分はそこと背後の使い分け、サイドの使い分けを心掛けていました」
 
Q:3,000人近くの観客が入ったスタジアムの雰囲気については?
「めちゃくちゃ一体感を感じました。テンションが上がったので、空回りしないように気を付けていました(笑)」
 
Q:監督は「開幕戦以上に緊張はあったと思う」と話していましたが、筒井選手自身はどうでしたか?
「自分は観客の皆さんが多ければ多いほどテンションが上がるタイプなので(笑)。若い子たちは意識したかも知れません。前半ガチガチやったと思います(笑)」
 
Q:慣れたら力になる?
「はい、めちゃくちゃなりますね。少しでもいいプレーをしたらコールしてくれますし、凄くやる気が出ます」
 
Q:後半の終盤はまさにそんな空気感でしたね。 
「はい、あとは決め切ることが課題です。そこはずっと課題です(苦笑)」
 
Q:S広島Rとの差は、どのようなところに感じましたか?
「少し相手に緊張している選手もいたと思うし、自分もINAC神戸でプレーしていた時に、広島さんとは対戦がなかったので。どんな感じかな?と思ったのですが、サイドは少しやられました。ただ、勝てないとは思わないですし、後半のような流れを前半からできていれば、もっといい試合運びができたと思います。前からの守備もできていたので、その質をもっと上げていけば、得点シーンのようなチャンスも増えたと思います」
 
Q:INACでのプレーも経験された筒井選手として、今のチームに落とし込みたいことは?
「選手個々はセレッソもレベルが高いと思います。全員が落ち着いて、周りを見て、丁寧にパスをつなげば、失う回数も減る。今は自分たちからミスをしているので、それを無くせばもっとレベルアップできる。そこをもっと自分発信で伝えていけたらと思います」
 

■小山史乃観選手

Q:ラストのシュート場面を振り返ると?
「あそこまで走ってチャンスを作れたのは、自分の武器が出せたと思うのですが、アタッキングサード(の質)は課題ですし、自分の実力不足だと感じました」
 
Q:試合前、「今節はもっと攻撃に関わりたい」と話していました。実際に今節は特に後半、攻撃に関わる場面も多かったです。今日、出せた部分、出せなかった部分、手応えと課題などは、どう感じましたか?
「3人目の動き、ゴール前に入った時に崩すアイディアと、そのための走力はもっと上げていかないといけないと思いました。ただ、ボールを持った時に色んな選択肢を持てたことは良かったです。けど、やっぱり、決めたら勝てた試合だと思うので、そこが全てだなと思います」
 
Q:今日のスタジアムの雰囲気はどのように感じながらプレーしていましたか?
「自分たちが知らないところでたくさんの人が動いてくれて、これだけ人が集まってくれた中で試合ができたことは本当に幸せでした。だからこそ、絶対に勝ちたかった。勝てなかったのは自分の責任だから、もっと練習して、勝てるようになればいいなと思います」


■栗本悠加選手

Q:途中出場で、攻撃に関わるシーンも多かったが?
「得点という形でチームに貢献したかったのですが、ゴールが遠かったです。もっと思い切ってシュートを打てる場面もあったので、そこで打ち切れなかったことは、もっと練習して、そこで打ち切れる選手になりたいと思いました」
 
Q:流れを変えたが、試合に入る前に意識していたことは?
「前半から厳しい状況で、入る前は1-2のスコアだったので、出たら絶対に2点を決めようと思って試合に入りました」
 
Q:WEリーグの舞台については?
「まだ緊張もありますが、やれる、という感覚もあります。もっと練習して、成長した姿を見せて、圧倒的なプレーをしたいです」
 
Q:今日のスタジアムの雰囲気はいかがでしたか?
「めっちゃ良かったです。試合前から『絶対に勝つぞ』という勢いがありました。(スタジアムの雰囲気のおかげで)思ったより緊張せず、いつも通りな感じで試合に入れました」